2017/05/28 - 2017/06/15
3位(同エリア183件中)
ねんきん老人さん
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- クチコミ14件
- Q&A回答2件
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四国霊場を回り終わったら高野山にお礼参りに行くのが作法と聞き、八十八番札所からそのまま和歌山に向かいました。
高野山の宿坊に泊まったあとは帰るだけですが、なんの巡り合わせか、山道で迷ったあげくに、かねてから行ってみたいと思っていた谷瀬の吊り橋に出てしまいました。
私は高い所というとそれだけで登りたくなる性分で、かねがね妻に笑われていました。
馬鹿と山羊は高い所が好きだとも言いますので自慢にはなりませんが、高所恐怖症ならぬ「高所昂揚症」の私としては、駆け出したい気分で橋に向かいます。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 交通
- 2.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
【 徳島港フェリー乗り場 】
最後の大窪寺を出たあと、やはり気が抜けたのか、昼寝をしたり銭湯に寄ったりというスロードライブで午後3時過ぎに徳島港に着きました。
15年前にここから同じフェリーに乗って和歌山に行ったのですが、そのときはタクシーで来たせいか、ターミナルに見覚えがありません。徳島港フェリーターミナル内軽食・喫茶「海の道」 グルメ・レストラン
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【 乗船券 】
乗船券を買いに行くと、窓口に「車の場合はドライブスルーでのみ販売」と書いてあります。
慌てて車に乗り車両窓口に行くと、予約はしてあるかと訊かれました。
していないと答えると、間髪を入れず9600円と言われ、いささか動揺しながら支払い、車列に並んだところで大変なことに気付きました。
どこかの道の駅でもらった割引券を出すのを忘れていたのです! 割引率は10%。コンビニの昼飯が2回買えた額です。 大損をしたあとの憂鬱感がずっと尾を引いたのは言うまでもありません。 -
【 和歌山県からの折り返し便 】
和歌山からの折り返し便が着岸しました。 この船が16時30分に出ます。
あとで分かったのですが、この前後の便は休航となっており、実際の前便は5時間半前、後便は5時間20分後でした。 フーッ! -
【 2時間強の船旅 】
「お母さん、やっぱり船はいいねえ・・・」
首から下げた妻の遺骨に小声で話しかけました。 妻も船が好きでした。
と、船内放送が。 「お車ナンバー、49-89のお客様、船内案内所までお越しください」
49-89、四苦八苦、まさしく私の車です。 何事ならんと行ってみると、車のライトが点いているとのこと。 割引がパーになって落胆のあまり注意力が散漫になっていたようです。 -
【 高野山・大門 】
和歌山港に着いてから、何をどうしたことか山道に迷い込み、真っ暗な中、1台の対向車にも遭わぬまま2時間も走りました。
落ち葉が厚く積もった狭い道で、街灯の類はまったくありませんので、脱輪でもしたら大変と、窓から首を出して路肩を確認しながらの運転です。 ナビを見ると道のない所を走っています。 携帯電話を見ると「圏外」の文字が。
それでもなんとか「明恵ふるさと館」という道の駅が見つかり、エンジンを切ってそのまま寝てしまいました。
朝になってトイレに行くと、なんとこれがウォッシュレットではありません。 次のトイレまでどのくらいあるかも分からず、途方に暮れましたが、ふと、女性用はどうだろうかと思って、覗いてみました。 ウォッシュレットでした!
