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2021年12月23日(木)、広島の中学生時代からの古い友人との忘年会。12時半過ぎに京都、四条大橋東詰のまねきが掛かる南座(下の写真1)の前で待ち合わせて円山(まるやま)公園へ向かう。<br /><br />四条通りの一番東の祇園交差点を渡り、八坂神社の西楼門に入らずに北側の北東に切り込む道に入り、道なりに東に曲がって進むと右手に弓なりに続く道と正面に真っ直ぐ続く道との交差点に「いもぼう」の看板がある(下の写真2)。<br /><br />この看板は直進を示しているが、弓なりに曲がった道の先にも「いもぼう」の案内板が。よくよく見てみると実はこの2つの看板は違う店を案内している。直進を示す看板は平野屋本店、そして右手に曲がる道の先に立つのは平野屋本家。<br /><br />ややこしいことだが、この2店、50mほども離れない場所に位置している。ネットでの話によると元々あったのは本店で、店が繁盛してきたので離れにもう1店舗出したのが、今の本家。最初は西店としていた。確かに、まだ学生時代に母や姉と行ったことがあるのだが、その時は西店だった。<br /><br />この日の目的地も西店改め、いもぼう平野家本家。彼とはこの何年かは年末に忘年会と称してちょっとうまいものを食べに行くのが恒例になっており、この年は京都の伝統料理であるいもぼうを食べることにしたのだが、実は円山公園に2店あることを知らずに予約したのが前にも来たことにのあるこの店だった。<br /><br />いもぼう(芋棒)は京都の伝統野菜である海老芋と、北海道産の棒鱈を一緒に炊き上げて造る料理。旬の食材を組み合わせ、双方の良いところを引き立たせ合う「出会いもん」の代表的な料理。<br /><br />海老芋は京野菜のひとつとして知られる根菜。江戸中期の安永年間(1772~81年)に、当時の青蓮院宮が九州御幸の折にお持ち帰りになった唐芋(とうのいも)がルーツ。大型で良質の芋で海老に似た独特の形と縞模様を持っていたことから海老芋と名付けられ、上鳥羽や九条で栽培が行われるようになった。<br /><br />現在は、私の住んでいる京田辺や精華など京都の南山城地区や大阪の富田林、兵庫の姫路などで生産されているが、住地化が進んだことにより、全国シェアの8割は静岡県の天竜川東岸で収穫されている。<br /><br />棒鱈は真鱈を干したもので、江戸時代以前から東北・北海道地方における海産物を使った保存食の代表格として製造が行われてきた。加工された棒鱈は北前船で関西方面に運ばれ、宮中への献上品となり、また正月料理やお盆料理の一品として食べられてきた。<br /><br />平野家は青蓮院の宮様にお仕えしていた侍大将の平野権太夫が宮家から暇を戴いたのちにこの円山の地で興した店。以後300余年、14代(当代)に渡って一子相伝の口伝にて技と味が継承されている。<br /><br />吉川英治は「百年を伝えし味には百年の味あり」と褒め、川端康成は「美味延年」と記されたとのこと。また、松本清張は小説の舞台として、短編の「顔」と長編の「球形の荒野」に登場させている。「球形の荒野」は多分高校時代に読んだわ。<br /><br />1時前にお店に到着、円山公園の緑に囲まれた数寄屋風の建物で、坪庭に面した個室へ案内される。1時頃、生ビール(660円)で乾杯して昼食開始。この日戴いたのは3630円の湯豆腐御膳。まずはいもぼう、とろろ海苔巻、小鉢、梅椀(吸物)、ごはん、香の物を乗せたお盆。厚く面取りした海老芋と、一週間余りかけて柔らかく戻した棒鱈を丸一昼夜かけて炊きあげたいもぼうは絶品。煮崩れしやすい芋と煮えにくい棒鱈は、棒鱈を炊いたときに出る膠質と海老芋から出る灰汁によって絶妙の滋味を醸し出している。<br /><br />そして湯豆腐をつつきながら平野家本家オリジナル純米吟醸酒の菊圃(きくほ)。300mlで1320円。地元伏見の酒造、キンシ正宗製。金鵄(きんし)正宗の銘柄が有名な酒造で、構内には伏見7名水のひとつである常磐井水を有している。<br /><br />そして、最後にデザートは何だったか忘れた。とにかく美味しかった。2時間ほど掛けておいしい食事とお酒を戴き、楽しいひと時を過ごした。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.8994422827294328&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><br />食事の後、話の流れで久々に清水寺に行こうかと云うことになったので、まずはお隣の八坂神社へ向かうが、続く

京都 東山祇園 円山公園 いもぼう平野屋本家(Hiranoya-honke,Gion,Kyoto,Japan)

