2011/08/11 - 2011/08/12
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ぱんスキュさん
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2011年夏 7月31日~8月18日
19日間のコーカサス3か国とロシア・モスクワ旅行。
8月12~13日
アルメニア滞在中に、足を伸ばしてナゴルノ=カラバフ共和国まで行く。
--------
ナゴルノ?なにそれ?な方へ。
このナゴルノ=カラバフ地方は、アルメニアとアゼルバイジャンが、お互いに領有権をめぐって争っている地域です。先の両国間の戦争でアルメニアが勝ち、そのまま傀儡国として独立させ、ややゴーインに事実上の占有を続けている地方です。
このページがとても詳しい。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/ussr/nagornokarabagh.html
公式HPもあった
http://nkr.am/en/
『国』って呼ばれているものの、実際には世界のどこからも『国』だと承認されていない。国際的にはアゼルバイジャン領だと認められています。でも実効支配はアルメニア。うむ複雑。
カテゴリーとしては、北キプロスとかみたいな【微妙な国】になります。
現在は停戦状態であるといえど、基本的には紛争状態のこの地域、ヒヤヒヤしながら潜入したのですが、首都ステパナケルトはめちゃめちゃ平和、かなり拍子抜け。
とはいえ脆い均衡の上に成り立っている、一時の平和かもしれないと、というのはいろいろな点からにじみ出ていた。
そんなナゴルノ考・前篇ステパナケルト(アゼル語ではハンケンディ)を。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 2.0
- グルメ
- 3.5
- 交通
- 2.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー 徒歩
- 航空会社
- アエロフロート・ロシア航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
アルメニアから自称ナゴルノ=カラバフ共和国への行き方:
エレヴァンのキリキアバスターミナルから、毎朝8時・9時・10時に首都ステパナケルト行きのバス(マルシュルートカ)が出ています。
片道約7時間、5000AM(約1000円)。
入国には要ビザ。エレヴァン市内の領事館で即日発行できるのですが、ナゴルノ入国後でも内務省で申請して取れます。ただしその日の5時までに申請する必要がある。
写真はステパナケルト行きのマルシュ。 -
ビザ申請の時間に間に合うように、9時便で出発したものの、なんとマルシュが途中で壊れた(涙)。
1時間近く粘って直すも、全然ダメ。
この時点でかなりヒヤヒヤ。
不法入国は嫌だなあ…。
そのうち、あとから来た10時便に追いつかれ、結局そちらに乗せてもらうことに。5時までの申請に間に合うといいのだけど。。。 -
途中はかなり切り立った山々。
ラチン回廊と呼ばれる、アルメニアとナゴルノカラバフをつなぐ山道みたいな、飛び地の中の道を行く。超揺れます。ぐるんぐるん回る。
この旗が見えたら入国ポイント。
パスポートチェック、ビザの有無と、泊まるホテルの名前を聞かれる。とりあえず適当に『ナイリ』というホテル名を答え、記入する。
ビザチェックが入るも、入国後に申請する旨を伝えるとすんなり通る。 -
バス停。
ついたー!
ナゴルノ着いたー!