他に車が1台もなかったこと、まだ薄暗くて、人々の動き出す時間ではなかったこと・・・、神の恵みだと思って用を足しました。 もちろん気が気ではなく、スッキリしないまま切り上げましたが。
逃げるようにして道の駅をあとにして、2時間後、といってもまだ7時ですが、高野山の大門に着きました。大門 名所・史跡
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【 一の橋 】
奥之院にお参りするには一の橋駐車場が近いのですが、有料なので金剛峯寺の無料駐車場に停めました。
そこから2kmですから、なにもお金を使うことはあるまいと、町の雰囲気を楽しみながら歩き、一の橋に着いたときにカメラと携帯電話を忘れたことに気がつきました。
また2kmを戻ります。
どうも女性用トイレで落ち着かぬ用足しをしたことが、まだ心の平静を乱しているようです。
もう一度歩く気にはなれず、中の橋の無料駐車場に行き、そこから一の橋まで歩きました。 -
【 司馬遼太郎文学碑 】
一の橋を渡ってすぐ、司馬遼太郎文学碑があります。
あれ? こんなのあったっけ? 家に帰ってから調べてみると、この碑が建てられたのは8年前、私が最後に行ったのはその前でした。
もうそんなになるのか・・・。
碑に書かれているのは『高野山管見』の冒頭部分だそうですが、私はそれを読んでいないので、イマイチ感動が湧きません。
ただ、司馬さんの本は何冊か読んでおり、こんなにも博学で、こんなにも深い洞察のできる人がいるものかとひれ伏す思いをしていました。
72歳で亡くなったそうですが、私はもう74。 200歳まで生きても司馬さんの背中も見えないでしょう。
昔、学校の先生が「人間には上下はない」と言っていました。 そんなことはありません。 できの良し悪し、上中下、松竹梅・・・これが同じ人間かと思うような差は現実にあります。 -
【 徳川吉宗墓所? 】
「お母さん! マツケンの墓だよ・・・な~んちゃって、暴れん坊将軍だよ」
高野山にはたぶん10回以上来ていると思うのですが、初めて気づきました。 それにしても石塔も墓標もやけに新しいような。
あれ? 石塔には「大川家」って書いてありますけど。 なんだこりゃ? -
【 石田三成墓所 】
歴史上の人物の墓(慰霊墓)を巡るのは奥之院参拝の楽しみですが、多すぎて記憶が散漫になりがちなので、数基をじっくり見たら、あとは次回のお楽しみにとっておくのがいいと思います。
で、今回は石田三成の墓です。 義を守り、家康に媚びなかった武将として人気がありますし、妻も江守徹さんの三成を熱心に見ていましたから。
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【 奥之院参道 】
やっぱりこの写真がないと、本当に行ったのかと訊かれてしまいそうなので、載せておきます。
この佇まいは、奥之院ならではのものではないでしょうか。 -
【 久保田鉄工墓所 】
そしてここ、久保田鉄工株式会社(現・株式会社クボタ)墓所です。
同社の社員が合祀されている所で、私の兄と義兄もここに入っています。
私が何回も高野山に来ている理由のひとつで、姉たちとも一緒にきました。 今回も当然、時間をかけてお参りします。 -
【 納経所 】
その後、奥之院・弘法大師御廟にお参りしましたが、御廟橋から先は撮影禁止ですので、写真はありません。
続いて納経所に行きます。
八十八霊場の御朱印が押された納経帳を出すと、「満願ですか、ご苦労様でした」と声をかけてくれました。 -
【 納経帳・御影保存帳 】
88のお寺と高野山の御朱印が押された納経帳です。 添えてあるのは、各寺でいただいたご本尊の絵姿を入れた保存帳です。
私が死んだときに棺に入れてもらい、待っている妻への土産にします。
「お母さん、終わったよ。 全部回ったよ。 安心して待ってるんだよ」
八十八番札所の大窪寺ではとくに感慨もなかった私ですが、このときはお坊さんへのお礼も声にならず、人目を避けて物陰に逃げ込みました。
必死で自分を叱りましたが、涙は止まりませんでした。 -
【 金剛峯寺 】
いったいどのくらいの時間が経ったものやら、トイレで顔を洗い、何食わぬ顔で金剛峯寺へ向かいます。
ちょうど団体のお遍路さんがいたので、これ幸いとあとにつきます。 ガイドさんの説明を盗み聞きするためです。 -
【 金剛峯寺・本堂 】
檜皮葺の屋根には大きな天水桶が載せられており、いざ火災というときにはお坊さんが梯子を駆け登って水を掛けるようになっていたとのこと。
今でも定期的に消火訓練が行われていると、私は40年以上前に聞き、前回一緒に来た妻にもそう説明しました。
ところが今回のガイドさんによると、訓練は近代的な消防設備を使って行われており、実際に屋根に登ることはない、そもそも昔だって桶や梯子はおまじないの意味で置かれていたのであって、実際に使われたわけではない、ということでした。
まあ、考えてみればそうでしょうね。 お母さん、めんごめんご! -
【 金剛峯寺・蟠龍庭(ばんりゅうてい) 】
金剛峯寺の石庭です。 脈絡もなくマリーゴールドやらパンジーやら植え込んでいる我が家の庭とは大違い。 面積も5000坪とか。
5000坪? 庭だけで?
「お母さん、ウチは家と庭、合せて何坪だったっけ?」 -
【 中門 】
??? こんなのあったっけ?
