全長70km！京都一周トレイルを歩く(32)　嵐山・嵯峨野散歩② 渡月橋から法輪寺へ

2010/07/24 - 2010/07/24

京都一周トレイルとは，京都市の周りをぐるっと回る全長約70kmのハイキングコースです。
コースの途中には名所旧跡が多数あり，自然と歴史を楽しむことができます。

この旅行記は西山コース(10.7km)のうち，渡月橋～法輪寺～嵐山公園(中ノ島地区)までをまとめたものです(標識[西山20]～標識[西山23]まで)。

全行程は下記の旅行記にアップしています。
全長70km！京都一周トレイルを歩く－ダイジェスト－
http://4travel.jp/traveler/uenana/album/10484489/

エリア 嵐山・嵯峨野・太秦・桂(京都)

• 交通手段: 徒歩

『全長70km！京都一周トレイルを歩く(31)　嵐山・嵯峨野散歩① 嵐山公園(亀山地区)周辺』の続きです。

嵐山公園(亀山地区)から大堰川(桂川)まで下りてきました。
渡月橋が見えます。

【157】一ノ井堰

古くは五世紀，渡月橋上流には桂川の水を田畑に送るため，秦氏が築いた葛野大堰(かどのおおい)と呼ばれた堰がありました。
今は原型は失われていますが，同じ場所に一ノ井堰が設けられています。

【158】時雨殿

川沿いに真っ直ぐ渡月橋を行けばよかったのですが，わざと遠回りして行きます。
北へと進むと，小倉百人一首をテーマにした体験型，参加型テーマパーク「時雨殿」があります。
百人一首の世界をバーチャル体験できるということです。
一度行って見たい。

【159】宝厳院

さらに歩くと天龍寺の塔頭である宝厳院があります。
「獅子吼の庭」は紅葉の名所として有名です。
春秋の期間限定公開なので，この日は入れませんでした。

宝厳院前のリアルな羅漢像たち。

【160】天龍寺

天龍寺の中を進んで行きます。
世界遺産ということもあり，多くの人が訪れていました。
ここで見られる亀山・嵐山を背景にした庭園は夢想国師の作です。

天龍寺は境内を通り抜けるだけです。
過去に夏・秋と二度訪れているので今回はいいでしょう。

蓮池で。

可愛らしいお地蔵様たち。

臨済宗天龍寺派の大本山です。

【161】渡月橋

天龍寺から南へ行くと渡月橋です。
橋の手前に標識[西山21]があります。
橋の北側は右京区，南側は西区となります。
橋向こうの山腹には法輪寺の多宝塔が見えています。

渡月橋の上から。
正面の山は烏ヶ岳(398m)，その左に嵐山(382m)が連なります。
山頂には応仁の乱のころの嵐山城址の礎石が残存しています。

愛宕山方面を眺めます。
右奥の少し霞んでいるが愛宕山，その左手前が小倉山(296m)です。
この１年で嵐山は７回目なので，その度に渡月橋を渡っています。
見慣れた景色ですが，季節や天候で大きく雰囲気が変わりますね。

渡月橋は全長154メートル。
弘法大師の弟子で法輪寺を興した道昌によってかけられました。
当時はもう少し上流にあり，法輪寺橋と呼ばれたそうです。

渡月橋と呼ばれるようになったのは，亀山上皇が，その橋の姿を「くまなき月の渡るに似たり」と例えたことからといわれています。
現在のものは昭和9年の改築により完成。
欄干のみが木造となっており，嵐山の風景に溶け込むように造られています。

上流側から。
渡月橋越しに見える霞んだ山は比叡山です。
比叡山から左に行くと，横高山，水井山。
誰も気に留めない景色かもしれませんが，私にとってはトレイルで歩いてきた道なので，遠くまで来たものだと感慨深いものがありました。

中ノ島と嵐山地区を結ぶ渡月小橋の上から大堰川を眺めます。
右奥の山が愛宕山です。

停泊していた船は旅館「星のや」の連絡船です。

「嵐山モンキーパーク」の案内がありました。
コースから外れますが，ちょっと寄り道。

山側の階段がモンキーパークと櫟谷宗像神社の入り口でした。

【162】櫟谷宗像神社(いちたにむなかたじんじゃ)

