2018/01/04 - 2018/01/10
1630位(同エリア6940件中)
ひよどりさん
2018年1月4日から10日まで、東京との往復には青春18切符を利用し、在来線と私鉄で、滋賀・京都・三重を廻ってきました。
今回の旅行記 ルート
2日目:琵琶湖疏水大津側
第一(長等山)トンネル →琵琶湖の取水口
3日目:琵琶湖疏水京都側
浜大津駅→京阪京津線乗車
蹴上駅→南禅寺水路閣→
インクライン→琵琶湖疏水記念館
→南禅寺水路閣
琵琶湖疏水には、第一、第二とありますが、本旅行記中では、特に、区別する必要が無い限り、第一琵琶湖疏水を琵琶湖疏水と記載します。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
-
三井寺から、長等山の際に沿うように、琵琶湖疏水第一トンネルに向かいます。
琵琶湖疏水は水源地琵琶湖の水を京都に送る、大規模な送水路です。かつては、船舶も往き来し、運河としての役割も果たしていました。また、その豊かな水量は電力を生み、京都の発展に大きく寄与しました。 -
第一トンネル
トンネル開口部の上から、疏水を見下ろしました。
琵琶湖の水を勾配を付けて、京都まで送ります。周囲の道路面より、かなり下を流れていることがわかります。 -
第一トンネル
全長2436m、人力で貫通させました。トンネルの両端だけではなく、中間地点の2箇所からもシャフトと呼ばれる竪坑を掘り、計4方向から掘り進め、工期を短縮しました。
次の3枚の写真は、翌日、訪れた「琵琶湖疏水記念館」に展示されていた絵です。 -
琵琶湖疏水工場図絵 シャフト工場 1
深さ約45m、地上部径約5.5mの竪坑での作業の様子が描かれています。 -
琵琶湖疏水工場図絵 シャフト工場 2
館内の照明等が写り込んで見にくくて申し訳ありません。
-
琵琶湖疏水工場図絵 シャフト工場 3
-
第一トンネル 遠景
琵琶湖の水は一直線に長等山に向かい、トンネルに吸い込まれて行きます。
流れに逆らって歩いているので、時々振り返ります。 -
大津閘門 1
琵琶湖から第一トンネルまでは大津運河とも呼ばれ、昭和26年まで貨物を乗せた疏水船の往来がありました。
写真は、下流側(長等山側)の閘門です。強い勾配を持つ琵琶湖疏水に船を航行させるために設けられました。上流閘門の水面との高低差は1.5m程あるそうです。 -
大津閘門 2
上流(琵琶湖)側にも閘門は造られ、水位を調整するため、運河は仕切られます。 -
大津閘門 3
上流側(琵琶湖)の閘門。
疏水船が通うことは無くなりましたが、大津閘門は現在でも水位調整施設として使われています。 -
三保ヶ崎取水口
閘門から更に200m程離れた所にあります。
琵琶湖の水位が下がった時に使用されるポンプ場です。
琵琶湖側から撮影。 -
水源地琵琶湖
日暮れ時、三保ヶ崎水位観測所のシルエットが、小さなお堂のように浮き上がります。
明日は、疏水到達地、京都南禅寺の水路閣を訪ねたいと思います。 -
浜大津駅、手旗を持つ駅員
中ノ庄駅乗車、浜大津駅で京阪石山坂本線から京阪京津線に乗り換え、京都方面に向かいました。昨日、当駅で購入した京阪京都市営地下鉄1dayフリーパス(1100円)を利用。フリーパスは、販売駅が限定されるので、要注意です。
京都は、40数年ぶりの訪問です。午前中は、新京極や錦小路辺りを歩き、午後、南禅寺の水路を訪れました。 -
路面電車区間 車窓風景
浜大津駅を出発、町中を走行。のんびりとした路面電車の揺れに、のどかな気分を味わっていると、風景は一変、山の中です。
カーブのきつい急勾配の斜面を登っているのが、音と揺れから伝わってきます。遊園地の乗り物さながらに、体を持っていかれそうです。
京都に向かって右側の車窓は、三井寺背後の長等山に連なる山々でしょう。琵琶湖疏水もこの山の下を山科まで流れています。
左手は、車道を見下すかと思えば、人家の際を通過、高速道路、歴史を感じさせる擁壁、目まぐるしく変わる逢坂山近辺の景色に釘づけで、写真の一枚も撮れずに終わりました。
今でも、この景色が見たくて、動画サイトに時々アクセスしてます。 -
大谷駅ホームのベンチ
