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 自転車の旅 おーい北海道(3)<br /><br /> 出発から4日目、前日の続きです。<br /> 秋田市内までやって来たが、私が目指す湯沢台と言うところに行くには複雑な道を行かなくてはならないとのことで、道を尋ねた通勤帰りのサラリーマン氏が途中まで先導しくれました。今回はここからの続きです。<br /><br /> サラリーマン氏にお礼を言って走り出すと、回りは段々と人家もまばらな田舎道になってくる。この辺かなー、この辺かなーと、道の両側に修道院ぽい建物を探しながら行くことしばし。さっぱり見つからないまま、とうとう道路は車一台がやっと通れるほどの山道になってしまった。周りもすっかり夕暮れの風景になってしまったので、そろそろ見つかってくれないとヤバイなーと焦り出す。

自転車の旅 おーい北海道(3)

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1977/08/06 - 1977/08/19

336位(同エリア492件中)

旅行記グループ 自転車の旅 おーい北海道

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おく

おくさん

 自転車の旅 おーい北海道(3)

 出発から4日目、前日の続きです。
 秋田市内までやって来たが、私が目指す湯沢台と言うところに行くには複雑な道を行かなくてはならないとのことで、道を尋ねた通勤帰りのサラリーマン氏が途中まで先導しくれました。今回はここからの続きです。

 サラリーマン氏にお礼を言って走り出すと、回りは段々と人家もまばらな田舎道になってくる。この辺かなー、この辺かなーと、道の両側に修道院ぽい建物を探しながら行くことしばし。さっぱり見つからないまま、とうとう道路は車一台がやっと通れるほどの山道になってしまった。周りもすっかり夕暮れの風景になってしまったので、そろそろ見つかってくれないとヤバイなーと焦り出す。

