2019/06/01 - 2019/06/02
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パドヴァからヴェネチアには二日通いました。
その間にアカデミア美術館、ドゥカーレ宮殿、サンマルコ寺院という三大名所の外に、今回は小さな美術館、そして教会、スクオーラ(同信組合)を回りました。
ヴェネチアには素晴らしい画家が大勢います。
ベッリーニ、カルパッチョ、ジョルジョーネ、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ・・・・・
そんな画家たちが教会やスクオーラに素晴らしい絵画を残しています。
その記録です。
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- 個別手配
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-
ヴェネチアの教会もイタリア各地の教会と同じようにさながら美術館のようです。
まずはスキアヴォーニ河岸から奥に入ったところにあるサン・ザッカリア教会です。 -
サン・ザッカリア教会の内部です。
こちらの教会は無料です。 -
この教会にジョヴァンニ・ベッリーニの傑作「玉座の聖母と諸聖人」があります。
1505年頃の作品です。
この頃ジョヴァンニ・ベッリーニは既に70歳を過ぎています。 -
当時の70歳って今で言えば確実に80代後半って感じでしょう。
それでいてこの出来!
本当に素晴らしい作品です。 -
アップです。
-
サン・ザッカリア教会のサンタ・タナシオ礼拝堂です。
こちらに入るのには拝観料が必要です。 -
サンタ・タナシオ礼拝堂を降りたところにあるクリプタ(納骨堂)。
地盤沈下で水に浸かっています。 -
そしてこの礼拝堂の最大の見どころはティントレットの「洗礼者ヨハネの誕生」です。
1563年頃の作品です。 -
ティントレットも75まで生きて多数の作品を残しています。
ジョヴァンニ・ベッリーニが85くらい
ティツィアーノも85くらい
ジェンティーレ・ベッリーニは78
ロレンツォ・ロットも78くらい
今ならともかく当時としてはびっくりするくらい長命です。
ヴェネチア派の共通点は長生きってことでしょうか?
当時としては平均寿命以上生きたであろうヴェロネーゼとヴィットーレ・カルパッチョの60歳が短命に見えてしまいます(笑)。 -
サンマルコ小広場から見たサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会。
この教会にティントレットの晩年の大傑作があります。 -
ティントレット「最後の晩餐」
1592年頃の作品です。
「最後の晩餐」と言えば横向きの作品と決まっていたのですがそれを縦にして描いています。
しかも当時の宴会風景を模しています。
特に使用人を中心にして描いたのが秀逸でしょう。
そして全体的に暗い中でキリストと上部にある灯火だけから灯が射しているのも素晴らしいです。
バロック絵画の到来を予想してたかのようです。
ただ飾ってある場所の関係もあって写真を撮るのが難しい絵ですね(笑)。
入場無料なので文句は言えませんが・・・・ -
アップです。
何枚も撮った中で奇跡的に良く撮れた写真です。
キリストがパンを口に運んでいるのがユダで、キリストの右隣りでひじをついて寝ているのがヨハネでしょう。 -
同じ構図の絵にティントレットが30年も前に描いた
「カナの婚礼」があります。
1561年の作品です。
ただこの作品は主題が拡散して「最後の晩餐」ほど劇的な感じがしません。
この作品はやはりヴェネチアのサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会の聖具室にあります。
入場料を取るのに写真撮影禁止でした。
なのでポストカードを買って写しました。 -
「最後の晩餐」の対面にはやはりティントレットの「マナの収集」があります。
やはり1592年頃の作品です。
モーゼの出エジプト記からの出典です。
エジプトで奴隷として惨めな暮らしを送っていたユダヤ人をモーゼが救います。
