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2021年3月30日(火)朝の7時半過ぎ、この春シーズン2回目のの青春18きっぷ利用で、三重の桑名から岐阜の養老の桜巡りに出発。8時過ぎに関西本線の加茂駅に到着。ここで列車を乗り換えて亀山、桑名方面に向かうのだが、なんと大雨でもなかったのに倒木があり、運転見合わせで当分運転再開はないとのこと。<br /><br />既にきっぷを使い始めてるので、中止はないと云うことでいろいろ考えたが、ダイヤを調べて、養老だけにすれば東海道線経由で行けると云うことで、計画変更。4分後の折り返し電車で木津駅に戻り、奈良線のみやこ路快速で京都へ。京都からは普通に新快速などを乗り継いで大垣に向かう。<br /><br />米原で11時発の大垣行に乗車。30分ほどで大垣駅に到着するが、この区間は東海道線で唯一とも云える山岳地帯を抜ける。米原を出た電車は東へ進み、天野川が作り出した谷を進んで行く。<br /><br />天野川は旧滋賀県坂田郡柏原(かしわばら)村(現在の米原市)、JR東海道本線の柏原駅辺りを水源として、JR東海道線に沿って琵琶湖に向かい、JR米原駅の北西の朝妻湊跡辺りで琵琶湖に注ぐ全長約19㎞の一級河川。伊吹山南麓の旧坂田郡の約半分の面積から水を集めている。<br /><br />天野川のほか、息長川、能登瀬川、箕浦川、朝妻川とも呼ばれ、特に息長川の名称は万葉集で歌われている。古代、息長氏がこの川の流域で大きな勢力を持っており、第30代の敏達天皇の皇后を排出するなどして名族として栄えた。<br /><br />近江長岡駅近くの天野川は「息長ゲンジボタル発生地」として有名だが、この季節(春)は土手に桜が咲き乱れ、醒ヶ井駅手前から近江長岡駅の東まで車窓から見事な桜並木を楽しむことが出来る。来年の春には歩こうかな?<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.6753144188088881&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br />柏原駅を出ると岐阜県に入り、古戦場で有名な関ケ原。さらに谷を抜けると濃尾平野の東端の垂井に抜け、11時半過ぎ、大垣駅に到着。ここで養老鉄道養老線に乗り換える。<br /><br />養老線は三重県の桑名駅から岐阜県の揖斐駅までの57.5㎞、27駅を結ぶ養老鉄道の鉄道路線。JR在来線と同じ1067mmの狭軌で、全線電化、全線単線。揖斐川流域西側を縦断する路線で、岐阜県と三重県を直結する唯一の鉄道路線。大垣駅は桑名方面と揖斐方面との線路が合流するスイッチバック形の配線となっており、直通電車は走っていない。<br /><br />元々は現在の養老鉄道とは違う同名の養老鉄道が1913年(大正2年)に養老-大垣-池野間を開通させ、6年後に桑名から大垣を経由して揖斐までの全線が開通した。旧の養老電鉄は1922年(大正11年)に経費削減のため揖斐川電気へ合併し揖斐川電気鉄道部となる。その6年後の1928年(昭和3年)には伊勢電気鉄道に譲渡され、養老電気鉄道に変わり、その翌年には伊勢電気鉄道に合併される。<br /><br />しかし、伊勢電気鉄道は昭和恐慌の影響もあり経営に行き詰まり1936年(昭和11年)に養老線は養老電鉄に分離されるが、1940年(昭和15年)には参宮急行電鉄に合併され、さらにその参宮急行電鉄も翌年に大阪電気軌道が関西急行鉄道として合併する。ああ、めんどくさ。<br /><br />この関西急行鉄道が1944年(昭和19年)に近畿日本鉄道に改称し、以後近年まで近鉄養老線として長く運行していた。しかし、慢性的な赤字路線となり、近鉄は沿線市町と存続のために協議し、2007年に現在の養老鉄道を設立し、近鉄から分離された。養老鉄道が営業・運行のみを行なっており、施設に関しては近鉄が所有・管理していたが2018年から養老線管理機構に移行した。<br /><br />養老鉄道の大垣駅はJR大垣駅の南西に接しており、1913年の初代養老鉄道開通時に開業した。現在の駅舎は1985年に改築されたもの。1面2線の頭端式ホームはJR線のホームに並んでおり、連絡改札口もあるがJR線側の自動改札を通れる切符を持ってないと通れない。青春18きっぷは自動改札通れないので、私もいったんJR線を出て、大回りして養老鉄道の駅へ。<br /><br />ホームの左手1番線が桑名方面行、反対側の2番線が揖斐方面行となっている。ちょうど両ホームに電車が停車していたが、桑名行の車両は近鉄南大阪線か名古屋線で使用されていたもので、揖斐行の車両は東急で使用されていたものだった。ちなみに大垣・揖斐間は以前に乗車済だったが、大垣・桑名間の乗車は初めて。<br /><br />11時46分発の電車で養老駅へ。養老駅までは7駅23分。大垣駅から南に向かい、名神高速を潜った先で、西に方向を変え、揖斐川の支流である相川と牧田川を越え養老町に入り、養老町の中心である美濃高田駅の手前で再び南に向かい養老駅に到着する。<br /><br />養老駅も1913年の初代養老鉄道開通時に開業。単式・島式の複合型2面3線の行違・折返可能な有人の地平駅。駅舎は単式の1番ホーム側にあり、島式の2・3番ホームへは大垣寄りの構内踏切で連絡している。1番線が大垣行で、2番線が桑名行、3番線は始発・終着列車の発着にのみ利用されている。<br /><br />駅舎は1919年(大正8年)に改築された擬洋風建築。改札口の先、1番ホームの上には沢山の瓢箪が吊るされ(下の写真1)、駅舎の正面入り口の上の駅名看板は瓢箪で駅名が描かれている(下の写真2)。駅前の広場にも「歓迎 養老公園」の瓢箪のオブジェが置かれており、瓢箪の町になっているが、これはこの地に1300年前から伝わる孝子伝説から生まれたもの。<br /><br />伝説の主人公は同じく駅前に銅像が建つ樵の源丞内。彼は貧しい樵で、山で取れた薪を売って、米や目の不自由な老父の好きな酒を買っていた。ある日、山の中で転んで眠ってしまったところ、夢の中で酒の匂いがし、目覚めると香り高い酒が湧き出る泉を見つけた。源丞内は喜んで、持っていた瓢箪に酒を汲んで帰り、老父にその酒を与えたところ、目が見えるようになった。酒の泉は、不自由な体を直すということで有名になり、それが帝の耳に達し、親孝行の源丞内は、美濃の守に任ぜられた。<br /><br />この帝とは奈良時代初期の元正天皇で、717年にこの地を行幸され霊泉で体を洗われたところ、ご病気が全快した。帝はこれをお喜びになり、年号を養老と改め、此の地の人々の税を免除された。元正天皇は第44代天皇で母の元明天皇から譲位を受け715年に即位した、独身で即位した初めての女性天皇で、歴代天皇の中で唯一、母から娘への皇位継承が行われた。<br /><br />724年に甥の聖武天皇に譲位した後も後見人としての立場で天皇を補佐した。晩年期の上皇は、病気がちの天皇に代わって、橘諸兄・藤原仲麻呂らと共に政務を遂行していたと見られている。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.6753157824754184&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><br />養老公園へ向かうが続く

