2019/04/30 - 2019/04/30
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たびたびさん
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馬籠に前泊して、今日は、馬籠宿と妻籠宿を回ります。馬籠宿から妻籠宿は連絡バスがあって、それを利用することにしていましたが、時間があんまりよくなくて効率が悪い。迷っていたところに、いろんな情報が入ってくると歩く観光客も少なくないよう。それではせっかくだしと、結局、馬籠峠を越えて歩くことにしました。
馬籠宿と妻籠宿のイメージですが、妻籠宿より島崎藤村の故郷である馬籠宿の方がずっと大きいと思っていましたが、実はその逆。馬籠宿は、島崎藤村の圧倒的なネームがあるので、そう感じていただけだったんですね。これも意外な発見。馬籠宿は坂の両側にめぼしい土地の広さがないのに対して、妻籠はもう少し余裕があるし、奈良井宿ほどではないですが、街並みもけっこう長い。お店の数も多くて、脇本陣のリアルな保存も見ごたえがあると感じました。
伺ったところによると、妻籠が国の重要伝統的建造物郡保存地区に選定されたのは、昭和51年。これに先立って、街並みの保存運動が起こり、昭和46年には「妻籠宿を守る住民憲章」を制定。売らない、貸さない、こわさないの三原則で街並みを守ってきたのだそう。今日の観光地としての隆盛は、自らの努力で築いたものという自負心のようなようなものが感じられたのは気のせいばかりではないと思います。誤解を恐れずに言うならば、もともとの観光資源に恵まれた馬籠の閉鎖的な雰囲気と比べるとオープンな店構えやイベントスペースの手のかけ方等は陽の雰囲気かな。脇本陣の保存や展示の充実ぶりにも心を動かされました。
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飯田駅から高速バスで、上坂パーキングエリアに到着。
馬籠宿を訪ねるのに、神坂パーキングエリアのバス停で降りて、ここから歩くことにしたんですが。。
施設の人にパーキングエリアの出口を聞いて、そこからちょっとした山道をたどります。2キロくらいかな。もう日が暮れて、街灯もそう明るくはない。歩けない距離ではないんですが、やはり、日没後はさすがにちょっと厳しいものがあるなと思いました。 -
今日の宿、ゲストハウスgaku馬籠に何とか到着。
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こちらは、かつての学校を改装して宿泊所にしたもの。校舎の感じとか前には校庭のグラウンドも残ります。しかし、美しくて清潔な板張りの床とかはピカピカで高級感まで備わった感じです。
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部屋は二段ベッドが並ぶ相部屋方式。シーツを自分でセットしたりしてのセルフ方式はよくあることでしょう。あちこちスペースに余裕があるのでそれが最大の利点かなと思います。ネットの評判もいいんでしょうか。海外からの宿泊客がとても多い印象です。
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翌朝、馬籠宿へ。
馬籠宿の入り口のまごめや。まごめやというか、馬籠館ですね。中津川方面から馬籠宿を訪ねるとまずはこの建物が目に入る。馬籠宿の入り口にあって、交差点脇には道案内の標識もあるし、馬籠宿は、今回二回目なんですが、この建物を見ると馬籠に到着したなと感じます。例の馬籠宿のだらだらとした坂の始まりは、ここからです。
ちなみに、店内は食堂だけではなくおみやげ物売り場とかも。観光客に総合的に対応しています。 -
そうそう
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これが馬籠宿ですよね~
桝形を入って、 -
だらだらと
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さすがに坂道が続きます。
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まだ、早朝なので、
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人の姿はありませんけどね。
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この馬籠観光案内所は、馬籠宿の中ほど。藤村記念館の真ん前です。建物はまだ新しい感じ。休憩室やトイレも気持ちよく利用することができました。観光案内のスタッフは、外国の観光客が多くて、そっちに手が取られている感じ。まあ、パンフレットをもらえれば問題はないでしょう。
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そこから、少し進んだ馬籠 無料休憩所。馬籠宿の上手の方です。
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無人の施設で、中はテーブルと丸太の椅子。朝早くから開いているので、こうして早い時間は重宝しますが、お店が開きだすと、くつろぐのはそっちで足りるでしょう。ちょっと微妙な施設かなと思います。
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ついでに、奥の方まで行ってみましょう。
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馬籠宿高札場は、馬籠宿の一番上手。ここで馬籠宿の市街は終わりです。
もう道も細くなって、 -
その脇に高く掲げられた高札場。他の高札場ではあまり情報を知らせる高札がかかっていないことが多いのですが、ここは最後に奉行と記した高札がいっぱい掛かっていて、ちょっと迫力が違うなと感じました。
