2019/03/11 - 2019/03/11
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ノーーウォリーズさん
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冬のモンゴル・シベリアへの旅行記7では、ヤクーツク滞在中に町歩きをします。ここはシベリア・サハ共和国の陸の孤島にある世界一寒い都市、真冬にはマイナス50度に達する厳寒地です。世界で最も寒い都市でその寒さを実際に体験してみます。ここでは普通では考えられない様な珍しい物や寒さゆえの珍しい出来事に溢れています。また、サハ共和国はロシアの一部でありながら、サハ人(ロシア語ではヤクート人)というアジア系の民族が中心となっている地域です。シベリアの先住民族の文化を垣間見ることができます。そしてシベリアと言えば、マンモスでしょう。ヤクーツクは観光地としてはあまり知られていませんが、見どころは沢山ありそうです。
- 旅行の満足度
- 4.5
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3/11朝、この日も早起きして朝7時のヤクーツクの町を歩いてみます。この時間に外出するのは、世界一寒い都市の最も寒い時間帯の寒さを体験する為。この時の気温はビルの屋上にある温度計では、朝7:22現在マイナス21度です。
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Googleの表示では現在の気温はマイナス24度、Time and Dateでは最低気温マイナス28度、と天気予報によってかなりばらつきがあります。昨年の同じ日はTime and Dateではマイナス36度だったんで、今年は暖かいのかも知れません。マイナス21度なら真冬の北海道でもあり得る気温なので、世界一寒い都市に訪れたというのは、少し大げさかも知れません。2週間前まではマイナス30度以下だったそう。やはり真冬の2月と冬の3月はシベリアではかなり違います。近年は温暖化の影響で、世界一寒い都市ヤクーツクの真冬でもマイナス50度以下になることは稀だそうです。
Time and Date, Yakutsk, March 2019
https://www.timeanddate.com/weather/russia/yakutsk/historic?month=3&year=2019 -
マイナス21度とは、冷凍庫の温度より少し寒い程度。こんな寒さでしかできない遊びをやってみます。お湯に濡らしたハンカチは外に出て1分も経たないうちにご覧のように凍ってしまいます。他にも、ペットボトルに入れたお湯を頭上にまいて綺麗な円形で凍らせる実験もしてみましたが、ちょっと寒さが足りない様で失敗です。
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こんな厳寒の中でもヤクーツクには日常の市民生活をしている人々が沢山います。人口は約20万人。レーニン広場で日常の通勤の様子を撮ってみます。
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アジア系と白人系は半々位。他の国ではまず見かけなくなった毛皮のコートも、ここではまだ見かけます。毛皮はファッションだけでなく、実用性も兼ねています。他にも露出部分を覆う、帽子、手袋、マフラーは必須です。しばらく外にいると、露出している顔の皮膚が痛くなり鼻毛が凍ってきます。
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バスも凍った道の上を普通に走っています。厳寒地ではカメラと携帯電話の取り扱いは以下の様にします。
- バッテリーは寒さに弱いので、撮影中以外は服の中に入れて外気に晒さない様にします。
- それでもバッテリーの減りは平温の2倍以上。スペアを持ち歩きます。
- 建物の中に入るときは結露対策で、ジップロックの袋に入れます。ただガイドによると、携帯電話はそのまま室内で使用しても壊れないとの事です。 -
町は永久凍土の上にあるので、暖まると溶けて地面が沈んでしまいます。よって建物はご覧のように高床になっていて、水道管は変形防止のために地上に出ています。
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寒い中15分ほど歩いてフィッシュマーケットへ向かいます。マーケットはご覧のように凍った状態で魚は売られています。
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倉庫の中を見ると、魚は冷凍庫に入れて保管している訳ではありません。常温がマイナス20度なんで冷凍庫いらずです。
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中心部に再び戻り旧市街の教会 Gradoyakutskiy Transfiguration Cathedralです。
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レナ川沿いにあるモニュメント、サハ文字で何か書かれています。ちなみにサハ文字の表示を見たのはここだけで、市民生活の100%はキリル文字が使われています。話し言葉はサハ人同士ならサハ語が使われています。
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ヤクーツク旧市街にある伝統建築とロシア製の車。世界で最も寒い都市ヤクーツクの早朝に2時間ほど野外を散歩しましたが、私には耐えられない程の極寒ではありません。世界一の厳寒を体験する為に来たなら、正直がっかりレベルです。重ね着する為の3枚の日本の冬服(前回6の旅行記参照)の服装も、結局2枚しか使いませんでした。
