バンクーバー旅行記(ブログ) 一覧に戻る
2022年7月ローマ教皇がカナダを訪問しました。その目的はカナダ先住民への謝罪。およそ100年前、カナダのカトリック団体が先住民(ファーストネーションズ)の子供を半強制的に寄宿学校へ送り、何千から何万の子供が虐待で死亡するという悲惨な歴史に対しての謝罪です。100年前の地域の覇権国は、他の弱い地域を植民地にして支配するのが常識でした。しかし時代と共に常識は変わり、過去の行為に対して今の責任者が謝罪すべきとの世論が増しています。当時の覇権国には皆同様な過去があります。私の住むオーストラリアでも政府は先住民に謝罪を繰り返しており、他国の事とは思えず敢えて旅行記にしました。<br /><br />この旅行記では2019年9月にカナダ西海岸・北極圏・アラスカ南東部の先住民の文化を探しに、バンクーバーから北極海までカナダ・アラスカを縦断します(実際は北から南の行程ですが)。先住民ファーストネーションズ・イヌイット・ネイティブアメリカンのアートは近年保存が進んでいますが、今でも生きた文化として残っているのでしょうか。日本のアイヌ民族とも比較してみます。なおローマ教皇の謝罪との関連はなく、北極海までのカナダ縦断旅で見つけたカナダ先住民の文化についてを簡単にまとめています。<br /><br />関連旅行記:<br />道東のドライブ旅2 失われたアイヌ文化を求めて <br />https://4travel.jp/travelogue/11390160<br />冬のシベリアへの旅8 伝説の悪路を縦断しエヴェンキ族の祭へ<br />https://4travel.jp/travelogue/11547630

ローマ教皇が謝罪、カナダ先住民の残された文化を探しにカナダ縦断 (Search Indigenous cultures in Canada)

37いいね!

2019/09/15 - 2019/09/15

231位(同エリア2131件中)

ノーーウォリーズ

ノーーウォリーズさん

2022年7月ローマ教皇がカナダを訪問しました。その目的はカナダ先住民への謝罪。およそ100年前、カナダのカトリック団体が先住民(ファーストネーションズ)の子供を半強制的に寄宿学校へ送り、何千から何万の子供が虐待で死亡するという悲惨な歴史に対しての謝罪です。100年前の地域の覇権国は、他の弱い地域を植民地にして支配するのが常識でした。しかし時代と共に常識は変わり、過去の行為に対して今の責任者が謝罪すべきとの世論が増しています。当時の覇権国には皆同様な過去があります。私の住むオーストラリアでも政府は先住民に謝罪を繰り返しており、他国の事とは思えず敢えて旅行記にしました。

この旅行記では2019年9月にカナダ西海岸・北極圏・アラスカ南東部の先住民の文化を探しに、バンクーバーから北極海までカナダ・アラスカを縦断します(実際は北から南の行程ですが)。先住民ファーストネーションズ・イヌイット・ネイティブアメリカンのアートは近年保存が進んでいますが、今でも生きた文化として残っているのでしょうか。日本のアイヌ民族とも比較してみます。なおローマ教皇の謝罪との関連はなく、北極海までのカナダ縦断旅で見つけたカナダ先住民の文化についてを簡単にまとめています。

関連旅行記:
道東のドライブ旅2 失われたアイヌ文化を求めて
https://4travel.jp/travelogue/11390160
冬のシベリアへの旅8 伝説の悪路を縦断しエヴェンキ族の祭へ
https://4travel.jp/travelogue/11547630

旅行の満足度
3.5

PR

  • カナダのバンクーバー Vancouverへ向けて飛行機は高度を下げます。沿岸部には多くの島が見えて、カナダ西海岸の先住民(ファーストネーションズ)はこの様な海に囲まれた自然の中で暮らしています。

    カナダのバンクーバー Vancouverへ向けて飛行機は高度を下げます。沿岸部には多くの島が見えて、カナダ西海岸の先住民(ファーストネーションズ)はこの様な海に囲まれた自然の中で暮らしています。

  • バンクーバー空港に着くと、カナダ先住民の工芸品が最初に迎えてくれます。バンクーバーは先住民の町なのでしょうか。まるで北海道の千歳空港に着いたらアイヌの地であった様な驚きです。

    バンクーバー空港に着くと、カナダ先住民の工芸品が最初に迎えてくれます。バンクーバーは先住民の町なのでしょうか。まるで北海道の千歳空港に着いたらアイヌの地であった様な驚きです。