ちょっと気になり撮したものです。写真右下が切れてしまい、わかりにくいのですが、ホームの勾配がきつく、ベンチの左右の脚の長さが違うそうです。旅行後、この山岳区間を追体験したく、検索していて知りました。 -
三条通
京阪京津線の線路は、路面電車→山岳鉄道→一般鉄道と一続き、御陵駅からは、京都市営地下鉄東西線に乗り入れです。
京都市役所前で下車。宿泊先の中ノ庄から670円なので、1dayパス1100円はお得です。小雨も降り、午前中は、錦小路など、アーケードのある場所で過ごし、雨の上がった午後、南禅寺水路閣に行きました。
写真:蹴上駅下車1番出口右手、遠くに蹴上発電所が見えます。(写真中央) -
ねじりまんぽ入り口
蹴上駅1番出口から右に100m位の所にあります。インクラインの下を貫通する煉瓦積みのトンネルです。
トンネル内側の壁の煉瓦は斜めに積まれ、捻じった様に見えます。そして、「まんぽ」とは、鉱山の坑道や掘り口を指す「間歩」のことだそうです。
三条通側上部の扁額には、「雄観奇想」、反対側には、「陽気発處」とあります。(琵琶湖疏水発案者の京都府知事北垣国道が揮毫) -
ねじりまんぽ天井
出口に向かって、吸い込まれて行くような雰囲気です。 -
ねじりまんぽ壁面
煉瓦が斜位に積まれていることが、よくわかります。 -
南禅寺への道
古都ならではの景観を楽しみながら、水路閣目指して進みます。 -
南禅寺境内に入ります。水路閣までは約300m程。
三門に寄ってから行きました。 -
南禅寺水路閣到着。
-
ちょっと、水路閣の上に上がってみます。
-
水路閣の上部が間近に見えてきました。
-
上部に到達。水路脇が歩けるようになっています。流れに沿って下って行くと、すぐ行き止まりになりました。水路閣の終点も見えます。
-
引き返して、川上に向かいます。
歩いていると登坂と思いませんが、疏水の流れは早く感じられます。計算し尽くした勾配で水は下っているのでしょうね。 -
まだまだ続きます。途中で引き返す人もいます。すれ違う人もなく、先に進みます。
-
琵琶湖の水が、山から勢いよく流れ出ています。
-
ここが折返点かと思えば、右手に貯水池?があり、見学できる道はまだ続いています。
写真、赤い鉄製の疏水施設の左側に、前の写真の吐水口があります。 -
貯水池 1
ここから蹴上発電所の施設になるのでしょうか、貯水池脇を歩きます。 -
貯水池 2
「行き止まり、関係者以外立入禁止」の表示もなく、通路は細く、曲がりくねっています。 -
貯水池 3
戻るつもりの水路閣は、どんどん遠ざかっていきます。 -
導水管
この導水管は、ねじりまんぽの傍で見たような・・・引き返すにはもう遠すぎます。 -
導水管付帯設備
-
水の流れる音がします。
-
堰が見えます。写真ではわかりにくいと思いますが、広い斜面を水が流れ落ちています。 -
大津から山科を経由して蹴上まできた琵琶湖の水は、ここで、二手に分かれます。
上の水路の溢水が斜面下の水路に集められ、導水管と水路閣の2方向に分かれます。
導水管を通過した水は、蹴上発電所、浄水場に、一方、南禅寺水路閣に向かう水路は、疏水分線と呼ばれ、哲学の道方面に延伸していきます。 -
遠くに煉瓦の建物(旧御所水道ポンプ室)が見えてきました。
-
第一、第二疏水の合流点。手前のトンネルから第二疏水の水が流れ込みます。
煉瓦の建物は、御所の消火を目的に造られたポンプ所です。その奥に第一疏水の第三トンネルの出口があります。
疏水に船が走行していた頃、この辺りは、船溜まりとなっていました。 -
旧御所水道ポンプ室を近くで見られないものかと思い、ポンプ所の塀に沿って歩いてみました。
敷地内を覗くと、疏水合流点では見えなかった小さい古い建物が見えました。 -
蹴上船溜まりの手前は、南禅寺船溜まりに続くインクライン(傾斜鉄道)と合わせて、公園として整備されています。インクラインでつかわれた台車と船が展示されています。
東京に住んでおり、琵琶湖疏水については、水路閣の写真を見る程度の知識しか持ち合わせておりませんでした。思いかけず、水路閣の上の水路を遡り、インクラインに到達、行き当たりばったりの醍醐味を味わいました。 -
インクラインを下ります。
かつて、水路を航行してきた疏水船は、そのまま線路上の台車に載せ、蹴上発電所で生まれた電気で台車を動かしていました。 -
ねじりまんぽの上を通ります。