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町一番のPolarStarホテルでは、今日1日ヤクーツク市内観光するためのガイドと待ち合わせます。建物の中は暖房が良く効いており、扇風機まで廻っています。外と中で温度差は50度ほどあります。ここにはヤクーツクの観光局があり、ヤクーツク3日間滞在中の旅行手配を事前にすべてここで依頼しました(レナピラー観光、ヤクーツク市内観光、ネリウングリまでのシェアタクシー)。私は過去に市内観光にガイドを付けたことは一度もないのですが、ヤクーツク市内観光は下手したら凍死するような寒さで危ないと思い、事前予約していました。まあこの時点で野外を2時間も歩いていたので、それは杞憂と分かっていましたが。
ヤクーツク観光局 http://visit-yakutia.com/#!/about/ -
ガイドはメールで対応してくれたヤクーツク観光局のNick氏本人。彼はロシア語・サハ語・英語・中国語が話せて、メールの返信も早く仕事熱心で頼りになる人です。Uberでタクシーを呼び、7kmほど離れた町の郊外に向かいます。ここには観光施設3つが集まっています。まずアーチーハウスArchy House(又は“Us-Kut” Ethnographic Centre)を訪れます。サハ語で清める家という意味です。左側にはシベリアのトーテムポールが並んでいます。
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サハ先住民族(ヤクート族)の文化を学べます。ここの主人である女性シャーマンの絵。木製の器はサハ族の祭事には重要な工芸品です。
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木製のゲル(イグルー)は夏の家と呼ばれています。シャーマンのシンボルである鳥のマークが描かれている刺繍があります。
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女性シャーマンから直接お祈りを受ける事に。囲炉裏はサハの家で一番意味を持つ場所です。そこに火をつけることで魂を呼び出し、
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体に着いた悪霊を追い出し健康を祈ってくれます。外国人観光客も多いのか、彼女は英語が話せます。
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次に向かったのは隣にある永久凍土の王国 Kingdom Permafrost。ここは文字通り永久凍土の洞窟で、冬は野外より暖かく、夏でも氷が解けずに残り、気温は年中安定しています。かつては夏の冷凍倉庫として使われていましたが、今はヤクーツク一の観光名所です。
永久凍土の王国 博物館・美術館・ギャラリー
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中にはサハ族の伝統衣装を着た女性の氷の像や、
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ロシア風の教会など、この地方のシンボルの氷の彫刻が見られます。洞窟の壁に付く氷は入場者の息から出る水分が凍って蓄積したそうです。
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氷のベッドと毛皮の布団。もしここをホテルに改装したらアイスホテルとして注目されるでしょうが、その寒さから泊まりたい人は多くないかも知れません。
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シャーマンの世界は3つの層に分かれています。上段が空、中段が地上、下段が地下。これは中段のシンボルとなる木 AAL LUK TREE。この木の根が下段に潜む悪霊から人々の身を守り、木の上から上段の天国へと繋ぐ重要な役割を示しています。
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この近くにはChocur Moranというレストラン兼ちょっとした観光向け施設があります。入り口ではトナカイがお出迎え。
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犬ぞりで凍った湖の上を散歩します。北国でのアクティビティと言えば犬ぞりは外せません。
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ランチは、サハ族の伝統料理で最も有名なIndigirka。半解凍状態の生の白魚をオイルやレモンで味付けしたもの。これを刺身と比較してしまうと、がっかりします。安い寿司屋で出された解凍しきれていない生魚の様な食感です。シベリアの凍った川の下から捕れた魚をそのまま食べた、と想像すれば現地のワイルドな食を味わえたと思うはずです。
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この辺りでは、マンモスを始め多くの動物がかつて住んでいたことを示す化石が見つかっています。
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北極海の王者ワルースの牙など(シロクマも敵いません)。驚いたのが、シベリアでも夏には沢山の蝶が見られるそう。そしてこの絵は蝶の羽の色を貼り付けて作られています。
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4番目に向かったのは、市内中心部のヤロスラフスキー北方民族歴史・文化博物館 The Museum of History and Culture of The People of The North。現地ではヤクーツクミュージアムと呼ばれています。ここでもサハ先住民族(ヤクート族)の文化を学べます。