    バンクーバー国際空港 (YVR) 空港

  • イミグレーションの手前にも大きなアートが。これは空を飛ぶイーグルを人間が迎えている構図、旅行者を歓迎しています。

    イミグレーションの手前にも大きなアートが。これは空を飛ぶイーグルを人間が迎えている構図、旅行者を歓迎しています。

  • 実際のバンクーバーの人口は、白人と最近増えた中国系が大多数を占めます。先住民は5%にも足りません。これは祭事ポトラッチでのゲストのお出迎えに使われる像。ポトラッチとは裕福な一族がゲストを盛大にもてなす儀礼です。

    実際のバンクーバーの人口は、白人と最近増えた中国系が大多数を占めます。先住民は5%にも足りません。これは祭事ポトラッチでのゲストのお出迎えに使われる像。ポトラッチとは裕福な一族がゲストを盛大にもてなす儀礼です。

  • こちらは空港の出国側。先住民アーティストのビル・リード Bill Reidのアートが飾られています。ハイダ族の伝説に登場する人間や動物達が懸命にカヌーを漕ぐ様子。

    こちらは空港の出国側。先住民アーティストのビル・リード Bill Reidのアートが飾られています。ハイダ族の伝説に登場する人間や動物達が懸命にカヌーを漕ぐ様子。

  • バンクーバー空港自体が、先住民のミュージアムみたいです。下のリンクに詳しい説明があります。<br />https://www.yvr.ca/en/about-yvr/art

    バンクーバー空港自体が、先住民のミュージアムみたいです。下のリンクに詳しい説明があります。
    https://www.yvr.ca/en/about-yvr/art

  • バンクーバーに着いて市内観光を開始します。バンクーバーのスタンレーパークへ向かいます。9月中旬は丁度紅葉が始まる季節です。

    バンクーバーに着いて市内観光を開始します。バンクーバーのスタンレーパークへ向かいます。9月中旬は丁度紅葉が始まる季節です。

    スタンレーパーク 広場・公園

  • スタンレー公園にあるのは先住民のトーテムポール。バンクーバーでも有名な観光地のひとつです。カナダ先住民について殆ど知らない人でもトーテムポールは聞いた事があると思います。トーテムポールは日本のアイヌ族やシベリアのサハ族にも見られる北方民族で共通する文化です。北海道の阿寒湖アイヌコタンにも飾られています。これは1955年に女性アーティストが制作しました。

    スタンレー公園にあるのは先住民のトーテムポール。バンクーバーでも有名な観光地のひとつです。カナダ先住民について殆ど知らない人でもトーテムポールは聞いた事があると思います。トーテムポールは日本のアイヌ族やシベリアのサハ族にも見られる北方民族で共通する文化です。北海道の阿寒湖アイヌコタンにも飾られています。これは1955年に女性アーティストが制作しました。

  • 中央のトーテムポールの頂点にはカラス(レイブン)が座ってます。右側はサンダーバードがシャチを捕まえています。その下には狼が人間を噛んでいます。左側はビーバーが頂点にいます。実際の自然界の強さの序列とは随分と違います。これらは各家族の歴史となるストーリーに基づきトーテムポールは彫られて一族の家紋となります。カラスとサンダーバードはカナダ先住民を象徴する動物です。

    中央のトーテムポールの頂点にはカラス(レイブン)が座ってます。右側はサンダーバードがシャチを捕まえています。その下には狼が人間を噛んでいます。左側はビーバーが頂点にいます。実際の自然界の強さの序列とは随分と違います。これらは各家族の歴史となるストーリーに基づきトーテムポールは彫られて一族の家紋となります。カラスとサンダーバードはカナダ先住民を象徴する動物です。

  • UBC (University of British Columbia)にある人類学博物館 UBC Museum of Anthropologyへ向かいます。

    UBC (University of British Columbia)にある人類学博物館 UBC Museum of Anthropologyへ向かいます。

    UBC人類学博物館 博物館・美術館・ギャラリー

  • ここはカナダ西海岸の先住民について知るには最高の場所です。これらは先住民の工芸品、人間や動物がデフォルメされた絵や彫刻が飾られています。中央に見えるベントウッドボックスは一族の家宝とも言える物で、創造の生命の顔(宇宙人?)が描かれています。よく見ると複数の動物がこの顔の一部として構成しています。

    ここはカナダ西海岸の先住民について知るには最高の場所です。これらは先住民の工芸品、人間や動物がデフォルメされた絵や彫刻が飾られています。中央に見えるベントウッドボックスは一族の家宝とも言える物で、創造の生命の顔(宇宙人?)が描かれています。よく見ると複数の動物がこの顔の一部として構成しています。

  • 右側には鮭を咥えたクマ(ビル・リード制作)、アイヌ文化にも同じ構図の彫刻がありますがカナダ版のクマは大きく違います。中央はカヌー、アイヌ族も同じですが北方民族の移動の主な手段はカヌーです。

