アクトベ紀行１～(知らない人の)結婚式に参加～

2017/08/17 - 2017/08/19

また僅かな休みを利用してカザフスタン国内を旅行することにしました。今回の目的地は西部のアクトベです。アスタナの友達カリナちゃんの故郷であり、双子のお姉さんのサビーナちゃんが住んでいるところです。カザフスタンに住んでいるうちに彼女がデザイナーを務めるブランドのドレスを注文したかったのです。

出発当日にサビーナちゃんから連絡が来ました。

「明日来るよね？私結婚式に招待されたんだけど、一緒に連れてってもいい？」

カザフの結婚式に参加したことない私、二つ返事でOK。しかしカザフスタン滞在期間にそんなことになると思わなかったのでドレスを持っていない。ま、なんとかしましょうと言われ、とりあえずアクトべへ向かったのでした。


今回の旅程

８月17日　アスタナ→
８月18日　→アクトベ　★いまここ
８月19日　アクトベ→アスタナ

エリア その他の都市(カザフスタン)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• グルメ: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円 - 3万円
• 交通手段: 鉄道
• 旅行の手配内容: 個別手配

2日間しか空きがないので、現地滞在時間が最大限に取れる方法を調べた結果、行きは夜行列車、帰りは深夜の飛行機ということになりました。夜出発して翌日の昼過ぎに着くスペイン製の列車で行きます。

アスタナの新駅、ヌルルィ・ジョル駅に初めて行きましたが発車時刻ギリギリだったので探検できず。新幹線の駅みたいな大きな駅でした。

ホームがちゃんと電車の高さになってる！

寝台ですぐ寝落ちし、起きたらもう朝。深夜にいくつか駅に停まっていつのまにか方向のスイッチングもされてたみたいですが全く気づきませんでした。目覚めてからアクトべまではほぼずっとこんな景色。

1つ手前の駅で30分の停車。

線路沿いにはそれに合わせて色んな食べ物を売るおばちゃんたちの店が出回ります。

お惣菜や、カップ麺、おやつ、飲み物などが売られています。

ニケリタウという駅のようです。時刻表と比べてこの駅に停車したのがやたら早いな、と思ったら、アクトべはアスタナと1時間の時差があったのでした。思ったより1時間早く、アクトべに到着してしまいます。サビーナちゃんに到着時間を間違えていた旨連絡すると「それだと私美容院でヘアメイクしてる時間だから迎えに行けない。誰かに頼むから、駅で待ってて」と返ってきました。

不安なまま電車を降りようとすると、男性に声をかけられました。サビーナちゃんの旦那様が迎えに来てくれていました。

初めて見るアクトベの街です。街中で、ヘアメイクの終わったサビーナちゃんと合流しました。カザフスタンの女性は結婚式に行く前にはプロにヘアメイクして貰うのが一般的です。

サビーナちゃんに「お母さんに会わせたい」と言われ、お母様が働いている学校にお邪魔しました。カリナちゃんが私の話をしているので、お母様とはアスタナに住むようになる前からSNSで繋がっています。

続いて、息子さんを迎えに行くため保育園へ。サビーナちゃんには息子さんが１人います。ちょうどカリナちゃんの次女と同い年です。

サビーナちゃんは地元のダンスグループ、MegaStarsの先生でもあります。Megaというのはアスタナにもあるカザフスタンのショッピングモールですが、万博に合わせてアスタナに新しい店舗を建設した代わりにアスタナの旧店舗と、アルマトイ以外の都市にある店舗はケルエンという会社に譲渡しました。なので、アクトベのMEGAもケルエンシティというショッピングモールに変わっています。

このケルエンシティの中に、彼女の働くダンススタジオと衣装ブランド「クンケイ」のアトリエがあります。カザフスタンのブランドは通常デザイナーの名前そのものにするみたいですが、彼女はカザフ語で「美しいお嬢さん」の意味のブランド名を付けたのだだそうです。

民族衣装をベースにした美しいドレスにため息が出てしまいます。彼女の作品は完全受注生産で、主に結婚式の衣装(こちらの結婚式ではウェディングドレスと民族衣装両方着るのが普通)や参列者のためのドレスなどを作っています。

