2023/03/14 - 2023/03/14
197位(同エリア3594件中)
万歩計さん
この旅行記のスケジュール
もっと見る
閉じる
この旅行記スケジュールを元に
大阪のレトロ建築探訪の第3弾は難波から本町まで、御堂筋から堺筋の間を歩く。ここには百貨店、劇場、飲食街など市民の娯楽・遊興施設が集まる場所である。
前半は御堂筋に沿って難波から本町まで。大正15年に始まった御堂筋拡張工事と地下鉄御堂筋線の開通で、最先端の建物が並ぶ繁華街だった場所である。
********************************************
大正時代から昭和初期にかけて、大阪が「大大阪」と呼ばれた時期があった。人口、面積、工業出荷額において東京市を凌ぎ世界有数の大都市に躍進、特に繊維産業の集積から「東洋のマンチェスター」と呼ばれた。活況を呈した当時の面影を、現存する建物等から探るのがこのシリーズの目的である。
万歩計は現役時代に10年以上を淀屋橋の本社に勤務したが、これらを見て歩くことはなかった。今回の建物探訪を通して「進取」「商売に使うお金と世の中に使うお金は別物」、という大阪商人の考えが読み取れた。
探訪に際しては事前にネット情報を調べ、当日はGoogleMapを片手に歩き回った。大部分の建物は非公開のため外観の写真が主になった。一方で既に撤去されその跡がマンションや駐車場になっていた場所も多く、文化財として保護しない限りこれ他の建物は早晩消える運命にある。
参考にした主なネット情報は以下の通り。
・歴史散歩 大阪市内で今なお残る歴史的建造物
https://tabicoffret.com/article/78221/
・大阪市中心部の近代建築・生きた建築MAP
https://archirecords.com/blog-entry-210.html
・大阪レトロ プロットマップ
現在ネットから削除されている?
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
大阪市のレトロ建築探訪の第3弾。今日は中央区の南部を難波、道頓堀、心斎橋、本町、日本橋の順で巡ります。
-
難波のランドマークは南海ビルディング。久野節建築事務所の設計で昭和8年(1933)に竣工しました。
大阪高島屋 百貨店・デパート
-
南海電鉄のターミナル駅で高島屋百貨店の本店が入居するビルです。
-
梅田に延びる御堂筋に向けて大きく広がるファザードには、
-
4フロアーに渡るアーチ型窓が並び、その間はコリント様式の円柱で飾れています。
-
円柱の頭部にはアカンサスの葉を模した彫刻
-
他にも豪華な彫刻が随所に。
-
窓枠に施されたモールの彫刻
-
羽と車輪がセットになった装飾は南海電鉄の旧社章。南海電鉄は難波と大和川を結ぶ「阪堺鉄道」として1885年に運行を始めた日本最古の私鉄です。
-
庇の下には大阪の祭りを紹介したモザイクタイル。
-
エレベーターホール。
大阪高島屋 百貨店・デパート
-
売場の屋根は落ち着いた渋いデザイン。
-
高島屋を出て御堂筋を少し行くと昭和33年(1958)建築の、大阪新歌舞伎座。唐破風の人目を引くデザインは村野・森建築事務所(村野藤吾)の手によるもの。
~Wikipediaよりホテルロイヤルクラシック大阪 宿・ホテル
-
歌舞伎座の名を持つにもかかわらず歌舞伎より「芝居と歌謡ショー」的な舞台が多かったそうです。万歩計も入社間もない頃に家族慰安会で、舟木一夫の「銭形平次」と島倉千代子の「すみだ川」を見たことがあります。
-
平成22年に新歌舞伎座が上本町に移転すると、ここはロイヤルクラシック大阪という高級ホテル生まれ変わりました。
設計は世界的建築家・隈研吾氏。新歌舞伎座の意匠を継承しつつ、奥行き感があり繊細な表情を持った高層部のデザインを行い、新旧の調和のとれた建物になっています。
