2022/12/12 - 2022/12/12
176位(同エリア4158件中)
万歩計さん
この旅行記スケジュールを元に
大阪のレトロ建築探訪の第1弾は、土佐堀川と堂島川の中州にあたる中之島地区。ここには大阪市中央公会堂や大阪府立中之島図書館など、ヨーロッパ風の建築物や古くからの歴史を持つレトロな意匠の橋が集まる最も人気のエリア。最後はイルミネーションに彩られた御堂筋を歩いて帰った。
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大正時代から昭和初期にかけて、大阪が「大大阪」と呼ばれた時期があった。人口、面積、工業出荷額において東京市を凌ぎ世界有数の大都市に躍進、特に繊維産業の集積から「東洋のマンチェスター」と呼ばれた。活況を呈した当時の面影を、現存する建物等から探るのがこのシリーズの目的である。
大阪商人と言えば「渋ちん」とか「利に細かい」といったイメージがある。しかし今回の建物探訪を通じて進取の気質が旺盛で、「社会が豊かになれは又儲けさせてもらえる」とも考え、利益の多くを社会に還元していたことが分かった。
万歩計は現役時代に10年以上を淀屋橋にある本社に勤務したが、これらを見て歩くことはなかった。探訪に際しては事前にネット情報を集め、当日はGoogleMapを片手に歩き回った。大部分の建物は非公開のため外観の写真が主になった。一方で既に撤去されその跡がマンションや駐車場になっていた場所も多く、文化財として保護しない限りこれ他の建物は早晩消える運命にある。
参考にした主なネット情報は以下の通り。
・歴史散歩 大阪市内で今なお残る歴史的建造物
https://tabicoffret.com/article/78221/
・大阪市中心部の近代建築・生きた建築MAP
https://archirecords.com/blog-entry-210.html
・大阪レトロ プロットマップ
現在ネットから削除されている。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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大阪のレトロ建築探訪の第1弾は、土佐堀川と堂島川の中州にあたる中之島地区を巡ります。スタートは地下鉄御堂筋線の淀屋橋駅。
淀屋橋駅 駅
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土佐堀川に架かる淀屋橋。橋の名前は最初にここに橋を架けた江戸時代初期の豪商・淀屋に由来します。
淀屋橋 名所・史跡
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イチオシ
現在の橋は第1次都市計画事業の一環として意匠設計の懸賞募集が行われ、昭和10年(1935)に完成したもの。
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お洒落な欄干。歴史的とは言えないが美しい建物が川の両側に並ぶ景色は、パリのセーヌ川の橋を彷彿とします。
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イチオシ
淀屋橋を渡ると中之島。すぐ左手に日本銀行大阪支店旧館。
日本銀行大阪支店 名所・史跡
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旧東京駅など多くの名建築を手がけた辰野金吾の設計で、明治36年(1903)に完成。ベルギー国立銀行等をモデルにした堂々たる新古典様式です。
~日本銀行大阪支店HPより -
旧館は記念室等になっていて、内部見学は要予約。
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内部の天井は非常に高くなっており、ステンドグラス、レリーフ、様々な彫刻が施されているチーク材によって装飾されています。また、シャンデリアも吊り下げられています。
~日本銀行大阪支店HPより -
次に来た時は内部見学をしよう。
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日銀の道向かいは大阪市役所。
大阪市役所 名所・史跡
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御堂筋を渡って日銀を見ると青銅色の屋根にドームが見えます。
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こちらは大阪市役所の正面。現在の市庁舎は4代目で設計は日建設計、施工は大林組と鴻池組で1986年竣工。
大阪市役所 名所・史跡
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市庁舎の建替えに際しては移転も候補にあったそうですが、日本建築学会が大阪市庁舎、日本銀行大阪支店本館、大阪府立中之島図書館、大阪市中央公会堂の4建物を永久に保存するべきであるとする要望書「中之島東部の景観と歴史建造物の保全に関する要望書」を大阪市長宛てに提出して、現在の位置に4代目市庁舎が建てられることになりました。
~Wikipediaより -
外装は花崗岩張りで3代目市庁舎の花崗岩も再利用されています。
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市庁舎の横を土佐堀川に沿って歩くと、
土佐堀川 自然・景勝地
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イチオシ
大阪府立中之島図書館。住友家により建築、寄贈され明治37年(1904)に「大阪図書館」として開館しました。設計は野口孫市と日高胖。
大阪府立中之島図書館 美術館・博物館
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外観はルネッサンス様式。本館エントランスにはギリシャ神殿を思わせるコリント様式の太い柱。
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正面玄関を見上げると右から左に「大阪図書館」の文字。
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中央ホール。正面に大階段。
大阪府立中之島図書館 美術館・博物館
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大階段に続く中間階がホールをぐるっと一周。
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見上げると天井はドーム。
