2012/09/29 - 2012/09/29
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ドクターキムルさん
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鎌倉市山ノ内にある長春亭は北鎌倉の民家に残る茶室である。この茶室は日本画家の伊東深水さん(女優朝丘雪路の父)が京都から移築したもので、深水さんが長春亭と命名した。また、平成21年(2009年)に茶室と茶庭の改修がなされている。さらに、ご主人が東屋を建てている。この東屋はバス通り(県道21号線)脇にあるので気が付くがその奥の茶室は見逃していた。
京都といえば庭園と茶室はどこにでもあるが、ここ鎌倉ではそうはいかない。立派な庭園がないから茶室もいらないのか、茶室もないから立派な庭園もないのか判断はできないのだが、鎌倉には茶室は幾棟もない。お寺では東慶寺茶室寒雲亭と立礼茶室白蓮舎、円覚寺塔頭佛日庵の茶室烟足軒(えんそくけん)、瑞泉寺南院茶室くらいか。また、茶道宗偏流不審庵もある。他には、旧華頂宮邸の旧松崎邸和館、大佛次郎茶亭、旧里見弴邸書斎兼茶室が挙げられよう。さらには、浄妙寺の茶室・喜泉庵、貸し茶室・和室の月光庵なども茶室に近いようだ。
このお宅は明月院踏切の近くにあり、「矢殻」の友野さんと呼ばれている。屋号の「矢殻」は合戦で鏑矢(かぶらや)を射て、それが落ちたところということで付いたと伝わる。上杉管領屋敷の門番の家で、後には桶屋となった。友野風呂屋は新宅として分家した。また、土地を担保に金を貸し、地所を集めたという。昨年、木造2階建の母屋を取り壊して新築した。白アリに食われていたという。山ノ内地区では寺社を除くと土蔵は少ないのだが、新築した友野さんのお宅には土蔵があることが分かった。
温和そうなご主人と話していると、たまたま出た話で、葛原岡ハイキングコースに新たに山の頂に道を付替えているところがあるが、その下を通る古いコースは「矢殻」の友野さんの持ち山であるという。分家の話ではどうも鎌倉市に不満があるようだ。通行権は認めていながらも税金を払わざるを得ないことがあるようで道を付け替えるようになったようだ。一方、お役所仕事もあろうが、寄付を受けず、土地の買い上げをしなければ地主から税金が入る仕組みになっている。鎌倉湖の山林を市に寄付した時は手続きが大変だったという。この長春亭横の道路も行政指導があり、4.5mに拡張してあるが、私道のままで砂利道である。したがって、税金を払うのはそのままだ。市が買い取って市道にし、舗装路とするのが普通だろう。このように、世界遺産云々といいながらも、インフラ整備を進めると次第に風情のある古都鎌倉の小路は無くなってしまって行くと口説いてもいた。また、小津安二郎映画監督の旧邸へは手掘りのトンネルで通じているが、これは明治時代に一族で掘ったものだという。浄智寺の塔頭ではなかったようだ。日本画家・小倉遊亀(おぐら ゆき、1895年?2000年)宅は、友野さんの持ち物で、先日、私もこのトンネル前で小倉遊亀の90過ぎの甥子さんにお会いしたが、ここも宅地開発したいのだが、4.5m道路をどこに通すかで悩んでいるという。友野さんのような大地主でも3代もすれば何も無くなってしまうような相続税制度では家が維持できないとすっかり諦めている感じだった。
(表紙写真は長春亭表門)
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