ビアラオ便り～中国国境の町ボーテン。ゴーストタウンを歩く

2013/10/20 - 2013/10/20

それは突然目の前に現れた。
ラオス北部の町ルアンナムタから片道60キロ、のどかな山間の村に巨大ホテル群！
どうみてもラオス建築ではない。テーマパーク、いやラブホテルのような派手な建物。

ボーテン経済特区。
中国国境からわずか数百メートルのところに作られた町は、中国人御用達のカジノとして建設された。マカオ以外でギャンブルができる場所が国境からわずかな場所に誕生した。

2004年。
ラオス政府の後押しを受けた中国人投資家による大胆な開発により、当時はラスベガスのようなにぎわいを見せていたのだろう。カジノ建設に伴い、ホテルが建ち、商売をする店も軒を連ね始めた。毎日中国側から観光客が山のように押しかけた。

しかし。賭博詐欺事件、麻薬や売春などの犯罪が多発。
中国政府はラオス政府に圧力をかけカジノを廃業させ、その後ホテルや商店の廃業も相次いだ。2010年、3年前の話だ。

ゴーストタウンとなったこの町は現在、少数の中国商人やラオス人たちが残り商売を続けているそうだ。

開発がされる前、かつてはのどかな田舎村だったボーテンは、カジノ建設に伴い国境から数キロ手前のところに移転していた。

----
近年、中国ラオス鉄道の拠点として、再び建設ラッシュが始まったとの記事を見た。

☆ルアンナムタまで
現在、ラオス航空がビエンチャンからデイリー運行。
ラオス航空のHP
http://www.laoairlines.com/

☆ルアンナムタからボーテン経済特区まで
トゥクトゥクで片道1時間10分ほど。値段は要交渉。
1日ツアーの後に行ってもらって追加料金200,000キープ。町までの往復だと300,000キープくらいか。

エリア その他の都市(ラオス)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: 友人
• 交通手段: タクシー

ルアンナムタからのどかな田園風景を通り抜けた後は、ぐねぐねの山道が続く。

中国国境が近づくにつれ、中国語の看板や中国資本の工場が目立ってきた。
ガソリンスタンドで給油。

ボーテンの税関に到着。
私たちは旅行者なので、特にチェックもなくスルー。

このあたりから、携帯電話が中国携帯電話会社の電波を拾い始めた。

と目の前に突然現れたど派手な建物群。
これが噂のゴーストタウン、ボーテン経済特区。

さっきまでののどかな風景が幻のよう。

中国国内で大活躍している寝台付きの夜行バスも、ここでは放置されて中はボロボロになっている。

草ぼうぼうの先には、ビーナス銅像が飾られたホテル。

ピンクって。お笑いタレントの家みたい。
人の気配がしないけれど、いくつかの窓に植木が置いてあった。
勝手に住み着いてるのだろうか？

道路表記が中国だ。。

真新しそうなホテル街に向かって歩いてみる。

外観が整ってて一見営業していると思われるホテルも、

実は廃墟…

2008年にobaqさんが訪ねた時の貴重な写真その１
http://4travel.jp/traveler/obaqtrip/pict/13623747/src.html

さっき通り過ぎたホテルを、崩れた商店街のほうから眺めてみる。

柱しか残ってないよ。

廃業して数年しかたってないのにこの崩れっぷり。

草が生え放題。

ガラス張りで中が丸見え。

真新しそうな建物が残ってる通り。
リノベーションしてるのだろうか？

これらも同じ通りに面している。

一番部屋数が多いホテル。

1階部分はカジノだったらしい。

しかし今や、
家畜のふんが散乱している。。

中国ナンバープレートを付けたタンク車が数台やってきた。
長距離トラックの休憩所になっている。

今夜はここに泊まるのか、車から降りてきたドライバーたちは、荷物持って建物の中に消えて行った。

今も営業しているらしいお店を発見。

当時はこんな風ににぎわっていた。
2008年当時のobaqさんの写真その２
http://4travel.jp/traveler/obaqtrip/pict/13623748/src.html

ジーンズが干されている窓を発見。
エアコンが取り外された跡の穴の開いた壁が生々しい。

ある建物の前に、立派な車が止まっていたので近づいてみた。
人の気配がしたので中をこっそりのぞこうとすると突然、おじさんが近づいてきて怒られた。
どうやら中に入るのは厳禁らしい。

