2019/09/08 - 2019/09/10
5位(同エリア34件中)
ノーーウォリーズさん
- ノーーウォリーズさんTOP
- 旅行記202冊
- クチコミ16件
- Q&A回答114件
- 393,176アクセス
- フォロワー68人
9月上旬の約2週間、カナダのユーコン準州・アラスカ州東南部・カナディアンロッキーを旅してきました。この4番目の旅行記では、カナダのホワイトホースを出発して、アメリカへ入国後アラスカ南東部へ向かいます。インサイドパッセージと呼ばれるフィヨルド地帯を海と空から眺め、スカッグウェイ・ジュノー・ケチガンの3つの町を観光します。ジュノーではメンデンホール氷河のすぐ近くまでトレッキングします。
アラスカ南東部を訪れる観光客の殆どがクルーズ船で来るのですが、私は個人旅行で公共フェリーとフライトで廻ってみます。個人旅行とクルーズ旅行の違いが比較できると思います。またアラスカ南東部は天気が悪く10日に1日しか晴れないと言われていますが、幸運な事に天気に恵まれ3日間雨は降らずすっきり晴れます。北極海からアラスカ湾まで陸路でのカナダ北部縦断を達成して、沢山の氷河と澄んだフィヨルドの美しい絶景を海と空から満喫します。
- 旅行の満足度
- 4.0
PR
-
9/8早朝、ホワイトホース Whitehorseを出発です。ここはホワイトホース鉄道駅跡で、かつてゴールドラッシュ時にアラスカ湾から鉄道が建設されました。この鉄道 White Pass & Yukon Route (WPYR)はすっと前に廃線となりましたが、観光用の鉄道として一部区間が復活した経緯があります。残念ながらホワイトホースまでは走っていません。
ホワイトホース観光案内所 散歩・街歩き
-
ホワイトホースからスカッグウェイまで鉄道が走っていた区間をバスで移動します。大自然に囲まれた道のり、黄色の紅葉が見えます。
-
途中のカークロス Carcrossの駅で町の人口500人、夏のピーク時にはカークロスからスカッグウェイまで観光用の鉄道が走っています。
-
カークロスは湖畔の美しい場所です。天気は雲ひとつない快晴です。
-
カークロスは観光地の雰囲気ですが、今でもトリンギット族と呼ばれる先住民は多く住んでいます。トーテムポールが現れて内陸部から沿岸部への文化圏に変わった事を実感します。
-
道路からは幾つもの湖が見られて、引き続き素晴らしい光景が続きます。この近くの町ベネット Benetteは、第45代アメリカ大統領ドナルド・トランプの祖父が1890年代のゴールドラッシュ時にホテル・酒場を経営して、今のトランプ一家の財産の基礎を築いた場所です。
-
カナダ側の国境フレイザー Fraserが見えてきます。家が数件あるだけの集落ですが、この時間に鉄道が来ています。バスの乗客は殆どがフレイザーから鉄道に乗り換えます。
-
駅でWPYR鉄道が待っていました。こんな誰もいない集落で乗客はいるのかと思っていましたが、かなりの盛況ぶりです。どうも朝にスカッグウェイからフレイザーまで鉄道で往復するクルーズ船のツアー客が多いようです。
-
私はこのままバスでスカッグウェイへ向かいます。フレイザーの先にはカナダのイミグレーションの建物が。カナダ出国する場合はここは素通りです。後ろから振り返って撮影。
-
ここがアメリカ・カナダ国境ホワイトパス White Pass。冬は雪崩の危険性のため、度々道路はクローズされる様です。このバス・鉄道もあと1週間後の9月15日前後から運休となります。冬に公共交通はありません。
-
アメリカ側に入ると険しい峠の景色に変わります。 雪崩の危険性も納得です。1900年の鉄道(道路)開通前は、ホワイトパスは道なき道を歩いて越える難所として有名でした。
クロンダイク ゴールドラッシュ国立歴史公園 国立公園
-
道路は手前の谷の西側、鉄道は東側を走ります。山に切れ込む線が線路です。鉄道は斜度が低いルートを回り道をしながらゆっくりと下ります。道路は峠の頂上から直線で一気に800mの勾配を下ります。またアラスカ に入ると紅葉は見られなくなります。
-
アメリカ側の国境。バスの運転手によると、ここの入国審査は結構厳しく、1時間かかる事があるそうです。私はこの旅3回目のアメリカ入国なのでスムーズに通過します。カナダ人の運転手もパスポートが必要で、国境を越えると同じ英語でもアクセントや挨拶の言い方も随分違うそうです。
-
スカッグウェイ SkagwayのWPYRの駅。スカッグウェイでの観光の一番人気はこの鉄道ツアーなのです。今回バスを選んだのは、スカッグウェイでのフェリーとの接続時間が短かった為で、時間があれば鉄道の方がのんびり旅を楽しみたかったです。予定時刻より早く到着して、スカッグウェイで3時間程の滞在時間ができます。
