天園－2019年師走

2019/12/16 - 2019/12/16

　「天園」とは、かつての鎌倉市・横浜市の最高峰の大平山一帯のことで、山頂（標高は162m～164mの範囲）からは安房・上総・下総・武蔵・相模・伊豆の国々を望むことができることから六国峠と呼ばれていた。この山頂から今泉不動に向かう街道、建長寺方面に向かう街道、瑞泉寺方面に向かう街道が岐かれていた。現在は大平山は昭和38年（1963年）に掘削され、平らな大平平になっている。そのために、中腹にある五差路を天園峠と呼んでいる。かつて源頼朝は現在の天園峠を通って奥州平泉に遠征し、凱旋した。すなわち、天園峠には軍事道路が通っていたのだ。
　時代が下って、大正10年（1921年）に現在の天園休憩所が営業を始めた。この頃は大平山に上る人が増えたということであろう。日露戦争でロシアのバルチック艦隊を撃破したあの日本海海戦を指揮した東郷平八郎（弘化4年12月22日（1848年1月27日）～ 昭和9年（1934年）5月30日））元帥が、昭和初期に、「天国の園に遊ぶ」ということを夢見て、六国峠の周辺を「天園」と呼んだ。したがって、「天園」の名が出てきたのは昭和に入ってからのことである。また、天園休憩所のご主人等によって獅子舞谷に銀杏の木や楓（もみじ）の木などが植林されたのも昭和初期のことである。
　天園峠の展望岩や峠の茶屋跡から見える富士山は木々の枝葉が邪魔しており、富士山のビュースポットとしては劣っている。また、かつての大平山を削って平坦にした大平平の崖の縁からも木々の枝葉に邪魔され、富士山は半分しか見えない。このことから、ここ天園周辺の最も優れた富士山のビュースポットはかつての大平山山頂であったのであろうと考えられる。ここは鎌倉市・横浜市の最高峰の山であり、西側が開けていれば、間違いなく富士山が綺麗に見えたであろう。天園峠からこの山頂まで来て、ここで富士山を眺めた後に、建長寺方面や今泉不動方面に向かったのであろう。
（表紙写真は峠の茶屋跡から見える富士山）

エリア 鎌倉(神奈川)

天園峠。

天園峠。

天園峠の建長寺方面。

天園峠の円海山方面。

天園峠の瑞泉寺方面。

天園峠の尾根道入口。

展望岩。

展望岩。

展望岩から見える富士山。

展望岩から見える富士山。

天園の紅葉。

峠の茶屋跡。

峠の茶屋跡。

峠の茶屋跡から見える富士山。

峠の茶屋跡の石柱。市境か。

公衆トイレ横に「通行止」看板。横浜市栄区が設置したもの。

公衆トイレ。

公衆トイレの手洗い。

「この水はのめません」看板。

大平平。かつてこの辺りに聳えていた大平山の頂きからは富士山が望め、大正時代には多くの人たちが富士見に訪れたのであろう。

鎌倉カントリークラブのクラブハウス。手前の並木が切られている。

手前の並木が切られた鎌倉カントリークラブのクラブハウス。

切られた手前の並木。

伐採された並木。

山が半分削られて駐車場になっている。

「トビに注意」看板。

大平平。かつての大平山の跡だ。

「火気の使用禁止」看板。

俗称「大平山」。大平山が掘削されて大平平になった際には160.5mの標高があり、鎌倉市最高峰であった。その後、駐車場として山半分が掘削され、現在のような残骸が残っている。

鎌倉カントリークラブのクラブハウス。

鎌倉カントリークラブのクラブハウスの右に大平山が聳えていた。。

クラブハウスの向こうに八景島。

俗称「大平山」山頂。

俗称「大平山」山頂。

俗称「大平山」山頂にある鎌倉市一級基準点。

「トビに注意」看板。

「大平山」看板。

「街区三角点節点」（３級公共基準点相当）。地表から37cm浮いている。
国土交通省のホームページの「～街区基準点等及び都市官基準点Q＆A～ 」（http://gaikuchosa.mlit.go.jp/gaiku/html/info3.html）には、
「また、地震等の影響により補正が必要な基準点のうち、一部の市区町の街区基準点等は補正を行っていない等の理由によりX座標、Y座標、標高の情報提供をしておりません。」とある。これほど（37cm程度）も浮いてしまっているのであるから、「補正が必要な基準点」であろう。この「街区三角点節点」（３級公共基準点相当）に代わり、「鎌倉市一級基準点」が設置されたのであろう。

山頂の岩。

鎌倉市一級基準点。

天園峠の岩肌の道。

天園峠の岩肌の道。

天園峠の岩肌の道。

天園峠の岩肌の道。

天園峠の岩肌の道。

天園峠の岩。

天園峠の岩肌には穴。

天園峠の岩肌には穴。

天園峠。