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そのすぐ先が陣場上展望台。城跡の石垣みたいな感じで見えてきます。
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馬籠宿の街並みが見下ろせますが、全景がきれいに見えるというほどでもないかな。
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むしろ、正面の恵那山の方がよく見えると思います。
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さて、そろそろお店も開く時間かな。。
末木は、馬篭宿の中ほど。ここはもうやってますよね。 -
まだフル稼働という感じではありませんでしたが、おばあちゃんが応対してくれました。
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イチオシ
いただいたのは栗きんとん。小さな包みを開けると巾着で絞った例の姿が現れまして。うーん。香りもよく残っていて、栗の味わいも濃いですねえ。栗きんとんは、栗きんとんですが、ここのはかなり出来のいい栗きんとんだと思います。
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さて、こちらは、大黒屋。かつては、造り酒屋で、馬籠宿の問屋や年寄役なども勤めていた家柄です。それだけでも、島崎藤村の生家である馬籠宿本陣島崎家と関係が深いのですが、ここの娘さんのおゆうさんというのが藤村の初恋の人。「夜明け前」でも伏見屋として描かれていて、馬籠宿でもちょっと着目していい存在でしょう。
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中はお土産物屋さんですが、
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私は、大黒屋茶房の方へ。
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開店直後の時間でしたが、名物の栗こめしをいただきます。
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イチオシ
ふたを開けるとほんわかと湯気が立ち上って、これはいいですねえ。栗とおこわの上品な組み合わせは見た目も味わいも申し分なし。店内も町家風でゆっくりと寛ぎました。
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今日は、馬籠宿から妻籠宿に回るんですが、連絡バスがあってそれでいくつもりにしていました。時間がけっこうあるし、藤村記念館はもういいので、余裕余裕。今回は、馬籠のお店などを丁寧に見て回ろうと思います。
山城屋は、ヒノキとかの木の製品。まな板とかお椀とか桶とか並んでいますが、おみやげ物というレベルではなく工芸品といった感覚の丁寧に作られたもの。目の保養みたいな感じで拝見させてもらいました。 -
道中おやき本舗は、ここも比較的早く開いてますね。
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いただいたのは、一番人気の野沢菜。
ところで、おやきは素朴な食べものですが、観光客を意識しているのかどうか。ここのお焼きは見た目がなかなか美しくて垢抜けてますねえ。店内でちょっと感心しながらいただきました。 -
坂の両側にはほかにもお土産物屋さんが多いのですが、下扇屋は間口が広くて、メジャーな感じ。店先の棚には、かずらを編んだかごや旅をする際の三度笠みたいなのが並んでいて、木曽路の山の中らしい品ぞろえかなと思います。
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こちらは、中津川の川上屋ですね。馬籠宿にもありましたよ~
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季節的に栗きんとんはなかったのですが、
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「苗木城伝説」という売出し中のお菓子をいただきました。ちなみに、苗木城は中津川がかなり力を入れている観光スポットのよう。明日は中津川の予定ですけど、ちょっと考えてみましょうかね。
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さて、これは栗きんとんを餅粉で包んだお菓子。歯ごたえは餅粉のもっちりがありますが、中の栗きんとんはやっぱり栗きんとんそのまま。手軽に栗きんとんのおいしさが味わえる工夫があります。
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前回見れずに気になっていたのは、この清水屋資料館。馬籠宿では下手の方です。
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島崎藤村の作品にも登場するという島崎家とはごく親しい家。女将さんが逸話を話してくれましたが、藤村の息子。ちょっと出来が良くなかったようで、藤村が亡くなってからここのご主人がずいぶん面倒を見たのだそうです。
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料金を払って、二階の方へ。
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展示の品々は、藤村の書簡、掛軸、写真なども。
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しかし、その他の古文書、書画、陶磁器、漆器などは
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ちょっと雑多かな。
