岐阜 大垣公園(Ogaki Park, Ogaki, Gifu, Japan)

2021/03/30 - 2021/03/30

2021年3月30日(火)、桜満開の養老公園の観光を終了し、養老鉄道養老駅14:51発の電車で大垣に引き返す。JR東海道線に接続する大垣駅までは戻らずに、1駅手前の西大垣駅で下車。養老駅から19分。

西大垣駅は1913年の養老鉄道開通時に開業。中線もある相対式2面2線のホームの西側に車庫があり、本社も置かれている中核駅。かつては隣接するイビデン大垣事業場(旧大垣工場)からの貨物引き込み線もあったが、2000年頃の再開発により完全に撤去された。イビデンは1912年に揖斐川電力として創業した西濃地区を代表する大手電気機器メーカー。

西大垣駅の駅舎は1913年(大正2年)に建てられたもので、大正時代のレトロなたたずまいを残している。岐阜フィルムコミッションの事業の一環として、ロケの誘致の対象となっており、2006年公開の奥田瑛二監督、緒形拳主演の「長い散歩」、同じく2006年公開の林徹監督、仲間由紀恵主演の「大奥」、さらに2007年公開の犬童一心監督、嵐主演「黄色い涙」が撮影された。「黄色い涙」の舞台となる1960年代の阿佐ヶ谷駅に使われた。

西大垣駅を出て正面の道、西大垣通りと呼ばれる広い県道237号線をまっすぐ東に向かう。この県道は大垣市中心部を東西に横断している。大垣市は人口約16万人で岐阜県第2の都市。1918年(大正7年)に誕生。

面積は200平方㎞強あり、県内の42市町村で13番目。岐阜市より少し広い。2006年の平成の大合併で編入された墨俣町と上石津町の2つが飛び地となっており、飛び地の面積の方が広い不思議な市。

古くから中山道や美濃路などが通る交通の要衝で、東西の経済・文化の交流点であったことから、遺跡・史跡などの歴史的資産が数多く残る。俳人・松尾芭蕉が「奥の細道」の旅を終えたむすびの地でもある。

地下水が豊富で自噴している場所が多くあり、揖斐川、杭瀬川、水門川をはじめとする多くの河川とあいまって、水の都の異名もある。

俳優の細川茂樹さんは大垣商高卒業、「トリガール!」などの作家の中村航さんは大垣北高校卒業、狂言師和泉元彌氏の母、和泉節子さんは中3の3学期に名古屋の金城学院に転校するまで大垣市内の小中学校に通っていた。私が長年勤めていた会社の先輩のお一人も大垣出身だとつい先日初めて知った。

西大垣駅から東に歩くこと10分余りで大垣公園の南側に到着。大垣駅での乗り換えは数えきれないくらい経験してるし、一度プライベートで大垣に泊まったこともあるが、ここへ来るのは初めて。と云うか、美濃赤坂は観光したことあるが、駅の周りの大垣観光が初めて。

大垣城の旧本丸、二の丸を整備した公園で、日本の歴史公園100選に選ばれている。大垣城、大垣城ホール、濃飛護国神社、常葉神社、大垣市郷土館などが約3.1haの敷地に置かれ、芝生広場、大型遊具、噴水なども整備されている。かつては小規模な動物園や野球場も設置されていた。約30種類200本の桜があり、桜の名所となっている。確かに綺麗！

1873年(明治6年)に大垣城の二の丸を整備し岐阜県内最初の都市公園として開園。1880年(明治13年)には大垣城本丸も大垣公園となった。米軍の無差別空襲により1945年7月に大垣城は焼失するが、戦後の1951年に土地区画整理事業により再整備され、1959年に大垣城は再建された。

南西部に広がる芝生公園と1953年に大垣市スポーツセンターとして建設され、1988年の大改修を機に改称された大垣城ホールとの間を抜けると濃飛護國神社の石の鳥居がある(表紙の写真)。

濃飛護國神社は1869年(明治2年)に旧大垣藩主の戸田氏共が戊辰戦争での大垣藩士戦死者を祀るために仮招魂祠を創建したのに始まる。1875年(明治8年)に官祭招魂社(大垣招魂社)に改称。1939年(昭和14年)に濃飛招魂社と改称するが、その後すぐに濃飛護國神社となった。

現在の本殿、幣殿、拝殿は米軍無差別爆撃で焼失後に、1958年(昭和33年)から59年に掛けて竣工したもの。焼失した建物は、1891年(明治24年)の濃尾地震で初期の社殿が倒壊した後、1895年(明治28年)に再建され、1909年(明治42年)に社殿が拡張され改築されたものだった。

鳥居のそばには1983年に建てられた岐阜県知事上松陽助謹書の忠魂顕彰之碑(下の写真1)と、1965年に昭和天皇と香淳皇后が岐阜国体行啓の折に参拝されたことを記念する碑(下の写真2)が建てられている。

濃飛護國神社の西側を回り込んで北に進む。傷痍之碑は岐阜県傷痍軍人会西濃支部が1988年に建立したもの(下の写真3)。恒久平和之碑は1991年に大垣西濃地区ダモイ会が建てたもの(下の写真4)。第2次大戦でシベリアに不法に拘留され強制労働を強いられたことを踏まえ、二度とこのような悲惨なことがないようにと云う誓いを込めている。ダモイ(domoy)はロシア語で「家へ、故郷へ、故国へ」の意。いのちの柿の木は2000年に開催された「決戦 関ヶ原・大垣博」の際にLIFE＆PEACのシンボルとして、長崎被爆柿の木2世の苗木を長崎から迎えたもの(下の写真5)。

濃飛護國神社の北側、大垣城との間の通路を東に少し進むと金森吉次郎の像が建つ。金森吉次郎は幕末に大垣に生まれ、「治水のもとは、治山である」を持論として、水害の根本解消のため木曽三川改修を生涯の目標とし、治水と山林事業に生涯をささげた。一時(2年間)、衆議院議員も務めた。

この像は、元々は大垣輪中水害予防組合の提唱で1923年(大正12年)に建てられたものが、戦争のために金属供出されてなくなったのを、戦後の1954年に市と組合が中心となり再建したもの。市出身の彫刻家・中村輝によって現在の像が制作され、旧台座の上に設置されている。
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大垣城に続く

エリア 大垣(岐阜)

写真1 忠魂顕彰之碑

写真2 昭和天皇・皇后両陛下行幸啓記念碑

写真3 傷痍之碑

写真4 恒久平和之碑

写真5 いのちの柿の木