    右側には鮭を咥えたクマ(ビル・リード制作)、アイヌ文化にも同じ構図の彫刻がありますがカナダ版のクマは大きく違います。中央はカヌー、アイヌ族も同じですが北方民族の移動の主な手段はカヌーです。

  • これは上映中のビデオのキャプチャー。先住民の祭りの様子で、カヌーは祭りでも象徴的な扱いです。

    これは上映中のビデオのキャプチャー。先住民の祭りの様子で、カヌーは祭りでも象徴的な扱いです。

  • クワキウトル族 Kwakwa?ka??wakwの工芸品、クワキウトル族はバンクーバー島北部とその対岸のカナダ本土に住み人口は3665人。中央のマスクは目を見開いた驚いた顔をしています。日本のマンガの様な表情豊かな顔ですが、こちらの方がマンガより歴史があります。上部にはカラス(レイブン) Ravenの仮面が見えます。カラスは世界に光や陰をもたらす創造主と信じられています。

    クワキウトル族 Kwakwa?ka??wakwの工芸品、クワキウトル族はバンクーバー島北部とその対岸のカナダ本土に住み人口は3665人。中央のマスクは目を見開いた驚いた顔をしています。日本のマンガの様な表情豊かな顔ですが、こちらの方がマンガより歴史があります。上部にはカラス(レイブン) Ravenの仮面が見えます。カラスは世界に光や陰をもたらす創造主と信じられています。

  • 長い嘴をもつカラス(レイブン)の仮面は、祭りの時はご覧の様にダンスで使用されます。上部で羽を広げているのはサンダーバード。サンダーバードは自然界の支配主として崇められています。

    長い嘴をもつカラス(レイブン)の仮面は、祭りの時はご覧の様にダンスで使用されます。上部で羽を広げているのはサンダーバード。サンダーバードは自然界の支配主として崇められています。

  • ヘイルツク族 Heiltsukの工芸品、ヘイルツク族はカナダ西海岸の中間辺りに住む民族です。左側にあるマスクの表情は目の周りを黒く塗っています。少し違う作家のマンガを読んでいるかの感じで民族や時代ごとに特徴があります。右側はカヌーのオールに描かれた模様です。

    ヘイルツク族 Heiltsukの工芸品、ヘイルツク族はカナダ西海岸の中間辺りに住む民族です。左側にあるマスクの表情は目の周りを黒く塗っています。少し違う作家のマンガを読んでいるかの感じで民族や時代ごとに特徴があります。右側はカヌーのオールに描かれた模様です。

  • ハイダ族 Haidaの工芸品、ハイダ族はカナダ本土から100kmほど離れたハイダ・グアイ島に住む民族です。Bill Reidや Robert Davidsonなど先住民芸術家の出身地です。小さな島ですが、先住民のアートはここから生まれる事が多いです。

    ハイダ族 Haidaの工芸品、ハイダ族はカナダ本土から100kmほど離れたハイダ・グアイ島に住む民族です。Bill Reidや Robert Davidsonなど先住民芸術家の出身地です。小さな島ですが、先住民のアートはここから生まれる事が多いです。

  • これはカナダ北部の内陸部のユーコン準州の民族の展示。沿岸部と違って目は小さく地味で実際の人間の顔の特徴に近いです。ユーコン州の内陸部には後半に訪れます。

    これはカナダ北部の内陸部のユーコン準州の民族の展示。沿岸部と違って目は小さく地味で実際の人間の顔の特徴に近いです。ユーコン州の内陸部には後半に訪れます。

  • これはカナダ極北のイヌイットのソープストーン。白熊が彫られています。イヌイットの文化も最後に触れます。

    これはカナダ極北のイヌイットのソープストーン。白熊が彫られています。イヌイットの文化も最後に触れます。

  • これはカナダ南部の内陸部のアルバータ州の民族の展示。いわゆるアメリカン・インディアンをイメージさせる帽子が特徴です。カナダ南の内陸部についてもこの後少し触れます。

    これはカナダ南部の内陸部のアルバータ州の民族の展示。いわゆるアメリカン・インディアンをイメージさせる帽子が特徴です。カナダ南の内陸部についてもこの後少し触れます。

  • ビル・リード Bill Reidのの有名なアート The Raven and the First Men。カラスが上に乗り下には貝に挟まれた人間達。このミュージアムにある工芸品は下のリンクから全て詳細を見られます。<br />http://collection-online.moa.ubc.ca/

    ビル・リード Bill Reidのの有名なアート The Raven and the First Men。カラスが上に乗り下には貝に挟まれた人間達。このミュージアムにある工芸品は下のリンクから全て詳細を見られます。
    http://collection-online.moa.ubc.ca/