旅行の満足度
4.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
5万円 - 10万円

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  •  この辺りまで上ってくると、狭い道の両側に群生している熊笹がガサガサッと音を立て野ウサギが飛び出したりする。一瞬熊かと思いドッキーンとしてしまう。それくらい寂しい山道になってきてしまった。きっと私の自転車の音で驚いて飛び出して来るのだろう。<br /><br /> 困ったことになってきたなー。もしかして知らずに通り過ぎてしまったのかなー。でも、途中でそれらしき建物は一つも見あたらなかったから、もう少し登ればあるんだろうなー?<br /><br /> 広い庭がある修道院らしいから、きっと、土地の値段の安い山の中にあるんだろうとの予測で、勝手に山の中と思いこんでいるのだ。それにしてもこれはチト山が深すぎる気がする。辺りはもう真っ暗けになったので、幾ら修道院でもこんな山奥に作るかなぁと不安になる。<br /><br /> これだけの山の中だから街灯なんて有るわけが無く、自転車のライトだけが頼りの真っ暗闇の世界になってしまった。月でも出てくれれば幾ら山の中といっても少しは明るいのだろうが、生憎、天気も崩れているのでそれもない。こんな道ではスピードも出せないので発電機で光るライトも心許なくぼんやりと前を照らしている。<br /><br /> ひどい話になってきたなー、人里で迷ったのと訳が違うから事態は深刻だ。これで雨でも降ってきたらそれこそテレビドラマの世界だぞー!なんて思ってたらホントに降ってきやがった。何てこった。悪い方に考えなくちゃ良かった。ポンチョを引っぱり出して被り、この先修道院があるのか無いのか分からない半信半疑のまま上っていく。ここで諦めて下りだしたら、それこそ今晩の当てがまったく無くなってしまうので、もう毒を喰らわば皿までもの心境だ。<br /><br /> その後も、漆黒の闇と雨っぷりの山道を心細く登っていくこと暫し。あれ?遠くにぼんやりと明かりが見えるぞ。一瞬、山姥の棲む恐怖の家を想像したが、そんなのはお話の世界だ。あっ、あれだっ。あれでなくちゃ困るーっ・・・と、近づいてみるとそれは修道院とは明らかに違う山小屋風の建物だった。扉の外でポンチョを脱いで丸太小屋風のロッジの中に入っていくと、男が二人で酒盛りの真っ最中だった。何だか西部劇でこんな感じの場面を見た気がする。さしずめ私は、さすらいのガンマンか。<br /><br /> 現在地を尋ねると、ここは太平山の中腹で、この建物は国民の森の管理事務所と言うことだった。この先は、勿論なーんもない山奥になるので、私の目指していた湯沢台はずーっと下ということだった。そうは思いたくなかったが、やっぱり知らずに通り過ぎてしまっていたのか。しかも呆れるほど通り過ぎてしまったらしい。この山小屋がなかったら私ってどうなっちゃってたんだろうと思うとゾゾゾっとする。<br /><br /> 事務所には電話があったので貸して貰う。再び修道院に掛けて所在地を確認すると、修道院は通りっ端ではなく、脇道に入った所にあるそうだ。曲がるところには案内の看板があるんだそうだ。街から電話したときはそんな話はなかったような気がするんだがなー。「ゆったでしょー」なんて言われてしまった。私が悪うございました、これから向かわせて頂きます、はい。<br /><br /> 山小屋の住人は、飲んでた日本酒を「飲まねーかい秋田の酒だ(秋田弁で)」と、コップに並々とついでくれる。飲まず食わずでずっと山道を登ってきたので地獄に仏、鳶に油揚げ(ちがう)。喉が乾いていたのでゴクゴクっと2口で飲み干してしまう。旨い酒だ~、格別の味がする。山小屋の人は私の飲みっぷりに「アラッ」と言う顔をして「もう1杯どうだい」と勧めてくれたが、酔っぱらって聖なる修道院を訪ねるわけにもいかないので2杯目は遠慮しておく。<br /><br /> 山小屋の人は、勿論すべてバリバリの秋田弁だ。二人して顔を見合わせて「この人には(言葉が)分かんねんじゃねーかい」と言っているが結構通じる。「あー、大丈夫分かりますよー」なんてお世辞を言っておく。でもこれってお世辞になるのかなー。<br /><br /> 名高い山形弁の山形県を越えて秋田までやって来たのに、考えてみたら方言らしい方言を聞いたのはこれが初めてだった。その意味でもこの人達に出逢えて良かった。見ず知らずの人たちとのふれ合いは楽しいし、方言で話して貰えることは更に楽しい。群馬から自転車で来て、これから北海道を目指すんだという話なぞする。励ましの言葉を背に受けて山小屋をあとにする。<br /><br /> 相変わらずの真っ暗闇が心細いので、腕のバッテリーライトと自転車のダイナモライトの両方を点けて山道を下っていく。でも先ほどの有るんだか無いんだか分からない半信半疑の状態から比べれば、精神的には遙かに明るくなった。<br /><br /> やっぱり時折茂みがガサガサッと音を立てると心臓がドッキーンとする。さっきの山小屋の人も、この辺りは熊が出ると言ってたから、熊払いのためにでっかい声で歌いながら下っていく。じーんせーえ楽あーりゃ苦ーもあーるーさー。熊の恐怖が頭にのし掛かっているので歌うのも真剣だ。<br /><br /> 暫く下っていくと人家がチラホラ見えるようになってきたので、ようやく見えもしない熊の呪縛から解放される。これで一安心だ。電話で聞いた、修道院へ曲がる角には小さな看板があると言うのを、やっと発見する。ノート大の小さな小さな看板で、見落としてくださって結構ですと但し書きがついてそうな小さな物だった。こりゃ看板って言うより張り紙だよ。行きにこれを知ってれば、こんなことにはならなかったろうにと思うが、どうせ非日常的なことをしに来てるんだから思い出になって良かったんだろうか?死んだり怪我したりでなくちゃ結果オーライで構わない。<br /><br /> 看板に示してある横道も、幅が2mほどの路地という程度の道だった。とてもじゃないが乗ったままでは無理なでこぼこの急坂を自転車を押し上げていると、上から車が下りてきた。やっぱり今晩修道院に泊めて貰っている人たちで私の横に停車した。どうも私を捜しに行こうとしていたみたいだが、ハッキリ分からない。何はともあれやっとこさ今夜の宿にありつけたということだ。<br /><br /> 9時20分、修道院着。狭い家庭用風呂に入れて貰い、冷めてしまったカレーをご馳走になる。清貧を旨とする修道院なので冷たい食事ても有りがたく頂く。さすがにビールはありますかとは言えなかった。でも考えると、山小屋でコップ酒を飲んで、その後1時間ほど山の中を運動してきたんだから、私って酒の臭いをプンプンさせてたんじゃなかったろうか。「さんざ道に迷って遅れてきたかと思ったら、どっかでお酒を飲んでたようですよ」なーんて思われてたりしてね。タラリ。<br /><br /> 本日の走行距離149Kmと山で迷った分プラスα。<br /><br /><br />

