2023/01/13 - 2023/01/13
105位(同エリア1903件中)
万歩計さん
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大阪のレトロ建築探訪の第2弾は船場。船場は土佐堀川、横堀川、長堀川といった河川と人工の堀川に囲まれた南北2km、東西1kmのエリア。大坂の町人文化の中心となった所で、船場言葉は標準的な大阪弁と見なされている。
前半は土佐堀から御堂筋を挟んだ北半分のエリア。三井住友銀行大阪本店のある北浜4丁目一帯は、住友関係のビルが集まる「住友村」。御堂筋に面した一帯は、大正15年に始まった御堂筋拡張工事によって生まれた新しいエリアで、昭和初期の建物が多く残っていた。
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大正時代から昭和初期にかけて、大阪が「大大阪」と呼ばれた時期があった。人口、面積、工業出荷額において東京市を凌ぎ世界有数の大都市に躍進、特に繊維産業の集積から「東洋のマンチェスター」と呼ばれた。活況を呈した当時の面影を、現存する建物等から探るのがこのシリーズの目的である。
大阪商人と言えば「渋ちん」とか「利に細かい」といったイメージがある。しかし今回の建物探訪を通じて進取の気質が旺盛で、「社会が豊かになれは又儲けさせてもらえる」とも考え、利益の多くを社会に還元していたことが分かった。
万歩計は現役時代に10年以上を淀屋橋にある本社に勤務したが、これらを見て歩くことはなかった。探訪に際しては事前にネット情報を集め、当日はGoogleMapを片手に歩き回った。大部分の建物は非公開のため外観の写真が主になった。一方で既に撤去されその跡がマンションや駐車場になっていた場所も多く、文化財として保護しない限りこれ他の建物は早晩消える運命にある。
参考にした主なネット情報は以下の通り。
・歴史散歩 大阪市内で今なお残る歴史的建造物
https://tabicoffret.com/article/78221/
・大阪市中心部の近代建築・生きた建築MAP
https://archirecords.com/blog-entry-210.html
・大阪レトロ プロットマップ
現在ネットから削除されている。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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大阪市のレトロ建築探訪の第2弾は中央区の淀屋橋から北浜エリア。スタートは地下鉄御堂筋線淀屋橋駅。
淀屋橋駅 駅
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土佐堀通りを西に行くと、
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左手に三井住友銀行大阪本店の大きな建物。
住友財閥の権威の象徴 by 万歩計さん三井住友銀行大阪本店 名所・史跡
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イチオシ
旧住友本社と連系各社の本拠であった「住友ビルデイング」として、昭和5年(1930)に完成しました。
住友財閥の権威の象徴 by 万歩計さん三井住友銀行大阪本店 名所・史跡
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東西74m、南北84mに及ぶ大規模建築で、黄土色の石が重厚さの中に柔らかみを与えています。
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土佐堀川に面した正面エントランスの巨大な円柱
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見上げると、
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「SUMITOMO MITUI」の文字
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西エントランスから館内へ。シンプルな外観に対して内部は華麗で柔らかな意匠が随所に施されていましたが撮影禁止。
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西エントランス周囲を撮影。
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黄色の大理石が使用されています。
住友財閥の権威の象徴 by 万歩計さん三井住友銀行大阪本店 名所・史跡
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照明や、
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ガーゴイルにはブロンズが使用されています。別子銅山が起源の住友らしい。
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ぐるっとひと回りして、
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銀行敷地内に入ると、片隅に手形交換所発祥の地碑。日本最初の手形交換所として明治12年この場所に開設されました。当時の大阪の金融先進性が窺えます。
手形交換所発祥の地 名所・史跡
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大阪本店南側のモダンな建物は住友ビルディング2号館。この辺りには住友グループのビルが集中しています。
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その一角に大阪倶楽部会館。大阪倶楽部の設立は大正元年。大阪で最も伝統と歴史のある会員制社交倶楽部です。
渋い煉瓦造りのレトロ建築 by 万歩計さん大阪倶楽部 名所・史跡
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イチオシ
大正3年建築の初代会館は木造でしたが間もなく火災で焼失。2代目はレンガ造りで大正13年(1924)に完成しました。
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設計は名建築家安井武雄。派手さを押さえ渋い外観ですが、
渋い煉瓦造りのレトロ建築 by 万歩計さん大阪倶楽部 名所・史跡
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随所に大正モダニズムの意匠が見られます。
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大阪を代表する名建築の一つ。
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玄関両脇の柱の頂に怪獣の彫刻
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柱の基礎部分
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OとCを組み合わせたクラブのロゴマーク。
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飾り窓
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公開見学会以外は入れませんが、
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受付で「大阪のレトロ建築を回っている」と話して、特別に1階ロビーだけ見せてもらいました。
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翡翠の目玉を持つ鬼?のモニュメント。
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天井
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柔らかな照明。
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ありがとうございました。
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外に出ると対照的な現代建築に、思わずカメラを向けました。
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その横にポツンと残るレトロな建物は、大正14年建築の旧中央消防署今橋出張所。
現代建築の間に窮屈そうに残るレトロ建築 by 万歩計さん旧中央消防署今橋出張所 名所・史跡
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間口の大きさから見ると、1階は消防車庫だったか?