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2021/12/23 - 2021/12/23

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旅行記グループ 東山

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ちふゆ

ちふゆさん

2021年12月23日(木)、広島の中学生時代からの古い友人との忘年会。12時半過ぎに京都、四条大橋東詰のまねきが掛かる南座(下の写真1)の前で待ち合わせて円山(まるやま)公園へ向かう。

四条通りの一番東の祇園交差点を渡り、八坂神社の西楼門に入らずに北側の北東に切り込む道に入り、道なりに東に曲がって進むと右手に弓なりに続く道と正面に真っ直ぐ続く道との交差点に「いもぼう」の看板がある(下の写真2)。

この看板は直進を示しているが、弓なりに曲がった道の先にも「いもぼう」の案内板が。よくよく見てみると実はこの2つの看板は違う店を案内している。直進を示す看板は平野屋本店、そして右手に曲がる道の先に立つのは平野屋本家。

ややこしいことだが、この2店、50mほども離れない場所に位置している。ネットでの話によると元々あったのは本店で、店が繁盛してきたので離れにもう1店舗出したのが、今の本家。最初は西店としていた。確かに、まだ学生時代に母や姉と行ったことがあるのだが、その時は西店だった。

この日の目的地も西店改め、いもぼう平野家本家。彼とはこの何年かは年末に忘年会と称してちょっとうまいものを食べに行くのが恒例になっており、この年は京都の伝統料理であるいもぼうを食べることにしたのだが、実は円山公園に2店あることを知らずに予約したのが前にも来たことにのあるこの店だった。

いもぼう(芋棒)は京都の伝統野菜である海老芋と、北海道産の棒鱈を一緒に炊き上げて造る料理。旬の食材を組み合わせ、双方の良いところを引き立たせ合う「出会いもん」の代表的な料理。

海老芋は京野菜のひとつとして知られる根菜。江戸中期の安永年間(1772~81年)に、当時の青蓮院宮が九州御幸の折にお持ち帰りになった唐芋(とうのいも)がルーツ。大型で良質の芋で海老に似た独特の形と縞模様を持っていたことから海老芋と名付けられ、上鳥羽や九条で栽培が行われるようになった。

現在は、私の住んでいる京田辺や精華など京都の南山城地区や大阪の富田林、兵庫の姫路などで生産されているが、住地化が進んだことにより、全国シェアの8割は静岡県の天竜川東岸で収穫されている。

棒鱈は真鱈を干したもので、江戸時代以前から東北・北海道地方における海産物を使った保存食の代表格として製造が行われてきた。加工された棒鱈は北前船で関西方面に運ばれ、宮中への献上品となり、また正月料理やお盆料理の一品として食べられてきた。

平野家は青蓮院の宮様にお仕えしていた侍大将の平野権太夫が宮家から暇を戴いたのちにこの円山の地で興した店。以後300余年、14代(当代)に渡って一子相伝の口伝にて技と味が継承されている。

吉川英治は「百年を伝えし味には百年の味あり」と褒め、川端康成は「美味延年」と記されたとのこと。また、松本清張は小説の舞台として、短編の「顔」と長編の「球形の荒野」に登場させている。「球形の荒野」は多分高校時代に読んだわ。

1時前にお店に到着、円山公園の緑に囲まれた数寄屋風の建物で、坪庭に面した個室へ案内される。1時頃、生ビール(660円)で乾杯して昼食開始。この日戴いたのは3630円の湯豆腐御膳。まずはいもぼう、とろろ海苔巻、小鉢、梅椀(吸物)、ごはん、香の物を乗せたお盆。厚く面取りした海老芋と、一週間余りかけて柔らかく戻した棒鱈を丸一昼夜かけて炊きあげたいもぼうは絶品。煮崩れしやすい芋と煮えにくい棒鱈は、棒鱈を炊いたときに出る膠質と海老芋から出る灰汁によって絶妙の滋味を醸し出している。

そして湯豆腐をつつきながら平野家本家オリジナル純米吟醸酒の菊圃(きくほ)。300mlで1320円。地元伏見の酒造、キンシ正宗製。金鵄(きんし)正宗の銘柄が有名な酒造で、構内には伏見7名水のひとつである常磐井水を有している。

そして、最後にデザートは何だったか忘れた。とにかく美味しかった。2時間ほど掛けておいしい食事とお酒を戴き、楽しいひと時を過ごした。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.8994422827294328&type=1&l=223fe1adec


食事の後、話の流れで久々に清水寺に行こうかと云うことになったので、まずはお隣の八坂神社へ向かうが、続く

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  • 写真1 南座

    写真1 南座

  • 写真2 平野屋本店の看板

    写真2 平野屋本店の看板

  • 写真3 飲み物メニュー

    写真3 飲み物メニュー

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