     この辺りまで上ってくると、狭い道の両側に群生している熊笹がガサガサッと音を立て野ウサギが飛び出したりする。一瞬熊かと思いドッキーンとしてしまう。それくらい寂しい山道になってきてしまった。きっと私の自転車の音で驚いて飛び出して来るのだろう。

     困ったことになってきたなー。もしかして知らずに通り過ぎてしまったのかなー。でも、途中でそれらしき建物は一つも見あたらなかったから、もう少し登ればあるんだろうなー?

     広い庭がある修道院らしいから、きっと、土地の値段の安い山の中にあるんだろうとの予測で、勝手に山の中と思いこんでいるのだ。それにしてもこれはチト山が深すぎる気がする。辺りはもう真っ暗けになったので、幾ら修道院でもこんな山奥に作るかなぁと不安になる。

     これだけの山の中だから街灯なんて有るわけが無く、自転車のライトだけが頼りの真っ暗闇の世界になってしまった。月でも出てくれれば幾ら山の中といっても少しは明るいのだろうが、生憎、天気も崩れているのでそれもない。こんな道ではスピードも出せないので発電機で光るライトも心許なくぼんやりと前を照らしている。

     ひどい話になってきたなー、人里で迷ったのと訳が違うから事態は深刻だ。これで雨でも降ってきたらそれこそテレビドラマの世界だぞー!なんて思ってたらホントに降ってきやがった。何てこった。悪い方に考えなくちゃ良かった。ポンチョを引っぱり出して被り、この先修道院があるのか無いのか分からない半信半疑のまま上っていく。ここで諦めて下りだしたら、それこそ今晩の当てがまったく無くなってしまうので、もう毒を喰らわば皿までもの心境だ。

     その後も、漆黒の闇と雨っぷりの山道を心細く登っていくこと暫し。あれ?遠くにぼんやりと明かりが見えるぞ。一瞬、山姥の棲む恐怖の家を想像したが、そんなのはお話の世界だ。あっ、あれだっ。あれでなくちゃ困るーっ・・・と、近づいてみるとそれは修道院とは明らかに違う山小屋風の建物だった。扉の外でポンチョを脱いで丸太小屋風のロッジの中に入っていくと、男が二人で酒盛りの真っ最中だった。何だか西部劇でこんな感じの場面を見た気がする。さしずめ私は、さすらいのガンマンか。

     現在地を尋ねると、ここは太平山の中腹で、この建物は国民の森の管理事務所と言うことだった。この先は、勿論なーんもない山奥になるので、私の目指していた湯沢台はずーっと下ということだった。そうは思いたくなかったが、やっぱり知らずに通り過ぎてしまっていたのか。しかも呆れるほど通り過ぎてしまったらしい。この山小屋がなかったら私ってどうなっちゃってたんだろうと思うとゾゾゾっとする。

