2019/03/10 - 2019/03/10
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ノーーウォリーズさん
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冬のモンゴル・シベリアを旅してきました。冬にこんな所に行く物好きは少ないと思いますが、秘境好きの私には世界一の厳寒を体験したみたく、3月上旬に冬のモンゴル・シベリアへ個人旅行を決行してきました。旅の目的は、北京からモンゴル・シベリアを経由してウラジオストクまで陸路で縦断すること、世界で最も寒い都市に行くこと、極寒のアウトドアアクティビティを体験すること、幾つかの冬のフェスティバルに参加することです。
冬のモンゴル・シベリア旅の旅行記6では、サハ共和国の世界で最も寒い都市ヤクーツクからレナ川の柱群(レナピラー Lenskiye Stolby)へ行きます。レナ川の柱群は絶景だけでなく、2012年に世界遺産に登録された古生物・地質学上重要な場所です。夏はレナ川の柱群までボートでクルーズするツアーが有名なのですが、冬の間は深い雪に覆われ人を寄せつけない孤立した場所というイメージがあります。ヤクーツクからレナ川の柱群まで通じる道はなく、どうやってそこまで行くのか?レナ川の柱群への登りは標高差は200mほどですがラッセルしながらの雪山登山になるのか?そしてどれだけ寒いのか?冬のレナ川の柱群の様子はネットで探しても英語・日本語でも見つからず、どんな感じかは全く未知な世界です。世界一寒い世界遺産へ出発です。
- 旅行の満足度
- 4.5
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イルクーツクから飛行機で北東にあるサハ共和国の首都ヤクーツクへ向かいます。この旅はすべて陸路移動を目指したのですが、この区間は3日間もかかり時間が足りなくなるので、ここだけは空路で移動します。本来は3/10の朝3時出発だったのですが、2週間前にメールが来て前日の夜9時出発と早まります。幸い早い分には何の支障もありません。
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オーロラがシンボルのヤクーツク航空です。ヤクーツク航空は何か安全上の問題が見つかった様で、数ヶ月前からすべての国際線を運休しています。あまり評判の良い航空会社ではないですが、他の選択肢はもっと無名で危なそうな航空会社なんで、これがベストの選択です。幸いにも9時定刻に出発です。
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機体は外見からエアバスA320かと思っていましたが、乗ってみるとロシア製のスホーイ Sukhoi Superjet 100です。珍しい機体でラッキーと喜ぶ気持ちが半分、ロシア製の機体の安全性に不安に感じる気持ちが半分の複雑な気分です。実際この数カ月後にアエロフロートのスホーイSuperjetが着陸失敗の事故を起こしていますし。この時は幸いにも何の問題もなく、乗り心地はエアバスと全く変わりません。
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夜なので飛行中の景色は見られません。この写真は2010年3月に成田・アムステルダム線に乗った際にシベリア上空で撮った写真です。ヨーロッパに行く途中に機内からシベリアの冬景色を見たことがある人も多いのではないでしょうか。一面凍りつく氷の大地、もし不時着したらあっという間に凍死しそうです。その当時は絶対に冬のシベリアに行く事はないと思っていました。しかしその後秘境探検を目指す様になり、ついに2019年シベリアの氷の大地に降りる時が来ます。
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1年前の2018/3/10の最低気温は何とマイナス36度です。今まで体験した最低気温は2月の北海道の層雲峡でマイナス16度。それより20度も寒いなんて想像もできません。これがシベリア行きに用意した服装。マイナス36度に対応する防寒着など私の住む場所には売っていませんので、東京でも着る様な冬服の上着を3枚重ね着して凌ぐことにします。下着もできるだけ厚くて暖かいものを用意します。
Time and date, Yakutsk, March 2018
https://www.timeanddate.com/weather/russia/yakutsk/historic?month=3&year=2018 -
レナ川の柱群へは個人では到達困難なので、ツアーを利用します。PlanetYakutiaという現地人向けのツアー会社で、ヤクーツク観光局に紹介してもらいました。参加費は4000ルーブル(約8000円)。Instagramにはロシア語表記しかないですが、一応ガイドは簡単な英語を話せるとか。
当初は世界で最も寒い村オイミャコンに行く予定でしたが、6日間の日程を取れず費用も120000ルーブルと高額だったため、日帰りのレナ川の柱群ツアーに切り替えたという事情もあります。 -
シベリア・サハ共和国にあるレナ川の柱群(レナピラー Lenskiye Stolby)まで片道180km、そのうち30%ほどは道がありません。冬季限定で凍ったレナ川のアイスロードを車で走れるとか、すごい事になりそうです。Google Mapでも道が見つかりません。
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翌日3/10の朝8時に世界一寒い都市と呼ばれるヤクーツクの町を出発、ロシア人の参加者4名とガイドの計5人で普通の車で未知の世界のレナ川の柱郡へアドベンチャーツアーに出発です。天気は快晴で良かったです。もし悪かったらサバイバルツアーになるのは目に見えていますから。
ヤクーツク空港 (YKS) 空港
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写真はヤクーツク郊外、レナ川の北西側沿いを走ります。道は凍結していますが、まだ陸上を走っています。この辺りは牧場で、冬の間も馬が放牧されています。極寒地でも生き抜けるヤクート馬だそうです。
