1977/08/06 - 1977/08/19
3110位(同エリア4713件中)
おくさん
自転車の旅 おーい北海道(6)
出発から8日目、青森から函館に向かうフェリーの上。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
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チャチャッチャチャン、チャラリラチャチャッチャチャン・・・は~るばる来たぜはっーこだテーッ・・・と言う景気のいい歌声が突然船内に響き渡る。オッと思い急いでデッキに出てみると、暗闇の中、函館の街の灯りが遠くに点々と浮かび上がっているのが見えた。とうとう北海道まで来たんだなー、じーんと感激がこみ上げてくる。8月の6日、深夜1時に家を出発して、今日が13日の午前0時過ぎだから、実に8日目にしてやっと待望の北海道上陸だ。船の甲板の寒さと感激が相まって鳥肌が立ってくる。ぶるぶるぶる
下船すべく自転車の置いてある船底まで下りていくと、大阪からの2人組サイクリストが一足先に下船の準備をしていた。鼻と口を押さえて排気ガスが凄いというサインを送ると、向こうも「まったく」という仕草を返してきた。彼らは今夜の行き先が決まっているのか、船から下りるとさっさと暗闇の中に消えていった。
このフェリー乗り場は青森と同様、街からは外れているらしく、ターミナルビルだけは明るいが辺りは真っ暗けだった。異様に明るい待合室では寝られそうもないので、取りあえず函館駅へ行ってみることにして地図で確認してから暗い道路を走り出す。
夜中でも道路標識はしっかり確認できるお陰で迷うことなく15分で函館駅前に到着。駅前には屋寝付きのバス停が幾つも設置してあり、他のサイクリストが2人寝ているので、私も空いているベンチにシュラフを広げ潜り込む。同じ野宿でも、近くに野宿者がいるととても心強く安心して休むことが出来る。やっぱり北海道の駅では寝ている旅行者が沢山いるってのは本当だったんだなー。これから何度か駅にお世話になる予定の私としては、こんな有りがたいことはない。
十和田の民宿で聞いた話では、どっかのサイクリストが酷い風邪を引いてしまい、駅で3日間も寝袋の中で過ごして治したそうだ。沢山の旅人が寝ている駅なら可能なことなのが実感として分かる。水もトイレも食べ物さえ容易に手に入る駅とは、旅人に取ってそれほど有りがたい施設なのだ。 -
パラパラパラという音で気が付くと、雨が私のシュラフに降り注いでいるではないか。このバス停は屋根付きだが、いかんせん横からの進入には防ぐすべがない。もう面倒になってシュラフは後で乾かせばいいやとそのまま寝続けることにする。
辺りが騒々しくなり始めた頃になると、幸いなことに雨も止んでいた。駅構内を見物しに行ってみると、いるわいるわ床の上でシュラフにもぐっているのがうじゃうじゃいる。野宿者で混雑した駅の待合室を見るのはこれで2回目だ。いやー、素晴らしい光景だな。 -
本日の予定は一日中函館見物しちゃうのだ。まず、有名なハリストス正教会を見物しようと探していたら、その手前にカトリック元町教会があったのでお参りしていく。
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外観もさることながら、中に入るともの凄い装飾でぶったまげる。前橋の聖堂と造りは似ているが、ここに比べれば前橋はホントに質実剛健スタンダードのオプションなしと言うところだ。
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この隣にハリストス正教会があるんだけど、鉄の門は閉ざされていて入ることは出来ないようだ。開館時間前ってことかな?それよりここって自由に入って良かったのかどうかも知らない。さっきカトリックの凄いの見たばかりなので、こちらは見なくても惜しくない気がしてきたので門の前で一枚写真を撮っただけで後にする。
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百万ドルの夜景で有名な函館山は下から見上げただけで登るのが嫌になりパス。後で考えると絶対登って、上から函館の町を見といた方が良かったんだろうが、その時は「こんなん登ってらんねー」とすぐさま却下してしまった。
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啄木の「函館の青柳町こそ悲しけれ友の恋唄矢車の花」の青柳町の町名看板が電柱に取り付けられているのを横目で見て、立待岬と啄木一族の墓を見物する。この中にあの有名な啄木がホントに入ってるのかなー?啄木の詩集も供えてあるし、私のあとから他の観光客も来たことだからキットそうなんだろう。墓石をペタペタさわれる程身近すぎると何だか信じらんない感じだ。
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墓を少し行った先には名前がオシャレな立待岬があった。名前に負けないほどの景観があったので、来て良かった気になった。立待岬は決して啄木の墓のオマケではなかった。
朝飯を食べようと函館駅に戻り、駅横の函館朝市をふらついて朝飯にありつく。せっかく北海道まで来たんだから、それらしい海鮮丼のようなのを食べればいいんだろうが、相変わらず好きでない魚より、馴染んで食べやすいカツ定食と豚汁。どうも食事パターンが貧困だがおっかなびっくり魚を食べるよりずっと良い。 -
維新戦争最後の激戦地、函館五稜郭へ行ってみる。もう観光客が動き回る時間になってきたので五稜郭タワーの辺りは凄い人出だ。有料のタワーはパスして五稜郭の城内(建物はなくて庭だけ)へ入ってみると、何ともガランとしている。ここで昔ドンパチやってたなんて想像もできないほど静かで寂しい。
トラピスチヌ女子修道院へ行く途中、焼きそばと餃子でこれまたワンパターンの昼飯をとる。でも、値段の割に凄いボリュームで、スープまでサービスしてくれた。ソフトクリームも食べてワンパターンの食生活に少しだけ変化を付けてみる。 -
函館市内からは大分外れているトラピスチヌ修道院に着いてビックリ見てビックリ。完璧に観光地化しているのだ。ゲーッ何でー!?大きな駐車場には毒々しい色使いのおかしな像まで設置してある。写真でよく見る建物の前庭や、土産物の売店は観光客でごった返している。まさかトラピスチヌが多角経営始めたんじゃないのだろうが、何とも情けない印象だけが残った。中の修道女さんたちはこんな有様を泣いてるんじゃないだろか。どなたがこんなこと始めた訳~?