しかし、砂漠の中で食糧がなくなると飢えた人々が「こんなだったらエジプトにいたほうがましだった」とぶうぶう文句を垂れ始めます。
すると天からマナ(パンみたいなものだそうです)が降って来るという話です。
その後40年間、カナンの地に着くまで食料がなくなるとマナが降って来たそうです。 -
アカデミア美術館の近くにあるサンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ教会。
こちらも素晴らしい作品の宝庫です。 -
ジョヴァンニ・ベッリーニの「聖母と諸聖人」の祭壇画。
1488年頃の作品です。
ベッリーニが50代のころの作品で自分の作風を完成したころですね。 -
アップです。
-
そしてティツィアーノの代表作ともいえる「聖母被昇天」があります。
1516年頃の作品です。
ティツィアーノがまだ20代の頃の作品です。
実は自分はこの頃のティツィアーノが好きです。
後期、ティントレットみたいに色使いが暗くなりますがこの頃は色彩が明るく、しかもその感覚が素晴らしいです。
ラファエロの絶筆「キリストの変容」もこの頃ですが、上部は昇天していくマリア(ラファエロの場合キリスト)そして地上に取り残され神を求める人々という感じが凄く似ているような気がします。 -
アップです。
神の御許に昇天していく聖母マリア。 -
ティツィアーノはこの教会にもう一つ祭壇画を描いています。
「ペーザロ家の祭壇画」
1520年頃の作品です。
右上に聖母子がいます。 -
ただ「ペーザロ家の祭壇画」というだけあってペーザロ家の一族が描かれていてその辺がちょっと・・・・
仕方のないことなのですが、この頃は依頼者が絵の中に描かれていてそれが作品の質を落としてしまうことが多いですね。
ただメディチ家の人々とかユリウス二世あたりだと歴史的に有名人なので「ふーん、こんな顔なのか」と思ってこちらも甘くなることがありますが(笑)。 -
こちらはカノーヴァの墓碑です。
心臓だけが収められているそうです。
(もともとはティツィアーノの廟にするためにカノーヴァがデザインしていたものだそうです) -
変わりに造られたティツィアーノの記念碑です。
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第一礼拝堂に置かれたドナッテロの「洗礼者ヨハネ」の彫像です。
-
サンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ教会のそばにスクオーラ・グランデ・ディ・サンロッコがあります。
スクオーラとはイタリア語で「学校」の意味ですが、この場合は同信組合のこと。
共通の地域や職業の人が作った信徒会のことらしいです。
日本で言うと檀家が集まって建てた寺みたいなものと思うんですが違うでしょうか?
そしてこのスクオーラはさながらティントレット美術館と言えるほどティントレットの絵画であふれています。
ティントレット好きには必見の場所ですね。 -
一階は聖母マリアの物語が描かれています。
だいたいの絵が1583年から1587年にかけて描かれています。
まず「受胎告知」です。
いきなり窓から飛び込んできた天使ガブリエル!
そりゃマリアもびっくりするって話です。 -
この構図が相変わらず凄いです。
そして聖母マリアがまるでそこらの農婦みたいに描かれているのも面白いです。 -
「マギの礼拝」
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「キリストの神殿奉献」
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「エジプトへの逃避行」
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「嬰児虐殺」
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そして「聖母被昇天」で終わります。
マリアの下にいる天使、マリアを押し上げてるのでしょうが、なんか引きずりおろそうとしているように見えます(笑)。 -
二階に続く階段です。
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両脇にティントレットの絵が飾られています。