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シャーマンの碑に祈りを捧げて旅の無事を祈ります。
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山にある丸い印はサハ族(ロシア語ではヤクート族と呼びます)の古代カレンダー。13か月あり冬の中にも幾つかの季節があるそうです。この辺りはOrto Doiduと呼ばれ、夏の間は観光客で賑わうそう。でも冬は誰もいません。
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道路の終点を超えるとレナ川の氷上にアイスロードが続きます。路面は濃い色の部分は完全な氷でツルツルに滑ります。そんな路面でも除雪されており普通に運転できるようです。ちなみにツアーの車はスダット付きタイヤですが、スタッドレスタイヤの車も良く見かけます。冬の間だけ川の上が公式の道になるのでしょうか、交通量も結構多いです、1分に1台はすれ違ったでしょう。どこか先の町に繋がっている様です。
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ロシア製ジープも氷上ドライブ。ロシアの田舎では、多くのロシア製ジープがまだ現役かと思っていましたが、今では殆どが日本製の中古車です。かつて日本では普通のファミリーカーとして使われていたのでしょうが、第二の人生は極寒地の過酷な環境で活躍しています。
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途中休憩で、洞窟まで散歩します。ここはかつてシャーマンが住んでいたとか。
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永久凍土の急斜面を登り、中を探検です。残念ながらシャーマンの住んでいた形跡は見当たりませんでしたが。
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レナ川沿いの途中の村。道路は通じておらず、冬のアイスロードでしか車で来ることができない僻地です。寂れた寒村かと思っていましたが、新しい建物も多く思ったより栄えている感じです。
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川向う(南側)に高い丘が見えてくるとレナ川の柱群まであと少しです。夏のクルーズでも同じ景色が見られるでしょう。
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今まではアイスロードとはいえ除雪された道でしたが、レナ川の柱群の入口の最後の1kmほどの区間だけは除雪されておらず、雪に埋もれたひどい路面です。それでも日本製ファミリーカーは、スタックすることなく通過します。運転がうまいのか、ファミリーカーでもすごい走行性能をもっていて感心します。
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3時間程で着きましたレナ川の柱群 Lena Pillars、世界一寒い観光地・及び世界遺産のひとつでしょう。真冬にはマイナス50度に達します。氷の彫刻などが迎えてくれて、全く人のいない孤立した場所ではない様です。
レナ石柱自然公園 自然・景勝地
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ここからレナピラーの頂上まで歩いて登ります。ここに来る前は、誰も通らない雪道をラッセルしながら登ることを予想していましたが、そんな事はない、しっかり除雪されており普通の靴でも大丈夫です。全然アドベンチャーではありません。写真下には巨大なアンモナイトの化石、おそらくレプリカでしょうが、この辺りはかつて海だったのでしょう。
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熊に注意。整備されているとはいえ、やはり辺境の地であることは間違いないです。シベリアの熊は冬眠から覚めるのも早いのでしょうか。
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レナピラーの登り、なんと階段まで整備されてとても歩きやすいです。ここまで道路もなかったのに、レナピラーだけは整備されていて驚きです。
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30分ほど階段を登って着いたレナピラーの頂上。雪に覆われたシベリアの厳寒の大地が一望できます。
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撮影ポイントでは、何とセルフィーの為の行列ができています。来る前は全く人がいない到達困難な辺境地を想像していましたが、実際はその反対で有名観光地の様に人が溢れています。最近エベレスト山の頂上で登山者の渋滞が報道されていますが、それと同じ気分です。何故こんな辺境に大勢の人が。。
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並んでいるのは中国人旅行者ではなく、地元のサハ族(ヤクート族)の人たちです。どことなく日本人とも似ています。祖先は共通するところもあるのでしょう。この週末は冬の終わりを祝うマースレニツァ祭の日です。なので、レナ川の柱群に来て冬の終わりを祝っているのかも知れません。日が長くなり少しずつ暖かくなている為か、皆さん笑顔で嬉しそうです。
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そして、この展望。絶景です。ヤクーツクがある北東の方向です。