現代建築の間に窮屈そうに残るレトロ建築 by 万歩計さん旧中央消防署今橋出張所 名所・史跡
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現在はイタリアンレストラン。入口に建物の謂れを説明しています。
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猫足の出窓枠。店名のPONPIEREはイタリア語で「消防士」。
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ポストホルンの郵便受、イイね!
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この通りは再開発されて新しいビルが整然と並んでいます。
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御堂筋に面した大阪ガスビルディング。
安井武雄の設計によるモダンなアール・デコ様式で竣工は昭和8年。この年に地下鉄御堂筋線が開通し、都心が中之島や北浜から御堂筋に移るきっかけになった最初の建物です。ガスビル食堂の絶品カレー by 万歩計さん大阪ガスビル 名所・史跡
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事務所のほかガス用品陳列場、講演場、美容室、ガス料理講習室、食堂などが設けられ、一般に開放されていました。
特に最上階のレストラン「ガスビル食堂」は100年近い歴史を持つフランス料理の名店で、万歩計も何度かここで食事したことがあります。ガスビル食堂 グルメ・レストラン
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昭和20年の大阪大空襲で周りが焼け野原になる中、ガスビルだけは建物をコールタールで黒く塗ることで被害を免れました。
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こちらは昭和46年に増設された北館。
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御堂筋を渡った東側に大正末期建築の旧板谷歯科医院。茶色タイルとクリーム色の外壁と対照的です。
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2階は長らく板谷歯科医院だったそうですが、現在は1階にスポーツ用品店が入居するのみ。
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その道向いは大正12年建築の清水猛商店。一階両側にレンガを積みその間に日本瓦の装飾。
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2,3階の連続したアーチ窓がリズミカル。
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お腹が空いてきたので「つるまる饂飩」淡路町店で昼食。
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今日の日替わりセット、600円也。
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店を出ると目の前に「梅川忠兵衛ゆかりの淡路町」の碑。
近松門左衛門の傑作「冥途の飛脚」で、遊女梅川に入れあげる忠兵衛が養子に入ったのが、この淡路町にあった飛脚問屋の亀屋でした。 -
昭和2年建築の芝川ビル。ビルを建てた芝川又四郎氏は、朝ドラ「マッサン」でエリー達が暮らす家の家主「野々村 茂」のモデルとなった人物だそうです。
外壁を飾る南米マヤ・インカ風の意匠 by 万歩計さん芝川ビル 名所・史跡
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外壁には南米マヤ・インカの装飾を纏った個性的な意匠。
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力強い基礎部分。建築にあたっては耐震、耐火を何より重視したそうです。
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戦前は「芝蘭社家政学園」という花嫁学校だったそうで、近隣の「いとはん」達がここで学んだそうです。
外壁を飾る南米マヤ・インカ風の意匠 by 万歩計さん芝川ビル 名所・史跡
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入口には防火用の頑丈な鉄扉。現在はレストランやショップが入る雑居ビルなので入ってみます。
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ロビーは黄土色の竜山石造り。
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正面には起工・竣工年月日、設計・施工者、工事監督者の名前を刻んだ銅製の記念プレート。
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天井にはレトロな照明。
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芝川ビルから北に歩くビジネス街に大きな木造建築。
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何と公立の幼稚園でした。
これが公立の幼稚園⁉ by 万歩計さん大阪市立愛珠幼稚園 名所・史跡
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大阪市立愛珠幼稚園の建築は明治34年。120年以上続いている現役の幼稚園とは驚いた。