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こちらもティントレット。
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入り口から見た二階の部屋。
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二階の大広間。
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ドゥカーレ宮殿のように豪華な部屋です。
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壁にはキリストの物語、天井にはモーゼの物語が描かれています。
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「羊飼いの礼拝」です。
壁の絵は1578年から1581年にかけて描かれました。
マリアとヨゼフは二階にいます。
一階には牛や鳥が。
聖なるものと俗なものの対称がいいですね。 -
「キリストの洗礼」
キリストと洗礼者ヨハネは奥にいるのでちょっとわかりにくい絵です。 -
「ベトザタの池」
ベトザタの池に集まった病人をキリストが癒している場面です。 -
「キリストの復活」
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そして天井画です。
モーゼの出エジプト記の話です。
1577年頃に描かれました。
「マナの収集」
先ほども書いた通り、エジプトを出たはいいが砂漠で食糧がなくなり不平不満のユダヤ人にマナという食べ物が降ってくる絵です。 -
こちらは「岩から水を出すモーゼ」
砂漠なので飲み水がなく「水が欲しい!」と喚くユダヤ人たちのために岩から水を噴出させるモーゼです。
ともかくこのユダヤ人たちせっかくモーゼに奴隷の身分を解放させてもらったのに、モーゼが十戒を取りに行って留守にすると、「モーゼは死んだ!」とか言って偶像を作って騒ぐし、我が儘放題でモーゼに同情したくなります。 -
「青銅の蛇」
これもユダヤ人の我が儘物語。
モーゼが十戒を取りに行く間に偶像を作って大騒ぎした罰で、エジプトを出たユダヤ人は約束の地を与えられるのを30年も伸ばされます。
砂漠を放浪する苦しみに耐えきれずモーゼに不平を言うユダヤ人に腹を立てた神が炎の蛇を送ります。
その蛇にかまれた人が次々と死んでいきます。
民がモーゼに許しを請い、モーゼは神の言いつけに従い青銅で蛇を作り旗竿につけます。
その蛇を見たものは炎の蛇にかまれても死ななかったという話です。 -
そして二階にはもう一つ部屋があり正面に非常に大きな「キリストの磔刑図」があります。
-
1565年頃の作品です。
ドゥカーレ宮殿にもこんな感じで大作の「天国」が飾られていますが、自分的にはこの絵のほうが好きです。 -
中央部分のアップです。
当然十字架にかけられているキリストが描かれています。 -
左側部分です。
今まさに十字架が立とうとしている罪人の絵。 -
右側にはこれから磔にあおうとしている罪人とたくさんの群衆が。
非常に劇的で素晴らしい絵だと思います。 -
天井にはこの信徒組合の名前にもなっている「聖人に叙される聖ロッコ」が。
聖ロッコはラテン語では聖ロクスです。
1295年にフランスの総督の息子として生まれ、20歳の時に両親が亡くなったのを機に全財産を貧しい人に寄付しローマ巡礼の旅に出ます。
ローマではペストの治療にあたりました。
彼が患者の上に十字架の印をするとたちどころに患者は治ったそうです。
ただ、スパイの疑いをかけれれて投獄され獄死したそうです。 -
ティツィアーノの作品が二つありました。
「十字架を運んでゴルゴダの丘に向かうキリスト」
1506年頃ティツィアーノ初期の作品です。
ティツィアーノの生年は1488年とも1490年ともいわれれいるので、いずれにしてもまだ十代の頃の作品で、彼の早熟ぶりがわかります。
一時はジョルジョーネの作品なのではないかと言われたそうです。 -
左側の老人が誰なのか?
