2019/03/12 - 2019/03/13
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ノーーウォリーズさん
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冬のシベリア旅の旅行記8から、極東ロシアを陸路で縦断してヤクーツク Yakutskからウラジオストク Vladivostokを目指します。旅行ガイドにはヤクーツクへは飛行機でしか行けないという事が書かれていますが、それは正確ではなく道路がネリュングリ Neryungriを経由して外と繋がっています。陸路では行けないと書かれているのは訳があります。ヤクーツク Yakutskへ通じるレナハイウェイ(A360道路)は、ロシア連邦の主要道路のひとつです。ただの普通の道ではなく多くの伝説がある酷道で、世界で最も危険なハイウェイの一つに挙げられています。危険である理由は主に3つあり、詳しくは本編で説明します。
そして中継地ネリュングリでは、ロシア極東地域の少数民族エヴェンキ族の祭りが待っています。エヴェンキ族はここサハ共和国だけでなく、中国・モンゴルにも住むアジア系の狩猟民族です。狩猟とともに発達してきた彼らの文化を垣間見る貴重な機会に恵まれました。
- 旅行の満足度
- 4.5
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これが旅の後半の陸路で極東ロシアの縦断ルート。ヤクーツクからウラジオストクまで約3122kmを4泊5日の陸路の旅です。この旅行記ではサハ共和国のヤクーツク Yakutskから中継地ネリュングリ Neryungriまでシェアタクシーで行きます。この区間の距離は約800kmで、最初に凍結したレナ川のアイスロードを渡り、伝説の悪路レナハイウェイ(A360道路)を走破します。なお、飛行機なら3時間ほどでウラジオストクまで安全に移動できます。
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ヤクーツクからネリュングリまでのシェアタクシー、トヨタ・イプサムです。こんな普通の車で伝説の悪路を走れるのでしょうか。タクシーはヤクーツク観光局のNick氏に手配をお願いしました。左のNick氏ともこれでお別れ。とてもお世話になり無事ヤクーツクを満喫することができました。シェアタクシーは午前9時以降に来るというので、朝からホテルでずっと待っていましたが、実際に現れたのは12時前。予定からかなり遅れましたが、助手席のリクエストは聞いて貰えました。
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シェアタクシーは他の乗客を拾う為に、市内を何周もします。やっと出発になったのが午後2時前。ネリュングリまで所要時間は8時間から15時間とかなり幅があります。トラブル対応を含めた所要時間なんでしょうが、一体いつ着くのか見当もつきません。ようやくヤクーツクの町を出ると車はレナ川上を走り始めます。
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ここはレナ川上を走るアイスロードです。レナ川にかかる橋はないので、冬季限定で氷上が公式の道となります。片側2車線でトラックも通行可能な立派な道です。夏の間はカーフェリーを利用します。
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スケートリングの様に滑りやすい表面のアイスロード。スタッドレスタイヤを履いていれば氷上を走行できますが、お尻を揺らせた車もあったので、運転は慎重にしなければいけません。しかしドライバーは余裕なもので、携帯で話しながら片手運転です。
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アイスロードはレナ川を斜めに横切り20km程続いて陸に上がります。無事レナ川を越えました。冬の終わりには氷が割れてトラックが川に沈む事故が毎年発生する様です。しかしこれが世界一危険な道路の理由ではありません。
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レナ川を越えると川沿いに南に進み、しばらくは状態の良い舗装道路が続きます。
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1時間後には周りの集落はなくなり携帯も圏外で辺境地に突入です。ご覧の様な未舗装のオフロードが現れます。レナハイウェイ(A360道路)は、ロシアの中でも悪名高い危険な酷道で、それには3つの理由があります。1番目の理由は冬のその寒さ。前回までの旅行記で説明しましたが、この辺りのサハ共和国は世界で最も寒い場所と言われており、真冬にはマイナス50度を下回る事もあります。そんな厳寒の辺境地でもし車が故障して動かなくなったら、、想像もしたくないですね。
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それなら夏に来れば良いと思うでしょうが、夏には深刻な問題あります。2番目の理由は夏の路面状態の悪さ。永久凍土は溶けると底なし沼となります。レナハイウェイ(A360道路)は夏の雨上がりは泥の海となり、どんなタフな4WDでもスタックして泥に埋もれてしまう恐怖の道路でした。この写真は2006年撮影で、http://www.ssqq.com から引用させてもらいます。泥に埋まったジープやひっくり返ったトラック、それでも笑顔の人々は伝説となっています。
Copyright: http://www.ssqq.com/archive/vinlin27c.htm -
上記のスタックした写真と似ている現場。夏の間はこういった道の谷間に水がたまり泥だらけになるのでしょうか。しかし、冬の間はこの泥はすべて凍って固まってしまうので、夏の酷い状況を想像するのは困難です。実は冬の方が車は走りやすいのです。所要時間は8時間から15時間とかなり幅があるのは、季節によるということでしょう。当然冬は夏より早いです。他のランクインした世界の危険な道路と違い、ここは崖から転落の危険はありませんが、極寒の気温と路面の悪さが理由でランクインした様です。
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途中休憩したウル Uluという村。人口は100人程度でしょうか。アラスカで有名なウルナイフと関連があるかは分かりません。
