旧中山道の木曽の宿場町めぐり（須原宿～馬籠宿）

2017/08/11 - 2017/08/11

中央本線の普通電車で旧中山道沿いの宿場町をまわってみました。
木曽の宿場町は国道や高速道路から離れたこともあり、今でも古い宿場町の雰囲気が残っています。
今回は須原宿、野尻宿、三留野宿、妻籠宿、馬籠宿と５つの宿場町です。

エリア 木曽・塩尻(長野)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 3.0
• グルメ: 3.0
• 交通: 3.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

中央本線は東京から名古屋までの路線ですが、塩尻駅からはJR東海になります。
東京近郊では１０両編成の電車が満員の乗客を乗せて数分おきに走っていますが、このあたりになるとたった２両のワンマン電車。
おかでで「１８きっぱー」でぎっしり満員。
JR東海は新幹線以外はケチ。
せめて４両くらいにしてほしいものです。
しかも、この木曽のあたりは２時間に１本しか電車がないし。

塩尻８時１７分の電車でスタートです。

塩尻駅 駅

まず、１時間半名古屋方面に下ってきて、９時４４分、野尻駅で下車します。

野尻駅は１日の利用者はたった５０人ほどだそうですが、旧国鉄時代からの駅舎が残っていました。
いつまでも残しておいてほしいですが、そのうち合理化で取り壊されてしまいそう。

野尻駅 駅

駅周辺を散歩してみます。

野尻宿は往時は奈良井宿に次ぎ長い宿場町として栄えたそうですが、昭和１８年の大火で往時の建物は残っていないとされています。

野尻宿 名所・史跡

それでも昭和の風情のある建物が並び雰囲気は悪くないです。
宿場町の中の道はくねくね折り曲がっているのが特徴で「七曲り」と言われています。

駅からすぐのところにある「旅館　庭田屋」。
是非宿泊してみたい風情のある旅館ですが、現在は営業していないようです。

４０分ほど旧宿場町を散策して、１０時３１分の下り松本行の電車に乗ります。
ここはJR東海の管轄ですが、JR東日本の電車でした。
かつて首都圏で走っていた電車の「お古」のようでした。

２駅戻って今度は須原駅で降ります。
この駅も旧国鉄風の駅舎が健在でした。

須原駅 駅

駅員さんがいて、国鉄時代のきっぷ売り場の窓口もありました。
今は首都圏ではICカード利用がほとんどでこういう窓口もまず見なくなりました。
国鉄時代を知る者にとっては懐かしい雰囲気です。

須原駅周辺は「須原宿」があったところです。

ここも当時の建物は少ないですが、宿場町当時から使われている「水舟」という丸太をくりぬいた水場が今でも使われています。

須原宿 名所・史跡

水は湧き水で、この家ではすいかが冷やされていました。
夏の風景ですね。

須原宿の水舟 名所・史跡

須原宿は本陣１軒、脇本陣は１軒で旧中山道では普通規模の宿場町。
東海道の宿場町に比べれば少なかったようです。

ここは脇本陣だった西尾家。
案内板によれば西尾家は戦国時代、武田信玄の家臣で、織田信長の武田討伐では武田勝頼を裏切って信長についた木曽義昌の重臣だったそうです。
木曽家が豊臣秀吉に滅ぼされると、この地で地元の名士として脇本陣を務めたとのこと。

ここが本陣跡。
現在では本陣跡の看板しか残っていませんでした。

須原宿の端にある定勝寺。
木曽谷を統一した木曽義在の屋敷跡に建てられたお寺で、桃山時代（豊臣秀吉の時代）である１５９８年以来の由緒ある建物が残ることから重要文化財のお寺です。

木曽氏は木曽義在が木曽谷を統一しましたが、その後義康の代には信濃侵攻をしてきた武田信玄の前に屈服し、家臣となりました。

定勝寺 寺・神社・教会

この寺の庭園は「鶴亀蓬莱庭園」という庭園で、ツルと亀をイメージした桃山時代（豊臣秀吉の時代）の作品です。
こんな木曽の山奥に、桃山時代の由緒ある建物や庭園があるとは思いませんでした。

須原宿は妻籠宿や奈良井宿のように江戸時代からの家々が残っているわけではなく、観光地にはなっていませんが、旧宿場町のおもかげ、雰囲気は残っているし、静かで観光地化による俗っぽい雰囲気もなく、妻籠宿などよりもこの旧宿場町の方が私は気に入りました。