     事務所には電話があったので貸して貰う。再び修道院に掛けて所在地を確認すると、修道院は通りっ端ではなく、脇道に入った所にあるそうだ。曲がるところには案内の看板があるんだそうだ。街から電話したときはそんな話はなかったような気がするんだがなー。「ゆったでしょー」なんて言われてしまった。私が悪うございました、これから向かわせて頂きます、はい。

     山小屋の住人は、飲んでた日本酒を「飲まねーかい秋田の酒だ(秋田弁で)」と、コップに並々とついでくれる。飲まず食わずでずっと山道を登ってきたので地獄に仏、鳶に油揚げ(ちがう)。喉が乾いていたのでゴクゴクっと2口で飲み干してしまう。旨い酒だ~、格別の味がする。山小屋の人は私の飲みっぷりに「アラッ」と言う顔をして「もう1杯どうだい」と勧めてくれたが、酔っぱらって聖なる修道院を訪ねるわけにもいかないので2杯目は遠慮しておく。

     山小屋の人は、勿論すべてバリバリの秋田弁だ。二人して顔を見合わせて「この人には(言葉が)分かんねんじゃねーかい」と言っているが結構通じる。「あー、大丈夫分かりますよー」なんてお世辞を言っておく。でもこれってお世辞になるのかなー。

     名高い山形弁の山形県を越えて秋田までやって来たのに、考えてみたら方言らしい方言を聞いたのはこれが初めてだった。その意味でもこの人達に出逢えて良かった。見ず知らずの人たちとのふれ合いは楽しいし、方言で話して貰えることは更に楽しい。群馬から自転車で来て、これから北海道を目指すんだという話なぞする。励ましの言葉を背に受けて山小屋をあとにする。

     相変わらずの真っ暗闇が心細いので、腕のバッテリーライトと自転車のダイナモライトの両方を点けて山道を下っていく。でも先ほどの有るんだか無いんだか分からない半信半疑の状態から比べれば、精神的には遙かに明るくなった。

     やっぱり時折茂みがガサガサッと音を立てると心臓がドッキーンとする。さっきの山小屋の人も、この辺りは熊が出ると言ってたから、熊払いのためにでっかい声で歌いながら下っていく。じーんせーえ楽あーりゃ苦ーもあーるーさー。熊の恐怖が頭にのし掛かっているので歌うのも真剣だ。

     暫く下っていくと人家がチラホラ見えるようになってきたので、ようやく見えもしない熊の呪縛から解放される。これで一安心だ。電話で聞いた、修道院へ曲がる角には小さな看板があると言うのを、やっと発見する。ノート大の小さな小さな看板で、見落としてくださって結構ですと但し書きがついてそうな小さな物だった。こりゃ看板って言うより張り紙だよ。行きにこれを知ってれば、こんなことにはならなかったろうにと思うが、どうせ非日常的なことをしに来てるんだから思い出になって良かったんだろうか?死んだり怪我したりでなくちゃ結果オーライで構わない。

     看板に示してある横道も、幅が2mほどの路地という程度の道だった。とてもじゃないが乗ったままでは無理なでこぼこの急坂を自転車を押し上げていると、上から車が下りてきた。やっぱり今晩修道院に泊めて貰っている人たちで私の横に停車した。どうも私を捜しに行こうとしていたみたいだが、ハッキリ分からない。何はともあれやっとこさ今夜の宿にありつけたということだ。

     9時20分、修道院着。狭い家庭用風呂に入れて貰い、冷めてしまったカレーをご馳走になる。清貧を旨とする修道院なので冷たい食事ても有りがたく頂く。さすがにビールはありますかとは言えなかった。でも考えると、山小屋でコップ酒を飲んで、その後1時間ほど山の中を運動してきたんだから、私って酒の臭いをプンプンさせてたんじゃなかったろうか。「さんざ道に迷って遅れてきたかと思ったら、どっかでお酒を飲んでたようですよ」なーんて思われてたりしてね。タラリ。