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愛珠幼稚園と背中合わせに旧緒方洪庵住宅及び旧適塾。
蘭学を学ぶ若者の熱気が残る建物 by 万歩計さん適塾 名所・史跡
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現在は適塾の流れをくむ大阪大学が管理しています。
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緒方洪庵は文化7年(1810)備中足守藩に生まれ、16歳の時に父の転勤に伴い大阪に出てきました。江戸や長崎で蘭学を学び29歳でこの地に蘭学塾「適塾」を開きました。
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適塾には全国から入門者が集まりました。その中には橋本佐内、大村益次郎、大鳥圭介など、優れた医学者・蘭学者として出発しながら幕末から明治維新の政治の動きに身を捧げた人々もいました。
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建物は2階建で床面積は285m2。八重夫人は夫洪庵を助けながら9人の子供の立派に育て上げたそうです。
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2階が塾生たちが学んだ部屋。
蘭学を学ぶ若者の熱気が残る建物 by 万歩計さん適塾 名所・史跡
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適塾における教育の中心は蘭書の会読で、塾生の勉強は非常に熱心で激しいものでした。
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オランダ語辞書のある「ズーフ部屋」では塾生が奪い合って使用したそうです。
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塾生の一人だった福沢諭吉は「凡そ勉強ということについては、このうえにしようも無いほど勉強した。」と述懐しています。
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塾生大部屋
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適塾を出て、この後は船場から北浜のレトロ建築を訪ねます。
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この旅行記へのコメント (2)
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- pedaruさん 2024/01/13 12:48:26
- 大阪のレトロ建築
- 万歩計さん こんにちは 今年もよろしくお願いします。
ご紹介の建物は、皆重厚な建築で、見ごたえがありました。それに加え、その建築にまつわる歴史が解説されてよく理解できました。
適塾は超有名な歴史を動かした人たちが学んだところ、その建物を見るのは特別の気分がすると思います。私は勉強に関しては、これ以上ないほどやったこともありませんが、仕事に関しては、修行中はよく頑張ったと自覚しております。
大名屋敷か富豪の家かと思いましたが、これが最初から幼稚園とは驚きました。
卒園生は何時までも自慢でしょうね。
なかなかテーマにする人がすくないレトロ建築、続けてくださることを期待しています。
pedaru
- 万歩計さん からの返信 2024/01/13 21:47:01
- Re: 大阪のレトロ建築
- pedaru さん、明けましておめでとうございます。
新年からコメントを頂き、ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。
pedaru さんの「東京歴史散歩」に触発されて、本シリーズを始めました。元々古いもの好き、建築好きだったのでいつかは何時かはレトロ建築を見て回りたいと考えていました。現在7冊完成していますが、建物だけでなく大阪の歴史も調べていくと面白い。ひょっとしたら「大阪歴史散歩」として継続していくかもしれません。
ご指摘の愛珠幼稚園ですが、申す少し調べてみました。以下はWikipediaからのコピペです。
「1880年6月1日に開園した。現存する幼稚園としては大阪府内では最も古い歴史をもち[注釈 1]、また日本でも2番目に古い歴史をもつ。現存する木造の幼稚園園舎としては日本最古[1]、また民間の手によって建てられた幼稚園としても日本最古となっている。淀屋橋の南方、船場のオフィス街の中に位置し、適塾跡に隣接している。園の敷地は江戸時代の銅座の跡地で、その記念碑が建つ。
大阪市立開平小学校との交流、専門家を招いての芸術文化体験、動植物の飼育栽培など、心豊かな子どもを育てることを目標とした幼稚園教育を行っている。また未就園児向けの保育や、夕方や長期休業中の預かり保育も実施している。」
これが現役パリパリの公立幼稚園というのがすごいです。これ程の幼稚園なので「特に創成期にはすごいパトロンがいたのでは」と思い調べましたが、そうでもないようです。以下もWikipediaからのコピペです。
「1879年に道修小学校連合町会が、当時日本ではほとんど設置されていなかった幼稚園を設立して幼児保育の効果を社会一般に知らせようと建議を行ったことが、幼稚園設立のきっかけとなっている。」
道修町は昔からの薬の街。ここの商人たちが設立の原動力になったようです。「渋ちん」とか「利に細かい」と思われがちの大阪商人ですが、社会資本の充実には昔から熱心だったようです。見直しました。
万歩計
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