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そして3番目の理由は、GULAGという悲惨な歴史によって道路が建設された過去があるからです。1930年代のスターリン時代から戦後まで、強制収容された人々がシベリアや極東ロシアに送られ、道路建設に従事しました。特にA360道路から先のオホーツク海まで続くR504道路は通称「Road of Bones」と呼ばれ、過酷な環境で作業中に亡くなった何万という人々がそのまま道路脇に放置されたため、人骨が多く見つかるそうです。正に呪われた道なのです。
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最悪の道路を改善すべく、2010年以降に舗装工事が進んでいる様です(2019年現在、まだ半分は未舗装のオフロードですが)。世界一危険な酷道ハイウェイの悪名も過去の伝説となりつつあります。要は夏と冬を避ければ、危険はかなり回避できます。3月はベストシーズンです。幸いこの日は最低気温マイナス20度位で、昼間はマイナス10度位です。道は固く凍り除雪もされています。
ロシアの北極圏で今も残る悪路:
https://gentlemanadventurer.travellerspoint.com/201/ -
しかし上に挙げた3つの理由より、実際は別のもっと差し迫った危険を感じます。それは危険運転。ドライバーは凍った道を時速100Km以上で飛ばし、トラックを狭い隙間から追い越します。左側の助手席に座った私(この車は右ハンドルで右側通行)は生きた気がしません。
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並走する鉄道の線路です。ヤクーツクの手前まで線路は延びていますが、この区間は2019年3月時点で旅客用の鉄道は走っていません。レナ川に橋を造りヤクーツクまで鉄道を走らせる計画もあとわずかなのですが、なかなか完成しません。もし将来ヤクーツクまで鉄道が開通すれば、危険な道路は通らなくても済みます。
[追記]2019年7月からヤクーツクの川向うの町ニージニー・ビスチャフまで、旅客鉄道が開通した様です。しかし同じ区間の所要時間は20時間もかかります。
https://www.j-cast.com/2019/09/23368107.html -
道路脇の景色はずっと変わらず、タイガの森が続いています。厳しい冬の寒さを感じられます。
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厳寒のサハ共和国を訪れるのは私だけではなく、他にもハードコアな日本人が真冬に訪れ伝説化されています。
- 世界で最も寒い村オイミャコンへ自転車で目指し保護された日本人:https://jp.sputniknews.com/japan/201802234608591/
- オイミャコンで極寒の川に浸かった日本人:https://www.dailymail.co.uk/news/article-5303629/Japanese-tourist-braves-river-coldest-village-earth.html -
日が傾いてきます。こういった厳寒地の凍った道は、私のお気に入りのテレビ番組Ice Road Truckersの場面にそっくりです。これを観ていつか冬のアイスロードを体験したみたいと思っていました(自らの運転ではないですが)。この様な厳寒地の未舗装のアイスロードを公共交通で体験できる場所は、世界でも数少ないのではないでしょうか。
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反対側からドライバーの友達の車がガソリンを持ってやってきて道端で給油をしています。ガソリンが尽きたのでしょうか?ここまで走行距離は500kmもなく、途中給油は必要ないはずですが。うっかり給油を忘れていた?ちなみに私とドライバーは一切の意思疎通ができません。何か話かけられたのですが、理解できずにアプリで翻訳したら「こんにちは」でした。「ズトラーストビーチェ」は知っていたのですが。。また、車内では新たなロシア語「ハラショー」を覚えました。繰り返しドライバーが使っていたので。今までロシアでは周りの誰かが英語を話せて助けてもらえたのですが、これから向かう先は観光客が行く場所でもなくそれは期待できません。
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トンモト Tummotという大きめの町が見えてきました。しかし本日の目的地のネリュングリから350Kmも離れており、まだ60%位しか進んでいません。これでは到着は深夜過ぎになりそうです。
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町の入口の検問でトラブル発生、ドライバーとその友達が警察に連行されてしまいます。トラブルはまるでIce Road Truckersの一場面を見ているかの様です。(この番組ではアラスカやカナダの厳寒地を走るトラッカーが次々とトラブルにぶつかります・または引き起こします)
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検問では結局30分ほど足止めされて、トンモトのレストランで食事休憩です。メニューはアラカルトの普通のロシア料理。
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トンモトから先は完全に夜となりましたが、真っ暗の凍った道を時速100Kmで飛ばします。夏の道路状況を想像するのは困難ですが、冬の凍結した路面であれば、ほぼ全区間で時速100kmで走行できます。
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深夜12時過ぎ、ようやく本日の目的地のネリュングリに到着。暗くてよく見えませんが、乗客たちが降りていく建物はかなり古くて、ソビエト時代から変わっていないロシアの田舎の雰囲気です。私も何とか予約したホテルが見つかり、そこで降ろしてもらいチェックインします。
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翌朝のネリュングリ。ここはサハ共和国第2の都市で、人口は約70000人。殺風景な団地が並ぶソビエトの雰囲気が残る町です。町の郊外に大きな炭鉱があり、町の大部分の人は炭鉱に関わる仕事をしています。