今でもやばいことやってるのだろうか。

どの建物も1階部分はもぬけの殻。
閉鎖されたカジノや廃業した商店が入っていた。

中国語の看板の上にラオ語の表記。

以前は従業員がすんでいたのだろうか。
宿舎みたいな一角がある。

そしてこのあたりだけ人の気配が感じられた。
まだ人が多く住んでいるようだった。

ラオ商人が営む中国製品を売ってるお店の横にあったビリヤード。
これが彼らの娯楽なんだろうか。

カジノ入口のセキュリティーポイントと思われる場所。

たっぷり歩き回って観光終了。

目を閉じて不夜城だったころを町を思い描いてみた。
そして目を開けて今のさびれた町を見つめる。

これらがいつか土に返る日が来るのだろうか。

ここから数百メートル先はもう国境だ。
ラオス側の国境。

この蛇腹扉の向こうは緩衝地帯。

トイレ、使用料1,000キープ。
どこからか人が出てきてお金を回収される。

消火器、ラオ語で上書き。

まだ国境は開いてるはずだけど、人の気配がない。
聞くと夕飯の時間なので閉まってるらしい。
午後7時半に再び開くらしいけど、現在夕方5時前。。

国境で待たされる人たち。。。

のことなんてお構いなし。
だって自分の晩御飯が大事な人たちなんだもんｗ

ボーペンニャン、ノープロブレム。

再びゴーストタウンの前を通りかかる。
道はさんで反対側は、そこそこ活気づいた雑貨屋が並んでいた。

移転した新しいボーテンの村。

このカジノやホテル建設のために、もともとここに土地を持ってたラオス人百姓たちは半ば強制的に別のところに移住させられたのだ。
田んぼを失った百姓はどうやって生計を立てているのだろうか。

バブル崩壊のように経済特区で繁栄した町の終わりはあっけなくやってきた。

この旅行記へのコメント （8）

• アルデバランさん 2013/10/26 07:48:11

  ボーデン国境

  sunnyさん、こんにちわ
  アルデバランと申します
  
  ボーデン経済特区のご報告拝見させていただきました。
  
  私は9月20日にルアンナムターからボーデン国境まで往復しました。
  あの人が全くいない建物群も一時は華やかだったのですね。
  想像がつきません…
  新しいボーデンの村を散策したかったのですが時間がなかったので諦めました。
  税関の手前の街道沿いに突然現れたバラック小屋の数々にビックリ
  道の向かい側がトラックステーションのようになっていたので、トラックの関係者が住んでいるのか、今でもあれは何だったんだろうと疑問です。
  

  sunnyさん からの返信 2013/10/28 09:13:08

  RE: ボーデン国境

  アルデバラン
  
  はじめまして。
  書き込みありがとうございます。
  
  1か月前にボーテンに行かれたのですね！
  この荒れ果てたゴーストタウンが数年前まで活気あふれる街だったなんて、写真見るまでは信じられませんでした。
  
  > 税関の手前の街道沿いに突然現れたバラック小屋の数々にビックリ
  ゴーストタウンの向かいにあったものですよね？
  私たちが見たときは中国製品を扱う商店のようでした。
  カジノは廃れても、物流ルートでトラックの行き来が絶えないところでしたね。
  
  アルデバランさんのラオス旅行記拝見しました。
  渡航前のコンサートがうらやましい！
  ビエンチャンにも文化会館はあるのですが、悲しいことにクラシック演奏は皆無ですー^^;
  
  sunny

• haraboさん 2013/10/24 09:42:40

  ゴーストタウン面白い！

  sunnyさん、ご無沙汰！
  
  ボーテンですか！
  こんなゴーストタウンがあるとは・・
  ちょっと前の華やかな頃が嘘のような廃れようですね。
  こういう場所、大好きです。
  いまでも建物の中で何が行われているんでしょうか？
  こっそり上層の客室にも侵入してほしかったです。
  
  それにしても商店の壊れっぷりはすごいですね〜
  ほんの数年であれですか！
  元々安普請だったから？
  
  子供のころ行った足尾銅山の
  元社宅街だったところを思い出しました。
  子供ながらに人がいない
  ゴーストタウンに衝撃を受けたものです。
  
  ボクの地元、足利中心部もいまではシャッター通りと化して
  かつての華やかだったころが嘘のようですが・・・
  悲しい・・・
  
  それでは〜
  harabo

  sunnyさん からの返信 2013/10/24 22:14:57

  面白かったです！

  haraboさん
  
  ご無沙汰です！
  
  共産＆ゴーストタウンという見どころ満載の場所でした。
  haraboさんもお好きなんですね！
  日本のゴーストタウン、軍艦島は行かれましたか？私あそこ行きたいんですよね。
  