     本日の走行距離149Kmと山で迷った分プラスα。


  •  出発から5日目、秋田、湯沢台の修道院の朝。<br /> 4時半に起床。5時からの祈りの時間とミサにちゃんと与って仁義を通す。埼玉から来たという巡礼のグループの若い子が、カメラ片手に涙のマリア像の前にいた。「写真を撮っていいんですかねー」と、これまたカメラ片手の私に聞いてくる。観光地の神社仏閣では仏像等の撮影は禁止が多いので、それと同じに考えているらしい。構わねんじゃないのと言いながら先に一枚撮らせて貰う。パチリ。<br />

     出発から5日目、秋田、湯沢台の修道院の朝。
     4時半に起床。5時からの祈りの時間とミサにちゃんと与って仁義を通す。埼玉から来たという巡礼のグループの若い子が、カメラ片手に涙のマリア像の前にいた。「写真を撮っていいんですかねー」と、これまたカメラ片手の私に聞いてくる。観光地の神社仏閣では仏像等の撮影は禁止が多いので、それと同じに考えているらしい。構わねんじゃないのと言いながら先に一枚撮らせて貰う。パチリ。

  •  この木彫りのマリア像は目から何度も涙を流したとのことで、当時のカトリック教会に一大センセーションを巻き起こした像だ。天の邪鬼信者の私は実物を目の前にしても「ほんとかなー?」なんて思いながら写真を撮るという罰当たり。

     この木彫りのマリア像は目から何度も涙を流したとのことで、当時のカトリック教会に一大センセーションを巻き起こした像だ。天の邪鬼信者の私は実物を目の前にしても「ほんとかなー?」なんて思いながら写真を撮るという罰当たり。

  •  朝食後、神父さんに挨拶してからみんなで記念写真を撮って出発する。宿代は2千円だった。沢山のシスター達に見送られての出発なので、照れくさいから、その辺までは自転車を転がして行こうとしたら、シスターが乗ってる所が見たいとリクエストしてくるので乗車しての出発となる。シスターは自転車で乗り出しただけで「ワァーッ」なんて歓声を上げてくれている。こんなことで?と思うが悪い気はしないので少し照れるものがある。もしかしてシスターって自転車に乗れないんだろか?<br /><br /> 有名な秋田市まで来たのに、秋田らしいところは一つも見てないことに気づく。じゃぁ秋田駅でも行ってみるかと、まず駅に行ってみる(秋田について何も調べて来なかったのが良く分かる)。何てことない駅だったな。これホントに秋田駅か?てほどの粗末な駅。桜田淳子はこの駅から東京へ巣立ったのかとぼんやり思った。市内をウロウロしながら予定の男鹿半島方面を目指す。<br /><br /> 切れかかっていた靴ひもがとうとうホントに切れた。トゥクリップという、ペダルに足を固定するための金具が靴紐に当たりっぱなしなので、そこがすり切れてしまった。通りの小さな靴屋さんで尋ねたら、2本50円と言うので「おぉ!百円で4本も買えるよー」余りの安さについ4本も買ってしまう。しかし、考えたらこの旅で残り3本はどう見ても使わないことに今頃気付く。じゃぁ前橋までお持ち帰りかよ、我ながら馬っ鹿じゃねぇの。

     朝食後、神父さんに挨拶してからみんなで記念写真を撮って出発する。宿代は2千円だった。沢山のシスター達に見送られての出発なので、照れくさいから、その辺までは自転車を転がして行こうとしたら、シスターが乗ってる所が見たいとリクエストしてくるので乗車しての出発となる。シスターは自転車で乗り出しただけで「ワァーッ」なんて歓声を上げてくれている。こんなことで?と思うが悪い気はしないので少し照れるものがある。もしかしてシスターって自転車に乗れないんだろか?