岐阜 養老へ(To Yoro, Gifu, Japan)

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2021/03/30 - 2021/03/30

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ちふゆ

ちふゆさん

2021年3月30日(火)朝の7時半過ぎ、この春シーズン2回目のの青春18きっぷ利用で、三重の桑名から岐阜の養老の桜巡りに出発。8時過ぎに関西本線の加茂駅に到着。ここで列車を乗り換えて亀山、桑名方面に向かうのだが、なんと大雨でもなかったのに倒木があり、運転見合わせで当分運転再開はないとのこと。

既にきっぷを使い始めてるので、中止はないと云うことでいろいろ考えたが、ダイヤを調べて、養老だけにすれば東海道線経由で行けると云うことで、計画変更。4分後の折り返し電車で木津駅に戻り、奈良線のみやこ路快速で京都へ。京都からは普通に新快速などを乗り継いで大垣に向かう。

米原で11時発の大垣行に乗車。30分ほどで大垣駅に到着するが、この区間は東海道線で唯一とも云える山岳地帯を抜ける。米原を出た電車は東へ進み、天野川が作り出した谷を進んで行く。

天野川は旧滋賀県坂田郡柏原(かしわばら)村(現在の米原市)、JR東海道本線の柏原駅辺りを水源として、JR東海道線に沿って琵琶湖に向かい、JR米原駅の北西の朝妻湊跡辺りで琵琶湖に注ぐ全長約19㎞の一級河川。伊吹山南麓の旧坂田郡の約半分の面積から水を集めている。

天野川のほか、息長川、能登瀬川、箕浦川、朝妻川とも呼ばれ、特に息長川の名称は万葉集で歌われている。古代、息長氏がこの川の流域で大きな勢力を持っており、第30代の敏達天皇の皇后を排出するなどして名族として栄えた。

近江長岡駅近くの天野川は「息長ゲンジボタル発生地」として有名だが、この季節(春)は土手に桜が咲き乱れ、醒ヶ井駅手前から近江長岡駅の東まで車窓から見事な桜並木を楽しむことが出来る。来年の春には歩こうかな?
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.6753144188088881&type=1&l=223fe1adec

柏原駅を出ると岐阜県に入り、古戦場で有名な関ケ原。さらに谷を抜けると濃尾平野の東端の垂井に抜け、11時半過ぎ、大垣駅に到着。ここで養老鉄道養老線に乗り換える。

養老線は三重県の桑名駅から岐阜県の揖斐駅までの57.5㎞、27駅を結ぶ養老鉄道の鉄道路線。JR在来線と同じ1067mmの狭軌で、全線電化、全線単線。揖斐川流域西側を縦断する路線で、岐阜県と三重県を直結する唯一の鉄道路線。大垣駅は桑名方面と揖斐方面との線路が合流するスイッチバック形の配線となっており、直通電車は走っていない。