  無料でこんなに楽しめるなんて、探偵ナイトスクープのパラダイスに応募したいくらいです！
  
  ビルの中へ強行突破を試みようとしたのですが、ガイドに止められました、、
  通りがかりの旅行者ならやってたかも笑
  それにしても数年で廃墟って、欠陥工事を身を以て証明しているもんですね。
  
  私の田舎も、大型ショッピングセンターができてからは、商店街はシャッター下したところばかりです。
  昔は夏になると夜市とかあったのになあ。
  時代の流れとはいえ、さみしいですね。
  
  sunny
  

• がまだす＠熊本さん 2013/10/23 08:35:19

  な・なんで〜ビアラオが2倍に・・・ラオス物価高にもうビックリ！

  sunnyさん、まいど！
  
  ふ〜む、どうやら兵どもの夢の跡・・・
  日本から10年遅れの中国バブルの残骸ですね。
  フェサイからチェンコーンまで橋が架かるという情報を鵜呑みした連中、
  橋が架かることでこの一帯に巨大テーマ―パーク建設を目論んだようです。
  投資者の多くは華僑と韓国人と香港人、資本金は日本、建設はJapaneseODA。
  
  そういえばビエンチャンに巨大モールが建設中でしたが、あれも中国資本みたいですね。
  ラオスもバブル到来かな？
  もうこれ以上ビアラオが上ってほしくな〜い（笑）
  

  sunnyさん からの返信 2013/10/23 21:04:16

  麺も軒並み値上がり、200円以上。。。

  がましゃん
  
  まいどー。
  私も同じこと思いました。兵どもの夢の跡・・・
  
  日本はインフラ担当で、それを土台に利用して周辺国の資本がどんどん入り込んできてますよね。
  なんでも日本はラオスの慣習とか手順を慮り徐々に物事を進めるのに対して、隣の国はトップに電話して強引に約束を取り付けるのだとか。恐るべし！
  
  > もうこれ以上ビアラオが上ってほしくな〜い（笑）
  同感です。
  カオピヤックもラーメンも今や15,000や20,000キープとビールより高い（涙）
  
  sunny
  
  

• obaqさん 2013/10/23 06:51:34

  行かれたのですか・・

  sunnyさん　　こんにちは
  いやいや、こんな所まで旅をしているのですねぇ。
  すごいです！
  ここから首都までのバス停があったですよね。
  
  昆明からラオスを縦断したときに、私もこのタウンを歩きました。
  当時はこの町の最盛時で、沢山の中国人や高級車で最高の賑わいでしたよ。
  ラオスに有りながらパスポート提示なしで会員証のみで出入りし、ラオスの人々は足を踏み入れることが出来なかった。
  ラオス人のガイドが苦虫を噛み潰したように話をしていたのを思い出します。
  
  それにしてもこんなうになってしまうとは・・
  変わってしまったものですね〜
  
  国境を越えたとき乗っていたミニバンにそのまま消毒で吹きかけられたっけ（笑
  
  
  obaq

  sunnyさん からの返信 2013/10/23 09:00:28

  行ってきてしまいました。。

  obaqさん
  
  こんにちは。
  コメントありがとうございます。
  
  ビエンチャンからルアンナムタまで飛行機に乗ってしまえば1時間かからずでしたが、その先の山道ドライブは長かったです。
  obaqさんは中国側から入られたのですね。私は国境であっち側を指をくわえてみてただけでした笑
  
  ボーテンの最盛期の頃の写真とコメント、ものすごく貴重です。
  柱だけしか残ってない商店もモノがあふれていますね〜！カジノでさえトイレが汚いというコメントが笑えました。
  あとでぜひリンクを張らせてくださいね。
  
  > 国境を越えたとき乗っていたミニバンにそのまま消毒で吹きかけられたっけ（笑
  鳥インフルエンザ流行時でしたよね。
  国境越えはたまにやっかい。2年前、パキスタン→中国の国境で中国側でポリオ撃退の薬を口の中にねじ込まれました。。
  
  sunny