~ロイヤルクラシック大阪HPよりホテルロイヤルクラシック大阪 宿・ホテル
-
ロイヤルクラシック大阪から御堂筋を少し歩いて、
-
細い道「こいさん通り」。「こいさん」とは「こまい、いとさん」、つまり末娘の意味。恋や鯉ではありません
-
「こいさん通り」を行くと、昭和歌謡曲にも歌われた「法善寺横丁」の入口。
法善寺横丁 名所・史跡
-
狭い路地の両側には飲食店がぎっしり。
-
その入口近くにあるのが法善寺。有名な割にとても小さな浄土宗のお寺です。
法善寺 寺・神社・教会
-
有名な水掛不動尊はここ。
水掛不動 (法善寺) 名所・史跡
-
参拝者から水をかけられ続け、仏像本体がわからないほど苔で覆われています。
水掛不動 (法善寺) 名所・史跡
-
串カツ屋さんには長蛇の列
元祖串かつ だるま なんば本店 グルメ・レストラン
-
コロナも収まり傾向で道頓堀は大賑わい。
かに道楽 道頓堀中店 グルメ・レストラン
-
大阪松竹座。日本最初の鉄筋コンクリート造りの活動写真館として大正12年(1923)に建築されました。
~松竹座HPより大阪松竹座 名所・史跡
-
今年はちょうど100周年。
-
「道頓堀の凱旋門」とも呼ばれた親しまれてきた、ネオ・ルネッサンス様式の特徴的な正面ファサード。
~松竹座HPより大阪松竹座 名所・史跡
-
平成6年から始まった建替え工事でも、このファザードはそのまま保存されました。
-
ファザードの彫刻。
-
ファザードの彫刻。
-
道頓堀川のお馴染みの風景。かってのどぶ川も今は鮎が住めるほどに改善され、川岸はお洒落なプロムナードに変身しました。
道頓堀川 名所・史跡
-
イチオシ
1985年に阪神タイガースが日本一になった時、熱狂したファンがカーネル・サンダース像を担ぎ出してここに投げ込んだ。阪神は2年後に最下位に転落、以後長い暗黒時代が続いた。今も大阪で語り継がれる「カーネルの呪い」です。
-
御堂筋に建つ斬新なデザインの建物
-
何だか提灯のよう。
-
その先に大丸心斎橋店
大丸 (心斎橋店) 百貨店・デパート
-
2019年に建て替えを終えた新本館は10階建て。1階から7階までの外壁に旧本館の石積をそのまま使用していますが、8階以上は未来的なデザインになっています。
-
心斎橋の顔として市民に親しまれた旧本館は、ヴォーリスの設計で20年間の工事を終え昭和8年(1933)の竣工しました。
大丸 (心斎橋店) 百貨店・デパート
-
教会建築を思わせるエントランスの石の装飾
-
本体はダークブラウンの渋い色調
-
通りに張り出した赤いオーニングはシャンゼリゼ通りのカフェのよう。
-
中に入ってみます。
-
扉は三菱を組み合わせた模様
-
エントランス上部のステンドグラス
-
ヴォーリス建築の旧本館の説明。
-
内装では1階がヴォーリズの名建築をもっとも色濃く保存、再現しています。
-
特に天井は当時の装飾と、
-
鏡面を使い分けて、思わずため息の出る美しさ。
-
他にもステンドグラスや大理石、繊細なレリーフなど、アールデコ様式で飾られています。
-
エレベーターホールのデザインは教会そのもの。
-
ヴォーリズはアメリカで宣教師をしていたので、彼の作品には教会様式が多く取り入れられています。
-
旧建築の部材も随所に使われています。
-
現代センスあふれる床の矢印案内。
-
滅多にデパートに行かない万歩計ですが、眼福でした。
-
再び御堂筋を北に
ホテル日航大阪 宿・ホテル
-
途中で心斎橋筋に入ると三木楽器開成館。向かいの三木楽器には何度も来てますが、この地味な建物は気に留めませんでした。
三木楽器開成館 名所・史跡
-