そもそもここにあった中門は、天保年間に焼失していたので、以前は道路から檀上伽藍の金堂や根本大塔が直接見えたのですが、平成27年に5年の歳月をかけて再建されたのだそうです。
屋根の檜皮だけで、直径1m、高さ20mの檜1500本を使っているそうです。
ちなみに、元の中門は二天門だったそうですが、再建された門は四天門、新たに安置された広目天・増長天は現代の仏師によって作られたということです。 -
【 多聞天・持国天 】
天保の火災で焼失を免れた多聞天(左)と持国天(右)です。 -
【 増長天 】
現代の仏師、松本明慶さんによって作られた増長天像です。
見事としか言いようがありませんが、よく見ると胸にトンボが止まっています。 トンボは前にしか飛ばない、つまり尻込みや後ずさりをしないというところから、何があっても退却しないという強い意志を示しているのだとか。
よく聞く話で、結婚式のスピーチでも聞いたことがありますが、そのとき私が思ったことは、トンボじゃなくたって、スズメだってカラスだって後ろには飛ばないぜ、ということでした。 飛んでいるときだけではなく、地面をちょんちょん歩いているときだって、後ろには下がりません。 -
【 広目天 】
これはまた! 胸に蝉が止まっています。
蝉はいったい、どういう意味でつけたのでしょう? ネットで調べたら、蝉の声は遠くまで届くので、周囲を威嚇する意味を持つのだとか。 私は蝉の声でビビったことはありませんけどねえ。
いやいや、別にケチをつけるつもりはありません。 それぞれの時代の仏師が独創的な意匠を凝らすのは良いことだと思います。 -
【 六角経蔵 】
中門を入って左手に、鳥羽法皇の后・美福門院が建てた六角経蔵があります。建てたといっても、実際に建てたのは大工さんですが・・・。
美福門院は女人禁制の高野山に自分を葬るよう無理を言い、この経蔵と紀州の荘園を高野山に寄進したそうです。
結果、高野山は美福門院の納骨を「例外」として許可したそうですから、天下の霊場も「寄進」には弱かったということでしょうか?
お堂には取っ手がついていて、これを押すとお堂全体が回転します。 チベット仏教のマニ車同様、一回りすると一切経を一回読んだのと同じ功徳を得られるということです。 -
【 根本大塔 】
言わずと知れた根本大塔で、弘法大師がその建立に心血を注いだという塔ですが、完成は大師ご入定後40年も経ってからのことだそうです。 何度も火災に遭い、現在の塔は昭和12年に再建され、鮮やかな朱は平成8年に塗り替えられたとのことです。 -
【 蛇腹路 】
根本大塔から東に延びる小路で、龍の腹にたとえて「蛇腹路」と呼んでいるそうです。
15年ほど前、姉夫婦3組と私たち夫婦の8人で高野山にお参りしましたが、そのときこの道を談笑しながら歩いている写真があります。
その後、写っていた義兄2人が亡くなり、今また、私と並んで写っていた妻が死にました。
「無常」が世の習いとはいえ、神仏の「無情」を恨まずにはいられません。 -
【 一乗院 】
この日は一乗院に泊まります。
平安時代後期の開基という由緒あるお寺で、泊まるのは3回目です。 1回目は姉3人と、2回目は先に述べた8人で、それぞれ朝の勤行に参加して亡くなった兄のために回向をしていただきました。
それが今回は、兄に加え、その後に亡くなった2人の義兄の分、さらに妻の分までお願いすることになり、勤行には重い気持ちで参加しました。
かつてこの本堂で、私の横に座っていた妻が、よもや回向される側に回ろうとは・・・。
ご導師のお声の中に妻の名を聞いたときは、妻と入れ替わりたいという無理な思いでいっぱいになり、その後のお経は上の空で聞いていました。 -
【 一乗院の夕食 】
夕食は当然、精進料理です。
さすがにコンビニ弁当を缶ビールで流し込むのとは違いますが、「美味しいね」「これは何?」などと言い合いながら食べるのと違い、美味しくも楽しくもありません。
一人で黙って食べるなら、コンビニ弁当の方がずっといいです。
このお寺は、狩野派の襖絵が自由に見られたり、見事な泉水庭園があったりと、高級旅館も顔負けの宿坊を備えているのですが、満足感を共有したり、あるいは土産話として伝えたりする相手がいないのでは、何を見てもつまらなく、却って面倒です。 -
【 十津川への道 】
さて、朝の勤行で妻の回向をしていただいたことで、今回の遍路に続く仏教的なことがらはすべて終わりました。
