紅葉の名所という龍田川論争に決着がつくか

2023/11/26 - 2023/11/26

　嵐吹く三室の山のもみぢ葉は　龍田の川の錦なりけり （能因法師）は小倉百人一首の有名な和歌で「永承四年（1049年）、後冷泉天皇の時代に開かれた大規模な歌合せで詠まれたもので」とものの本には書かれています。しかし、約千年後には現在の竜田川沿いには龍田神社があり大和川との合流点近くには三室山なる丘もあります。在原業平がからくれなゐにと詠んだのも、龍田川です。さてその龍田川とは･･･・

エリア 斑鳩・法隆寺周辺(奈良)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 自転車 徒歩

　斑鳩町竜田川の紅葉です。

　この日（26日）は斑鳩町紅葉祭りが開催されていて、多くの人出で賑わっていました。

　斑鳩町内を貫く古道脇には龍田神社。今日は何か人だかりが多いです。

　氏子さんらしい人たちが集まって何か作っておられる。よく見ると注連縄のようです。「縄をなう」作業は見たことがありますが、注連縄にする作業は初めてです。

　拝殿脇では菜をなっておられる。数キロ先の竜田川の紅葉祭りなんか、そんなのあるの･･･って感じでした。

　龍田神社内の作業風景全景。来年も新しい注連縄で法隆寺の安全を神にお祈りするのでしょうか。

　一方龍田大社が三郷町にあります。祭神は天御柱大神で、別名を龍田神・龍田風神ともいい、毎年行われる風鎮祭は、天武天皇（675年）に始まると伝えられる由緒を持っていると言われています。神域を三室山と称し、奈良と難波を結ぶ龍田古道の亀の瀬越えが神社の裾野を通っています。

　山内では七五三参りで賑わっていますが、誕生したばかりの赤ちゃんや自動車の交通安全祈願などもおられます。風の神さんから守備範囲が広いのは官幣大社故でしょうか。

　砲弾とサイズが合わない大砲は、同じ風の神広瀬神社でもおなじみ。

　広瀬神社のアンバランスな大砲と弾（参考）

　紅葉と龍は良いバランスですね。来年の干支年賀状にいかがでしょうか。

　ハイキングガイド（龍田大社内）

　龍田大社でも迎春準備が

　さてここで「論争」です。能因法師が詠み在原業平がからくれなゐにと詠んだ「龍田川」とは、竜田川なのか大和川なのかというのが論争と云うほどでも無いが論点です。大社と神社の関係は、龍田大社によれば聖徳太子が法隆寺建立の際、龍田大社に日参し工事安全を祈願しました。そして、竣工落慶（しゅんこうらっけい）の際に法隆寺の守り神として当社の御分霊をお祀りしたのが龍田神社のはじまりです･･･とのこと。

　愚僧は以前から亀の瀬との位置関係や、社殿全体の醸し出す雰囲気から「たつた」川は大和川では無いかと考えていました。現在のいかにもという三室山や竜田川の流れは水くくる程の水量では無いと思っています。多分両者ともに龍田川に立って歌を詠んだのでは無く、錦絵か伝聞による想像の龍田川であろうと思われますが、ある意味では罪作りな和歌でもあります。

　この日の最後は斑鳩の秋桜を見てきました。中宮寺跡地の広大な広場に時期をずらせるように植えられていて、時季外れと思える今日も写真のように見事です。

　しばし秋桜をお楽しみ。

　法隆寺ビジターセンターまで土産を求めて行き、ついでにソフトクリームの値段を見ると腰が抜けました。法隆寺門前から少し離れたよろず屋の前に冷凍庫があるので、奥さんらしき人に問うと正解でした。ソフトクリームに勝れども劣らないソフトクリーム風アイスクリームを門前に戻りほおばりながら、並松通りを見ていると数店が閉鎖されている。コロナの後遺症なのか気の毒にも思えますが、愚僧の法力の及ばないと再び再興することを祈念しました。

　おまけです。
　自分への土産は国道沿いの店で花の苗。

　ジュリアンとデージだそうです。我が家の迎春準備かな。