2019/12/07 - 2019/12/07
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アジア好きの晴れおじさんさん
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今年6月、太宰治の「津軽」を追体験した一泊二日の旅行記を(その1)と(その2)に分けて投稿しました。今回、それを補足するような趣旨で再び津軽を訪ねたので、(その3)、(その4)として投稿させていただきます。
少しでも太宰ファンの方の参考になれば幸いです。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 新幹線 JRローカル 私鉄
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旅行三日目。
「リゾートしらかみ2号」で五所川原に向かいます。 -
今日は、車窓から岩木山を拝むことができます。
「津軽」で太宰は、「私はこの旅行で、さまざまの方面からこの津軽富士を眺めたが、弘前から見るといかにもどっしりして、岩木山はやはり弘前のものかも知れないと思ふ一方」と書いているけれど、まさにどっしりとした風格を漂わせています。 -
9時27分、五所川原駅に到着。
津軽鉄道のホームへ進んで、ストーブ列車に初乗車。 -
ストーブ列車は1両のみで、中にストーブが2台設置してありました。
なので、ストーブを囲む座席は4つしかありませんが、運よくその一つに座ることが出来ました。 -
乗車券のほかにストーブ列車券(400円)が必要。終点の津軽中里までは、合計で1,270円になります。
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アテンダントの女性は、客が買ったスルメを手際よくストーブに押し付けて焼いてくれます。
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私は歯の治療中でスルメを噛み切る自信がないので、「ストーブ酒」のみ購入。
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チビリ、チビリ飲みながら、アテンダントの熟練の手さばきを観賞。
隣に座った女の子は台湾人でしたが、日本語を勉強しているとのことで日本語での会話がかなり出来ました。撮影用にストーブ酒を貸してあげたり、自撮り棒での記念撮影に一緒に収まってあげたりと、シャイな私としては珍しく積極的に国際親善に勤しみました。 -
その女の子を含めて大半の乗客は「金木」で下車。
ガラガラになったところで向かい側の席に移動してきたオバサン方の記念撮影のシャッターを押してあげたら、お返しに私のカメラのシャッターを押してくれて、この1枚。
少し酔いが回っていたようで、にやけた顔が写っていました。 -
車内には、昭和の時代を思い出させる、ほのぼのとした空気が流れています。
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外も晴れてきて、青空が見えています。まさに至福のひと時でした。
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10時20分、津軽中里駅に到着。
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駅舎内では月に一度の「中泊大集合市」が開かれていて、ほどほどに賑わっています。
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太宰治のねぷた。下駄を履いていて、なかなかユニーク。
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今回、この駅に来た目的の一つがこれ。
金多豆蔵人形劇(きんたまめぞうにんぎょうげき)。 -
毎月第一土曜日に上演されていて、入場料は大人1,000円。
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旅行記に掲載する人形劇の写真を撮影するつもりで来たのに、この掲示。
うーん、残念。 -
仕方なく、壁際に飾られている人形をパチリ。
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訪れた有名人の色紙
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その時の記念写真
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動画ならともかく、静止画を撮影させないとは………。
津軽弁のユーモアあふれる上演も、これでは評価が下がってしまいます。関係者に再考を促したいところです。 -
人形劇を鑑賞した後は、「中泊大集合市」で買ったイカ焼きとミニいくら丼の昼食。
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ステージでは、地元中学校吹奏楽部の演奏がなされていました。
そういえば、うちの次女も中学から高校まで吹奏楽部に所属していました。高校では青森市で開催された東北大会に出場。妻とともに応援に来たことがありました。
失礼ながら、テンポが緩くて下手くそな演奏が当時を思い出させてくれました。 -
さて、津軽中里駅に来たもう一つの目的は、これ。
外に出るとすぐ先にバス停留所がありましたが、「津軽」で太宰は、ここからバスに乗って「たけ」のいる小泊に向かいます。 -
現在、小泊行きは、一日6便だけのようです。
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「津軽」では、太宰がバスに乗る前に親戚筋の娘さんから声を掛けられる場面で、「指差された方角を見ると、駅から右手の緑の小山の上に(その娘さんの)新しい家が一軒立っている。」とありますが、緑の小山はこれなのかな?