北上して名神高速に乗ればそのまま帰れるわけですが、今いる紀伊半島から海路渥美半島に渡れば、昔家族で行った伊良湖岬に出られます。
ならばと思って県道53号を東へ。 ところが途中で東へ向かう道が通行止めになっていて、やむなく山道を南東へ。 -
【 谷瀬の吊り橋 】
そして図らずも通りかかったのがここ、かつて「日本一」だったという谷瀬の吊り橋です。 最近は観光用に長大な吊り橋があちこちに作られていますので、日本一という字はちょっと寂しく見えます。
ただ、この橋はやむにやまれぬ生活上の必要から、村人たちがお金を出し合って作ったということで、ふるさと創生ナントカという税金で作ったものとは違います。 -
【 注意書き 】
どこの吊り橋にもだいたい同じような注意書きがありますが、「一度に20人以上渡ると危険」って、石塚英彦さんと彦麻呂さん、渡辺直美さん、森久美子さんが中に入っていても20人ですか? -
【 谷瀬の吊り橋・右岸から左岸へ 】
対岸(左岸)までは297mだそうです。
板は幅21cmのものが4枚ですから、歩く部分の幅は80cm余りということになります。 地元の人はここをバイクで走ったりするそうですが、観光客は自転車もバイクも禁止です。 そりゃそうですね。
そういえば、さっきの注意書きにも「観光客が二輪車で橋を渡ることは禁止します」って書いてありましたね。 一輪車ならいいんでしょうか? -
【 眼下の十津川 】
下を覗くと、十津川が流れています。 川面まで54mとか。
こういう高い所は大好きで、ついつい身を乗り出してしまいます。
若いころ、パラシュート降下の第一段階「飛出塔訓練」というのを体験したことがあります。飛行機に見立てた建物から飛び出して、あとはハーネスでワイヤーを滑り降りるという、なんでもないことなのですが、一緒に体験した人たちが飛出口にしがみついたり、しゃがみ込んだり、はては階段で下りたりしている中で、私はなんなく飛び出し、教官に褒められました。
あとで他の人から、教官が「馬鹿と山羊は扱いやすい」と笑っていたと聞きましたが。 -
【 腹這ってみると 】
橋の中央で腹這ってみました。 とくに意味はないのですが、いろんな角度で橋を楽しみたいと思って・・・。
まあ、74になった男がやることではありませんが。 -
【 橋板の継ぎ目 】
風雨で劣化した板が浮き上がっています。 針金で止めてありますが、その穴もだんだん大きくなっていくようで。 -
【 金網部分 】
板の両側は金網になっています。
高価な板を節約しているのか、スリルを増すためにそうしているのか、どちらにしても、私にとっては嬉しいことです。 -
【 錆びた金具 】
ワイヤーを吊り下げている金具が錆びているというのも結構な話で。 -
【 対岸から望む吊り橋 】
高さや揺れを楽しみながら、呆気なく渡り終え、対岸から橋を眺めます。 -
【 橋名板 】
もう一度橋に戻ると、そこに橋名板がありましたが、おやっ? と思いました。
昔、この橋のことを知ったとき、私は「やせのつりばし」だと思っていました。 その後「たにぜのつりばし」だと知って不明を恥じたのですが、ここには「たにせばし」と書かれています。
このすぐ上流に「谷瀬橋」という橋があることは案内図で分かりますが、その橋名板がここについているとも思えず・・・。
それにしても「たにせ」なのでしょうか、「たにぜ」なのでしょうか? -
【 谷瀬の吊り橋・左岸から右岸へ 】
それでは橋を渡って右岸に戻ります。
この昂揚感はたまりません。 高い所が好きだという山羊も、私には一目置くのではないでしょうか。 -
【 谷瀬の吊り橋・中央部 】
今度は中央部で仰向けに寝てみます。 まったく意味はないのですが。
どちらの岸にも人影はありませんでしたが、もし誰かが見ていたら、頭のおかしい白髪のジジイが寝てるよと騒ぎになったかも知れません。 あるいは年寄りが倒れていると思って駆けつけたでしょうか。 -
【 空! 】
寝転んだまま、空を見上げます。
これも意味はないのですが、強いて言えば、橋を独り占めしている爽快感に浸る・・・いや、やっぱりこじつけです。
-
【 劣化した角材 】
今度は金網部分から下を見下ろしてみます。
金網があるので高さもあまり感じられず、怖いことはありません。 その網を留めるための角材が風雨で腐り、折れているのがご愛嬌です。
