2013/10/08 - 2013/10/10
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群青さん
この旅行記のスケジュール
2013/10/08
この旅行記スケジュールを元に
浄土ヶ浜の見学も終わり、元来た道を引き返し、宮古の市街地から今度は国道45号線を南下。
来るときはあまりきちんと宮古の街を見ていなかったのだが、車を運転していても明らかに復興の道筋まだ半ばなのだと気づかされる。
三陸海岸沿いの、起伏の激しいリアス式海岸のわずかな平地に集落が形成されているゆえ、低地の家々は流されたり津波の破壊を受けたりして街の姿が変わってしまっているように見受けられる。
ほんのちょっとの距離なのに高台にあった家々は津波の被害を免れて、一見何の影響も蒙っていなさそうに見えるのだが・・・
果たして、津波被害の有無ががこんなに目に見える形で街中にまだら模様のように混在しているなんて!
それが人々の心象風景に影響を及ぼさないのだろうか?
コミュニティーは機能していて、助け合って互いに復興に向かっていけているのだろうか?
なんて考えさせられた。
(この疑問は、翌日、被災地の語り部バスツアーに参加して、本当の姿を知り非常に衝撃を受けました。
後の文章でその辺りに触れていきます)
*この文章は以前ブログに書いたものをフォートラベルに転載しました
*追記
旅行記の表紙画像の変更および文章の校正を行いました。
(2022.7.18記)
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 自家用車
-
起伏のある国道45号を上ったり下ったり。
海が見える場所を快走していたかと思えばすぐに山の中の峠道に差し掛かるなどして、一つ山を越えるたびに違う集落・異なる自治体へと入っていく。
山田町、大槌町。
あの震災当時、頻繁に名前を聞いた かの街々。
自治体としての規模の小さなこれらの街はどんな姿になっているのか?
再興への槌音を少しでも響かせているのだろうか・・・
車中から見るこうした街は、残念ながらどう贔屓目で見ても復興から取り残されているのではと思わざるを得ない。
あの日のまま置き去りにされたかのような状況の厳しさを感じて、涙でにじんで運転しづらくなることもあった。
僕が感傷的になっても仕方ないのだけど・・・
でも、自分に何ができるのだろうか?を問いながら、高田松原までの約3時間の行程を運転しながら、繰り返しそんな想いを反復していた。
結局、雨が降ったりやんだりの繰り返しながらも、陸前高田に入ることは運よく雨も上がってくれた。
もうすぐ「奇跡の一本松」に到着するという瞬間、非常に衝撃的な光景を目にして愕然とさせられる。
すっかり廃墟と化したままの「道の駅 高田松原」。
心が重くなってしまう。
あまりの衝撃に、写真に収めるのも憚られるほどの惨状。
このまま高田松原の奇跡の一本松を観光気分で観に行ってもいいものだろうか・・・と。
ただ、やはり現状を自分の眼で見ておきたい!
写真に収めてそれを周囲の人たちに見せながら2013年10月の三陸の今を知ってもらいたい!!
そのためには、自分が「語り部」に徹しよう。
心を奮い立たせて、車から降りてその場所に向かった。奇跡の一本松 名所・史跡
-
周囲はダンプカーや重機の音が鳴り続け、土埃が漂うような雰囲気の中で、奇跡の一本松は目の前に現れた
あの日のまま、手つかずの、津波に洗われたままの大地にはセイタカアワダチソウだけが勢いよく伸びている。
荒涼とした風景。奇跡の一本松 名所・史跡
-
あれだけ散々テレビの報道などで見ていて、それなりに状況の厳しさは知っていたはずなのに・・・
いざ、目の前にその光景が見えてくると、どうしてこうも心が震えるのだろう。
背後のクリーム色をした外壁の建物(かつて存在したユースホステルだそうです)が、異様な形でひん曲がっている光景から想像するに、津波の威力の凄まじさを否が応でも納得させられる。 -
”モニュメント”としての「奇跡の一本松」。
先ほどまでは観光バス1台分の見物客で周囲は賑やかだったのに、いつしか人の波は消え、一本松を見て物思うのは僕と母だけ。
案内板の近くまでぐっと寄ってみた。 -
約350年ほど前、当時この辺りに住んでいた人たちによって、砂浜に松が植樹され始めてから徐々にその数は増え、見事な松原となってずっと陸前高田の街の象徴として歴史の流れを見守ってきた。
今までも明治三陸地震や昭和35年のチリ地震による大津波など、何度も大きな津波の影響をかいくぐってきた松原も、2011年3月11日のあの大震災では根底から勢いを断ち切られたのだそうだ。
地震後の津波第一波の到達によってほぼ全ての松が流され、陸前高田の街・集落へ押し寄せてしまった。
津波とともにやって来たたくさんの流木によって家々は破壊され、漂流してきた松にぶつかって命を落とした人たちも多かったと聞く。
それだけの凄惨な現場なのに、よくぞ、この松だけは持ちこたえたものだ。
全てを失い、明日への展望さえ見失ってしまった人たちにとって、一本の松がそこに残ったことに、どれだけの光明を見出したことだろうか・・・ -
どういう形であれ、こうした「震災の証人」的存在物は可能な限り、後世に継承していくことが必要だと痛感させられた。
一本松は何も語らずとも、見る人に様々な事を語ってくれるようで・・・ -
根元にはライトアップ用の照明も敷設されていた。
-
かつて松原は全長2kmほど続く静かな砂浜海岸だったのだそうだ。
三陸海岸でこれほどの長さの砂浜が続くのは珍しいそうで、夏は海水浴客で賑わい、数万本の松原の中は常に散策を楽しむ人たちの往来があったそうだ。
今やそんな面影はどこにもない。
護岸工事のための工事車両と、石や土の山だけ。
そして、震災によって地盤沈下してしまった場所は未だに水がたまったまま、回復の兆しすらない。 -
この護岸工事の涯てに、どんな風景が作られるのだろうか・・・
未来の姿が想像できないことが、とても物悲しい。 -
一本松から視線を南に向けると、小高い山を削ってショベルカーやダンプカーが行き交い、クレーン車が動き回る。
山を削り土地を嵩上げしたその地に、陸前高田に長年暮らした多くの人たちの新たな街が築かれるのだそうだ。 -
そして、かつてこの街に暮らし続けた多くの人たちの生活の場を奪ったあの津波の果ては、現在こんな状況なのだ。
セイタカアワダチソウばかりが繁茂して、殺伐とした風景がずっと奥まで広がり続ける。
この街を走っていたJRの線路も失われ、代わりにBRT(バス・ラピッド・トランジット)バスが運転され、陸の孤島ではなくなりつつあるようだが・・・
街の多くの機能が失われたこの場所の、未来図はどう描かれるのだろうか?と。
駐車場の片隅で海産物を売っていたので、わかめや海藻類を買い求めた。
乾燥させた昆布を切ったものを
「飴代わりに舐めてみて」
と気さくに声をかけてくれた地域のおばさんの顔が、
「何があっても私はこの場所で生きていくのよ!」
と語っている風に感じられて、逆に僕の気持ちの方が救われたような気がした。
来てよかった。
実際に見てよかった。
今でも少しは心が痛いのだけど・・・ -
(2019.12 追記)
2013年10月9日、この日、宮古から三陸沿岸を国道45号線で上り下りしたあの道程のことを忘れたことはありません。
あの震災から2年7か月が経ち、関東では徐々に風化が始まっていたあの頃。
何か釈然としないものを抱えつつも、おいそれと物見遊山で出かけていいのか?との躊躇いもあり・・・
何の行動もできずにいた自分に、
”せめて一歩踏み出して現実を見て来よう!””
と思って向かったのがこの地域でした。
鉛色の空の下、何度も雨に降られながらハンドルを握るのですが、リアス式海岸に点在する街・集落の光景を見る度に胸に込み上げてくるものが多すぎて・・・
何度も涙で前が見えなくなったことか、忘れられません。
その後も2017年以降、毎年のように地域を区切って訪れているこの地域。
フォートラベルにはその時の記録を載せてありますので、併せて読んで頂けたら嬉しく思います。
そして、2020年代に入っていくこれからも、時間を作って訪れたいと考えています。
行けば行くごとに学ぶこと感じること考えること・・・
少しずつ変わってきます。
復興に対するこの国の在り方に疑問を覚えることも数えきれないけれど・・・
でも僕は三陸という場所がとても好きです。
行くたびに新たな魅力を発見できる場所。
自分にしかできない形で、これからも定点観測になってしまうかもしれないけれど。
https://4travel.jp/travelogue/11357049
「南三陸から陸前高田まで(2018GW宮城三陸旅行①)」
https://4travel.jp/travelogue/11486800
「鉄と漁業とラグビーの街 静かなる釜石(平成最後の東北旅②)」
https://4travel.jp/travelogue/11488945
「リアスの恵み 大船渡(平成最後の東北旅④)」
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