三木楽器の前身は江戸時代末期創業の書籍商です。4代目三木佐助は明治22年(1888)にヤマハの創業者 山葉寅楠が開発したリードオルガンを販売するの西日本売捌所として楽器商を創業しました。
~三木楽器HPより -
大正12年(1923)創業100年の2年前、本店ビルとして建設したのがこの開成館。地下1階地上4階のモダンな鉄筋コンクリートビルです。
~三木楽器HPより三木楽器開成館 名所・史跡
-
縦の線が強調されたシンプルな外観。外壁のレンガはわざわざドイツから取り寄せたものですが、平成元年の改修で同色のレンガタイルになりました。
~三木楽器HPより -
この部分のレンガは建築当時のもの。壁面にあるテラコッタの装飾はは、現在の価値にすると1個百万円をくだらないと言われています。
~三木楽器HPより -
内部には建築当時のステンドグラス、大理石の階段、エレベーターの階数表示板等が残っているそうです。
-
三木楽器から御堂筋に出て北へ歩くと、
-
又一ビルディング。ガラス張りの現代的なオフィスビルですが、御堂筋に面した正面ファザードに装飾された外壁が。
又一ビルディング 名所・史跡
-
この壁は南御堂難波別院によって昭和8年(1933)に建設された大谷仏教会館の外壁の一部です。又一ビルディングはビルの建築の際して御堂筋にゆかりの深い遺産として、外壁一部を切り取って保存することを試みたそうです。
~又一ビルディングHPより -
美しい模様を施されたテラコッタで覆われた外壁は、日本建築学会の日本近代建築総覧にも収められています。
-
このルネッサンス様式が旧仏教会館の壁の一部だとは信じがたい。
-
中央大通りを御堂筋から堺筋へ。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
旅行記グループ
大阪市のレトロ建築探訪
-
大阪市のレトロ建築探訪 1.中之島と御堂筋イルミネーション
2022/12/12~
キタ(大阪駅・梅田)
-
大阪市のレトロ建築探訪 2.淀屋橋、御堂筋
2023/01/13~
心斎橋・淀屋橋
-
大阪市のレトロ建築探訪 3.北船場、北浜
2023/01/13~
心斎橋・淀屋橋
-
大阪市のレトロ建築探訪 4.難波、心斎橋
2023/03/14~
ミナミ(難波・天王寺)
-
大阪市のレトロ建築探訪 5.南船場、日本橋
2023/03/14~
ミナミ(難波・天王寺)
-
大阪市のレトロ建築探訪 6.西区
2023/05/15~
キタ(大阪駅・梅田)
-
大阪市のレトロ建築探訪 7.京橋から大川に沿って淀屋橋へ
2023/05/15~
キタ(大阪駅・梅田)
旅行記グループをもっと見る
この旅行記へのコメント (2)
-
- mom Kさん 2024/01/29 21:17:10
- 嬉しいです
- 大阪の建築美に都会派ではない私も゙今やぞっこん。本日記のご紹介と解説に感謝します。
- 万歩計さん からの返信 2024/01/30 16:03:29
- Re: 嬉しいです
- mom Kさん 、こんにちわ。コメントありがとうございます。
大阪のレトロ建築にぞっこんとのこと、弊少しでもお役に立ったならとても嬉しいです。
レトロ建築には一見してインパクトのあるものもありますが、事前知識がないと見過ごしてしまう地味なものも多いです。また事前に予約すれば内部見学が出来るものもあるので、スケジュールを立てて計画的に回ることをお勧めします。
万歩計
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったホテル
この旅行で行ったスポット
もっと見る
この旅行で行ったグルメ・レストラン
ミナミ(難波・天王寺)(大阪) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 大阪市のレトロ建築探訪
2
66