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少し期待値を下げて鑑賞する方がいいかなと思います。
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ただ、目が慣れてくると
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当時の木曽路の人々がどのような趣味嗜好であったのかがそこはかとなく感じられる。
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山に囲まれた地域であっても、そこそこの文化の香り。
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超芸術品や超高級品というものではないんですが、居住まいを正して生活するには十分という水準かな。
地方であっても、文化人がその地にあこがれて、集まってくるような場所はあるんですが、残念ながら木曽路は中山道は通っていてもそういう場所ではない。積極的にモノや情報が集まってくるわけではないのですが、それでも、ここを行き来する僅かなモノに注意を向けて、大きな日本の動きに遅れまいとする強い意志もあるような感じ。 -
つまり、そこが「夜明け前」の普遍的なテーマの一つなんですよね。
ちょっと脚色した想像かもしれませんが、そんなことを考えながら拝見させてもらいました。 -
やをやは、馬籠宿のお土産物屋さんとしては中堅クラスかな。通りから少し奥が入り口になっていて、ゆったり感があるでしょう。猫ののれんもかわいらしいです。
店内のスペースの関係もあるので、商品はざるやかご、猫の置物など小物が多いような気はします。 -
この小さな酒屋さんは、いずはら。馬籠にはさすがに酒蔵はないので、あちこちから取り寄せた品ぞろえです。島崎藤村に関係する銘柄酒「夜明け前」を置いていましたが、上伊那の酒造メーカーのものだそうです。その他、木曽ワインも気になりました。
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ここからは、五平餅の方の食べ比べと行きましょうか。
丸治屋は馬篭宿の中ほどにある気軽なお茶屋さん。 -
イチオシ
この辺りの五平餅は小判形ではなくてだんごの串刺し型なんですよね。なんか小さい分、火が通りやすくて余計なおこげが少ないような。なので、お餅の部分が柔らかいし表面の味噌だれがいい感じで香ばしい。五平餅では、ここのはけっこうお勧めです。
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続いては、近江屋さん。
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ここのも串に刺したお団子タイプ。味噌だれをたっぷり塗って、しっかり火を通した丁寧な五平餅ですね。しかし、丁寧な分、お餅の表面には固い部分が出来てしまう。それをいいとみるかどうかは意見が分かれるところかなと思います。
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最後は、五平餅の専門店、かなめ屋さん。
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馬籠にあっては、ここが一番人気の五平餅ですよね。
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イチオシ
ここの五平餅は小判型。焼きもしっかり入っています。ただ、それは普通と言えば普通。だんごの五平餅は、小判型にない軽さがあって、それもとっても魅力的。両方食べ比べしないと五平餅のおいしさは分からないと思います。
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さて、そうこうするうちにお昼になりました。
バスの時間まではまだあるんですが、ここでお昼を食べたら、やっぱり歩いてみるかな。2時間半くらいで行けるなら、その方が無駄がない。馬籠宿から妻籠に向かう方が楽に歩けるという情報も、背中を押してくれたように感じました。
さて、恵盛庵は、馬籠宿の一番奥。そばの粉から挽いているというこだわりのそば屋さん。11時の開店と同時にお店は満席です。 -
ただ、十割そば特有の固いそば。つるつる喉越しよく食べたい向きにはちょっと違うかな。私も固いそばは好きではないので、そこは少しマイナス評価になってしまいます。
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でも、まあ。
これで落ち着いて、馬籠峠に向かいます。石段を下がって -
山道を抜けて、
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水車小屋みたいなところに出ましたが、これはまだほんの序の口です。
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十返舎 一九狂歌碑。
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峠之御頭頌徳碑。
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ハイキングコースの地図と照らし合わせながら、今いる位置を確認しながら進みます。
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馬籠宿と妻籠宿の間にも意外でしたがところどころに集落はあって、そうした場所に差し掛かるとちょっと安心します。
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熊野神社。
まだまだ先は長いなあ。 -
さて、この先が馬籠峠ですね。馬籠宿からだとこの峠までだらだらと上って、ここからは下りのはず。
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ここにも地図があって、もう一度、コースの確認をしておきます。