-
廃線となった京都市電の敷石が埋め込まれています。
-
犬釘
-
まだまだ下ります。
-
インクラインの脇(南禅寺側)に、歴史を感じる建物がありました。
-
蹴上発電所
三条通りの向こうに、蹴上発電所が見えます。 -
この小さな水の流れも、疏水から分かれてきたものでしょうか。
-
線路は途切れ、南禅寺船溜まりに続く湿地なりました。
-
琵琶湖疏水記念館 遠景
入館料は無料です。本旅行記の冒頭に紹介した竪坑の絵を始めとして、難工事を物語る資料が展示されています。
2日間に渡って歩いて見てきた水路やトンネル、建物が何であったのかも、ジオラマや展示パネルでよくわかりました。
21歳で主任技師となった田邊朔郎の後年の講演ビデオも興味深いものでした。
16:30、閉館です。さあ、水路閣に戻りましょう。 -
南禅寺水路閣 1
-
南禅寺水路閣 2
-
南禅寺水路閣 3
-
第五トンネル入り口
もう一度、水路閣に上りました。今度は、下流に進みます。疏水は数10mで山の中に消えて行きました。
第五トンネル→扇ダム→第六トンネル→哲学の道→松ヶ崎浄水場に、琵琶湖の水が送られます。 -
扇ダム放水路 1
帰路、南禅寺境内に「哲学の道→」という標識を見つけました。矢印の方向に進み、寺外へ。
ちょっと調べると、どうも哲学の道は遠いようです。
永観堂の手前、野村美術館の角で水路にぶつかりました。 -
扇ダム放水路 2
知らずに歩いていましたが、この水路は、水路閣に続く第五トンネルの先にある扇ダムの放水路で、下流、琵琶湖疏水記念館横の吐口(次の写真)から、南禅寺船溜まりに流れ落ちます。
始点終点を追いかけなかったことが残念です。 -
琵琶湖疏水記念館 扇ダム放水路の吐水口
扁額には、百年後の京都を思い、琵琶湖疏水の計画を成就させた京都知事北垣国道の言葉「楽百年之夢」が記されています。 -
琵琶湖疏水記念館 展示
初めて訪れた大津、南禅寺界隈、疏水の流れにを遡り、先が知りたい・・・ちょっとした冒険もできました。
明治維新から10数年で、計画が立てられ、着工から5年で完成という偉業を、歩けば歩く程、感じました。
写真は、疏水記念館に展示物、疏水工事で使われた掘削具です。
煉瓦や石積みに覆われた近代的・西洋的な土木構造物の下は、弥生時代の鋤のような刃先に鉄を填めただけの木製の掘削具で掘られていました。少量のダイナマイトは使われたとはいえ、溝もトンネルも45mの竪坑も、人足の力で造られたことの証だと思います。
琵琶湖疏水、まだ訪れていない区間が沢山残っています。また何時の日か、追いかけたいと思っております。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
-
前の旅行記
三井寺詣、順路を逆行〈2018青春18寒中漫遊 2 〉
2018/01/04~
大津
-
次の旅行記
近江八幡、ヴォーリズ建築巡り〈2018青春18寒中漫遊 5〉
2018/01/04~
近江八幡・安土
-
京阪中ノ庄に拠点を置く〈2018青春18寒中漫遊 1〉
2018/01/04~
大津
-
大津百町、美女祈願、馬の神社に兎の神社、旧街道に大津絵のみち〈2018青春18寒中漫遊 3 〉
2018/01/04~
大津
-
三井寺詣、順路を逆行〈2018青春18寒中漫遊 2 〉
2018/01/04~
大津
-
琵琶湖疏水を追いかけて〈2018青春18寒中漫遊 4〉
2018/01/04~
東山・祇園・北白川
-
近江八幡、ヴォーリズ建築巡り〈2018青春18寒中漫遊 5〉
2018/01/04~
近江八幡・安土
-
あすなろう鉄道で旧亀山製糸室山工場へ、四日市・四郷散策記〈2018青春18寒中漫遊 6〉
2018/01/04~
四日市
-
亀山宿から関宿へ〈2018青春18寒中漫遊 7〉
2018/01/04~
関
旅行記グループをもっと見る
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
東山・祇園・北白川(京都) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 2018年1月 大津・三井寺・琵琶湖疏水・近江八幡・旧亀山製糸工場・関宿
0
59