  • ミュージアム野外にはカナダ沿岸部の先住民の集落を移転させた展示があります。一族が住む各家にはトーテムポールがあり、彫られる動物達は家族の歴史を示す家紋となっています。宗教的な象徴ではなく、神として礼拝する対象ではありません。

    ミュージアム野外にはカナダ沿岸部の先住民の集落を移転させた展示があります。一族が住む各家にはトーテムポールがあり、彫られる動物達は家族の歴史を示す家紋となっています。宗教的な象徴ではなく、神として礼拝する対象ではありません。

  • 2番目の旅行の目的地、カナダ南部の内陸部を旅行して少しだけ先住民を探してみます。アルバータ州はこの様な派手な帽子を被る先住民ファーストネーションズが住んでいる地区です。ここはレイクルイーズ、観光客のためにポーズを決めます。

    2番目の旅行の目的地、カナダ南部の内陸部を旅行して少しだけ先住民を探してみます。アルバータ州はこの様な派手な帽子を被る先住民ファーストネーションズが住んでいる地区です。ここはレイクルイーズ、観光客のためにポーズを決めます。

    ルイーズ湖 滝・河川・湖

  • アルバータ州には、カルガリーから車で2時間ほどの場所に2つの先住民のミュージアムがあります。私もブラックフットクロッシング Blackfoot Crossing Parkへわざわざ訪れたのですが閉館15分前で内部は見られず。沿岸部と違いまっすぐな地平線が広がる地域です。

    アルバータ州には、カルガリーから車で2時間ほどの場所に2つの先住民のミュージアムがあります。私もブラックフットクロッシング Blackfoot Crossing Parkへわざわざ訪れたのですが閉館15分前で内部は見られず。沿岸部と違いまっすぐな地平線が広がる地域です。

  • 先住民のお墓が見えます。2022年ローマ教皇が謝罪に向かったのは隣の都市エドモントン。この周辺の寄宿学校に集められた多くの先住民の子供が虐待されて命を落とし、お墓もない学校の隅に埋められていた事が最近発見されました。悲しい出来事です。

    先住民のお墓が見えます。2022年ローマ教皇が謝罪に向かったのは隣の都市エドモントン。この周辺の寄宿学校に集められた多くの先住民の子供が虐待されて命を落とし、お墓もない学校の隅に埋められていた事が最近発見されました。悲しい出来事です。

  • 3番目の旅行の目的地、バンクーバーから北上してアラスカ南東部へ飛びます。この周辺は氷河の雪山とフィヨルドの海に囲まれて今でも外に繋がる道路はありません。アメリカでは先住民をネイティブアメリカンと呼んでいます。インディアンの名前は現在は殆ど使いません。

    3番目の旅行の目的地、バンクーバーから北上してアラスカ南東部へ飛びます。この周辺は氷河の雪山とフィヨルドの海に囲まれて今でも外に繋がる道路はありません。アメリカでは先住民をネイティブアメリカンと呼んでいます。インディアンの名前は現在は殆ど使いません。

  • ケチカン Ketchikanに到着。この街には多くの先住民のミュージアムがあり先住民文化が観光のメインです。住んでいる先住民はトリンギット族 Tlingit・ハイダ族 Haidaです。彼らはおよそ2万年前にユーラシア大陸からアメリカ大陸に移住しており、アジア人の雰囲気を残しています。民族衣装もどことなくアイヌ族と共通点があります。現在はアイヌ族との交流もあるそうです。

    ケチカン Ketchikanに到着。この街には多くの先住民のミュージアムがあり先住民文化が観光のメインです。住んでいる先住民はトリンギット族 Tlingit・ハイダ族 Haidaです。彼らはおよそ2万年前にユーラシア大陸からアメリカ大陸に移住しており、アジア人の雰囲気を残しています。民族衣装もどことなくアイヌ族と共通点があります。現在はアイヌ族との交流もあるそうです。

  • 祭りでは派手なマントを身につけて踊ります。今回訪れたのは9月で既に祭りの時期は終えていましたが、6-7月の夏至あたりには今でも先住民の祭りを見る事ができます。もしクルーズ船のオプショナルツアーで訪れるならケチカンで先住民の踊りを見たり話を聞いたりできるはずです。

    祭りでは派手なマントを身につけて踊ります。今回訪れたのは9月で既に祭りの時期は終えていましたが、6-7月の夏至あたりには今でも先住民の祭りを見る事ができます。もしクルーズ船のオプショナルツアーで訪れるならケチカンで先住民の踊りを見たり話を聞いたりできるはずです。