直しもせずそのままになっているのは、スリルを増すための演出でしょうか? (まさか!) -
【 網はどこまで? 】
それでは、その金網部分に乗ってみましょう。
ここで分かったのですが、網は橋板の下まで敷いてあるわけではなく、板のない部分を補っているだけで、端に隙間があります。
だったら、やはり角材はちゃんとしていなければいけませんね。 -
【 両足で 】
両足で網の部分に乗ってみます。
そこにもワイヤーがあるわけで、危険はまったくないのですが、だからといってそんな所に乗っているというのも、あまり利口には見えませんね。 -
【 いい加減にしましょう 】
最後に、網と板の隙間に足を。
小さな子だったら足が入ってしまうと思いますから、お子さん連れの方はお気をつけください。(これって、クチコミになるのでしょうか?) -
【 道の駅「吉野路大塔」 】
年甲斐もなく吊り橋を楽しんだあとは、伊良湖へのフェリーに乗るため、鳥羽を目指します。
谷瀬の吊り橋から20kmほどの所、国道168号線沿いに道の駅「吉野路大塔」があります。
「コクミックパーク星の国」という看板が出ていたので、店員さんに星が見えるのかと訊いたところ、「星は田舎だったらどこでも見えますよ」という答えでした。
お遍路とお礼参りを済ませた安堵感のせいでしょうか、私自身も張りつめていた気が緩んで、そういう返事にもムッとするどころか、妙に納得してしまいました。
今日中に海を渡れるかどうか、それもどうでもいい気分でした。
「お母さん、ゆっくり行こうね」 -
【 伊勢湾フェリー 】
伊良湖まで渡ったら日が暮れてしまうので、今日は鳥羽で寝ようと思ったのですが、適当な場所が見つかりません。
鳥羽市内の道の駅を3か所回りましたが、どこも道の駅とは名ばかり、単なる土産物屋で、とても車中泊ができる状態ではありません。
そういえば以前三重県を回ったとき、やはり道の駅がどこも同じような感じで、仕方なく道路わきの草地に車を停めて寝たのを思い出します。
やむなく、今日中に伊良湖に渡ってしまおうと、最終のフェリー(17:40出航)に乗ります。
-
【 フェリー乗り場 】
半島とか岬とかいう言葉は、なにがなし旅心をくすぐります。
伊良湖というのも、意味は分かりませんが旅情を感じる地名ではないでしょうか。 -
【 ミキモト真珠島と真珠橋 】
乗船するとミキモト真珠島と「真珠橋」が見えました。
25年前、家族で来たときに真珠島に行こうとタクシーに乗りましたが、運転手は「真珠島なんて観光ずれしていて面白くない。それより本当の作業が見られる所を案内しよう」と言って、勝手に怪しげな店に行ってしまいました。作業どころか、売らんかなの魂胆むき出しのオバサンに辟易して退散し、結局島へは行けませんでした。
私は何度も行っていて、それなりに面白かったので、後年妻を連れて行き直しました。
「お母さん、真珠島が見えるよ。真珠は高くて買えなかったけどねえ」
ちなみに「真珠橋」と書いたのは「パールブリッジ」のことです。
日本の施設にやたら外国語の名前をつけることには我慢がならないので、「和訳」しました。
私の住む千葉県から対岸の神奈川県まで渡る海底トンネルは「アクアライン」と名付けられていますが、私は意地になって、今でも「東京湾横断道」と言っています。 その度に「それって、アクアラインのこと?」などと訊かれますが。 -
【 豪華な晩餐 】
伊良湖港について、そのまま駐車場で寝ました。
途中のコンビニで買った寿司、ハム、漬物、それに発泡酒。 なんと豪華な夕食でしょう。
まあ、妻が元気なころ、私の車中泊についていつもうるさく言っていたのは「ちゃんとした物を食べてくださいよ」ということでしたから、これなら文句はないでしょう。
「お母さん、思い出の伊良湖岬だね。 伊良湖だよ・・・」
話しかけても返事のないことに、だいぶ慣れはしましたが・・・。
「明日は、灯台まで行ってみようか?」
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この旅行記へのコメント (13)
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- 風 魔さん 2020/08/14 09:22:07
- お元気にいつまでも、「人生の旅」をつづけてください!
- ねんきん老人さん
毎日暑い日がつづき、さらにコロナで外出自粛とヘンな世の中になりま
したね!