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ここからは下りになるのでやれやれと思いましたが、実は時間は下りになってからの方がかかります。この峠でホッとしている余裕はないかもしれません。
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しば~らく歩いて。
この立場茶屋が馬籠宿と妻籠宿との中間。一石栃白木番所跡もある一角です。 -
山道を下りてくるとひょっこり大きな建物が現れて、
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中ではお茶のサービスなど、ボランティアの方々のおもてなし。いろりの煙が煙る土間で、疲れた体を休ませてもらいました。本当にありがたい施設です。
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元気が出たところで、また頑張りますよ~
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とすぐにあるのが一石栃白木改番所。
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白木改というのは、伐採禁止木の出荷取締りを行っていたというもの。明治2年まで行われていたということです。番所跡のちょっとした空き地に説明版が立っていましたが、まあそれだけ。見ごたえはないかもしれません。
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これで半分は越えたはずなんですが、どうなんでしょうねえ。
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確かに、半分を越えてはいますが、まだ先は長い。
気を緩めてはだめですね。 -
ところどころに、熊よけの鐘。
こんなの効果があるのかないのか。これで不安がすっかり解消されるものでもないんですが、信頼するしかないですね。一応鳴らして、進みましょう。 -
ここでちょっと寄り道したのは、男滝 女滝。中山道のコースを少し外れて訪ねることになりますが、それなりに定番スポットなので、標識がしっかりしていて迷うことはありません。
手前が男滝で、その先すぐが女滝。 -
どちらもさほどのスケールではないのですが、幅広とすっきりなのと対比させて味わうのがミソなのかなと思います。
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庚申碑。
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そこから、少し集落が。
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ここから、藤原家住宅にも寄ってみますか。
しかし、そこは、コースを離れて、山の方の集落へずっと上って行った先。意外に登っていくので、かなりしんどく感じました。もうそんなに余裕はなかったんですけどね。 -
こちらの個人のおうちの庭先のような場所に建つ小屋のような建物。屋根に置き石があって、一目で特別なものであるとわかります。
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建物は江戸の初期頃までさかのぼる古い建築だとか。鍵とかかかっていないので勝手に中を拝見しましたが、土間から少し上がった板敷きの間など。今の感覚で言うとかなり質素な暮らしが想像されました。
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そして、妻籠宿に向かってもうすぐという場所にあるのが大妻籠。
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ここも大きく言えば妻籠宿の地区の一部だと思いますが、うだつに出梁造りの建物の宿屋が三軒(一軒は廃業)並んだ辺りの風情が見どころでしょう。限られた一角ですが、妻籠宿とは違ったさらにリアルな感じが楽しめます。
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そして、これは金剛屋。大妻籠のそば屋さん。ちょっと休憩しましょうか。
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昔の農家みたいな店内で、
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ここでもいただいたのは五平餅。お団子タイプなんですが、割り箸に串刺しされたちょっと大きめのお団子。味噌だれがしっかり塗られて、丁寧な仕上がり。焼きおにぎりの感覚がありました。
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そして、いよいよ妻籠宿に到着しましたね~
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尾又橋は、妻籠宿の脇を流れる蘭川に架かる橋。コンクリート造りの自動車を通す橋と人が渡る木橋が並行して架かっています。妻籠宿の街と県道の方を結んでいて、車で来た人は駐車場からこの橋を渡って妻籠宿に入ることになります。
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妻籠宿は平たんなので、歩きやすい。
これなら、のんびりした気分になれますね。馬籠峠を越えてきたので、余計そう感じるのかもしれませんが。 -
ここから、お店チェックを始めます。
郷原酒店は、尾又橋から妻籠宿の市街に入ってすぐ。季節限定 どぶろく風味 杣酒(そまざけ)の張り紙があって、ちょっと寄ってみました。
変わった名前ですが、かつて御用林だった木曽山で山仕事に従事した杣人に愛されたお酒なんだそうです。店内はほかにもいろんな酒がぎっしり並んでちょっと壮観です。 -