元々は現在の養老鉄道とは違う同名の養老鉄道が1913年(大正2年)に養老-大垣-池野間を開通させ、6年後に桑名から大垣を経由して揖斐までの全線が開通した。旧の養老電鉄は1922年(大正11年)に経費削減のため揖斐川電気へ合併し揖斐川電気鉄道部となる。その6年後の1928年(昭和3年)には伊勢電気鉄道に譲渡され、養老電気鉄道に変わり、その翌年には伊勢電気鉄道に合併される。

しかし、伊勢電気鉄道は昭和恐慌の影響もあり経営に行き詰まり1936年(昭和11年)に養老線は養老電鉄に分離されるが、1940年(昭和15年)には参宮急行電鉄に合併され、さらにその参宮急行電鉄も翌年に大阪電気軌道が関西急行鉄道として合併する。ああ、めんどくさ。

この関西急行鉄道が1944年(昭和19年)に近畿日本鉄道に改称し、以後近年まで近鉄養老線として長く運行していた。しかし、慢性的な赤字路線となり、近鉄は沿線市町と存続のために協議し、2007年に現在の養老鉄道を設立し、近鉄から分離された。養老鉄道が営業・運行のみを行なっており、施設に関しては近鉄が所有・管理していたが2018年から養老線管理機構に移行した。

養老鉄道の大垣駅はJR大垣駅の南西に接しており、1913年の初代養老鉄道開通時に開業した。現在の駅舎は1985年に改築されたもの。1面2線の頭端式ホームはJR線のホームに並んでおり、連絡改札口もあるがJR線側の自動改札を通れる切符を持ってないと通れない。青春18きっぷは自動改札通れないので、私もいったんJR線を出て、大回りして養老鉄道の駅へ。

ホームの左手1番線が桑名方面行、反対側の2番線が揖斐方面行となっている。ちょうど両ホームに電車が停車していたが、桑名行の車両は近鉄南大阪線か名古屋線で使用されていたもので、揖斐行の車両は東急で使用されていたものだった。ちなみに大垣・揖斐間は以前に乗車済だったが、大垣・桑名間の乗車は初めて。

11時46分発の電車で養老駅へ。養老駅までは7駅23分。大垣駅から南に向かい、名神高速を潜った先で、西に方向を変え、揖斐川の支流である相川と牧田川を越え養老町に入り、養老町の中心である美濃高田駅の手前で再び南に向かい養老駅に到着する。

養老駅も1913年の初代養老鉄道開通時に開業。単式・島式の複合型2面3線の行違・折返可能な有人の地平駅。駅舎は単式の1番ホーム側にあり、島式の2・3番ホームへは大垣寄りの構内踏切で連絡している。1番線が大垣行で、2番線が桑名行、3番線は始発・終着列車の発着にのみ利用されている。

駅舎は1919年(大正8年)に改築された擬洋風建築。改札口の先、1番ホームの上には沢山の瓢箪が吊るされ(下の写真1)、駅舎の正面入り口の上の駅名看板は瓢箪で駅名が描かれている(下の写真2)。駅前の広場にも「歓迎 養老公園」の瓢箪のオブジェが置かれており、瓢箪の町になっているが、これはこの地に1300年前から伝わる孝子伝説から生まれたもの。

伝説の主人公は同じく駅前に銅像が建つ樵の源丞内。彼は貧しい樵で、山で取れた薪を売って、米や目の不自由な老父の好きな酒を買っていた。ある日、山の中で転んで眠ってしまったところ、夢の中で酒の匂いがし、目覚めると香り高い酒が湧き出る泉を見つけた。源丞内は喜んで、持っていた瓢箪に酒を汲んで帰り、老父にその酒を与えたところ、目が見えるようになった。酒の泉は、不自由な体を直すということで有名になり、それが帝の耳に達し、親孝行の源丞内は、美濃の守に任ぜられた。

この帝とは奈良時代初期の元正天皇で、717年にこの地を行幸され霊泉で体を洗われたところ、ご病気が全快した。帝はこれをお喜びになり、年号を養老と改め、此の地の人々の税を免除された。元正天皇は第44代天皇で母の元明天皇から譲位を受け715年に即位した、独身で即位した初めての女性天皇で、歴代天皇の中で唯一、母から娘への皇位継承が行われた。

724年に甥の聖武天皇に譲位した後も後見人としての立場で天皇を補佐した。晩年期の上皇は、病気がちの天皇に代わって、橘諸兄・藤原仲麻呂らと共に政務を遂行していたと見られている。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.6753157824754184&type=1&l=223fe1adec


養老公園へ向かうが続く

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  • 写真1 養老駅改札口

    写真1 養老駅改札口

  • 写真2 養老駅正面入口

    写真2 養老駅正面入口

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