     有名な秋田市まで来たのに、秋田らしいところは一つも見てないことに気づく。じゃぁ秋田駅でも行ってみるかと、まず駅に行ってみる(秋田について何も調べて来なかったのが良く分かる)。何てことない駅だったな。これホントに秋田駅か?てほどの粗末な駅。桜田淳子はこの駅から東京へ巣立ったのかとぼんやり思った。市内をウロウロしながら予定の男鹿半島方面を目指す。

     切れかかっていた靴ひもがとうとうホントに切れた。トゥクリップという、ペダルに足を固定するための金具が靴紐に当たりっぱなしなので、そこがすり切れてしまった。通りの小さな靴屋さんで尋ねたら、2本50円と言うので「おぉ!百円で4本も買えるよー」余りの安さについ4本も買ってしまう。しかし、考えたらこの旅で残り3本はどう見ても使わないことに今頃気付く。じゃぁ前橋までお持ち帰りかよ、我ながら馬っ鹿じゃねぇの。

  • ※現代でペダルを足に固定する機構は靴ごとペダルに固定するシステムに進化していますが、この時代はペダルには金属製のトウクリップと言うのが取り付けて、それにトウストラップと言う皮ベルトで足を固定していました。効能は足の力をロスすることなくペダルに伝えるためです。皮バンドをぎちぎちに締めると力を存分に伝えられます。でも下手すると足が抜けずに横倒しになります(1回やった)。

    ※現代でペダルを足に固定する機構は靴ごとペダルに固定するシステムに進化していますが、この時代はペダルには金属製のトウクリップと言うのが取り付けて、それにトウストラップと言う皮ベルトで足を固定していました。効能は足の力をロスすることなくペダルに伝えるためです。皮バンドをぎちぎちに締めると力を存分に伝えられます。でも下手すると足が抜けずに横倒しになります(1回やった)。

  •  昼飯は豪華にカツ定食の大盛りを食べて、2時頃男鹿半島の寒風山登頂有料道路のゲートをくぐる。寒風山は標高355mと大した高さはないのだが、平地にニョッキリと突き出たような山なので、登る距離は短いが、もの凄い角度の坂だった。フンゴーッと言いながら全力で上らなくてはならない。

     昼飯は豪華にカツ定食の大盛りを食べて、2時頃男鹿半島の寒風山登頂有料道路のゲートをくぐる。寒風山は標高355mと大した高さはないのだが、平地にニョッキリと突き出たような山なので、登る距離は短いが、もの凄い角度の坂だった。フンゴーッと言いながら全力で上らなくてはならない。

  •  しかし、上ってみると別天地。標高は幾らもないのに、そこからの景色は素晴らしいものがあった。

     しかし、上ってみると別天地。標高は幾らもないのに、そこからの景色は素晴らしいものがあった。

  •  南側の秋田市からの海岸線や男鹿半島全体が一目で見渡せ、その海岸線は北側の能代市へ向かって続いている。

     南側の秋田市からの海岸線や男鹿半島全体が一目で見渡せ、その海岸線は北側の能代市へ向かって続いている。

  •  まさに日本地図そのものを見てるのと同じで、飛行機に乗らなくてもこういう景色が見られるとは驚きだ。疲れも苦労も吹っ飛ぶ景色で大感激。<br /><br /> さすがここも観光地だそうで、このクソ暑いのに秋田名物ナマハゲの格好をした人がいる。見ているだけで汗が噴き出しそうだ。ナマハゲの写真を撮りたかったが、どうもそれを商売にしている人らしいので止めとく。「お兄さん今写真撮ったね。500円ちょうだい」なんて言われたらたまらない。

     まさに日本地図そのものを見てるのと同じで、飛行機に乗らなくてもこういう景色が見られるとは驚きだ。疲れも苦労も吹っ飛ぶ景色で大感激。

     さすがここも観光地だそうで、このクソ暑いのに秋田名物ナマハゲの格好をした人がいる。見ているだけで汗が噴き出しそうだ。ナマハゲの写真を撮りたかったが、どうもそれを商売にしている人らしいので止めとく。「お兄さん今写真撮ったね。500円ちょうだい」なんて言われたらたまらない。