正確には鳥居の扁額に書かれているように，櫟谷神社と宗像神社の２社を合祀しています。

御祭神は津島姫命と市杵島姫命。
古くから嵐山弁天社と呼ばれており，奈良時代から鎮座している神社です。

平安時代，葛野に鋳銭所(今の造幣局)があり，新しい鋳銭は必ずこの神社に奉納されたといいます。
来福徳財宝の神として人々の尊崇が厚く，また河海の女神であるところから火難の守護神ともされています。

松尾大社の境外摂社の一つであり，絵馬にも「松尾大社」と書かれていました。

境内に「嵐山モンキーパークいわたやま」の入り口があります。
名前の通り岩田山にあるので，見晴らしが良いそうです。
今回は時間の都合上パスしました。

【163】法輪寺

引き返して次は「嵯峨の虚空蔵さん」として知られる法輪寺へと寄り道です。
渡月小橋から左に曲がるカーブを進んでいくと法輪寺に着きます。

和銅６年(７１３)，言明天皇の勅願により行基が創建したと伝わっています。
本尊，虚空蔵菩薩坐像は日本三虚空蔵の一つです。

長い階段を登って行きます。
木々に覆われ，太陽の光が届きません。

法輪寺で有名なのが「十三まいり」です。
数え年で１３歳になった子供が虚空蔵菩薩を参詣する行事で，福徳や知恵を頂きます。
ただし変えるときは渡月橋を渡り切るまで，決して後ろを振り返っていけないといいます。
振り返るとせっかく授かった福徳や知恵が逃げていくそうです。

行事は春先なのですが，境内にはなぜか多くの人が。
いつからこんなに有名に？と思ったのですが，どうも外国人観光客が迷い込んだようです…

境内にある多宝塔。
渡月橋からみえたのはこの塔です。

虚空蔵は丑寅生まれの守り神ということで，天に向かって吼える虎と寝そべっている牛がいました。
阿吽になっているんですね。
逆に牛が天に向かって吼えていても迫力はないなぁ。

羊もいました。
神様のお使いだそうです。

法輪寺には展望台があります。

展望台からは渡月橋を見下ろすことが出来ます。

こちらは比叡山方面です。

ここにはちょっと珍しい神社があります。
名前は「電電宮」。

【164】電電宮

法輪寺の鎮守社で電気・電波の祖神として信仰されている珍しい神社です。

電力，電気，電波，電子等あらゆる電気関係事業の発展と無事故安全を祈願します。

また境内には「電電塔」があります。

電気電波の祖神電電宮が祭祀されている，当法輪寺境内に電電塔を建立し，その発展の基を築かれたエジソン（右）並びにヘルツ（左）の胸額を壁面に飾りその功を顕彰すると共に，広く電気電波の発展隆昌に貢献せられた先覚功労者の霊を慰めるものである(案内板より)。

寄り道はここまでで，トレイルに復帰します。
中ノ島に標識[西山22]があり，ここを東へと進みます。

【165】嵐山公園(中ノ島地区)

名前の通り，桂川の中洲です。
桂川に沿って歩いて行きます。

この辺りは水深が浅いので，川に入って遊ぶことが出来ます。

川で遊ぶカップル。

おじさんの釣果は？

堰から流れ落ちる水。

堰から流れ落ちる水２。

年甲斐もなく遊ぶことが出来たら…と思ってしまいました。

暑さで鳩も木陰に避難。

【166】中ノ島橋

標識[西山23]はトイレの前の案内板にあり，そこを南へと行き，中ノ島橋を渡ります。
中ノ島橋は別名太鼓橋。
時代劇にも使われるそうです。

中ノ島橋の上から。
一ノ井堰により分水された川はここを流れます。

ここで堰に近づいていく鳥(サギ？)を発見。

もしかして…と思ってカメラを構えていると，すばやい動作で魚を捕まえました！
写真を見返し見ると，落ちて行く魚が映っていました。

こちらの写真のほうが咥えているのが判りやすいかな。

しばらく見ていましたが，時には結構な大物もゲット！

ゴックンと丸のみです。

阪急嵐山駅に到着。
標識[西山24]があるはずなのですが，欠番となっているようです。
次の目的地は松尾山です。

次の旅行記に続く…