  • ハイダ族のトーテムポール。ハイダ・グアイ島では1880年頃に白人から持ち込まれた疫病インフルエンザが流行り、先住民は壊滅的な被害を受けました。これらトーテムポールは廃墟となった村にて後で発掘されたオリジナルで、現存最古のトーテムポールのひとつです。1900年頃を境に以前の物は色が付いておらず、その後に製作されたものは色鮮やかです。染料を白人が持ち込んだおかげで、その後先住民アートが盛んになるとは皮肉です。

    ハイダ族のトーテムポール。ハイダ・グアイ島では1880年頃に白人から持ち込まれた疫病インフルエンザが流行り、先住民は壊滅的な被害を受けました。これらトーテムポールは廃墟となった村にて後で発掘されたオリジナルで、現存最古のトーテムポールのひとつです。1900年頃を境に以前の物は色が付いておらず、その後に製作されたものは色鮮やかです。染料を白人が持ち込んだおかげで、その後先住民アートが盛んになるとは皮肉です。

    トーテム・ヘリテージ・センター 博物館・美術館・ギャラリー

  • ケチカンはアラスカのクルーズ船の観光客が必ず立ち寄る街で、先住民の工芸品を売る店が並んでいます。有名芸術家が実演で木彫りしている店もあります。今まで先住民に全く興味が無かった人でもケチカンに来ればつい買ってしまうでしょう。

    ケチカンはアラスカのクルーズ船の観光客が必ず立ち寄る街で、先住民の工芸品を売る店が並んでいます。有名芸術家が実演で木彫りしている店もあります。今まで先住民に全く興味が無かった人でもケチカンに来ればつい買ってしまうでしょう。

  • ジュノー Juneauに到着。私は飛行機移動ですが、ここもクルーズ船で必ず立ち寄る街です。この街にも2つ先住民のミュージアムがあります。

    ジュノー Juneauに到着。私は飛行機移動ですが、ここもクルーズ船で必ず立ち寄る街です。この街にも2つ先住民のミュージアムがあります。

  • ここはアラスカ州立ミュージアムです。アラスカ各地の民芸品が集められています。マンガみたいなポップな感じの先住民アート。

    ここはアラスカ州立ミュージアムです。アラスカ各地の民芸品が集められています。マンガみたいなポップな感じの先住民アート。

    アラスカ州立博物館 博物館・美術館・ギャラリー

  • かつて先住民は北極海をカヌーで往来していました。カヌーも地域によって特徴があり、それが紹介されています。

    かつて先住民は北極海をカヌーで往来していました。カヌーも地域によって特徴があり、それが紹介されています。

  • アラスカ州西部のイヌイットの衣服です。他のミュージアムと重複も多いですが、目立った特徴を紹介します。

    アラスカ州西部のイヌイットの衣服です。他のミュージアムと重複も多いですが、目立った特徴を紹介します。

  • これは1883年に白人のアメリカ大統領アブラハム・リンカーンがモデルとなった木彫り。リンカーンは1863年に奴隷解放宣言しましたが、先住民にも恩恵はあったのでしょうか。

    これは1883年に白人のアメリカ大統領アブラハム・リンカーンがモデルとなった木彫り。リンカーンは1863年に奴隷解放宣言しましたが、先住民にも恩恵はあったのでしょうか。

  • 4番目の旅行の目的地、カナダの内陸部ユーコン準州を経由してイヌイットの居住地の北極海を目指します。ユーコンでは主に2種類の言葉が話されており更に部族ごとに方言があります。カナダ先住民も元来の文字は持たず(今ではアルファベットを元にした文字があります)、ストーリーという口頭で先祖代々受け継がれています。

    4番目の旅行の目的地、カナダの内陸部ユーコン準州を経由してイヌイットの居住地の北極海を目指します。ユーコンでは主に2種類の言葉が話されており更に部族ごとに方言があります。カナダ先住民も元来の文字は持たず(今ではアルファベットを元にした文字があります)、ストーリーという口頭で先祖代々受け継がれています。

  • 最初の町はカークロス Carcross。ここは内陸に50kmほどの位置で、まだ沿岸部のトーテムポール文化が見られます。右はクランハウスで一族が住む家です(これは最近建てられたレプリカですが)。各家には創造の生命の顔が描かれています。この先は内陸部となり、文化は大きく異なってきます。

    最初の町はカークロス Carcross。ここは内陸に50kmほどの位置で、まだ沿岸部のトーテムポール文化が見られます。右はクランハウスで一族が住む家です(これは最近建てられたレプリカですが)。各家には創造の生命の顔が描かれています。この先は内陸部となり、文化は大きく異なってきます。

