2015/11/04 - 2015/11/04
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Weiwojingさん
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2016年3月末をもって閉館することになった神奈川県立美術館鎌倉館へ何年振りかで出掛けてみた。この機会を逃すと、坂倉準三が建設に携わった鎌倉館を見ることが出来なくなるので、日本滞在中に何とか訪れることが出来たのは幸甚とも言えそうである。
坂倉準三は20世紀を代表する建築家ル・コルビュジェの愛弟子で、鎌倉館は日本のモダニズム建築を代表する名作として国内外で高い評価を受けてきた。
しかし、1951年(昭和26)に開館してから65年間を経て、その敷地が鶴岡八幡宮の土地を借りていたために来年3月で貸借契約が切れることもあって存続が難しくなった。その上、老朽化の問題もあり、国史跡に指定された鶴岡八幡宮境内では、史跡にそぐう以外の現状変更が認められず、美術館として改修することが困難となった。そこで八幡宮との借地契約が切れる2016年3月末をもって閉館することが決定した。
- 旅行の満足度
- 4.5
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神奈川県立美術館鎌倉館は築65年を経て、来年3月末で閉館が決定した。長年「かまきん」という愛称で親しまれてきて、内外からの存続を望む声がたくさん寄せられたが、鶴岡八幡宮境内を借りているという現状で、新たに建て替えることも改修することも難しい点から美術館としての存続が難しくなった。
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鎌倉館入口。この階段を上がって、左側から中に入る。この建物を見ていると、東京上野公園にある国立上野西洋美術館を想起してしまうが、それは坂倉準三の師であるル・コルビュジュが設計したものなので当然かもしれない。
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ここが美術館の入口で、階段を上って来た左側になる。まず中に入ってみたい。現在、『 Part 3:1951-1965「鎌倉近代美術館」誕生 』と題した展覧会が開催されている。
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小生の好きな2人のアーティストの作品があった。ひとりは和達知男で、彼の作品「眼鏡をかけた自画像」(1923年)が展示されている。
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もうひとつは松本竣介の「立てる像」( 1942年 )である。
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館内の様子。
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1階から2階へこの階段を利用して移動した。
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旧館には周囲の建物が取り囲むようにして中庭がある。ここには中央のこけし像のような彫刻作品が何点も置かれていて、彫刻室と呼ばれている。
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設計者の坂倉準三と師のル・コルビジュ。
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イサム・ノグチの「こけし」というタイトルの作品が置かれている。
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高柳 清(Kiyoshi Takayanagi)( 1925〜1996 ) 作 「人」、1967年制作。
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ここは中3階にある元学芸室だった部屋で、1969年まで使われていた。現在は特に使われておらず、この時期だけ公開されている。
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2階にはピナコテカという喫茶室があり、疲れを覚えたのでしばし休憩した。この部屋の壁には一面に「女の一生」と題した壁画が描かれている。
これは2003年のリニューアルに伴い、修復されて蘇ったもので、1957年に制作されて、その後10年ほど後に白い壁で覆われてしまった。
それからというもの作品の存在すら語られることもなく30年が過ぎた。そして、2003年白壁がはがされて、その本来の姿を現した。桂離宮とフレスコを意識して作られた壁画は、下地にはベンガラに白を混ぜた薄桃色、黒色面には墨汁、モチーフの人物を描いた白色には、壁土を思わせる苆(すき)の混じった白色塗料を用いている。 -
「芸術新潮」( 11月号 )に閉館する鎌倉館のことが「さよなら、かまきん」というタイトルで詳しく紹介されている。
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建物にかけられたはしごを上る人がいた。これもアート作品かと思ったら、実際の人物で何かの作業で屋上に上るところのようである。
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鎌倉館の内部にはさまざまな彫刻が置かれているが、それはこの美術館の特徴でもある。
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清水 九兵衛(Kiyomizu Kyubei、1922〜2006)、”BELT”(1978年制作)。
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木村賢太郎(1928〜)作「作品55、Work-55)。1961年制作。
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中庭の周囲の壁には栃木県産の大谷石が使われている。
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ケネス・アーミテージ(Kenneth Armitage)(1916〜2002)作「訪問者たち (Visitors)。 1961年制作。
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隅の方に水飲み場がある。これもアート作品と思ってしまいそうだが、そうではない。
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美術館の前面には小さな平家池があり、ちょうど均整のとれた建物全体が水に浮かんでいるような感じで、大変美しい。初夏にはこの池にたくさんの蓮の花が咲き、これまた大変見事である。
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平家池に面した建物をピロテイと呼ばれる列柱群が支えている。
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池に面したテラスはピロテイに支えられ、その天井には池から反射した光が揺れ動き、幻想的とさえ感じられる。この場所は映画「ノルウェイの森」に登場している。
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平家池には夏になると、蓮の花が咲き、また美しさを倍加することになるが、しかし、このような風景はもう見ることは出来ないであろう。
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池の中の小島で一羽の鳥が羽を休めていた。
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ここは旧館から新館に至る通路であるが、現在は封鎖されていて入ることは出来ない。耐震性の問題があり、展示室としてはもう使用していないそうだ。
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ガラスで覆われた通路が見えるが、これを見てもかなり老朽化していることが分かる。
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鎌倉館には別館があり、歩いて5分ほどのところにある。主として彫刻や造形作品を展示している。鎌倉館が閉館になった後も別館はそのまま活動を続けることになっている。
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「時空」(Time and Space )1980年制作
多田美波 (Tada Minam、1924〜2014) -
「わたつみ」( The God of the Sea )1950年制作
本郷新( Hongo Shin、1905〜1980 ) -
「犬の歌」( La Chanson du Chien )1983年作
柳原 義達( Yanagihara Yoshitatsu、1910〜2004 )
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この旅行記へのコメント (2)
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- 義臣さん 2015/12/14 08:51:57
- 青春の思い出の
- まだ鎌倉が観光地化されてない時代、
昭和30年代の思い出の美術館
未来に不安を感じていた青春じだい。
鎌倉 時には京都 奈良をうろついていた時代の事を思い出しています。
最近の混雑ぶりでは、、京都も鎌倉も疎遠になってきました。
義臣
- Weiwojingさん からの返信 2015/12/14 09:58:36
- RE: 青春の思い出の
義臣様
メッセージをありがとうございます。確かに今の鎌倉は平日でもすごい人ですね。観光地はどこへ行ってもそうかもしれません。私もあまり人ごみの中を歩くのは好きではありませんので、特別なことがない限りあまり観光地には出かけません。
今回訪ねた鎌倉館は街並みの雑踏が嘘のように感じられるほど人はいませんでした。静かにゆっくリと館内を見て回ることが出来、大いに満足しました。ここはわたしにとっても昔の思い出のあるところです。来年3月で閉館になるというのが残念です。
館内の展示はさることながら、私はこの美術館の建物に大いに興味があります。建築家の板倉準三が建てたという点で大いに関心があり、今回館内の隅々まで見て回りました。見納めと言う点では満足しました。
フォローをしていただきありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
Tamegai
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