ホワイトパス&ユーコンルート 散歩・街歩き
-
100年前はWPYRにこんな蒸気機関車が走っていました。今でも期間限定でレプリカが走っている様です。当時の蒸気機関車は駅前に飾られています。駅前と言っても本当に小さな駅です。
-
これがスカッグウェイのメインストリート。100年前の街並が修復されながらも当時の面影を残しています。ここはアラスカのインサイドパッセージのクルーズ船の主な寄港地。観光客の少ないカナダ側のホワイトホース・ドーソンシティとは大きく違い、観光地の雰囲気が強いです。
スキャグウェイ観光案内所 その他の観光・遊ぶ
-
町の反対側から海側を眺めた様子。人口1000人の小さな町なので、メインストリートと言っても500mほどです。多い日にはたった1日に人口の10倍の10000人がクルーズで訪れるそうです。この日は日曜で普段よりは観光客は少ない方です。
-
その大部分の店が観光客向けの土産物屋。アラスカと書かれた定番土産を売る店、マンモスの牙の彫刻を売る店、アートを売る店、何故か宝石を売る店、と金持ちクルーズ客向けなので値段も高額です。9月になると定番土産は閉店セールでディスカウントされます。
-
これがスカッグウェイが有名観光地となった歴史。1890年代にカナダのユーコン準州でゴールドラッシュが起こり、スカッグウェイはその入口の町として急速に発展します。しかし、当時は内陸部への道はまだありません。スカッグウェイからホワイトホースへ通過するチルクートパスまたはホワイトパス越えは非常に難所で、その為に多くの悲劇が生まれました。雪山を重い荷物を背負って登る姿はその象徴です。今ではチルクートパスは有名なトレッキングコースになっています。
-
ゴールドラッシュで集まるのは、鉱山者だけではありません。彼ら向けのビジネスで、多くのマフィアもこんな辺境地に集結します。その為にスカッグウェイは当時アメリカでは最も治安が悪い場所と言われ、最後のワイルドウェストとも呼ばれています。これはその当時の酒場のレプリカ、優雅にも見えるかもしれませんが一発触発で銃弾が飛び交う悪名高い酒場でした。
-
スカッグウェイは小さな町なので、市内観光には3時間もあれば十分です。午後3時にアラスカマリンハイウェイのフェリーで町を出発します。左側の豪華クルーズ船と比べると質素で小さな船です。アラスカマリンハイウェイはこの1か月前の2019年8月に大規模のストライキがあり、本当に出発するのか不安な旅程でした。何とかストライキは解決しており無事出発です。
-
フェリーの上では沢山の若者が日光浴しています。クルーズ客とは明らかに違う年齢層で、彼らは観光客かと思いましたが地元民です。数日前にスカッグウェイでスポーツイベントがあり、その帰りだった様です。恐らくこの夏最後の暖かい天気なのでしょう。
-
スカッグウェイを後にします。遠くから見ると本当に小さな町です。町の規模と比較すると右側の2つのクルーズ船の巨大さが分ります。これで北極海からアラスカ湾までのカナダ北部横断を達成です。
-
北側のカナダへ通じる山々には大きな氷河が見えます。2日前の遊覧飛行で眺めたクルアニ国立公園に通じています。
-
フェリーの眺めは雲ひとつない快晴。雨が多いアラスカ南東部のインサイドパッセージでは、例外的な天気です。インサイドパッセージでのもう一つの懸念は天気の悪さでしたが、完全に杞憂でした。地球温暖化の影響でしょうか。
-
アラスカマリンハイウェイは南東のジュノーへ向かいます。所要7時間、途中には険しい山々のフィヨルドが見えます。フェリーはゆっくり進み景色もゆっくりと変わっていきます。
-
日暮れには夕日が綺麗に山を映します。アラスカ マリンハイウェイは簡素な食事ができるカフェテリアしかなく娯楽施設はありません。今回の様に7時間位なら問題ないですが、数日乗ると飽きそうです。また、景色の良い所に寄り道したり、野生動物を探してくれるサービスもありません。あくまで移動手段です。
-
夜10時にジュノーのアラスカマリンハイウェイの港に到着。港からダウンタウンまで14マイルも離れているのでUberでタクシーを手配。夜は港でタクシーが待っているとは限らないので、注意が必要です。昼なら最寄りのバス停まで1.5マイル歩くこともできます。
-
翌朝9/9のジュノー Juneauダウンタウンの港、この日も晴れです。クルーズ船は泊まっておらず、誰もいなく静粛な町です。アラスカ州の州都であり3番目に大きな町で人口33000人。町はジュノー氷原に囲まれて外に通じる道がない為、船か飛行機が移動手段となります。ご覧の飛行機でジュノー氷原の上を飛ぶツアーが人気です。
ジュノー観光案内所 散歩・街歩き
-