現在時刻16時。
内務省の申請にはギリギリセーフかな。 -
そばには待合室が。
バス停の規模にしては、結構大きい。 -
バス停内部の待合室。
まあまあ立派な建物ですが、売店とかはナシ。 -
切符売り場。
エレヴァンなどの遠方行きのチケットはここで購入。
ちなみに戻りのエレバン行は、4500AMと行きよりも若干安かったのは何故。 -
待合室にかかっていた地図。
おお、ナゴルノ=カラバフの領土図。
まごうことなくナゴルノ、ついに足を踏み入れた。 -
ステパナケルトの町は、そんなに大きくない。
首都なのに。さすが未承認国。
大通りを東に行き、内務省へ。 -
内務省の内部。
このカウンターでビザ申請用紙を書きます。 -
ビザの申請用紙。
顔写真欄がありますが、必要なし。
ここで重要なのが『訪問都市』。
ナゴルノにおいては、訪問予定の町をここで前もってすべて申請しておく必要がある。そうでないと、『その町に対する滞在許可』が下りず、最悪不法滞在で捕まる可能性がある。
もちろんこの国?に日本大使館はありません!そもそも日本政府は、この地域を国ともアルメニア領とも認めていません。…ということは、捕まると…相当面倒かも。
アゼルバイジャンとの国境近くの奥地で、戦闘が激しかった地域(アグダムなど)は、申請しても許可が下りない場合もあるそうです。
ちなみに現地であったおじーちゃん曰く、奥地の方にいくつか素敵な教会があるそうです。許可が下りるかは不明ですが。 -
ステパナケルトの宿泊施設一覧。
高級ホテルから民泊まで。
ここにある施設に泊まれば、レギストラーツィヤ(滞在許可)の手続きをやってくれるそうな。身分保障みたいなもんか。 -
この先左手に見える部屋に持っていく。
女性のおえらいさん?が座っていて、3000AD(アルメニアドラム…通貨もアルメニアのものが使える)と引き換えに、ビザをくれる。
ここで注意。
この先、アゼルバイジャンに入国予定がある場合、『Another paper』と言いましょう。パスポートにビザを張らずに別紙でくれます。
ナゴルノビザがパスポートにある場合、アゼルバイジャンビザは100%おりませんのでご注意を!!! -
これがナゴルノ=カラバフ共和国のビザ。
アゼルバイジャンには戻る予定はなかったのですが、せっかくなので別紙で頂く。
未確認なウワサですが、これをイスラエルスタンプの上に張ることでイスラエルスタンプを隠し、アラブ諸国へ再入国する、という裏技もあるみたいで…。
ええーーー。
左下の紙は、ナゴルノ入国時にビザがない場合にくれる。内務省の住所が書いてある。 -
ビザと一緒にもらえるのが、訪問許可証。
申請した町名がここに書かれます。今回はステパナケルトとシューシの許可を得た。
しかし、『WITH THE EXCEPTION OF THE FRONT LINE(前線での例外アリ)』の一文に、いろいろと物騒でキナ臭いものを感じる。
NKP=ナゴルノ・カラバフ共和国の略です。
"the Nagorno Karabakh Republic" -
今回泊まったのは『エルミラの家』。いわゆる民泊。
一泊4000AM(約800円)くらいかな?
場所は『旅行人シルクロード』参照。【5】の鉄扉を目印に。
シャワー、トイレは共同。キッチン使えるかどうかは?。
レギストリーツィア可能です。
娘さんにパスポートを預けましょう。 -
今回は地下の個室をあてがわれました。
鍵付きでないのがちょっと不安もあり。
あと日は当たらない。
布団の状態は、まあそれなり。 -
エルミラさんちの半オープンリビング。
-
さて、市内観光へと。
こじんまりとしつつも、思ったより平和。
そしてそれなりに発展している。
(もちろん首都にしては寂しいが) -
大学なんかも普通にあります。
といってもこの1つだけみたいですが。 -
スーパーに入る。
小さ目なれど品ぞろえはまあまあ。
ここで見るコニャック、アルメニア産のもの。
ナゴルノっていう国を名乗っているけれど、アルメニアの一部としか思えない。。。ATMでキャッシングをしても、出てくるお金はアルメニアの通貨。 -
ショーケースのケーキ。
美味しそう。一つ買って食べるも、やや甘目。 -
普通にバスとかも走っている。
このうちのいくつかはシューシ行き。
ということで日帰りで行ってきた。
(次の旅行記参照) -
シューシから戻り、タクシーの運ちゃんにお願いして途中下車する。
ナゴルノのシンボルとなっている、『我らの山』像。
モアイみたいな。。。 -
たまたま来ていたアルメニア人女子に、一緒に写ってほしいとたのまれたー。
エレバンからパパと一緒に来ていたようなのだが、自分に出会えて2人ともとてもうれしそうだった。
外国人(それも東洋人)があまり立ち寄らない地域だからか。それとも、ナゴルノ国の存在=独立が外国人からも認められているという証を見た気になったのだろうか。
…多分両方。 -
町の中心部。
誰かの像があったがナゾ。
多分戦争時の軍人だと思う。 -
町中心部の広場。
休日前の夕方ということもあり、人が集っていた。 -
ちなみにこの広場、なんとフリーwifiです!!!