いくら調べても判りませんでした。
ひょっとしたら依頼者? -
もう一つ
ティツィアーノ「受胎告知」
1535年頃の作品です。
先ほどのティントレットのびっくり感はないですが非常に美しい作品です。
ティツィアーノ40代後半、脂の乗り切ったころの作品ですね。 -
そして正面にうつっている建物がサン・ザッカリア教会のそばにあるスクオーラ・ダルマータ・サンジョルジョ・デッリ・スキアヴォーニという長ったらしい名前のスクオーラです。
現在はクロアチアにあるダルマチア地方の人々が作った同信組合だそうです。 -
内部はかなり暗いですが、写真撮影は可です。
どこでも混んでいるヴェネチアにしてはあまり訪れる人がありません。 -
けれども、一階にはヴィットーレ・カルパッチョの絵がたくさん飾られています。
カルパッチョが十年の歳月をかけて描いた「聖人たちの生涯を逸話を描いた連作」です。 -
どれも本当に素晴らしいです。
-
まずは「竜を退治する聖ゲオルギウス」
1502年の作品です。
聖ゲオルギウスはイタリア語では聖ジョルジョ。
パドヴァのサンジョルジョ礼拝堂にアルティキエーロが同じテーマで描いた作品があります。
数あるゲオルギウスの竜退治でも一番好きな作品かもしれません。
ゲオルギウスは古代ローマの最後の頃トルコのカッパドキア生まれ。
騎士となってパレスチナに向かう途中リビアのシレナという町に立ち寄ります。(トルコからパレスチナに向かうのにリビアによるとはすごい遠回りですが・・・・)
その町は恐ろしい竜によって苦しめられ、それを回避するために人身御供を差し出さなければなりませんでした。
その人身御供をくじで決めていたのですが、なんと今回は王女が当たってしまいました。
そこを通りかかったゲオルギウスは町の人々がキリスト教に改宗するのなら倒してやると約束します。 -
右側のアップです。
アップにすると竜に食われた死体なんかがあって結構残酷です。
そして一番右にくじで当たり人身御供になった王女が描かれています。 -
左側のアップ。
こちらはかなり凄惨な絵が描かれています。 -
「聖ゲオルギウスの勝利」
竜を退治したゲオルギウスは竜を連れてシレナの街に戻ります。 -
「聖ゲオルギウスのシレナの洗礼」
喜んだシレナの人はみなゲオルギウスによって洗礼を受けキリスト教徒になります。 -
「皇帝の愛娘を癒す聖トリフォン」
聖トリフォンは3世紀の人。(多分東欧の人)
葡萄職人で熱心なキリスト教徒でした。
17歳の時神の啓示を受けてローマに行き当時の皇帝の娘の病気を治します。
が、古代信仰に凝り固まったデキウスがローマ皇帝になると迫害され殉教します。
モンテネグロのコトルは聖トリフォンを守護聖人として祀られ、聖トリフォン教会があります。
ブルガリアでもワインの守護神として信仰されているみたいですね。
ただエピソードがあまり有名ではなかっただけにこの絵はよくわからなかったです。
後で調べると主役の聖トリフォンはどうやらもっと左にいるみたいなのですが、あまり目立っていません。(なので写真を写さず大失敗しました)
そして右側に皇帝がいるのはいいのですが、真ん中にいる男の子みたいに見える子供が愛娘?
そして最大の疑問はその右にいる竜の子供みたいなのはなんだ?ってことです。(最初、この絵も聖ゲオルギウスの話かと思っていました)
背景はヴェネチアのようですね。 -
「ライオンと聖ヒエロニムス」
1502年頃の作品
聖ヒエロニムスは聖書を始めてラテン語に訳した学者です。
けれどもライオンとのエピソードが一番有名です。
聖ヒエロニムスが修道院長をしていた修道院にライオンがやってきます。
修道士たちは逃げ回りますが、ヒエロニムスだけは泰然としています。 -
実はライオンは足に棘が刺さっていてそれで苦しんでいたのでした。
聖ヒエロニムスが棘を抜いてやるとライオンは彼に懐いてしまい、それ以降ずっとヒエロニムスの言うことを聞いたというエピソードです。 -
「聖ヒエロニムスの葬式」
1502年頃の作品。
わかりにくいかもしれませんが、右上に聖ヒエロニムスが助けたライオンが座っています。 -
「聖アウグスティヌスの幻視」
1502年頃の作品です
聖アウグスティヌスも学者です。
「神の国」という著作があります。 -
そしてキリストの物語も。