新まきのは、妻籠宿のお土産物や雑貨屋さん。お菓子類や信州そばはおみやげ物ですが、ほうきや履物、ステッキなども。雑多な品ぞろえなんですが、それがかえって木曽路の生活感が出ているし、店内の陳列も統一された美しさを感じなくはない。
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店の中をあけっぴろげにして全部見せるやり方も妻籠宿スタイルでしょう。
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ちょっと広い通りに出てきましたね。
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上嵯峨屋は、解体復元工事によって、江戸時代の木賃宿であることが分かった建物。ただ、目立つのは、二人のおばあさんが熱心にひのき笠を作っている光景。本当に立派な編み笠なんですが、「買ってくださいよ~」とか声をかけられてもねえ。
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イチオシ
日の当たる畑とかでこれを被って野良仕事とか。とても役に立つのは想像できますが、さすがにこれを被って街を歩くわけにはいかないですよね。ちょっと苦笑いするしかありませんでした。
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ささきは、「木曽路おみやげ」と染め抜いた暖簾のかかる小さなお店。かごなのど竹製品やお箸に魚を捕るびくまで。
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ただ、名物は櫛かな。お土産なら、みねばりという材料を使ったお六櫛が一番でしょう。
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木の店 あぶらやは、これもあけっぴろげで店内の商品が通りから丸見えという、妻籠スタイルのお店。木曽の木工製品を専門に扱うお店です。
お弁当から、風呂の桶にたらいくらいの大きいものまで。白い木の質感とそれを締めるキラキラの銅。美しい意匠にもうっとりです。 -
澤田屋は、和菓子屋さん。
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朴葉巻を派手に積み上げたり、お茶のサービスがあったりするので、お客さんがいっぱい集まってきて、けっこうな賑わいです。
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イチオシ
朴葉巻は、大きく言えば柏餅。柏の葉っぱの代わりに朴葉を使います。
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包みを解くと朴葉はけっこうな大きさ。つるんとしたお餅は甘さ控えめでちょっと素朴。まったく自然な味わいです。
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三原屋は、妻籠宿の中ほど。民芸品のお店とあって、こけしとか人形、小物にも目が行きますが、やっぱり目玉はお六くしかな。
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ここでも、みねばりという材料を使った櫛。鹿児島だと薩摩つげ櫛というのがあって、私はつげの櫛が最高級品かと思っていましたが、みねばりはさらにその上を行くということ。女将さんが詳しく説明してくれましたが、これにはちょっとびっくりです。
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寺下丁子屋も民芸品を含むお土産物屋さん。品物はあれこれと雑多なんですが、こうやって並べると自然な統一感が生まれています。目の保養になりますね。
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さらに進んで。
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延命地蔵は、妻籠宿の中ほど。光徳寺の参道下に祀られています。
直径が2mほどもある自然石で、これに地蔵が浮かび上がるというのですが、別名は汗かき地蔵。昼夜の気温差があって、結露が発生することから呼ばれるようになったようです。お堂の前に詳しい説明書もありました。 -
光徳寺は、妻籠宿の本陣、島崎家、脇本陣、林家の菩提寺。延命地蔵の脇から上って行った先。一段高い場所に建っています。
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白い漆喰壁の長屋門を入ると境内。
変わった色調の本堂と -
珍しいところでは、庫裏の建物に入ると、天井から日本最初の人力車が吊り下げられていました。150年前、住職の自家用車だったということです。
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再び市街に戻って。
松代屋旅館は、玄関の横からのぞき窓があって、観光客が入れ代わり立ち代わり中を覗き込んでいました。 -
玄関にはスリッパがきれいに並んでいて、今でも現役っぽいのですが、
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その上に飾られているのは勝慎太郎主演の座頭市のロケ風景。この旅館の看板も映っていて、映画のリアルな映像に一役買っていたよう。ちょっといい感じです。
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曲げ物の店 丸田屋は、風呂の桶やお弁当などの木工製品が主ですが、竹製品や箸や小物のお土産などちょっと雑多かな。お店の中が通りからも丸見えのスタイルはほかのお店と同じですが、腰掛が付いていて、それがちょっと休憩するにはありがたいと思います。