ナゴルノ・カラバフ国内でも、野外で飛んでるのはここだけではなかろうか。
恐るべし。 -
時間に合わせて噴水が稼働。
のんびりとした時間が流れる。
家族連れ、カップル、老夫婦、
ヨーロッパでよく見る平和な光景。
紛争地域のイメージとは程遠い。 -
市民バンドによる演奏がはじまる。
ブラスも入り、華やかで重厚。
平和な有下がりの光景、他のヨーロッパ諸国となんら変わりない、とってもとっても穏やかで平和な空気。
動画はこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=XeQzOMbQfIo -
ただ1つの違和感。
警察官、もしくは治安維持者が広場を見回っていたこと。
多分、テロ防止なのだろうと思う。少し緊張。
でも周りの市民はみんな普通だった。
慣れっこなのかな。 -
華やかなブラバンが終わると、家族連れはみんな帰っていった。
いつの間にか夜も更ける。 -
大統領府がある広場へと移動。
ここも平和な夜の雰囲気に溢れている。 -
大統領府(だとおもう)。
ナゴルノの国旗?が掲げられている。
そしてやっぱり人がたくさん。 -
この建物。。。
なんだろう、多分政府系のものかな。 -
ホテル・アルメニアのレストランで食事。
ステパナケルト随一のホテルみたい。 -
ちょっとオシャレな造り。
-
テラス席ではプロジェクターで映像まで流していた。
MTVみたいな音楽番組。 -
メニューにあった料理もアルメニア風。
これはスパスという、アルメニアのスープ。
完全にアルメニアですなー。 -
食事を終えて帰る道すがら。
夜の遊園地だー。
なんてゆるやかな夏の夜。 -
なんだか楽しそうだ。
人はいっぱい、てわけではないけど。 -
そばにあった公園。
ここは大人の時間が流れている。
サマーデイ、ナイトライフ。 -
犬の散歩をしている少年。
-
大通りを俯瞰で。
静かで停戦中のイメージは皆無。 -
綺麗なおぼろ月夜。
-
子供服やベビーカーが売ってるお店。
若い家族も住んでいるらしい。
彼らにはきっと、20年前の紛争の記憶はないんだろう。
そしてナゴルノ土着の住民ではなく、アルメニアから移り住んできた人たちなのかもしれない。
ショーウインドーを見ながら、物思いに耽る。 -
停戦中とはいえ、もう20年も膠着状態が続いていると、既成事実のようなものが積み重なる。いつまでも非常時ではなく、平和な暮らしでないとやっていけないのだろう。
今のステパナケルトは、ただの平和なヨーロッパの1地方街という感じであった
---
帰りのエレバン行きのバスに乗り合わせた女子と話したとき、彼女はこの町が実家だと言っていた(もちろんアルメニア系)。もともとなのか、移住民なのかはわからないけど…。
『思ったりより平和でビックリした!』と素直な感想を伝えたところ、『でもいつまで続くか分からないわ。』と、リアルな返事が返ってきて、やはりナゴルノは微妙な地域なんだなあ、という思いを改めて持ったのだった。 -
夜明けのステパナケルト。
なんて素敵な朝焼けなんだろう! -
夜明けの街並み。
こんな風に、アゼルバイジャン・アルメニア両国間の関係も、美しくなっていけばいいのになあ。
---
さて次の旅行記は、ナゴルノ・カラバフ戦争で激しい戦闘地になったと言われるシューシの町についてです。
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