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壁に掲げられたのは菅原道真、ソクラテス等東西八人の賢人額。これが宗教画ならヨーロッパの教会そのものです。
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イチオシ
重厚な手摺のある木製階段を上がると、
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正面に図書館の寄付者であった住友家15代吉左衛門氏の寄付記。
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この日は記念室に入ることが出来ました。
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記念室
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記念室
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絵画も展示
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記念室
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この部屋は、
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古典書籍の展示
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イチオシ
大阪府立中之島図書館の隣は大阪市中央公会堂。
「義侠の相場師」「北浜の風雲児」といわれた株式仲買人、岩本栄之助氏の寄贈によるものです。大阪市中央公会堂 名所・史跡
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岩本栄之助氏は明治10年、大阪市南区の生まれ。大阪株式取引所の仲買人となり、日露戦争後の株価の急騰で巨利を得ました。彼は父親の遺産50万円に、自分の手持ち財産を加えた100万円(現在価値で数十億円)を大阪市に寄付し、公会堂が建設されました。
~大阪市中央公会堂HPより -
しかしその後、第一次世界大戦勃発の影響で莫大な損失を出してしまいます。周囲の人々は、大阪市に寄付した100万円を少しでも返してもらうように勧めましたが、栄之助は「一度寄付したものを返せというのは大阪商人の恥」としてこれを拒否。大正5年10月、自宅でピストル自殺しました。
彼が夢見た公会堂は、その死から2年後に完成しました。
~大阪市中央公会堂HPより -
こちらが正面。優美なネオ・ルネッサンス様式。
大阪市中央公会堂 名所・史跡
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デザイン公募で選ばれた岡田信一郎の案を、辰野金吾等が実施設計しました。
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平成11年から14年にかけて市民の寄付などを基にした大規模な耐震補強工事が行われ、建設当時の姿を損なう事なく完成しました。
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正面のアーチ屋根、赤レンガとグレーの大理石の組み合わせは、ポーランドのグダンスク中央駅によく似ている。
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中に入ると大集会室(大ホール)ではコンサートが行われていました。他に中集会室、小集会室、特別室などがあり素晴らしい意匠が施されているそうです。
大阪市中央公会堂 名所・史跡
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見学はガイドツアーのみなのでエントランスホールをぶらぶら。
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階段手摺の凝った意匠を見ていたら、
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コンサートが終了し、観客が出てきました。
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ここがチャンスと大集会室内へ。
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金箔に覆われた舞台縁
大阪市中央公会堂 名所・史跡
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シャンデリアの下がる天井
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豪華なカーテンの観客席。
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細部に至るまで創建当時の姿にこだわっています。
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ヨーロッパの歌劇場にも劣らない。
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ここでは国際的な一流アーティストによるオペラ、コンサートが行われたほかにも、ヘレン・ケラー、ガガーリン、ゴルバチョフ等が講演したそうです。
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大阪市中央公会堂を出て、
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イチオシ
堂島川に架かる水晶橋へ。
水晶橋 名所・史跡
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橋の完成は昭和4年。本体のアーチとその上の小アーチの組合わせが美しいことから、よく画題になるそうです。
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これで大阪市のレトロ建築探訪の第一回目は終了。この後市内で昔の仕事仲間と久々の飲み会です。
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飲み会を終え御堂筋に出たら「御堂筋イルミネーション2022」の最中でした。