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妻籠宿の見どころの一つとされている桝形の跡は、妻籠宿のほぼ中央。当時、宿場は防塞施設としての役割もあり、敵の侵入を阻むために道を直角に折り曲げた場所を造っていました。それが桝形。坂の両側が石垣で少し狭くなっているような感じもあるかな。
城の桝形のようにここに敵をとどめて攻撃するといったほどの積極的なものではないのですが、軍勢の進行を少し遅らすくらいのことはできたのではないかと思います。 -
妻籠観光協会観光案内所は、桝形の跡を上がってすぐ。グレーの洋館で一段高いところに建っています。
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中はざっくり昔の小学校みたいな雰囲気。無料の休憩所ですが、座る場所はちょっと少ないかな。パンフレットが多いといえば多いですが、やっぱり役に立つのは施設の案内よりも地図かなと思います。
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わちのやは、おやきのお店ですね。
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なす、切り干し大根、よもぎ、くるみに、肉まん野菜まんのラインナップ。
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イチオシ
ここはやっぱり定番かなと思って、なすのおやきをいただきました。ムニュっとした食感は、これこれ。これがおやきの王道です。
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高麗屋は、もう妻籠宿の北部エリア。ちょっと間口が広くてメジャーな感じがするお店。
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お箸や扇子に加えて、絵ろうそくやお香、紙製品など、ちょっとハイクラスの品揃えが特徴です。店内の商品棚の配置もスペースがあるので、ゆったり。気持ちを落ち着けて拝見できると思います。
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伊勢屋も、その並び。
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帽子にマフラー、扇子・うちわなど、カラフルなファッション関係の品ぞろえといったところ。地味な印象の木曽路ですが、たまにはこういう彩を意識した店があるとホッとするように思います。
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こちらは、妻籠郵便局。一階部分は全面が渋い格子戸のレトロな建物。壁に駒札がかかっていて、妻籠郵便局が開設されたのは明治6年3月。現在の場所に移ったのは、昭和54年。周囲の街並みに合わせて、出梁造りの形式となったと説明されていました。内部で資料展示があるようでしたが、この日は閉まっていました。
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さて、ここからは、いよいよ本陣と脇本陣。
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妻籠宿本陣は、少し傾斜して上り加減の敷地の奥に屋敷が建っています。
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ちなみに、本陣を務めていたのは島崎家。
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馬籠宿の島崎家とは縁続きなのですが、
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島崎藤村の母の生家であるとともに、藤村の次兄広助が養子に来ているという関係。かなりの濃さですよね。
それなりに豪壮な建物ですが、 -
これは復元建物。
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がらんとした内部に
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ちょろっと展示品がありますが、かなり限界はあるかな。
つまり、その後伺った話では、本陣は脇本陣と違って副業が禁止されていたために、明治になってから没落したよう。なるほど、そういうことですかと理解しました。 -
で、こちらは、本陣前の妻籠宿ふれあい館。無料お休み処です。
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ただ、のぞいてみると雛飾りですか。
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ほ~、これは本格的な飾りつけじゃないですか。
もう季節外れの感もなくはないですが、ゴールデンウイークまで引っ張ってくれたんですね。 -
イチオシ
ジャンルとしては創作人形。
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創作人形は飾りつけのセンスが問われるですが、この楽し気な雰囲気。
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繊細な飾りつけ。
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これだけのものを飾るには大勢のスタッフが必要だったはず。その結束力まで想像されて、すっかり感心。見事な出来栄えです。
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そして、続いての脇本陣は、妻籠宿では一番の観光スポット。