今は数軒の家屋が建っていました。 -
帰りは、12時04分発の「走れメロス号」に乗車。
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車窓に、先のとんがった岩木山が現れました。
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「津軽」で太宰が書いた通り、弘前から見る山容と異なり、「端正で華奢な姿」で、「すこぶる美人である。」に納得。
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12時41分、津軽五所川原駅に到着。
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駅前は、積もった雪が溶けかかってビショビショ。ショートブーツを履いてきたのは正解でした。
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太宰が慕った叔母さん宅のお蔵を再訪。
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今回は、中に入ってみます。
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入館料は、大人200円。
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内部
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このお蔵は、平成23年に一度解体された後に復元したものだそうですが、床材などは以前のものを再利用していて、
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この蓄音機も太宰の兄が斜陽館で使っていたものだとのことでした。
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展示物で注目したのがこの写真。スタッフによると、真ん中の女性は、「津軽」で太宰を乾橋に案内した「けいちゃん」だとのこと。現在は、90歳を超えているけれどご健在だとのことでした。
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五所川原駅に戻って五能線で「木造(きづくり)駅」へ移動。
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ここでも、岩木山は、先のとんがった華奢な姿を見せています。
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木造駅
何の工事なのか足場が組んであって、シンボルの遮光土偶の像が隠れています。 -
ズームアップ
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駅前には、こんなレトロな建物がありました。
ここは、太宰の父親が生まれた町。
「津軽」では、「その父が、どんな家に生まれて、どんな町に育ったか、私はそれを一度見て置きたいと思っていたのだ。」として、M薬品問屋を訪ねています。 -
斜陽館と間取りが似ていたという、その建物が残っているなら見てみたいと思って、旅行前に「木造 太宰治」で検索したら、「東京紅団(とうきょうくれないだん)」という団体のHPがヒットして、会員が調査した結果が掲載されていました。
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それによると、その建物は既に取り壊されているものの、「津軽」に出てくる「コモヒ」などは、通りに一部残っているとのこと。
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それならと、今回の旅の締めに木造の町を歩いてみることにしたのです。
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10分ほど歩いた先に、東京紅団のHPに写真が載っていた「つがる警察署」の建物がありましたが、今年3月に新庁舎に移転したとの掲示があって、空家になっていました。
「津軽」に「木造警察署の看板を、もくぞう警察署と読んで、なるほどもくぞうのの建築物、と首肯き、はっと気づいて苦笑いなどした。」とある木造警察署は、きっとこの場所にあったのでしょう。 -
この付近にも、太宰が歩いた当時に既に建っていたようなレトロな建物がありました。
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さらに少し進むと、コモヒが現れました。
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太宰と同じようにコモヒの下を歩いてみます。
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途切れ、途切れになっているものの、コモヒは今も、かなり残っていました。
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同上
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20分ほど歩いたところで、この薬局を見つけました。M薬品問屋は取り壊されているそうなので、これではないのでしょうが、一応、似た雰囲気を感じたところで引き返すことにしました。
※後で再確認したところ、M薬品問屋の跡地は、先ほどの警察署の少し先にあった郵便局のあたりだったようです。太宰は、躊躇して一度通り過ぎてから引き返してM薬品問屋を訪ねていますが、期せずして、同じような歩き方をしたことになります。 -
駅の近くまで戻ったところで、ポプラの木を見つけました。
「津軽」に「こんど津軽に来て、私は、ここではじめてポプラを見た。」とあるけれど、こんな感じだったのかな? -
駅舎のガラス戸の掲示。
さっき足場を見て何の工事なんだろうと思っていたけれど、木造(もくぞう)個所を改修中なのか………。
「もくぞう」でなく「きづくり」であることにハッと気づいて、私も苦笑い。
それでは、これにて「津軽」の追体験を終了とします。
完
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この旅行記へのコメント (4)
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- とべひよこさん 2019/12/29 12:08:03
- ご訪問ありがとうございます
- 私も学生時代(あえて何年前かは?)に太宰治にはまりました。みんなは暗いイメ-ジがありますが、人生(大げさですみません)を考える時期に出会うといいと思いますね。これから国語の教科は文学と文章の解釈・理解力になるとか?
教科書に文学作品があるから色々な本に目が行くのになあと思います。でも、本当には太宰文学を自分が理解しているとは言えませんけどね。
- アジア好きの晴れおじさんさん からの返信 2019/12/29 13:08:26
- RE: ご訪問ありがとうございます
- とべひよこ様
コメント有難うございます。
私の場合、中学、高校の教科書に出ていたと記憶する太宰治の作品は、「走れメロス」、「富嶽百景」、「御伽草子」など。
やはり、それらを読んだのがきっかけだったのでしょうか、あまり小説を読まない私も、大学に進学してから、「思い出」、「斜陽」、「人間失格」など太宰治の代表作は一通り読んでファンになりました。
還暦を過ぎた今読み返しても、唯一無二の美しい文章に陶酔してしまいそうになります。
これからも、太宰の作品を追体験するような旅行ができたらいいなと思っています。
よろしかったら、また御覧ください。
> 私も学生時代(あえて何年前かは?)に太宰治にはまりました。みんなは暗いイメ?ジがありますが、人生(大げさですみません)を考える時期に出会うといいと思いますね。これから国語の教科は文学と文章の解釈・理解力になるとか?
> 教科書に文学作品があるから色々な本に目が行くのになあと思います。でも、本当には太宰文学を自分が理解しているとは言えませんけどね。
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- yamayuri2001さん 2019/12/24 16:19:28
- 晴れおじさん、お久しぶりです。
- ストーブ列車、良いですね!
するめのにおいまで、感じることが出来ましたよ!
列車の中で いろいろな人とのふれあい、これこそが
旅の楽しみの一つですね。
青森も含めて、東北は今年は雪が少ないようですが
暮らしている人にとっては、楽でいいですね。
温暖化が気になることろではありますが・・・
どうぞ、良いお年をお迎えください。
yamayuri2001
- アジア好きの晴れおじさんさん からの返信 2019/12/24 20:17:12
- RE: 晴れおじさん、お久しぶりです。
- yamayuri2001様
コメント有難うございます。
ストーブ列車のダルマストーブは、私の場合、高校2年生まで学校にあってアルミの弁当箱を載せて温めたりした、懐かしのアイテムでした。
また、太宰治の作品は、あまり小説を読まない私の数少ない青春の書ですので、今回の旅は感慨深いものがありました。
私も太宰治と同様に寒がりなので暖冬は有難い反面、東北人のアイデンティティが薄れていくような寂しさも感じます。
ともあれ、お互いに、今後も楽しい旅が続けられますように!
旅運長久を祈念いたします。
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