  • ホワイトホース Whitehorseに到着、オーロラ観光で有名な町です。ユーコン準州には人口数百人程度の小さな村にも大体先住民のミュージアムがあります。文化保存には力を入れています。しかしオープンしている時間が短く(夏の間のみ週5日など)、オープン時間に合わせて旅の予定を組まないと難しいです。ホワイトホースには週末の滞在だったので、クローズされて見れません。<br />https://yfnct.ca/cultural-centres

    ホワイトホース Whitehorseに到着、オーロラ観光で有名な町です。ユーコン準州には人口数百人程度の小さな村にも大体先住民のミュージアムがあります。文化保存には力を入れています。しかしオープンしている時間が短く(夏の間のみ週5日など)、オープン時間に合わせて旅の予定を組まないと難しいです。ホワイトホースには週末の滞在だったので、クローズされて見れません。
    https://yfnct.ca/cultural-centres

  • ここは別のミュージアムですが、先住民の展示も一部にあります。これらはイヌイットの仲間達。イヌイットの自然の掟では、自然を守ることで自然が守ってくれると考えられています。

    ここは別のミュージアムですが、先住民の展示も一部にあります。これらはイヌイットの仲間達。イヌイットの自然の掟では、自然を守ることで自然が守ってくれると考えられています。

    マクブライド博物館 博物館・美術館・ギャラリー

  • イヌイットは冬にこんな毛皮(左からアザラシ、熊、熊、ミンク、ビーバー、バッファロー、マスクラット)を着ていました。

    イヌイットは冬にこんな毛皮(左からアザラシ、熊、熊、ミンク、ビーバー、バッファロー、マスクラット)を着ていました。

  • へインズジャンクション Haines Junctionのミュージアム Da Kų Cultural Centreです。9月ですが遠くに僅かに雪山が見えます。手前には先住民の家が、高い所にありアイヌ族の子熊小屋に似ています。クマ対策でしょう。

    へインズジャンクション Haines Junctionのミュージアム Da Kų Cultural Centreです。9月ですが遠くに僅かに雪山が見えます。手前には先住民の家が、高い所にありアイヌ族の子熊小屋に似ています。クマ対策でしょう。

    観光案内所 (クルアニ国立公園) 散歩・街歩き

  • 中では先住民のストーリーの説明があります。カラスは太陽・月・星がもたらし空を支配しています。山の天候の急変もカラスの悪戯だとか。黒い体のカラスは夜の象徴なのでしょう。この辺りは緯度が高く、冬は1日の大部分が夜です。

    中では先住民のストーリーの説明があります。カラスは太陽・月・星がもたらし空を支配しています。山の天候の急変もカラスの悪戯だとか。黒い体のカラスは夜の象徴なのでしょう。この辺りは緯度が高く、冬は1日の大部分が夜です。

  • 祭りの時にはドラムを叩きます。これはシベリアで見たエヴェンキ族の祭りにそっくりです。

    祭りの時にはドラムを叩きます。これはシベリアで見たエヴェンキ族の祭りにそっくりです。

  • 毛皮のコートと、遠くにはユーコン先住民アートが。この絵は花を現しています。19世紀後半に伝わったフランスの文化と混じったと作家は言っています。細い線で描く絵はシベリアのサハ族にもあり、世界各国と繋がりがあります。サハ族のシャーマン文化も形は違いますが、カナダでも見られます。

    毛皮のコートと、遠くにはユーコン先住民アートが。この絵は花を現しています。19世紀後半に伝わったフランスの文化と混じったと作家は言っています。細い線で描く絵はシベリアのサハ族にもあり、世界各国と繋がりがあります。サハ族のシャーマン文化も形は違いますが、カナダでも見られます。

  • ドーソンシティ Dawson Cityでもミュージアムはクローズ中。代わりの土産物屋です。右側はイヌイットのソープストーン。極北地方で作られる彼らの工芸品は世界で人気です。左側はマンモスの牙、これを使った工芸品もあります。マンモスの牙もシベリアでも特産です。

    ドーソンシティ Dawson Cityでもミュージアムはクローズ中。代わりの土産物屋です。右側はイヌイットのソープストーン。極北地方で作られる彼らの工芸品は世界で人気です。左側はマンモスの牙、これを使った工芸品もあります。マンモスの牙もシベリアでも特産です。

    ドーソン・シティ エンターテイメント

  • 他にもブーツも有名な工芸品です。右には伝統のスノーシュー、これらは冬の必需品です。下にはマンモスの牙が売っており、12.2ポンドの大きな塊がCAD$732です。象牙と違ってマンモスの牙は合法品です。

    他にもブーツも有名な工芸品です。右には伝統のスノーシュー、これらは冬の必需品です。下にはマンモスの牙が売っており、12.2ポンドの大きな塊がCAD$732です。象牙と違ってマンモスの牙は合法品です。