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先ほども触れたとおり、本陣は副業ができなかったために明治に入ってから衰退したのですが、こちらは酒屋の副業もあり、本陣に代わって隆盛を維持しました。
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現在の本宅は明治10年に建てられた建物。
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表の通りに向かった路地庭園ですが、塀の下はすぐに池。防犯上の構造なんだそうです。
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奥に向かってのこの広い空間が建物の中心部。
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年季を積んだ
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欄間に
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床の間。
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雪見障子。
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こちらの路地庭園は、京都も真っ青の苔の見事さ。
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遠くに見えているのは、妻籠城。
この城の城主で木曾氏の第19代当主だった木曾義昌は、高天神城の敗北もあり、武田家の将来に不安を抱くと織田氏に寝返り。そして、織田信長はこれを好機と見て、武田攻めを決断。武田家を滅ぼします。さりげなく見えていますが、そういう意味では、まったく歴史的な城ですね。 -
そして、見逃してならないのは、この額。島崎藤村がこの家に嫁いだ初恋の人おふゆさんの息子に求められて、書いたという詩。係の人が読んでくれましたが、なんか流れるような調べが心地よい。
ところで、島崎藤村は自然派の小説家として知られますが、ロマン派の詩人としても、北原白秋などと並んで巨星の位置づけなんです。
つまり、当時、詩はひらがなを交えた詩はまだ完全な本流ではなくて、土井晩翠とかに代表される漢詩も隆盛でした。夏目漱石も普通に漢詩を作っていますし、明治の初期だと日本の書物は面白くないから、中国のものを読んでいたとか。漢字は日本人にとって、もっと身近な存在だったんですよね。なぜ、漢詩がここまで縁遠いものになってしまったのか。それは、あまり知られてはいないと思いますが、戦後の進駐軍による軍国主義の根本を絶つ政策によるものなんです。漢詩は勇ましい。激しい気持ちを表すのに適していて、それが軍国主義の助けになったという理解です。私は、このことによって、漢詩という大きな日本の文化の一つが実質的に失われたのではないかと思っています。そして、さらに言えば、そのことが日本人の中国に対する憧憬の念のようなものもなくしたのではないか。四書五経がどういう意味を持つものかわかりませんが、漢詩を作るには、中国の故事や歴史文化の基礎知識が必要ですからね。李白や杜甫といった偉大な中国の詩人への考察もなくなってしまったことも本当に残念なことだと思います。
島崎藤村の詩人としての功績とは、関係ないことなんですが、ちょっとそんなことも頭をよぎりました。
ちなみに、若菜集の中の初恋も紹介します。素晴らしく美しい調べ。樋口一葉の「たけくらべ」なんかも同じ。明治の文学は、調べがとても大きな魅力なんです。
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ -
ちょっと、脱線しましたが、奥の間のこれは、
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イチオシ
皇女和宮、明治天皇も休息し、明治13年に明治天皇が休息した際に使われたテーブル。ひょいと裏返すと、当主がその記録をしたためていて、これはすごい。ちょっと家宝じゃないかなあ。
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こうして、係の人が建物のあちこちを丁寧に説明していれるし、いい気分ですね。
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蔵の方に移動して、
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こちらに保存・展示された
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食器なども美しい。
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ずいぶん保存状態も良くて、当時の生活ぶりが鮮やかによみがえるようです。
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こちらは、茶器ですか。
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そして、藤村の「初恋」のモデルとされているおふゆさん
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その関係の展示も興味を惹かれました。
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和歌の素養もあったんですね。なかなか賢い女性だったようです。
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ここで紹介されている妻籠城の戦いは、小牧長久手の戦いのもの。秀吉についた木曽氏義昌は、家臣の山村良勝に妻籠城の守備を命じ、わずか300の兵で、徳川家康軍7000の兵を撃退しました。