御堂筋イルミネーション 祭り・イベント
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梅田の阪神前交差点から難波駅西口交差点までの御堂筋約4kmにわたって、毎年11月初めから12月末までイルミネーションで彩られます。
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ほろ酔い加減でいい気持ち。見物しながら難波駅まで歩いていきます。
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2014年には点灯している木の本数が500本以上となったことにより、「最も多く街路樹にイルミネーションを施した通り」としてギネス世界記録に認定されました。
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御堂筋イルミネーション2022
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御堂筋イルミネーション2022
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御堂筋イルミネーション2022
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御堂筋イルミネーション2022
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御堂筋イルミネーション2022
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御堂筋イルミネーション2022
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御堂筋イルミネーション2022
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御堂筋イルミネーション2022
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御堂筋イルミネーション2022
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道頓堀
道頓堀 名所・史跡
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お馴染みのグリコ
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難波まで来てここから電車で帰宅しました。
金龍ラーメン 御堂筋店 グルメ・レストラン
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この旅行記へのコメント (4)
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- きなこさん 2024/01/15 19:03:09
- 淀屋橋界隈
- こんにちは
実は私も5年ほど淀屋橋で働いていました。
あの界隈は飲食店が軒を並べていてお昼は楽しみでした。
社食を使わない日は色んな企業さんの食堂を回ったり、市役所の食堂にいったりして楽しんでいました。
でもこんな貴重な建物がいっぱいあるの知りませんでした。
勿体無い事しました。
ゆっくり歩いてみたくなりました。
きなこ
- 万歩計さん からの返信 2024/01/15 22:14:04
- Re: 淀屋橋界隈
- きなこさん、こんばんわ。コメントありがとうございます。
古い建物を見て歩くのが好きで、海外に行けなくなってからは国内の重伝建(重要伝統的建築物群保存地区)を回っています。手近な重伝建を回り終え、今度は大阪のレトロ建築を回り始めました。
冒頭にも書いた通り、大正時代から昭和初期にかけて、大阪が「大大阪」と呼ばれた時期がありました。この時代の建築を訪ね歩いているのですが、かなりの数が取り壊されてマンションや駐車場に姿を変えていました。
ヨーロッパは古い街並みを大切に守り、内部はリノベーションしても外観は昔の姿を維持しています。一方、東洋は合理性や快適性を重視して安易にスクラップ&ビルドに走るようです。オーナーにはそれぞれの事情があり、ノスタルジックで済まないことはよくわかりますが。では税金をかけてそれらを保存するか、となると…。難しい問題ですね。
万歩計
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- ポテのお散歩さん 2024/01/09 10:49:11
- レトロ建築
- 万歩計さん こんにちは。
本年も宜しくお願いします(*^-^*)
北浜や淀屋橋界隈は、結婚してから働いたり
その帰りに習い事に行ったりしていたので懐かしい場所です。
レトロで立派な建造物が多いのは知っていましたが
一度も見学した事がありませんでした(^-^;
今から思うと勿体ない事をしました。
当時はまだ高層マンションも建っていなくて
三越百貨店があった時代です(^^)
レトロな建物を利用したカフェに行ったくらいなので
神戸と同じように、ゆっくり歩いてみたい場所です。
今 歩けば、もっとマンションやホテルが増えているかも知れませんね。
オシャレなカフェも増えているようなので、
変貌ぶりに驚くと思います(*^-^*)
ポテ
- 万歩計さん からの返信 2024/01/09 21:56:15
- Re: レトロ建築
- ポテさん、明けましておめでとうございます。
新年早々コメントを頂き嬉しいです。今年もよろしくお願いします。
仕事をしていると職場近くの名所って意外に行かないですよね。私も淀屋橋で10年以上勤務しましたが、前を歩いても「古い建物があるなー。」と思うくらいで、素通りしていました。
退職して自由な時間が出来たので最初は夢のヨーロッパへ、コロナで海外に行けなくなってからは秘湯巡りと重伝建巡り、さらに手近なところで「京都人の密かな愉しみロケ地巡り」、そして今回の大阪のレトロ建築探訪となりました。
最近は大阪レトロをテーマにしたTV番組がしばしばあります。2か月ほど前にNHK「新日本風土記」で「モダン大阪」が放映されました。私とかぶるテーマなので、旅行記のコメントの参考にと録画しました。
このシリーズは既に7冊書いていますが、引き続き「大阪の歴史散歩」に拡大するかもしれません。引き続き見ていただけると嬉しいです。
ポテさんの「京のお散歩」シリーズも楽しみにしています。
万歩計
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