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下山するときも混雑で渋滞が。この日だけで数百人がレナ川の柱群に来ています。殆どがサハ族の地元民で西洋系ロシア人も殆どいません。外国人と西洋系ロシア人の私たちはとても目立ちます。何か特別な意味があるのか分かりませんが、レナ川の柱群は観光客だけでなく、地元の人にも大変人気なスポットの様です。
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無事に下山してシャーマンの碑を拝みます。下山後は暖かい食事が用意されていました。暖かい食事はありがたく、美味しく食べます。2時間ほど屋外に居ましたが、1週間の旅の間に寒いのには慣れたのか、辛くはありません。世界一の寒さを覚悟していたので、むしろあまり寒くなくて期待はずれです。
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これがツアーで使った車。トヨタのノアで普通のファミリーカーですが、極寒地用に改造された部分も多くあります。まずタイヤはスタッド付、これなら氷上も普通に走れます。窓には太い黒の枠が見えますが、これは2重窓にしているため、これで窓が曇るのを防止しています。ボディ上の黒いカバーは走行中に氷の塊と衝突しても、窓に直撃しない様に防止するためだそう。空気穴を塞いでいるのはエンジンが冷えすぎない様にするため。極寒地用に様々な工夫があります。
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ここまで、想像と全く違いアドベンチャーでなく快適な旅と思っていましたが、帰りには少し厳寒のワイルドな経験がありました。レナ川の柱群の出口では、対向車とすれ違うことができずスタックする車が続出。除雪されていない狭い道なんで、少しでも道の脇に逸れると動けなくなります。知らない人でも助け合って車を脱出しています。こんな事が起きるのは寒いロシアでもシベリアや極東地域のみだそうです。
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帰る途中ガイドが秘密の場所があるというので行ってみます。そこまでは道路から数百メートルの距離ですが、誰も通った跡がなく膝高の雪をラッセルして進みます。私が心の中でアドベンチャーでなかったと思っていることを察してか案内してくれた感じです。ガイドによると冬のハンティングに出かける時は、こんな雪道を毎日10km以上歩くそうです。ガイドはジーンズの軽装ですが、気温が低いためジーンズが濡れることはなく、手で払えば雪は落ちます。ゴアテックスなど要らないのは意外な発見です。
写真の女性は航空機のパイロットで、モスクワ在住で仕事でヤクーツク滞在中にこのツアーに参加したとの事。ガイドは全く英語が話せず、この旅行記の詳細部分はすべて彼女から英語で説明してもらった内容です。彼女には本当に感謝です。他にも厳寒地のパイロットがどんな経験をしているのか訊いてみました。
- 厳寒地でも飛行機の操縦は変わらない、地球のどこでも高度40000フィートではマイナス数十度、地球上での最低気温はマイナス80度ほどで、飛行機はそれに耐えられる設計をしているから。
- ロシア上空を飛行していてもオーロラを見ることはめったにない。ガイドによるとヤクーツク近郊ではオーロラは見られないけど、東に800kmの世界最寒の村オイミャコンではオーロラが見られるとの事です。 -
そしてその秘密の場所とは、ご覧の様に右中央部にはトナカイの様な壁画があります。古代からサハ(ヤクート)族が住んでいた証拠です。
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中央下部には、そのトナカイをハンティングする人の壁画が書かれています。
世界一寒い都市ヤクーツク郊外での冬の厳寒ツアーから無事帰ってきました。レナ川の柱群への冬の旅は、事前情報が殆どない未知の世界でした。しかし実際来てみると、3月上旬の昼間の気温はそれほど寒くはなく、道も整備されておりサバイバルツアーではありませんでした。そして多くの地元の人で賑わっていまいた。レナ川の柱群以外にもアイスロードやサハ(ヤクート)族の壁画など見所がある旅となりました。
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この旅行記へのコメント (2)
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- まみさん 2019/09/30 20:47:30
- 冬のヤクーツクとレナ
- はじめまして。私の旅行記に書き込みをしてくださり、ありがとうございます。
レナは私の旅程中、政府関係者でクローズされてしまい、残念ながら行けなかったのでうらやましいです。
あのOrto Doiduの夏祭り会場のあれは、古代の時計だったんですね!
ナゾがとけました。
近くの動物園には行きました。
レナの柱の壁絵が見られたのもうらやましいです。私はマンモス博物館があった建物の下の郷土博物館でレプリカを見ただけです。
レナが思ったより混雑していたのは、地元の人にとってよく行く聖地だったからのようですね。
私は夏に行きましたが、きっと夏だと観光客だらけだったんでしょう。
- ノーーウォリーズさん からの返信 2019/10/01 22:09:53
- RE: 冬のヤクーツクとレナ
- レナ川の柱群は一面が凍っていてとても美しい場所でした。壁画は2箇所で大きさは20CM位で小さかったです。あの大きさなら船から見るのは不可能ですね。
私が行ったのはマースレニツァの時期でロシア中がお祭りだったので、地元の人も沢山訪れていたのかもしれません。とにかく人が多くて驚きました。一方でヤクーツク滞在時には外国人旅行者にはひとりも会いませんでした。他の町には韓国人とか多かったのですが。おかげでヤクーツク観光局ではとても良くしてもらいました。
まみさんがヤクーツクを訪れたのは夏なので、冬は同じ町でも全く違う印象かもしれません。もし再度訪れる機会があれば、ぜひ冬のレナ川の柱群に行ってみてください。
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