この日スタッフが作っていたのはミスコンのアクトベ代表のための衣装でした。

MEGAがケルエンに変わってもMegaStarsというチーム名は変わりません。この日もサビーナちゃんによるレッスンがありました。

サビーナちゃんのブランドはこのダンスチームの衣装作りから始まっています。

子供から(たぶん)10代後半くらいまでの少女がダンスレッスンに通い、依頼があれば各地のイベントに出演するようです。この日は初めて１年程度の子供たちのレッスンでしたが、みんな柔らか～い。バレエの基礎を学びながら、バレエからカザフスタンをはじめとした様々な民族舞踊からブレイクダンスまで習えます。

今回は、彼女の生徒さんのお兄さんの結婚式。お母様から結婚式に誘われ、日本人のお客様が来るからと一度断ったものの、「その人も連れて来ればいいわよ！カザフの結婚式見せてあげなさい」と言われたんだって。なんというありがたい計らい。

レッスン後、一度サビーナちゃんの家に帰り着替えて、彼女の同僚3人と待ち合わせして車(誰かの知り合いの運転手付き)で結婚式場へ向かいます。同僚は彼女より年上で、ノリの良い肝っ玉母さんという感じでした。サビーナちゃんはお酒を飲みませんが(カザフスタンのイスラム教は緩いので、お酒は飲む人と飲まない人がいます)、「アンタは酒飲むの？じゃあいっときなさい！」と車の中からすでに宴会が始まりました。

場所はアクトべではなく、100kmくらい離れた隣町(なのか？)フロムタウという所のレストランでした。1時間くらい草原の道を車でぶっ飛ばして行きました。

問題のドレスは、サビーナちゃんオリジナルを借りました！

結婚式なので、食事は豪華！馬肉のベシュバルマックももちろん出てきます。

カザフの結婚式は、新郎側主催、新婦側主催、そして両家主催で3日間行われるそう。それぞれ会場も違うらしい。今回は新郎側主催の披露宴。以前キルギスの田舎で新郎側に参加したことありますが、その時はそれぞれの家で行い、新郎新婦が一緒になるのは最終日だけと言っていたので(参照https://4travel.jp/travelogue/11121764)、同じ中央アジアでもちょっと違うんですね。

各席には引出物が置いてありました。ちなみにご祝儀は親族や友人のグループで分けられている各テーブルでまとめて、メッセージカードを書いてそこに挟みます。相場は1人10000～15000テンゲ(約3000～5000円)だそう。

引出物の中身はチョコレートとドンブラのキーホルダーでした。

結婚式はこの披露宴の前に、朝からリムジンで各所を回り入籍や記念撮影をします。その模様を依頼されたスタジオがずっと撮影していて、披露宴最中に編集して流します。

余興的なものは依頼された歌手やダンスグループが担当。今回は少女のダンスグループが、小さな花嫁に扮したり民族衣装を着たり、何度も踊りを披露していました。サビーナちゃんの教え子もこういうのに出演しているそうです。今回はありませんでしが、新婦がプ歌うプロの歌手に手を取られながら入場するのもよく見ます。

新郎新婦のダンスも行われます。

新郎新婦と少女ダンスチームでワルツを披露します。

司会者に各テーブルごとに名前を呼ばれ、前に出て一人ずつお祝いの言葉を述べます。これ、本当に一人ずつやるしそれも一言じゃなくてけっこう長い。私も述べましたよ、初対面の人に…。なおメッセージカードに挟んだご祝儀はこの時に、招待してくれた人に渡します。

1グループのお祝いが終わると音楽が鳴って、全員が出て来て踊る！出席者がおそらく300人近くいる中、この余興、挨拶、踊りのセットが全員終わるまで続くのでとにかく披露宴が長い！今回は途中から来て終盤完全に終わる前に帰りましたが、それでも4時間くらいいたかな。全部で6～7時間続くそうです。これが3日間て、新郎新婦は大変ですねー。