貴殿の境遇と同じように、自分も相方が60歳の時に亡くなり突然の一人
暮らしとなった私を心配した姉たちが、海外旅行に誘ってくれましたが
楽しさを共有する相方がいない寂しい想いは変わりませんでした。
あれから十数年が経ちましたが、4トラに加入して世界遺産の見学、静岡
県の知られざる寺社仏閣を訪ねる旅、また旅行好きの妻と行った思い出の
地を訪ねては投稿して気持ちが癒されています。
当時はバブル期で毎日残業の日々、子育てを相方に託して家庭を顧みずに
ただ働く毎日でしたが、周囲の知人に、ほとんど夕食を家族団らんで食べ
られないと云っても理解してもらえませんでした!
私も後期高齢者ですが、気持ちは「young at heart」で世の中の動きに
気を配り、趣味の世界は労を惜しまずどこでも出掛けて行きます。
- 風 魔さん からの返信 2020/08/14 09:42:55
- Re: お元気にいつまでも、「人生の旅」をつづけてください!
- 追伸:< 高野山の思い出 >
まだ見ぬ高野山ですが、我が家には昔から金剛峯寺の高僧が描いた一筆
書きの蛇の掛け軸があり、小さい頃には床の間に飾ってありましたが何
となく不気味で作者名を知ろうと思い、お寺へ照会したところ実在の人
物でした!
一度は歴史ある高野山を訪ねて、大名や戦国時代の武将の墓を見学して
歴史ロマンに想いを寄せた旅をしたいと思います。
風 魔
- ねんきん老人さん からの返信 2020/08/14 11:06:55
- 人生の旅・・・そうですね。
- 風魔さん、丁寧な書き込み、ありがとうございました。
風魔さんの奥様は60歳で・・・。 言葉がありません。
私の妻はママさん卓球に夢中な元気者でしたが、突然癌を告げられ、その11か月後、64歳で死にました。
神仏は何を基準に人の寿命を決められるのか、私は今でもその問いかけをやめることができません。 神仏の無情な仕打ちへの恨みも捨てられません。
昔々、大人から「 仏様は自分の周りに良い人を集めたいものだから、良い人ほど早くさらっていくんだ。 だから憎まれっ子世にはばかるという言葉があるんだよ 」というようなことを聞いたことがあります。
まあ、神仏が私より妻を早くそばに置きたいと思うのは当然でしょうが、それにしても私は今77。 妻より13年も長く人生を楽しんでいるというのは不公平すぎると思います。
風魔さんが姉上様たちに誘われた海外旅行でも「楽しさを共有する相方がいない寂しい想いは変わらなかった」と述懐されているお気持ち、まさに私の気持ちと同じです。
妻が今どこにいるのか、私の呼びかけが聞こえているのか、私の行動が見えているのか、等々、私にはまったく分かりません。 そばにいるだろう、聞こえているだろう、見えているだろう・・・そう思う一方で、全然そうではないだろうという気持ちもあり、なにはともあれ早く妻のそばに行ってやりたりという思いが募ります。
とはいえ、何の故か授かった命を自ら終わらせる大罪を犯す気はありませんので、そのときがくるまでは、妻を連れての旅を続けたいと思いますし、妻への土産話を作る旅にも出かけたいと思ってはいます。
心身ともに老け込んでしまった昨今ですが、風魔さんの仰る「 young at heart 」を取り戻せるよう、背筋を伸ばしたいと思います。
その一環として4トラへの投稿も続けたいと思いますので、どうかこれからもよろしくお願いいたします。
コロナ騒ぎが収まる気配はありませんが、ときあたかもお盆ですので、奥様もおそらく、いやきっとおそばにおいでだと思います。 どうぞ旅の想い出など語り合っての日々を過ごされますよう。
高野山金剛峯寺の高僧の手になる蛇の掛け軸。今では奥様も不気味とは思わずに眺めることができていらっしゃるでしょうから、改めてご観賞なさってはいかがでしょうか。
ねんきん老人
-
- nimameさん 2017/12/19 20:34:13
- お礼参りの高野山
- 年金老人さん・ご無沙汰しています。
四国八十八か所の後、高野山にも行かれたんですね~
徳島港~和歌山港へ・その後の山道大変な思いしてお疲れ様でした。
nimameも本州の山道に間違って入り、最初はとても太い道少しずつ細くなり・
いきなり林道の様になり、Uターンするに出来ず・ひたすら前進するのみ・
運転は旦那でしたが、ここで車落ちたら誰も目撃者居ない!