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4時頃、また函館市内に戻り、いよいよ本日の最終目的地のトラピスト男子修道院へ向かう。ここには前橋出身の神父さんがいるのだ。神父さんとは大した面識もなかったが、一面識も無くたって泊めて貰おうとする人だから、こういう場合はお願いするに決まっている。か細いツテでもあると無いとじゃ全然違います。大館教会で教えて貰った電話番号があるので今朝の内にトラピストに電話を入れて了解は貰ってあるのですよ。朝の内に今夜の宿が決まっているというのは観光してても安心していられる。
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トラピストのある尾島当別までは函館市内からは20数キロあるが、宿が決まっている場所へ向かうのは幾ら遠くても心が弾む。
トラピスト修道院のある尾島当別が近づいてきた頃、小高い丘の上にそれらしき建物が見えてきた。何ということなく楽しい気がしてくる。鼻歌でも歌いたい気分だ。もっと近づいていくと、写真で見たことのあるのと同じ風景が現れる。 -
ポプラ並木が一直線に続くはるか先が高台になっていて、そこにトラピスト修道院の威厳のある煉瓦造りの建物が見える。いかにも北海道らしい風景で嬉しいねー。こんな所までやってくる観光客もたまにはいるらしく、数台の車が建物の側に止まっていた。
修道院の外に受付の小さな建物があった。そこには「熊出没注意」の立て看板がある。こんなに大きな修道院があるのに熊が出るというのか。これまた北海道らしいものの一つかも知れないが、実際に出くわしたら北海道らしいなんて言ってられないな。もしバッタリ出っくわしたらどうすりゃいいんだろう。やっぱり逃げるっきゃないよね。こんな看板を見ると、その時どうやって逃げるかを一応考えてしまう。
受付の修道士さんに、こうこうこういう者ですと説明すると修道院内から神父さんが迎えに来てくれる。ここに来るまで知らなかったが、トラピストには部外者用の黙想の家と言う宿泊施設があった。修道院の高い塀の外にあり、1年も前から予約をしないと泊まれない程の人気だそうだ。「あなたのように度胸良く突然来た方が簡単に泊まれる」そうだ。1年も前から予約してやっと黙想の家に泊まれる真面目な信者さんもいれば、遊び半分で来ていきなり泊まれちゃう私は何て罰当たりなんだろう。でもラッキーと、ここは素直に喜んじゃおう。
その黙想の家に泊めてくれるのかと思ったら、そっちは満杯だったので修道院の中に泊めてくれることになった。私みたいなのが天下のトラピストの中に入っていいのかなぁ、罰が当たって雷でも落っこちてきたらどうしようと思うが、神父さんがいいと言うんだからいいのだろう。修道院の来客用の部屋1つをまるごと貸して貰える。勿論、ちゃんとしたベッドまであった。
夕飯も食べさせて貰えるそうだ。そこまでは図々しくは無いつもりで、近くの食堂ででも食べる気でいたのだが折角なので有り難くいただくことにする。
夕飯は東京からのシスター達4人と一緒に食べることになった。何で男子だけのトラピストの中にシスターがいられるんだろうと思ったら、高い塀の中に違いはないが、ここまでは修道院の外扱いなんだそうだ。なるほど。
草履のような豚カツにレタス、プレーンオムレツ、そうめん、牛乳3杯、アイスコーヒー2杯に緑茶まで飲む。その他に、パン、おむすびなども出たが、さすがにそれまでは食べられず腹一杯になる。トラピストでは寝られるだけで有りがたいと思って来たので、この歓待ぶりには少々面食らうものがあった。
聖堂で寝る前の、サルベレジナというお祈りタイムに参加させてもらう。男子聖職者の歌うコーラスは、それはそれは素晴らしいもので、まるでコンサートで聞くような響きがあった。良い気分のまま久しぶりのベッドで眠りにつく。誠に良い一日であった。
自転車の旅 おーい北海道(7)へ続く
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この旅行記へのコメント (2)
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- 万歩計さん 2022/04/04 23:53:01
- 古い写真は味がある
- おくさん、こんばんわ。
古いカラー写真は何とも言えない味があります。なんだか昔の総天然色映画のポスターを見るようです。当時の写真なので当然印画紙で残っていると思うのですが、それをスキャナーで読み取ったんですか。
当時の乗船券が残っているのも凄い。私も最近まで旅ごとに資料を保存していましたが、コロナ巣ごもりの間に断捨離しました。すっきりしたような、残念なような(笑)。
万歩計
- おくさん からの返信 2022/04/05 00:19:47
- Re: 古い写真は味がある
- コメントありがとうございます。
何だかチャット状態ですね。笑
しばらく前にスキャンしたのに加え、ブログ用に追加スキャンしたのもあります。
写真以外のチケット等はブログ用に追加しました。
暇人なので手間は惜しみません。
デジタルで残せば実物は要らなくなりますね。
まだ捨てませんが。
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