右が「聖マタイの召し出し」
左が「オリーブ山の祈り」 -
「オリーブ山の祈り」
別名「ゲッセマネの祈り」
最後の晩餐の後キリストは弟子を連れてゲッセマネにあるオリーブ山に行き、十字架刑を受ける苦悩を祈ります。
しかし見張りを頼まれた弟子はみな眠ってしまい、イエスに叱責されるという結構トホホな話です。 -
「マタイの召し出し」
後にカラヴァッジョが描いています。 -
そして二階もカルパッチョの絵こそありませんが美しく装飾されています。
-
そして美術館巡りをいたしました。
ヴェネチアにはアカデミア美術館があり、主要な作品はそこにおさめられていますが、意外にもどの美術館も作品は結構充実しています。
サンマルコ広場、サンマルコ寺院の対面にある建物の中に入っているコッレール博物館に行きます。
かつてはヴェネチアの行政官の執務室だっただげあって豪華な内装です。 -
内装だけでも一見の価値があります。
-
チケットはドゥカーレ宮殿との共通券です。
時間の都合上ドゥカーレ宮殿は見てもこちらは見ずに帰る方が大半ですが、内装は綺麗だし、なかなかいいコレクションを持っているので一見の価値があると思います。 -
また、人が多くて並ぶこともあるドゥカーレ宮殿でチケットを買うより、人のいないこちらで買ったほうがずっと楽です。
自分はドゥカーレ宮殿に入る前日にここでチケットを買い、次の日にドゥカーレ宮に朝一で行きチケットを持っている人の列に並びました。
団体客のほうが先に入場するという誤算はありましたが、団体客が中庭でガイドさんの説明を聞いたり、トイレ時間を取っているすきに無事一番でドゥカーレ宮殿に入ることが出来ました(笑)。 -
天井画です。
凄く豪華です。 -
こちらも天井画です。
-
こちらはチェーザレ・ヴェッチェロという画家が描いた1586年頃のサンマルコ広場の絵。
今とそれほど変わっていません。 -
そしてこの博物館の目玉がヴィットーレ・カルパッチョの「二人のヴェネチア婦人」
1490年頃の作品です。
カルパッチョはジョヴァンニ・ベッリーニより30歳ほど年下で、ジョヴァンニの兄ジャンティーレの弟子だそうです。
二人の陰に隠れている感はありますが、アカデミア美術館にある「聖ウルスラの物語」は大傑作だと思います。 -
「二人のヴェネチア婦人」の上部
上の貴婦人はなにを見つめているのでしょうか? -
「二人のヴェネチア婦人」の下部。
そして下の貴婦人が遊んであげている犬の胴体がありません。
実はこの絵多分大きな絵を少なくとも3枚に分断したのではないかと考えられています。
アメリカのロサンゼルスのポール・ゲッティ美術館にカルパッチョの「ラグーナの狩猟」という絵があるのですが、それがこの絵の上部になると考えられています。
そしてその二つの絵の左側にもう一つの絵があったのではないかと・・・・
その絵には上の婦人が見つめているものが描かれているはずです。 -
当時のヴェネチアの風俗も判る貴重な絵でもあります。
-
同じくカルパッチョの描いた「ドージェ・レオナルド・ロレダンの肖像」
1500年頃の作品です。
ドージェ(ドゥカーレ)は元首の意味。
ヴェネチア共和国の大統領ですね。 -
こちらはカルパッチョの師匠ジェンティーレ・ベッリーニが描いた「ドージェ・ジョヴァンニ・モセニゴの肖像」
1478年くらいの作品です。
ベッリーニ家には三人の有名な画家がいます。
父親のヤコポはヴェネチア派の創立者と言われる画家で聖母子像が有名
その息子のジャンティーレは肖像画を多く描きましたが、聖十字架伝説を描いた連作が有名でなかでも有名なのがアカデミア美術館にある「サンマルコ広場の聖十字架の行列」です。
そして弟のジョヴァンニが一番有名で聖母子像を何枚も描きました。
ジェンティーレ・ベッリーニの肖像画は非常にリアリティに富み、ブダペストの西洋美術館にある「カタリーナ・コルナーロの肖像」は描かれた本人は凄く嫌だったろうなと思います(笑)。 -
ティントレットの絵もありました。
-
ピーテル・ブリューゲル(ただし息子の方)「マギの礼拝」
1600年頃の作品。
この人はずっとお父さんの手伝いして、後にはお父さんの作品の模写をして売ったようです。
ですからこの作品もお父さんの作品のコピーです。 -