正直ビクビクでした。
それと高野山には詳しいのですね・
nimameは名前しか知らなくて、今年初めてツァーで行きましたが、
ツァーで歩くのはほんの一部分、年金老人さんの読ませて貰い、詳しく知る事が出来ました。
そして何よりも奥様と一緒の食事、とても暖かい気持ちになります。
次は何処に行こうか~
是非お出かけ下さいね・・楽しみにしています。
nimame
- ねんきん老人さん からの返信 2017/12/20 11:27:25
- 体験の共有は嬉しい限りです。
- nimame さん、また書き込みをしてくださり、ありがとうございました。
山道でUターンもできず、ここで落ちたら誰も気づいてくれないという体験をなさったのですね。
俺だけじゃない! と、思わずニンマリしてしまいました。
体験を共有できるのは嬉しいものですが、その体験がハラハラするようなものだと、なおさら「同志」を得たような気分になります。
若いころから一人旅が多く、結婚してからも旅の3分の1は一人旅でしたから、山道や夜道で遭難の心配や野生動物への恐怖にかられた経験は沢山あります。
もう歳ですから、あまり危険な場所へは近づかないようにしてはいるのですが、意図せずそうなってしまうことも度々で、これからも似たような場面に出遭うことはあると思います。
そんなときにはnimameさんも危なかったんだなと思うことでしょう。
今は、妻を先に死なせてしまった自分への責めから、何もする気になれませんが、生前、妻を連れて行くと約束してそのままになっている所が沢山ありますので、そこに行ってからでなければ私は死ねないという気持ちもあります。
ですから、これからもぼちぼち旅行記を書くことになると思いますので、そのときはまたよろしくお願いいたします。
nimame さんの旅行記も楽しませていただきます。
ねんきん老人
- エンドレスジャーニーさん からの返信 2017/12/20 18:29:33
- Re: お礼参りの高野山
- ねんきん老人様
四国八十八か所巡りのあとに高野山とは実にふさわしい締めくくり
ですね。 最愛の奥さまを失った喪失感は旅で癒されるわけもなく、
さりとて家に籠っていては前に進む気分にもなれず、ともかくも
動きだすしかないのでしょう。
「咳をしてもひとり」 放哉
なれば、せめても旅にでるのがよろしいようで。
「この旅、果てもない旅のつくつくぼうし」 山頭火
- ねんきん老人さん からの返信 2017/12/20 18:58:40
- 動きだすしかない・・・肝に銘じます。
- エンドレスジャーニー様
駄文への投票をいただいただけで恐縮ですのに、その上わざわざ書き込みまでしてくださり、ありがとうございます。
喪失感が旅で癒されることはないとのお言葉、やはり分かる人には分かるんだなあと思いました。
実はあれ以来、周囲の人たちから何度も言われたことは「気晴らしに旅にでも出なさいよ」ということでした。
気晴らしとは何事か! 酒癖の悪い同僚と喧嘩したというなら気晴らしもいいだろうが、妻が亡くなったというのに気晴らしをしたいやつがいるのか、とはらわたが煮えくり返る思いです。
旅先では、妻を連れてきたかったということばかり考えますし、帰っても土産話もできないという思いに駆られます。
旅は悲しみを増幅させる。それを承知で、だからこそ、妻と語るためにも旅に出ようかと、「動き出すしかない」というエンドレスジャーニー様の仰るように、自分で歩き始めようと思います。
本当にありがとうございました。
ねんきん老人
-
- chieko2014さん 2017/12/15 21:50:00
- 満願おめでとうございます!