  • 北極圏を超えてイヌビック Inuvikに到着です。イヌビックまで来る観光客は僅かでしょう。ドーソンシティからイヌビックまでデンプスターハイウェイのダート道を750km走行、アドベンチャー・ドライブです。デンプスターハイウェイの詳細はページ一番下のリンクから。

    北極圏を超えてイヌビック Inuvikに到着です。イヌビックまで来る観光客は僅かでしょう。ドーソンシティからイヌビックまでデンプスターハイウェイのダート道を750km走行、アドベンチャー・ドライブです。デンプスターハイウェイの詳細はページ一番下のリンクから。

    イヌイビック マイク ズブコ空港 (YEV) 空港

  • これはイヌクシュク Inukshukというイヌイットの道標。2010年バンクーバーオリンピックで有名となりましたが、出自は北極圏です。

    これはイヌクシュク Inukshukというイヌイットの道標。2010年バンクーバーオリンピックで有名となりましたが、出自は北極圏です。

  • これはイヌイットの伝統的な夏の住居イグルー?カナダ極北の地イヌビックでも、今ではほぼ100%現代的な家が建っています。古い伝統的な家は残っていません。

    これはイヌイットの伝統的な夏の住居イグルー?カナダ極北の地イヌビックでも、今ではほぼ100%現代的な家が建っています。古い伝統的な家は残っていません。

  • イヌビックの小さなショッピンセンターには、地元民の写真が飾られています。イヌビック人口の大部分が先住民です。

    イヌビックの小さなショッピンセンターには、地元民の写真が飾られています。イヌビック人口の大部分が先住民です。

  • イヌビックのミュージアムでは、どの様にして北極圏で先住民が冬を生き延びたかの説明があります。

    イヌビックのミュージアムでは、どの様にして北極圏で先住民が冬を生き延びたかの説明があります。

  • イヌビック唯一の土産物屋にて。彼らの工芸品は刺繍で、特にブーツ(左の女の子が履く)が可愛くておすすめです。民族衣装を着た人は一度も見かけませんが、このブーツを履いた女性は街で見る事があります。

    イヌビック唯一の土産物屋にて。彼らの工芸品は刺繍で、特にブーツ(左の女の子が履く)が可愛くておすすめです。民族衣装を着た人は一度も見かけませんが、このブーツを履いた女性は街で見る事があります。

  • そしてカナダ先住民の文化を辿る旅のゴールは、北極海に面するトゥクトヤクトゥク Tuktoyaktukの村です。2017年に北極海まで開通した陸路で行けるカナダ最北地点です。冬には極寒のツンドラの大地は、人が住むにはあまりにも過酷です。こんな辺境地にも先住民は暮らしています。

    そしてカナダ先住民の文化を辿る旅のゴールは、北極海に面するトゥクトヤクトゥク Tuktoyaktukの村です。2017年に北極海まで開通した陸路で行けるカナダ最北地点です。冬には極寒のツンドラの大地は、人が住むにはあまりにも過酷です。こんな辺境地にも先住民は暮らしています。

    ツクトヤック空港 (YUB) 空港

  • トゥクトヤクトゥクにも民家の様な小さなミュージアムがあり、先住民の生活を展示しています。彼らにとって北極海にいる鯨やベルーガが伝統食でこの様に燻製にします。この村では輸送費のため一般的な食糧は驚くほど高価です。その為に地元で採れたジビエを食べるのでしょう。これは燻製にしている様子のレプリカ。

    トゥクトヤクトゥクにも民家の様な小さなミュージアムがあり、先住民の生活を展示しています。彼らにとって北極海にいる鯨やベルーガが伝統食でこの様に燻製にします。この村では輸送費のため一般的な食糧は驚くほど高価です。その為に地元で採れたジビエを食べるのでしょう。これは燻製にしている様子のレプリカ。

  • 左側には地下の空間があり永久凍土を利用した天然の冷蔵庫です。右側は魚を燻製にする小屋が見られます。この小屋はかつては住居として使われました。

    左側には地下の空間があり永久凍土を利用した天然の冷蔵庫です。右側は魚を燻製にする小屋が見られます。この小屋はかつては住居として使われました。

  • トゥクトヤクトゥクで唯一のレストランがグランマズキッチン。ここでイヌイットのジビエ料理ムクトゥク Muktukを食べます。右からベルーガの皮・鯨の燻製・他の魚の燻製です。地元で消費する分のみ鯨の捕獲が許可されて、ここでしか食べられません。極北での貴重な体験です。カナダ先住民のレストランは殆ど存在せず、先住民の食文化に初めて触れます。