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町で見かけたモンスタートラック。ネリュングリは普通の観光客が来る所ではないですが、ハンティングツアーはここを起点としている様です。こんなタフなトラックでどこに向かうのでしょうか。
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ネリュングリでの唯一の観光スポットMuseum of History of Development of South Yakutia。右側が入口でドアは閉まっていますが開館中です。ここでは、近くに住む動物、考古学的な発見、珍しい鉱石、BAM鉄道など南部サハ共和国に関係する展示があります。各階にガイドが待機していてロシア語で丁寧に説明されますが、私には一言も分かりません。写真撮影の料金を払っていなかったので、写真はありません。
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この隣では、本日のメインイベント・少数民族エヴェンキ族のイベントが開催されます。イベント詳細はこちら Instagram: teatr.neryungri
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民族衣装を着た子供たちが集まってきます。
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建物の中では、工芸品の展示も。エヴェンキ族は狩猟民族なので、毛皮でできているものが多いです。
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かわいい人形が並んでいます。これらは観光客向けに用意されたものではありません。恐らく他に外国人はいません。主に地元民向けのイベントです。
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ショーが始まります。まず最初に鶴に扮した女性によるダンス。
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そしてドラマが演じられます。子供が誕生した事を祝っています。鶴は生命のシンボルなのでしょうか。
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地元の白人グループによるコーラス。
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かわいい子供たちも歌っています。
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地元の高校生によるファッションショー。毛皮を使った伝統的な服装から、
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ドレスの様な現代的な服装までミックスされています。こんなファッションは他ではなかなか見られません。
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女性による迫力のボーカルと怒涛の衣装。
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世界の北極圏で良く見られるドラムを使ったダンス。
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エヴェンキ戦士による少しのドラマ。
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沢山の地元の学生がステージに立って踊り始めます。
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決めのポーズ。
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最後はエヴェンキ族の旗を振って皆で踊ります。地元の学生中心の2時間ほどのイベントでしたが、なかなか見応えがあります。
前日に悪路のレナハイウェイを無事走破した後のリラックスした1日でした。観光地でもないネリュングリで、少数民族エヴェンキ族の珍しい貴重なイベントが見られるとはラッキーでした。次回は、陸路で極東ロシア縦断の旅のフィナーレとして、念願のシベリア鉄道に乗り3泊4日でネリュングリから旅の終点ウラジオストクまで移動します。
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この旅行記へのコメント (2)
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- まみさん 2019/10/01 12:21:05
- すぱらしいイベントですね!
- こんにちは。またおじゃましにきました。エヴィンキ族に関心があったからです。
私が思っていたような、面長でつり目タイプの顔は見当たらなかったですが、混血進んでいますものね。
ほんとになかなか見られないファッションショーに、可愛い民俗衣装の子供たちやすばらしい民俗衣装の人々。
夏の安全な(?)サハの博物館や美術館で見たシーンがもっと具体的に見られた気がして、とても興味深かったです。
- ノーーウォリーズさん からの返信 2019/10/01 22:25:58
- RE: すぱらしいイベントですね!
- 今回のエヴィンキ族のイベントは現代的にアレンジされたもので、博物館で見る昔の写真の雰囲気とは全く違うものですが、文化が変わりながらも現在まで残っていることを確認できたことは有意義でした。それも観光客向けのショーではなく、自分たちの文化の伝承の為に開催されています。世界でも数万人しかいない少数民族が、文化を維持しているのは素晴らしい事ですね。
エヴィンキ族の人々は、まみさんのおっしゃる顔つきの人から日本人みたいな人、白人とのミックスまで様々で、皆がこうとは言えませんね。
「サハの博物館や美術館で見たシーン」も気になります。私は1日しかヤクーツク市内に居なかったので、見逃したものも沢山ありそうです。まみさんの旅行記も後ほどじっくり拝見させていただきます。
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