須原宿の水舟 名所・史跡

１時半ほど、須原宿で散策したあと、１２時１３分、名古屋方面の中央本線の電車に乗り、２０分で南木曽駅に到着。
この駅は有名観光地の妻籠宿への最寄り駅です。
駅も妻籠の雰囲気の駅です。

南木曽駅 駅

ここは福沢諭吉の女婿であり、明治時代から昭和時代戦前まで貧乏人から「電力王」と呼ばれるまで成り上がった福沢桃介ゆかりの町です。
彼は木曽川に水力発電のための多くのダムを作り、成功しました。
その後全国にもダムを多く作り、日本の電力の半分を彼の電力会社で占めていたこともあるそうです。
彼の別荘ががいまでも記念館として保存されています。

福沢桃介記念館 山の歴史館 美術館・博物館

日本の女優第一号の川上貞奴とのロマンスでも有名で、大河ドラマ「春の波濤」の主役にもなりました（演じたのは風間杜夫さん、貞奴は松坂慶子さん）。
桃介と貞奴ゆかりの品々が展示されています。

今は亡き私の祖父は大学をでて、この福沢桃介のパシリから社会人スタートをしたそうです。
「春の波濤」を祖父と一緒に見ていた時に、「桃介さん」と歴史上の人物を「さん」付で呼んでいたのを、当時学生だった私にはとても不思議に思えたのを覚えています。
大河ドラマに登場するような歴史上の人物は「信長」「秀吉」「家康」「竜馬」など呼び捨てにするのが普通ですが、祖父にとっては歴史上の人物ではなく、実在の人物なので、「さん」づけだったのでしょう。

福沢桃介はここでたびたび政財界の要人を招いてパーテイーをしていたそうです。
私の祖父もここに来たかもしれません。

もっとも、「客」としてではなく、「雑用係」として。

南木曽駅周辺にある旧中山道の宿場町・三留野宿と福沢桃介の旧宅のある地域を結ぶ「桃介橋」。
今でも地元の人には大切な橋です。

桃介橋 名所・史跡

旧三留野宿は普通の家々が並ぶだけの普通の住宅地。
宿場町らしい雰囲気も残っていませんでした。

本陣跡にある明治天皇行在所跡の石碑くらいです。
地元南木曽町としては宿場町としては妻籠宿があるので、あえてこの旧三留野宿を観光地として売り出すつもりはないのでしょう。

三留野宿 名所・史跡

南木曽駅に戻り、バスに乗って妻籠宿へ向かいます。
バスはほぼ満員、しかも大半は外国人観光客でした。

南木曽駅からバスで１０分で妻籠宿へ到着します。
江戸時代の宿場町の街並みが奇跡的に残り、いまでは有名観光地になりました。

「サムライ」の好きな外国人にも人気のようで、外国人の観光客も多く見ました。

妻籠宿 名所・史跡

まず南木曽町博物館へ。
この建物はかつて脇本陣だった林家の明治１０年の建てられた建物が使われています。

南木曽町歴史資料館 美術館・博物館

この脇本陣には明治天皇が木曽に行幸したときにも過ごした建物です。
障子を閉めても庭が見られるように、当時は珍しかったガラスが使われています。

またここには妻籠の資料の展示がされています。
妻籠宿のジオラマもありました。

博物館の正面にある妻籠宿本陣。
本陣はその宿場町で一番の名士の家で、大名や貴族の「旅館」となっていたところ。
さすがに豪邸です。
妻籠の本陣は代々島崎家でした。
文豪・島崎藤村の実家は、隣の馬籠宿の本陣で、こちらは分家です。

妻籠宿本陣 名所・史跡

本家の島崎藤村もおそらく分家のこの本陣に遊びに来たこともあるのでしょう。

前に妻籠に来たときに宿泊した松代屋。
江戸時代の旅籠から現在も旅館として営業中です。

豪華というほどではありませんでしたが、宿場町の旅籠の雰囲気を十分楽しめる旅館でした。

松代屋旅館 宿・ホテル

妻籠宿からはバスに乗って１５分で馬籠宿へ。
有名な観光地なのに、大半の観光客はマイカー利用なのでしょう、両方の宿場町を結ぶバスは１日４本しかありません。
夕方５時前に到着。

馬籠宿は坂の宿場町です。
ここも妻籠ほどではありませんが、江戸時代からの街並みが残ります。

馬籠宿 名所・史跡

ここは旅館のようです。
宿泊してみたい旅館でした。

５時を過ぎてしまったので、島崎藤村の実家や食堂なども営業終了。
今度は時間を取って、馬籠から妻籠まで旧中山道を歩いてみたいものです。