ねんきんさん、ご無沙汰しておりました^^
所で・・めんごは死語だから~(。・ω・。)ノ♡
でも、変わらずの奥様love・・こんなにも愛されてたら奥様、大幸せですよ。
といって、ねんきんさん、黄泉の国にお迎えに行ってはなりませんよ・・
奥様の分も生きてシニカルなねんきんさんの旅、楽しんで書いてくださいませ。
奥様、64歳、やはり若すぎる旅立ち、奥様を知らぬ私ですが、残念でなりません。
ただ言えるのは、冷たいツレを持つ私、女は現実に愛されてなんぼです。きっと、ねんきんさんなら在世の奥様、お幸せでしたでしょう。
次なる旅、お待ちしております^^ おやすみなさーい☆
- ねんきん老人さん からの返信 2017/12/16 16:26:58
- やっぱり年金世代は時代についていくのが大変です。
- chieko2014さん、また書き込みをしてくださって、ありがとうございます。
なんと、めんごは死語でしたか!? いやはや面目ありません。妻は笑っていましたが、考えてみれば妻もあと一歩で年金老人でしたものね。
「冷たいツレ」という洒落た言い方、私も使ってみたいものです。私も妻が生きているときは人に紹介するときに「うちの飯炊き女です」とか「鬼嫁です」などと言っていました。
ただ、妻が私よりずっと短い人生を私のために使ってしまった(自惚れです)ことで、妻が可哀想だという気持ちが日に日に膨らんでいくものですから、洒落とはいえ以前のようなことは言うことも書くこともできなくなりました。
毎日独り言のように妻に話しかけていますが、その口調も自分で「おいおい!」と思うほど優しくなりました。
今頃妻は先に亡くなった方々と会って、「うちの冷たいツレ」が近頃やけに優しい言葉をかけてくるんだけど、何かやましいことがあるんでしょうね、などと話していると思います。
コミュニティの雑務に追われる日々ですが、周囲の人たちは「他人の女房が死んだ」などという軽いことはすっかり忘れたようで、私の前でそれぞれの夫婦のきわどい話をして盛り上がり、「やっぱり女房のいない年寄りは枯れる一方だよ」などと笑い合っています。
私はいつか妻に追いついたときに「ずいぶんヨボヨボになりましたねえ」などと言われたくありませんので、枯れてなるものかと思っています。そのためにも安・近・短ではあっても旅行には出るつもりです。
そのときはまた旅行記を書きますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
ねんきん老人
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- 熟年ドラゴン(もう後期高齢だけど)さん 2017/12/05 18:33:15
- いちびりのドラゴンですが、
- いやー、吊橋だけでも旅行記成立しそうですね。
私もいろいろやってみる方ですが負けそうです。
これからも人生楽しみましょう!
- ねんきん老人さん からの返信 2017/12/05 20:05:03
- いい歳をして、恥じ入るばかりです。
- 書き込み、ありがとうございました。
旅の恥はかき捨てといいますが、そこまで達観できてはおらず、辺りに人がいないのを確認してから馬鹿なことをしています。
そういう小心者が、ブログで自らの愚行をばらしてしまったのでは、何のために辺りを確認したのか分からなくなってしまうわけで、我ながらお粗末の極みだと思っています。
でもまあ、あとでああすれば良かっただの、こうしてみたかっただのと引きずるよりは、やっぱりやってみた方がいいかなと、自分を正当化しています。
これからも愛想尽かしをなさらず、よろしくお願いいたします。
ねんきん老人
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- シマリスさん 2017/12/01 21:55:42
- こんばんは
- ねんきん老人様
いつも楽しく旅行記を拝見してます。
そして私の拙い旅行記にいいねをありがとうございます。
谷瀬の吊橋は私も行ったことがありますが、結構怖かったと記憶しています。
吊橋の中央部の風景写真、アレ?どうやって撮ったのかしら??と一瞬思い、コメントを読んで思わず声をあげて笑ってしまいました。
確かに、あんな場所に寝転んでいたらビックリですね!
語りかける言葉に返事はなくても、天国の奥様に思いはきっと届いていると思います。
大事な人はいつも心の中にいます。
これからも旅行記を楽しみにしています。
- ねんきん老人さん からの返信 2017/12/02 09:26:14
- 改めて恥ずかしさが募ってきました。
- シマリス様、お早うございます。
不謹慎な参拝と度を越したおふざけの吊り橋体験を綴った旅行記にわざわざ書き込みをしていただき、ありがとうございました。改めて身の置き所のない恥ずかしさを覚えております。
シマリス様の旅行記をいつも楽しませていただき、また投票もしていただいて、不遜ながら親しみを感じておりましたが、そのシマリス様が私のずっと行きたかった谷瀬の吊り橋にお出でになっていると知り、嬉しくなりました。
実際に行かれた方には、私の記事に共感していただける部分もあると思いますし、そこでの私の行動がいかに馬鹿げているかもお分かりいただけると思います。
そういう私の行動をいつもそばで笑っていた妻がいないのは、筆舌に尽くせぬ寂しさですが、妻は今、もっと寂しい思いをしているであろうと思うと、たとえ返事がなくても絶えず妻に話しかけていこうという気持ちになります。
シマリス様が、思いはきっと届いていると仰ってくださり、これ以上嬉しいことはありません。
これからも妻を連れてあちこち出かけてみたいとも思っていますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
重ねて、ありがとうございました。
ねんきん老人
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