午前中はメンデンホール Mendenhall氷河の傍までトレッキングに出かけます。メンデンホール氷河は殆どの人がツアーバスを使ってビジターセンターから遠くの氷河を眺めますが、実は公共バスと歩きで氷河のすぐ傍まで行く事ができます。バス#3か4に乗りMontana Creek Rdバス停で降りて、この道を歩くこと40分。メンデンホール湖の西側に着きます。遠くに氷河が見えて、東側(右端)のNugget Fallsは多くの観光客が行く場所です。西側は殆ど人がいなく、あまり知られていない様です。
-
West Gracier Trailに沿って森の中を歩きます。110年前はここまで氷河があったそうですが、今は木に覆われておりその面影はありません。昔の氷河の先端を示す看板はあちこちにあります。
-
West Gracier Trailを歩き、途中の看板の分岐地点を右に曲がります。その先はメンテナンスしていないトレイルと書かれていますが、踏み跡は残っており道に迷う事はないです。写真は森を抜けて氷河の手前の岩場に着いたところ。この先は道標を目安に登ります。ごく一部は急勾配ですが、それ以外は問題ありません。
-
ここを登りきるとメンデンホール氷河を一望できる丘の上に到着。氷河はすぐ近く見えます。左下の看板はここは1992年の氷河の先端であった事が示されています。27年後はご覧の位置まで氷河は後退した事が分ります。その距離数百メートル、毎年10メートル以上後退していて、地球温暖化の現実をこの目で実感する事になります。
メンデンホール氷河 山・渓谷
-
更に近くまで歩きます。もう氷河はすぐそこです。ここまでバス停から片道2時間半で到着です。しかしメンデンホール氷河を近くで見ると汚れている部分も多く、それほど大きくもありません。アラスカの別の場所、例えばグレイシャーベイ国立公園(行った事はないですが)やセワードのエクジット氷河の方が遥かに凄い物が見れます。ちなみにこの写真を撮った高さ20mほどの丘は、2015年位まで氷河に覆われていました。たった5年でこれだけ後退しています。
-
氷河のすぐ近くこんなに寄れます。氷河の上を歩けそうですが、ガイドなしで歩くのは危険なのでやめましょう。メンデンホール氷河の氷河ウォーキングツアーもここから出発します。ツアーはクルーズ船の金持ち相手なので非常に割高ですが、自力で行けば氷河の手前まで往復バス代$4だけで済みます。
-
ジュノーのダウンタウンに帰ると、朝にはなかった巨大クルーズ船が4隻も停まっています。町の雰囲気が一変します。
-
朝にはいなかった観光客も町には溢れています。ジュノーで日帰りツアーに参加しないのであれば、他にはショッピングしかすることがありません。わざわざアラスカまで来てそれでは勿体ないと思いますが、多くのクルーズ客はショッピングを楽しんでいる様です。店は100店以上あり退屈はしないでしょう。
-
ライブハウス Red Dog Saloonも盛り上がっています。ゴールドラッシュ時の酒場を再現しています。
-
アラスカ州立ミュージアムミュージアムです。アラスカにも外国からの影響は見られます。他に印象に残ったのは、第二次世界大戦の日本軍のアラスカ侵攻の展示。アラスカ本土までは届かなかったものの、アメリカ側は防衛に必死だった様です。初の大陸縦断アラスカハイウェイも日本軍への防衛の為に建設された経緯があります。ここのメインであるアラスカ先住民の展示は別の旅行記で紹介します。
アラスカ州立博物館 博物館・美術館・ギャラリー
-
小さなロシア教会があります。アラスカ州はかつてロシア領で、アメリカが購入したという歴史があります。ロシア教会は数少ないロシアの名残です。アラスカ州立ミュージアムにもロシアに関する展示があります。
聖ニコラスロシア正教会 寺院・教会
-
翌朝9/10、7時にフライトでケチカンへ移動します。アラスカエアラインは定時率が高いのですが、今日は2時間ほど遅れての出発。アラスカの小さな町間の移動ですがB737の比較的大きな機体で搭乗率は20%位、東側の窓側の席に移動します。
ジュノー国際空港 (JNU) 空港
-
このフライトではアラスカのインサイドパッセージを上空から眺めます。山の頂上には万年雪が残っています。
-
フィヨルドと氷河が見えます。逆光でうまく写真が撮れず。3日前にカナダのクルアニ国立公園での遊覧飛行で世界一の氷原を眺めていたので、それに比べると小さいです。それでもインサイドパッセージを海と空の両方から眺めて満足します。
-
ケチカン Ketchikanに到着、アラスカ州で4番目の町で人口13000人。小さな町には年間100万人の観光客が訪れそのほとんどがクルーズ船の乗客です。ケチカンは漁業、先住民のトーテムポール、アメリカで最も雨の多い町のひとつ(年間約5000ミリ)として有名です。この日も幸いにして晴れです。