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こちらは、お六櫛。
お六という女性が御岳山のお告げで作り始めたという説明です。 -
木曽路の地図も馬籠峠を越えてきたので、リアルに感じることができました。
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再び、通りに戻って、お店のチェック。北部の続きです。
おみやげ処岩井屋は、どちらかというとあまり目立たない店構えかな。品ぞろえは帽子やステッキ、マフラーに布製品など。他のお店とカブる面もあって、ここならではというのはあまりないかもしれません。ただ、お店はきちんとしていて、乱れたところはありません。 -
イチオシ
満寿庵は、閉店間際でしたが、そば饅頭をいただきました。
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主力商品は栗きんとんだし、そんなに期待はしていなかったんですが、
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この餡子は滑らかな甘さがとってもいい。年季を積んだ味わいにちょっと拍手したい気持ちになりました。なかなかの技が光っています。
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ゑびやは、看板商品の栗きんとんがあるということでそれをいただきました。最近は冷凍技術が発達して時期を過ぎてもこうして栗きんとんをいただけるお店があるんですよね。
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包みを開くと小ぶりな栗きんとんが現れまして。そっと味わうとギュッと詰まった栗の濃い味わい。いい感じの仕上がりににっこりしてしまいました。
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もうここまで来れば、市街の端っこでしょう。
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妻籠宿高札場跡は、妻籠宿の一番北。緩いカーブの坂道脇に高札が建っていました。駒札がかかっているんですが、全体が黒ずんでいて、あまりよくわからない。全体として黒い塊のようにしか見えません。馬籠の高札場に比べると少し小ぶりかなと思います。
さて、これで、妻籠宿の観光も終了。ここからは、南木曽駅までバスで向かいます。 -
南木曽駅に到着。
ここから今夜の宿の中津川まで向かいます。 -
中津川駅に到着。
ここまでくるとちょっとほっとする感じ。木曽路を超えた安ど感でしょうかね。 -
晩飯はこちら。三遊司は、中津川駅前通りのトンカツ屋さん。
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中津川には「トリトマ丼」という町興しのB級グルメがあって、それをいただきました。これは、トマトと鳥肉を組み合わせた丼で、それぞれの店がそれぞれで工夫をしている。こちらは、鳥の肉を使ったカツ丼がベース。二つの組み合わせはまあまあ。こちらのはやっぱりカツのおいしさがあるので、それがうまいと思いました。
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今夜の宿は、このシルクホテル。中津川の駅前すぐで、裏の方の小さなスペースに受付があって、そのままエレベーターで上に上がります。
ペンシルビルみたいな構造なので、私としては安全を考えるとこういうホテルはやっぱり不安になる。あとは古びているくらいでどうということはないのですが、そこだけがちょっと気になりました。
いずれにしても、これで、四日目は終了。今日はハードな歩きの日だったので、明日は、バランスを取って軽く中津川と恵那の市街を回ります。
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この旅行記へのコメント (2)
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- toraobasanさん 2020/03/14 11:44:29
- 歩いてみたい妻籠宿です。
- たびたびさん、こんにちは。
拙い旅行記に訪問くださりiいいねもありがとうございました。
とても丁寧な説明とご自身の感じた気持ちが書かれて興味深く引き付けられます。
馬籠には、35年位前に行ったのですが、妻籠宿、奈良井宿には行ってないので
嬉しく読ませていただきました。
当時と、今では馬籠宿を見てきれいになって歩き易い感じがしました。
妻籠宿まで結構ありますね。
歩くのは大変だったと思いますが、周りをよく見られて知ることが多いと感心しながら
興味深かったです。
五平餅も美味しそうで大好きです。
建物とお店の紹介もきれいなお写真と一緒に楽しませて頂きました。
歩いてみたくなる妻籠宿でした。歳と時間がないので残念です。
ありがとうございました。
toraobasan
- たびたびさん からの返信 2020/03/17 16:10:15
- RE: 歩いてみたい妻籠宿です。
- 一般には、馬籠宿と妻籠宿はセットみたいなイメージでしたが、雰囲気的には陰と陽くらい違います。馬籠は、島崎藤村のビッグネームがあるので、二者択一になると、観光的には馬籠の方に行くことになるのでしょうが、今回はちょっと無理して妻籠に行って、妻籠の雰囲気があまりにもいいことに気が付かされました。そして、奈良井は街並みだけからすると妻籠より大きいし、代官所もあるので、さらに賑やかなんですが、そういう意味からすると馬籠は木曽路の宿でも鄙びた方かな。その鄙びた感がいいという人にはいいのかもしれませんが。。いずれにしても、今回の旅で、その辺りの比較ができたのが一番大きい収穫かもしれません。
たびたび
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