    トゥクトヤクトゥクで唯一のレストランがグランマズキッチン。ここでイヌイットのジビエ料理ムクトゥク Muktukを食べます。右からベルーガの皮・鯨の燻製・他の魚の燻製です。地元で消費する分のみ鯨の捕獲が許可されて、ここでしか食べられません。極北での貴重な体験です。カナダ先住民のレストランは殆ど存在せず、先住民の食文化に初めて触れます。

  • イヌイットの工芸品ソープストーン。グランマズキッチンでは、この日はグランマではなく日本人にそっくりな若い娘さんが店をやっており、色々質問してみます。殆どのハンティングは法律で禁止、かつて現金収入源だったアザラシの毛皮も輸出できなくなりました。この村で伝統的な生活はできず、また現代的な現金を稼ぐ仕事も少ないそうです。やはり辺境地の生活は大変そうです。<br /><br />カナダのバンクーバーから北極海トゥクトヤクトゥクまで縦断しました(実際は逆の行程ですが)。カナダ北部には現在も沢山の先住民ファーストネーションズ・イヌイットが生活していますが、彼らの暮らしぶりは普通の人と同じです。先住民の文化は日常生活には見られずミュージアムに展示してある工芸品とビデオでしか確認できません。先住民の生きた文化を見るには、6-7月の夏至あたりのフェスティバルに予定を合わせるか、ケチカンにてクルーズ船のオプショナルツアーに参加するのが良いかと思います。

    イヌイットの工芸品ソープストーン。グランマズキッチンでは、この日はグランマではなく日本人にそっくりな若い娘さんが店をやっており、色々質問してみます。殆どのハンティングは法律で禁止、かつて現金収入源だったアザラシの毛皮も輸出できなくなりました。この村で伝統的な生活はできず、また現代的な現金を稼ぐ仕事も少ないそうです。やはり辺境地の生活は大変そうです。

    カナダのバンクーバーから北極海トゥクトヤクトゥクまで縦断しました(実際は逆の行程ですが)。カナダ北部には現在も沢山の先住民ファーストネーションズ・イヌイットが生活していますが、彼らの暮らしぶりは普通の人と同じです。先住民の文化は日常生活には見られずミュージアムに展示してある工芸品とビデオでしか確認できません。先住民の生きた文化を見るには、6-7月の夏至あたりのフェスティバルに予定を合わせるか、ケチカンにてクルーズ船のオプショナルツアーに参加するのが良いかと思います。

  • 最後にカナダ先住民と日本のアイヌ民族を比較してみます(写真は阿寒湖アイヌコタン)。私は専門家ではないですが、両方の地を旅した感想です。民族のルーツは共にユーラシア大陸で寒い地域に住んでいるので、多少の共通性はあります。例えばカヌーやトーテムポールは共通しています。自然を崇める事で自分達にも恩恵があると信じる事も同じです。<br /><br />しかし違いも多いです。まず信仰する動物は違います、カナダではカラス(レイブン)やサンダーバードで、アイヌ族は熊やフクロウです。またアイヌの彫刻の対象は動物ではなく主に紋様です。祭りの形式もカナダのポトラッチとアイヌの熊送りの目的は大きく違います。<br /><br />総合するとあまり共通点はありませんが、残念ながら先住民が多く住む地域の観光スポットに行かないと、もはや彼らの文化は見られない事は同じです。近くまで来られたら是非ミュージアム等を見られる事をお勧めします。<br /><br />道東のドライブ旅2 失われたアイヌ文化を求めて <br />https://4travel.jp/travelogue/11390160

    最後にカナダ先住民と日本のアイヌ民族を比較してみます(写真は阿寒湖アイヌコタン)。私は専門家ではないですが、両方の地を旅した感想です。民族のルーツは共にユーラシア大陸で寒い地域に住んでいるので、多少の共通性はあります。例えばカヌーやトーテムポールは共通しています。自然を崇める事で自分達にも恩恵があると信じる事も同じです。

    しかし違いも多いです。まず信仰する動物は違います、カナダではカラス(レイブン)やサンダーバードで、アイヌ族は熊やフクロウです。またアイヌの彫刻の対象は動物ではなく主に紋様です。祭りの形式もカナダのポトラッチとアイヌの熊送りの目的は大きく違います。

    総合するとあまり共通点はありませんが、残念ながら先住民が多く住む地域の観光スポットに行かないと、もはや彼らの文化は見られない事は同じです。近くまで来られたら是非ミュージアム等を見られる事をお勧めします。

    道東のドライブ旅2 失われたアイヌ文化を求めて
    https://4travel.jp/travelogue/11390160

37いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

この旅行で行ったスポット

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

カナダで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
カナダ最安 465円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

カナダの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

タグから海外旅行記(ブログ)を探す

この旅行記の地図

拡大する

PAGE TOP