養老旅行記(ブログ) 一覧に戻る
2021年3月30日(火)2時過ぎ、養老孝子坂の途中にある養老寺に立ち寄る。真宗大谷派の寺院で、山号は滝寿山。西美濃三十三霊場第二十五番札所。養老孝子伝説の源丞内ゆかりの寺院で、不老長寿のご利益がある。本尊は木造の十一面千手観世音菩薩で国の重文となっている。他にも平安時代や鎌倉時代の剣や仏像などが同じく国の重文となっている。<br /><br />奈良時代の元正天皇の御代、孝子源丞内(後の美濃守)が開いた寺と伝わる。当時は法相宗の寺院で、天平時代には七堂伽藍も整い、南宮山から養老山脈の山麓に奈良時代に作られた法相宗の寺院群、多芸七坊の一つに数えられていた。当時は現在地より約1㎞南東のこどもの国辺りにあった。<br /><br />戦国時代の永禄年間(1558~1569年)に織田信長の兵火で焼失するが、豊臣家の家臣で美濃大垣城主だった伊藤盛景が現在地に小堂として再建し、その後1607年に美濃国高須藩藩主徳永寿昌の援助で本堂が再建される。その頃浄土真宗に改宗する。<br /><br />現在の本堂は元々は養老の滝を修験の場とする滝守不動明王の不動堂だった。このお堂から寺の南側の滝谷に架かる橋は不動橋と命名されている。この建物の右手に本来の本堂があったが、老朽化し、修繕費も集まらず2016年に取り壊された。<br /><br />滝守不動明王は鯰に乗ってきたと伝わり、鯰を食べて参拝したり、滝に浴すると罰があたると云われる。毎年3月の春分の日には、菊水泉の水を不動明王に奉納し、養老の滝の安全を祈願している。<br /><br />宝物殿に収められているご本尊の十一面千手観音立像は寄木造の像高98cm、鎌倉初期の優雅な面貌の作とのこと。また、滝守不動明王立像は、木造の立像で高さ97cm。こちらは岐阜県の指定文化財。<br /><br />境内の奥には孝子源丞内のものとされる墓がある。また、その横には孝道句碑、伊吹俳句会句碑、石川桂郎句碑が並んで建てられている(下の写真1)。石川桂郎は1975年に亡くなった俳人、随筆家、小説家、編集者。1955年には小説「妻の温泉」で直木賞候補になっている。<br /><br />また、入口近くにも高野素十句碑と山田麗眺子句碑が並んでいる(下の写真2)。高野素十は「ホトトギスの四S」と称された茨城県出身の俳人・医師で1976年没。山田麗眺子は名古屋市出身の俳人で、俳句結社「南風」の主宰を務めた。1996年没。このお寺に限らず、養老公園にやたら句碑が多い気がする。元正天皇の行幸や孝子の伝説があり、古来より名士・文士等が盛んに訪れて、その風光を愛しんだことからのようだ。<br /><br />ごろごろの岩の上に建てられた鐘楼は由来は不明だが、いい雰囲気だ。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.6827811080622191&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><br />養老天命反転地に向かうが、続く

岐阜 養老寺(Yoro-ji Temple, Yoro, Gifu, Japan)

8いいね!

2021/03/30 - 2021/03/30

64位(同エリア182件中)

旅行記グループ 養老

0

2

ちふゆ

ちふゆさん

2021年3月30日(火)2時過ぎ、養老孝子坂の途中にある養老寺に立ち寄る。真宗大谷派の寺院で、山号は滝寿山。西美濃三十三霊場第二十五番札所。養老孝子伝説の源丞内ゆかりの寺院で、不老長寿のご利益がある。本尊は木造の十一面千手観世音菩薩で国の重文となっている。他にも平安時代や鎌倉時代の剣や仏像などが同じく国の重文となっている。

奈良時代の元正天皇の御代、孝子源丞内(後の美濃守)が開いた寺と伝わる。当時は法相宗の寺院で、天平時代には七堂伽藍も整い、南宮山から養老山脈の山麓に奈良時代に作られた法相宗の寺院群、多芸七坊の一つに数えられていた。当時は現在地より約1㎞南東のこどもの国辺りにあった。

戦国時代の永禄年間(1558~1569年)に織田信長の兵火で焼失するが、豊臣家の家臣で美濃大垣城主だった伊藤盛景が現在地に小堂として再建し、その後1607年に美濃国高須藩藩主徳永寿昌の援助で本堂が再建される。その頃浄土真宗に改宗する。

現在の本堂は元々は養老の滝を修験の場とする滝守不動明王の不動堂だった。このお堂から寺の南側の滝谷に架かる橋は不動橋と命名されている。この建物の右手に本来の本堂があったが、老朽化し、修繕費も集まらず2016年に取り壊された。

滝守不動明王は鯰に乗ってきたと伝わり、鯰を食べて参拝したり、滝に浴すると罰があたると云われる。毎年3月の春分の日には、菊水泉の水を不動明王に奉納し、養老の滝の安全を祈願している。

宝物殿に収められているご本尊の十一面千手観音立像は寄木造の像高98cm、鎌倉初期の優雅な面貌の作とのこと。また、滝守不動明王立像は、木造の立像で高さ97cm。こちらは岐阜県の指定文化財。

境内の奥には孝子源丞内のものとされる墓がある。また、その横には孝道句碑、伊吹俳句会句碑、石川桂郎句碑が並んで建てられている(下の写真1)。石川桂郎は1975年に亡くなった俳人、随筆家、小説家、編集者。1955年には小説「妻の温泉」で直木賞候補になっている。

また、入口近くにも高野素十句碑と山田麗眺子句碑が並んでいる(下の写真2)。高野素十は「ホトトギスの四S」と称された茨城県出身の俳人・医師で1976年没。山田麗眺子は名古屋市出身の俳人で、俳句結社「南風」の主宰を務めた。1996年没。このお寺に限らず、養老公園にやたら句碑が多い気がする。元正天皇の行幸や孝子の伝説があり、古来より名士・文士等が盛んに訪れて、その風光を愛しんだことからのようだ。

ごろごろの岩の上に建てられた鐘楼は由来は不明だが、いい雰囲気だ。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.6827811080622191&type=1&l=223fe1adec


養老天命反転地に向かうが、続く

PR

  • 写真1 孝道句碑、伊吹俳句会句碑、石川桂郎句碑

    写真1 孝道句碑、伊吹俳句会句碑、石川桂郎句碑

  • 写真2 高野素十句碑と山田麗眺子句碑

    写真2 高野素十句碑と山田麗眺子句碑

8いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP