2018/04/28 - 2018/04/30
44位(同エリア191件中)
群青さん
この旅行記スケジュールを元に
2013年10月以来4年半ぶりに宮城三陸沿岸を旅してきました。
前回は時間的余裕が無くて回れなかったものの、ずっと気になっていた場所にも訪れることができ、また前回見た場所に関してはこの間の復興の様子の濃淡が如実に感じられて、ハンドルを握りつつ様々な感情が浮かんでは消えの旅でありました。
2018年の現在の姿を自分なりに書き記してみたいと思います。
GW前半の初日の土曜日、天気は上々!
きっと高速道路も渋滞するだろうと予測し、自宅を5時10分に出発。
北関東道から東北道、仙台南部道路から仙台東部道路、三陸自動車道という経路を辿るも、予想以上にスイスイと進み・・・
上河内SA,安達太良SA,そして春日PAで休憩を取りながらも10時40分には早くも三陸道志津川インターへ。
一般道へ下りて、未だ工事車両が行き交いあちこちで造成が続く志津川の中心部へと車を走らせます。
とにかく四方八方が工事中で、案内看板だけを頼りにまず最初の目的地「南三陸さんさん商店街」へ到着です。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.5
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
車を停めてさんさん商店街の方に足を進めると真っ先に見えてくるのがこちら。
モアイ像!
旧さんさん商店街から今年、移築されてきたそうで・・・
4年半前の旅の際は、旧商店街に立ち寄る時間を捻出できなかったため、僕にとっては初対面!
ご存知のとおりこのモアイ像は、東日本大震災後の2013年5月に震災復興のシンボルとして南米のチリ共和国から寄贈されたもの。
チリ共和国と志津川町(当時)の結びつきを辿れば、1960年(昭和35年)のチリ地震に伴う三陸大津波が縁のきっかけなのだとか。南三陸さんさん商店街 市場・商店街
-
さんさん商店街の看板がモアイ像の付近に設置されていたのでパチリ!
志津川は”タコの街”としても有名だそうで、「西の明石(兵庫県)、東の志津川」と評されたようです。 -
それにしても嵩上げの規模がハンパないです!
嵩上げ堤防のその先に見える白い建物は、高野会館(こうのかいかん)。
南三陸の有名ホテル、観洋さんの関連の施設なのですが、2011年3月11日のあの時間、町内の老人会の催し物に集っていた方々を津波から守った建物でもあります。
4年半前の旅の記録は、こちら方に綴ってますのでもし宜しかったら見ていただければと思います。
「南三陸語り部バス」(2013.10.19)
http://blog.livedoor.jp/horizonblue21-trip/archives/3234938.html -
とても衝撃を覚えたこの光景!
あの震災の際に最後まで町民に避難を呼びかける案内放送をし続け、津波によって破壊されつくした「南三陸町旧防災庁舎」。
あの土地のすぐ間近まで嵩上げ工事は進み、まるで防災庁舎をそのまま埋め尽くすんじゃないか!と思うような勢いの情景に、目を疑いました。
GW初日の土曜日でありながら、工事に携わる人々は普段通りの作業をしているようで、乾ききった嵩上げ地を土埃を立ててダンプカーが縦横無尽に走り回ります。
4年半前のあの日見た光景の残像を探そうにも、面影を見つけることが難しくなっている現実。
着実に復興に向けて工事は進んでいる一方で、敢えて震災の痕跡を埋め去ってしまうような勢いをひしひしと感じ、呆然としながらカメラにその光景を収めました。 -
当初の到着予定は11時半頃を見込んでいたものの、実際には1時間近くも早く到着した故、時間的余裕はたっぷり!
さんさん商店街の食事処も11時の開店を目指し準備に追われている刻。
まださほど人出もなく落ち着いた雰囲気が漂っています。 -
商店街をざっと見て回っているとある場所で足が止まりました。
佐良スタジオという写真館。
「南三陸の記憶」という写真展が開かれていたので入場することに。
あの日の大地震と、その後の津波によって志津川の街の姿が変容していく様を、この街で暮らし写真館を構えてきた佐藤信一さんが避難した高台にある小学校から必死に撮った写真の数々。
「写真の力を信じて」目の前に現れる過酷な現実を必死に写真に収めたのは、ただただこの街のありのままの姿を残すことで、いつか必ず復興の力になる!との信念だったからのようです。
あの日以降、この街の人たちがどのような日々を送り、どんな歳月を重ねて今に至ったか!
写真を通じて窺い知ることができます。
1枚1枚の写真と対話するかのように、目に焼き付けながらこの7年余りの時の流れを考えさせられました。
たとえ物見遊山でこの”南三陸さんさん商店街”を訪れたとしても、ここ佐良スタジオに展示されている写真だけは一人でも多くの人たちに見て欲しい!
僕も心からそう感じた一人です。 -
写真館を出ると徐々にさんさん商店街の賑わいが増して来た事に気づかされ・・・
時計を見やると11時を15分ほど過ぎていました。
食事処の店先には、どの店に入ろうかと思案する人たちの群れ。
混雑する前に昼食にしようか!と母と相談し、入りたい店を決めてもらい選んだ場所がこちら。
創菜旬魚はしもと。
南三陸キラキラ丼。
3月4月は「キラキラ春つげ丼」といい、地域の春野菜と旬の海産物を丼に乗せた逸品が提供されるのだとか。
各店舗によって創意工夫がなされ、どの店も食欲をそそられるような丼。
こちらの店は丼だけではなく新鮮な刺身、メカブの天ぷら、わかめの酢の物などもついていて食材豊富!
目に鮮やかで気分が浮き立つかのよう。
食事後、土産物を買い求め宅急便の手配を済ませ・・・
12時を回るとドンドン賑わいが増して来たので次の目的地へ向かうことに。
国道45号線を北上します。
山の斜面を削り造成が終わった場所には真新しい家々が立ち始め、スーパーやホームセンターも出店し始め、志津川の街は少しづつ新たな街づくりが軌道に乗り始めているかのよう。
一方で南三陸のもう一つの街、歌津の周辺はというと・・・
同じ町内でありながら決して同じ足どりで事が進んでいるようではなさそうで、その点がちょっと気になりました。
さすがに個人の住宅があの日のまま取り残されているなんて光景こそなくなったものの・・・
津波によって橋脚が流されたままのJR気仙沼線の軌道など点在しています。 -
好天で温かな連休初日。
気仙沼の市街地を大きく迂回するようにバイパス道を北進し唐桑半島を目指します。
そのまま半島を南下し続けると次の目的地に到達。
唐桑半島ビジターセンター。
こちらの施設には「津波体験館」というものがあるらしく、映像と装置によって疑似体験ができるのだとか。
どんな物か体験してみようと思ったのと、気仙沼の土地について詳しく知りたかったため見学することに。
殆ど人がいなくひっそりとしています。唐桑半島 自然・景勝地
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ひとしきり展示物を見学してから津波体験館へ。
入場料を支払い、係員に誘導された場所は目の前に大きなスクリーンがある50人ほどが入れる椅子席のスペース。
11分間の映像は東日本大震災のことも取り上げており、あの日の映像を見ながら揺れと津波の大きさを同時に味わえる迫力?!
全体的にやや年季の入った施設ではありますが、展示内容はとても分かりやすく、またこの地域が過去から何度も大きな津波を体験してきた地域であることをきちんと紹介していました。 -
この春は桜前線もあっという間に過ぎ去ってしまい、GWにサクラを観る機会はないだろう!と思っておりましたが・・・
八重桜が片隅に咲いていたのでパチリ! -
次の目的地はこちら。
巨釜半造。巨釜半造 自然・景勝地
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駐車場には10台ほどの車が。
海に向かって歩きやすい遊歩道が整備されています。 -
数分歩くと折石が見えてきます。
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海の碧、空の青。
海風が肌に心地よい連休初日の午後。
陽光が眩しく、穏やかな海を見ているだけで心が安らぎます。
普段、海なし県に暮らす自分にとって、子供の頃から海への郷愁はとても強いものがあり・・・
このような海が一体どうして、あの日あれだけの猛威を振るって人や街に襲いかかったのかふと信じられなくなります。 -
陸前高田方向の広田湾を眺める構図。
風の強い場所なのでしょう。
松林がやや斜めってます(笑)
当初はここの見学を終えたら初日の宿へと向かう予定だったのですが・・・
時刻はまだ午後3時前。
チェックインには早すぎるので、もう1箇所足を延ばすことに!
せっかく宮城県の北の端まで来たんですもの。
やっぱ行かなきゃネ! -
唐桑半島の付け根の辺りで再び国道45号線に合流、そのまま岩手県陸前高田を目指して北進。
リアス式海岸の起伏ある道路を上り下りしながら、気がつけば県境を越え・・・
津波の襲来によって破壊されたままになっている気仙中学校の校舎を右手に見やれば、目的地はすぐそこ。
一本松茶屋に車を停めます。一本松茶屋 お土産屋・直売所・特産品
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4年半、国道45号線に閉口するように嵩上げ用の土砂を運ぶために設置されていたベルトコンベヤーは撤去されたものの、相変わらず工事が終わる気配を感じられません。
一本松茶屋周辺もまた、4年半前とは違った形での荒涼さで覆い尽くされていて・・・
この先の果てしなさをひしひしと感じさせられます。 -
以前よりもさらに奇跡の一本松に辿り着くまでに歩く距離が伸びた気がするのは僕だけでしょうか・・・
その分、前回ここに来た時と若干違った角度から、あの光景が俯瞰できます。奇跡の一本松 名所・史跡
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4年半前と変わらぬもの、様変わりしたもの。
参考までに前回この地を訪れた時の旅の記録も紹介させていただきますネ!
「『奇跡の一本松』の街で・・・」 (2013.10.17)
http://blog.livedoor.jp/horizonblue21-trip/archives/3233997.html -
4年半前のあの日にはなかったこのタイルのモニュメント。
やなせたかし氏の手掛けた作品。 -
震災を象徴するモニュメントとしての”奇跡の一本松”と、津波の威力によってえぐい形に破壊された高田松原ユースホステル(震災遺構)。
その背後には、僕にとっては初めて目の当たりにした津波防潮堤。 -
気仙中学はこの先、震災遺構として保存されるのでしょうか・・・
そして、背後の山を造成し新たな街がたとえ片鱗であったとしても見えてくるまでに、一体この先どれだけの歳月を必要とするのだろうか・・・ -
軌跡の一本松を見学後、元来た道を戻りつつ、旧高田松原の道の駅を見学したかったのだが・・・
生憎、国道45号線の嵩上げ工事と重なったらしく行けず仕舞い。(涙) -
タピック45の前で営業していたガソリンスタンドの看板には、あの日押し寄せた津波の威力を知らしめるべく記録が示されていたのだが・・・
嵩上げ工事に伴ってこの看板も撤去されるのだとか。
目に見える形で人々に震災の大きさを物語っていた事物が一つまた一つ無くなっていき、一方で復興の槌音はこの先も延々と続いていくわけで・・・
7年経って課題の多さを改めて感じてしまいます。 -
こうして現在の陸前高田の奇跡の一本松周辺の地図を眺めていると、7年前のあの日の想像以上の規模の津波が、この街のありとあらゆるものを破壊し流し去ってしまったのだなぁ!と。
確かに4年前よりも人の息づかいこそ感じられるようになったものの・・・
それでもまだこの地域の復興は道半ば!
また数年後、3度この地を訪れようと心に決めて・・・ -
一本松茶屋に到着。
”醤油ソフトクリームあります”の案内に誘われて買い求めることに(笑)
しっかりとしたミルクの味わいにほんのり醤油の香りが相まって、案外バランスよい食べやすさ。
みたらし団子にクリームを合わせたかのような・・・
陸前高田で200年以上続く老舗の醤油屋さん 八木澤商店が経営するこの店舗の中には品数多い醤油の他にもたれやつゆ、ドレッシングなども陳列されています。 -
他にも土産物処や軽食コーナー、インフォメーションセンターやトイレが完備しており、奇跡の一本松の後の休憩場所として役割を果たしているようです。
この後は再び国道45号線を南下し気仙沼に。
今宵の宿へと向かいます。
どこに行っても好天に恵まれ、渋滞もせずスムーズに観光・行楽に興じた連休初日でした。
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この旅行記へのコメント (2)
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- nagiさん 2018/10/10 23:56:01
- いいね!ありがとうございました
- いいね!から訪問させていただきました。
GWに南三陸に行かれたのですね!
過去ブログも拝見して過去の南三陸と今の変容がさらによくわかり参考になりました。
初めて行きましたが被災の移り変わりに色々と感じることが多かったです。
車で移動できると見られる範囲が広がりますね。
- 群青さん からの返信 2018/10/11 20:04:45
- Re: いいね!ありがとうございました
- >nagiさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
自分にとって3.11はたとえ何年経っても決して忘れる事の出来ぬ、いや、風化させてはならない出来事として、ずっと心の中にあります。
nagiさんの文章を読ませていただいたときに、同じようにその事を大切に感じ実際に現地に足を運んだ方がいらっしゃることに心強さを覚えましたし、見たまま感じたままを文章に残していくことの大切さを改めて教えていただいたように感じました。
過去のブログの方も見てくださったとの事。
今年のGWの宮城三陸旅は、2013年秋に十分見て来られなかった場所への訪問と、あの時訪れた場所の変化の有無を我が眼で確認したいがための旅でした。
変わったもの、変わらないもの・・・
南三陸だけでなく、これからも機会を作って定期的にいろいろと訪れたいと強く感じた旅でありました。
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