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大きな牙をもつ鯨の標本。こんな生物見たことありません。今日は月曜日で休みだったのですが、ガイドの計らいでサハ族の展示階のみ特別に開けてもらえます。博物館の女性ガイドがついて英語で説明してくれます。
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再び登場、トーテムポール。Sergeと呼ばれています。主な用途は馬を括りつけておくポールです。しかし、祭りの時は神聖なポールとして祀りの中心となります。悪霊を追い払う効果があると信じられています。トーテムポールと言えばカナダ・アラスカの先住民ですが、彼らのルーツはシベリアであり同じ雰囲気を感じられます。これは古代に作られた装飾の少ない最もオリジナルに近い型です。
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トーテムポールと並びサハ族でシンボル的な工芸品がご覧の木製の器Choron。祭りの時などはこれに馬のミルクCumisを入れて祀ります。この写真は、20世紀前半の西洋人のシベリア北部開拓初期の祭りの様子で、最も古い写真のひとつです。
ヤロスラフスキー北方民族歴史 文化博物館 博物館・美術館・ギャラリー
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シャーマンの模型。シャーマンは幼い頃に不幸があった子供が出家の様な感じで家を出て、過酷の環境で修業をしてシャーマンとなり、その後も普通は自然の中で暮らしています。シャーマンは人々に何か災いがあった時に家に呼ばれて、厄除けを取り仕切ります。
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シャーマンの魂は空を飛び、天に行くことができます。その魂は鳥で表現される事が多いです。
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5番目に向かったのは、宝石博物館 Treasury of The Republic of Sakha。サハ共和国はダイアモンドをはじめとする貴重な天然資源が豊富で、そこで採れたダイアモンドを展示しています。ここには本物のダイアモンドが飾っています。そのため警備は厳重で写真撮影も禁止です。
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PolarStarホテルの宝石売り場。宝石博物館の方がずっと沢山で豪華の展示で目が眩む程です。お見せできないのが残念です。
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最後に向かったのはレナ川の凍った川の上にある公園です。ここでは氷の彫刻が展示されています。巨大な彫刻ではないですが、それなりに楽しめます。しかし永久凍土の王国ですでに多くの彫刻を見た後です。
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まだヤクーツクで最も有名な肝心な物が見れていません、、それはマンモス。ヤクーツクではマンモス博物館かヤロスラフスキーに展示されていますが、どちらも本日月曜日は休館で、見る事ができません。がっかりです。PolarStarホテルに戻るとガイドが見せたいものがあると言います。そのまま2階に行くと、そこにマンモスがいるではありませんか!これは感動の対面です。
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PolarStarホテルではマンモスの牙でできた工芸品をお土産に買う事ができます。象牙を取引することは国際的に禁止されつつありますが、マンモスの牙なら対象外です。しかも値段もそれほど高くはありません。もしかしたら将来値上がりするかもしれません。一攫千金を狙い、シベリアの奥地では沢山のマンモスハンターが今でも彷徨っているそうです。
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他にこんなお土産も。。買って良いのかどうか。
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ダイヤモンドがとれてお金持ちなのか、ヤクーツクの夜はライトアップが煌びやかです。ロシアの辺境にいることは感じられません。オーロラは東に800km離れた世界一寒い村のオイミャコンで見られるそうです。
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レストランに飾ってあったサハ族のアート。1日のヤクーツク市内観光が終わりました。まだ訪れていない見どころも多く、1日では足りません。ヤクーツクの観光資源はダイアモンドと同じ位に沢山あります。しかし観光地としては知られてなく特に冬は訪れる人もいないので、どこでも貸切状態でした。事前に問い合わせたヤクーツク観光局の対応も最高で、まるで自分の為だけにヤクーツクの人々が迎えてくれた気分でした。世界一寒い都市の極寒である事を理由に、訪れるのを躊躇ってしまうのはもったいない場所でした。
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この旅行記へのコメント (2)
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- East of Edenさん 2019/08/18 04:45:34
- いいとろこですね
- ノーーウォリーズさん
冬に行ってみたいですね
- ノーーウォリーズさん からの返信 2019/08/20 22:15:23
- 世界一寒い都市
- ぜひ真冬の1月か2月に訪問してください!
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