  •  寒風山をあとに、その後は何てことない八郎潟の平らな道を延々と走り続ける。どっかの小学生が一心不乱に自転車を漕いで私の後ろに付いてくる。どうも自転車旅行に憧れてる小僧と想像する。私としては、こんな小僧に余裕で付いてこられたんじゃサイクリストの名折れだからガンガン走ってぶっちぎってやる。それでも20分位はついてきただろうか。大人げなく小僧をぶっちぎって疲れたので小休止、また自転車のあちこちにくまなくオイルを差しておく。やっぱりオイルを持っているだけで何となく余裕が生まれる気がする。<br /><br /> 本日の宿泊予定地にしている大館駅に9時17分到着。しかしこの駅はどうも寝るには適していないようでこの時間でも明るすぎる。じゃぁと第二候補の大館教会に電話をしてみる。ダメ元で掛けたが、何とOKだそうだ。教会への道順を聞いたら、駅からは割合近くだったのですんなりと教会にたどり着く。<br /><br /> 神父さんが事務室として使っている部屋の絨毯の上に寝させて貰うことになった。神父さんはガラス戸棚の中のカメラをどっかへ持っていった。無理もない、面識のない見ず知らずの人間なのに、同じ信者ですという言葉だけを信じて泊めるんだ。自分が住んでいる建物の中に泊めるだけでも勇気のいることだと思う。翻って自分ちに見ず知らずの男が一晩の宿を頼みに来たらどうだろう、絶対にうんとは言わないだろう。それを思うと本当に頭が下がります。<br /><br /> 今日は予定より先行しているから、ゆっくり走ろうと思っていたが、結構まじめに走り続けてしまった。明日は登りと言っても十和田湖まで57Kmしかないので、幾ら早く着いても絶対に十和田湖の民宿に泊まるつもりだから気楽なもんだ。そろそろ洗濯もしたいし。<br /><br /><br /> 本日の走行距離、112Km<br /><br /> 自転車の旅 おーい北海道(4)に続く<br />

     寒風山をあとに、その後は何てことない八郎潟の平らな道を延々と走り続ける。どっかの小学生が一心不乱に自転車を漕いで私の後ろに付いてくる。どうも自転車旅行に憧れてる小僧と想像する。私としては、こんな小僧に余裕で付いてこられたんじゃサイクリストの名折れだからガンガン走ってぶっちぎってやる。それでも20分位はついてきただろうか。大人げなく小僧をぶっちぎって疲れたので小休止、また自転車のあちこちにくまなくオイルを差しておく。やっぱりオイルを持っているだけで何となく余裕が生まれる気がする。

     本日の宿泊予定地にしている大館駅に9時17分到着。しかしこの駅はどうも寝るには適していないようでこの時間でも明るすぎる。じゃぁと第二候補の大館教会に電話をしてみる。ダメ元で掛けたが、何とOKだそうだ。教会への道順を聞いたら、駅からは割合近くだったのですんなりと教会にたどり着く。

     神父さんが事務室として使っている部屋の絨毯の上に寝させて貰うことになった。神父さんはガラス戸棚の中のカメラをどっかへ持っていった。無理もない、面識のない見ず知らずの人間なのに、同じ信者ですという言葉だけを信じて泊めるんだ。自分が住んでいる建物の中に泊めるだけでも勇気のいることだと思う。翻って自分ちに見ず知らずの男が一晩の宿を頼みに来たらどうだろう、絶対にうんとは言わないだろう。それを思うと本当に頭が下がります。

     今日は予定より先行しているから、ゆっくり走ろうと思っていたが、結構まじめに走り続けてしまった。明日は登りと言っても十和田湖まで57Kmしかないので、幾ら早く着いても絶対に十和田湖の民宿に泊まるつもりだから気楽なもんだ。そろそろ洗濯もしたいし。


     本日の走行距離、112Km

     自転車の旅 おーい北海道(4)に続く

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