ヒエロニムス・ボス「聖アントニウスの幻視」
ルネサンスの水木しげると言ったら怒られるでしょうね。
15世紀にネーデルランドで活躍した画家です。
今から500年以上も前にこんな絵を描いたのですから、とんでもない天才です。
この人、なんでもない作品にも必ず隅のほうに変な物体を描くのが好きです。
ましてや「幻視」というからには通常の世界と違うわけですからなんでも描けます。
そこでボスの趣味が満載の絵になっています。
好きな人は大好きなんでしょうけど、嫌いな人は見るのも嫌って言う画家でしょう。 -
やはり同じころフランドルのゲントで活躍したヒューゴ・ヴァン・デル・フースの「磔刑図」です。
ボスの後に見るとホッとします(笑)。 -
ちなみに今回アカデミア美術館に本来はドゥカーレ宮殿で保管しているボスの作品がいくつか展示されていました。
あまりにもアカデミア美術館の他の作品とそぐわないのでここに置きます(笑)。
(さらに言えばアカデミア美術館はほとんどヴェネチアの画家の作品なのでネーデルランドのボスとは合わないと思いますので)
ヒエロニムス・ボス「三連画」
1505年頃の作品。 -
真ん中の絵、右の絵はまあいいとして、左の絵はすごいです。
修道士の右隣には明らかに人間と思えない小ささの二人の小人がいます。(しかも一人は素っ裸) -
その下はもっとすごくて、もうわけがわかりません(笑)。
-
さらに下です・・・・
-
そして「聖女ユリアの磔刑」
1500年頃の作品です。
これはこの人にしては普通かなと思っていたら、やはりと言う感じでした。 -
左側の絵の右下隅にこんなわけのわからないものが描かれていました(笑)
-
そして天国と地獄の絵も飾られています。
こちらは「地獄」
2枚のパネルになっています。
1500年頃の作品。 -
まあこれは地獄の絵なのでよくわかります。
-
よくわからないのがこちらの天国の方。
やはり1500年頃の作品で2枚のパネルになっています。
右側、天国に誘われる人々が描かれているのですが、ブラックホールならぬホワイトホールに吸い込まれるって感じですね(笑)。 -
左側の絵は天国の情景を描いたもの。
でもこんな蝙蝠の羽が生えた天使に優しくされても、なんか思惑があるとしか思えません。
絶対に後でひどい目にあうだろうなって思ってしまいますね(笑)。 -
しかも天国の人間の姿がなんか貧相でご飯をちゃんと食べてるのかなって感じです。
日本の餓鬼草紙を思い出してしまいました(笑)。 -
こちらも天使に天国に誘われるというよりは、悪魔に地獄に連れ去られるって感じです(笑)。
でもこれらの作品を見たおかげで結構この画家が好きなっていました(笑)。 -
大運河に面しリアルト橋のそばにある「カ・ドーロ」
「カ・ドーロ」とは「黄金の館」という意味でかつては大運河に面したファサードが金で装飾されていたのでそう呼ばれています。
元々は15世紀にヴェネチアの有力貴族コンタリーニ家が建てました。
現在ではフランケッティ美術館になっていて素晴らしい絵が公開されています。 -
なんと言ってもこの美術館の至宝はマンテーニャの「聖セヴァスチャン」でしょう。
1506年作
マンテーニャはこの構図が好きで同じような絵がウィーンの美術史館とパリのルーブル美術館にあります。 -
「聖セヴァスチャン」と言えばソドマやグイド・レーニの絵が有名です。
その二枚の絵が美しさを追求したのに対してこの絵はあくまでもリアリズムを追求しています。 -
ヴィットーレ・カルパッチョの「聖母マリアの連作」が
1504年頃に描かれているみたいです。
これは「受胎告知」です。 -
そして「聖母マリアのエリザベッツ」訪問
エリザベッツは預言者ヨハネの母で聖母マリアの親戚でもあったみたいです。 -
「聖母マリアの死」
このほかミラノのブレラ絵画館に
「聖母マリアの神殿奉献」
「聖母マリアの結婚」
があって5部作になっています。 -
ティツィアーノ「鏡にうつるヴィーナス」
1550年頃の作品。
とにかく多作の人です。
そして同じ構図で描かれた絵が多いのもこの人の特徴です。 -
そのティツィアーノの弟子だったパリス・ボルドーネの「眠れるヴィーナスとキューピッド」
1540年頃の作品です。