ケチカン観光案内所 散歩・街歩き
-
ここは町一番の観光スポットのクリークストリート Creek Street。川辺に並ぶ古い街並みです。沢山の観光客がいます。
-
クリークストリートはかつての娼館が並んでいます。今では娼館としては営業しておらず観光スポットとして残っています。有名なドリーズハウスでは右端の女性が当時と同じ様に客引きしていますが、その種の誘惑ではありません。
-
この時もケチカンには何隻のクルーズ船が停まっており、町を覆っています。アラスカ南東部の経済は、クルーズ船の観光客に完全に依存しています。この町も例外ではありません。
-
ケチカンの漁業も夏の終わりの短期間に訪れるサーモンに依存しています。クルーズ船の観光客と同じく、この時期には大量のサーモンが産卵のために集まってきます。産卵を終えて死んでしまったサーモンの臭いが漂っています。
-
ケチカンの一番の観光名所は先住民の文化を垣間見ること、これはTotem Heritage Centerのトーテムポール。トリンギット族およびハイダ族の村から運んできた貴重なオリジナルです。アラスカ・カナダ先住民の文化は別の旅行記にまとめます。
トーテム・ヘリテージ・センター 博物館・美術館・ギャラリー
-
これらクルーズ船は全て同じ時間帯に移動します。船の出発時刻を過ぎると今まで観光客で賑わってたクリークストリートは閑散となります。店は一斉に閉まり、一気にゴーストタウンに変わります。その落差には驚きです。しかし静かに過ごすにはこの時が最高です。私もこの夕方に飛行機でケチカンを去ります。シアトル経由で次の目的地カナダのカルガリーへ向かいます。3日間の短期のアラスカ インサイドパッセージ旅行でした。
アラスカ南東部インサイドパッセージの旅行手段は、クルーズ旅行と個人旅行があり比較してみます。個人旅行の利点は、費用が安い(それでもホテル代や港・空港へのタクシー代など全てが割高です)、日程が自由に組める(3日で3都市の短期周遊も可能)、そして静かに観光できる時間がある事です。クルーズ旅行の利点は、豪華さや娯楽がある、面倒な手配が要らない、船やツアーから絶景や野生動物を見やすい、でしょう。最も重要なのはプライスレスな価値、天気です。天気が良ければ、どちらを選んでも満足いく旅行ができるでしょう。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
旅行記グループ
2019 北米北西部の北極圏に近い秘境を廻る旅
-
前の旅行記
世界最大の氷原とカナダ最高峰ローガン山 (World largest icefield & Canada's...
2019/09/05~
ユーコン準州
-
次の旅行記
カナディアンロッキーで消滅危機の氷河を歩く (Icewalk on retreating Athabasca...
2019/09/11~
カナディアンロッキー
-
夏のユーコンを満喫 オーロラ・紅葉・カヌー・ゴールドラッシュ跡 (Fascinating wildness,...
2019/08/31~
ホワイトホース
-
デンプスターハイウェイを縦断してカナダ最北の北極海へ (Dempster Hwy to Canada's A...
2019/09/02~
ノースウェスト準州
-
世界最大の氷原とカナダ最高峰ローガン山 (World largest icefield & Canada's...
2019/09/05~
ユーコン準州
-
個人旅行で行く快晴のアラスカ インサイドパッセージ (Beautiful days in Alaskan I...
2019/09/08~
ジュノー
-
カナディアンロッキーで消滅危機の氷河を歩く (Icewalk on retreating Athabasca...
2019/09/11~
カナディアンロッキー
-
雨と熊を避けながらバンフ約3000m峰マウントランドルを登頂 (Scrambling Mt Rundle)
2019/09/13~
バンフ
-
ローマ教皇が謝罪、カナダ先住民の残された文化を探しにカナダ縦断 (Search Indigenous cul...
2019/09/15~
バンクーバー
旅行記グループをもっと見る
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったスポット
もっと見る
ジュノー(アメリカ) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 2019 北米北西部の北極圏に近い秘境を廻る旅
0
50