パリス・ボルドーネはヴェネチアの近郊トレヴィーゾで生まれヴェネチアで活躍した人です。
ティツィアーノの弟子でしたが師匠には不満を持っていたようで、後にマニエリスムの方に転向したそうです。
当時は師匠をしのぐほどの人気があったそうですが、今はヴェネチア三大巨匠の陰に隠れてしまった感もあります。 -
カ・ドーロの二階のテラスから見たヴェネチア市街です。
-
そしてフランチェスコ・グアルディの絵が二枚並べて飾ってありました。
-
フランチェスコ・グアルディ「サンマルコ広場から見たサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会」
1775年頃の作品です。
印象派あるいはターナーを先取りしたかのような作品です。 -
アップです。
精密に風景を写し取ったカナレットとは対照的です。 -
フランチェスコ・グアルディ「サンマルコ小広場から見たサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会」
1770年頃の作品です。 -
アップです。
やっぱりこの人の作品大好きです。 -
やはり大運河に面しアカデミア美術館のそばにあるカ・レッツォーニコ。
1750年に完成されたバロック建築です。
この建物が「1700年代ヴェネチア博物館」となっています。
入るとまず当時の大広間が迎えてくれます。 -
バロックと言ってもロココ風味も入っていています。
-
ドイツ・ヴュルツブルクのレジデンツの階段広間に似ているなと思いました。
-
そのレジデンツの天井画を描いたティエポロの天井画もあります。
-
これもティエポロ作の天井画です。
-
その他にも美しい天井画が残されていて、この点はカ・ドーロより華やかです。
-
この博物館は天井画が一つの見物になっています。
-
ブルーの天井にトンドの天井画が栄えて素敵です。
-
17世紀のヴェネチアのお屋敷がそのまま残っている感じです。
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肝心の絵画ですが、17世紀というよりは18世紀のもの中心でした。
カナレットの「リオ・ディ・メンディカンティの運河」
1723年頃の作品でカナレットの最初期の作品です。
リオ・ディ・メンディカンティはヴェネチアのサンティ・ジョヴァンニ・エ・パウロ聖堂前の広場を流れる運河だそうです。 -
これが現在のリオ・ディ・メンディカンティの風景(Wikiより拝借しました)
橋と河岸が無くなったほかはほとんど変わっていないのが驚きです。 -
今回もアカデミア美術館にはなかったピエトロ・ロンギの作品がこんなにも飾ってあって狂喜しました。
ロンギは18世紀のヴェネチアの風俗を描いて有名になった人です。
一番見たかった作品がアカデミア美術館にある「薬屋」なんですが、今回も展示されていませんでした。 -
六枚をアップにしました。
全部で二十作以上はあると思います。
一つの美術館でこれだけの作品があるということは多作の画家だったんでしょうね。 -
ピエトロ・ロンギ「家族の肖像」
1750年頃の作品です。 -
「香水売り」
やはり1750年頃の作品。
左側に立っている女性が香水を売っています。 -
「染物屋」
ちょっとピンボケです。 -
「リンゴ売り」
右側の男がリンゴを売っています。 -
フランチェスコ・グアルディの初期の作品
「サン・ザッカリア教会付属修道院の面会室」
1755年頃の作品
まだ彼が作風を確立していなかった頃の作品です。
修道院の面会室ってなかなかお目にかかれないものなので興味深かったです。
多分手前にいるのが修道女の家族、窓の向こう側にいるのが修道女たちでしょう。
ただ僧衣ではなく平服を着ているので、本物の修道女ではなく修道院に預けられている貴族の娘なんでしょう。
当時、貴族の娘は結婚前に行儀見習いとして(かつ男性から隔離して変な虫がつかないように)修道院に預けられることが多かったようです。
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旅行記グループ 北部イタリア旅行
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