高崎周辺の隠れメジャースポット探索の旅 パートⅢ~明治初頭、中山道を貫く鉄道敷設工事に立ちはだかった碓氷峠。東西幹線ルートの地位は東海道に譲っても、国家の威信をかけた鉄道施設は今でもしっかり雄姿をとどめています~
2018/07/21 - 2018/07/21
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たびたびさん
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高崎周辺の隠れメジャースポット探索の旅 パートⅢは、高崎駅から、安中駅、磯部駅、終点横川駅まで盲腸のように延びる信越本線を辿る旅。
この横川駅の先には、通称、めがね橋と呼ばれる碓氷第三橋梁という煉瓦造りの4連アーチ橋があって、群馬を紹介するポスターでもここが必ず登場するといったイチオシの場所。今回は、そのめがね橋をメインに、安中の宿場を訪ねます。めがね橋は、明治24年着工し、明治26年に竣工。全長91 m、川底からの高さ31 m。使用された煉瓦は約200万個。煉瓦造りの橋の中では国内最大規模であり、碓氷峠鉄道施設として、日本で初めて重要文化財に指定されました。
ところで、中山道の群馬県内の宿は、新町、倉賀野、高崎、板鼻、安中、松井田、坂本。坂本の次の宿は長野県となり、軽井沢ですが、この中山道は、当初、東海道と比較検討された結果、東京と京都を結ぶ鉄道においては、東西の東西幹線ルートを通すとされたもの。明治16年のことです。
しかし、東海道の鉄道建設で困難とされていた箱根と大井川の問題に対し、中山道はこの碓氷峠の問題がクローズアップ。結局、明治18年には、東西幹線ルートは東海道に変更され、明治22年、新橋駅と 神戸駅間が全通します。めがね橋の着工はそれに2年遅れて始まったというわけです。
ちょっと因縁めいた経緯のあるめがね橋ですが、その雄姿は想像以上。横川駅からアプトの道を歩いて1時間ちょっと。トンネルを抜けた山あいに突然現れる巨大な建造物は明治政府の威信をかけたものであることは容易に想像できると思います。
そして、その後は新島襄ゆかりの場所でもある安中宿とちょこっと板鼻宿。小さな歴史を確認しました。
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高崎駅から信越本線で終着駅の横川駅に向かいます。
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横川駅に到着。
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イチオシ
駅の目の前には、峠の釜めしのおぎのやの本店。横川は、中山道の宿ではありませんでしたが、鉄道の開設とともに、碓氷峠の入口として整備された街。おぎのやも、その象徴的なものの一つでしょう。
どうかすると山小屋風の大きな建物。店内はテーブル席が適当に並んだ田舎のレストランですが、当然、釜めしも販売していて、駅弁として買って行く人も多いような感じです。向かいの資料館は、後で訪ねます。 -
さて、アプトの道は碓氷峠鉄道文化むらの脇が入口。そこからめがね橋までは、5キロ弱の道のりです。
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元は鉄道の道なので、単調と言えば単調なのですが、険しい坂はないしなかなか歩きやすい。
ちなみに、めがね橋までは路線バスもあるのですが、そこを通るバスはかなり限られるので、実用的ではないと思います。 -
イチオシ
横川駅からだと歩いて30分足らず。まずは旧丸山変電所が見えてきました。
この変電所は、碓氷線が幹線鉄道では初めて電化されたことに伴い、明治45年に建設されたもの。鉄道の歴史にとってはかなりエポックメイキングなことかと思います。赤いレンガの外観を見ることができるだけですが、傷みもあまりないし、今でも美しい姿が保たれているように思います。 -
さらに進んで、これは峠の湯。碓氷峠鉄道文化むらからめがね橋まで行く、ちょうど中間あたりになるでしょう。
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この施設自体かなり立派ですが敷地の続きには自動販売機を設置した休憩所が設けられていて、アプトの道を歩く時はとても重宝します。
なお、碓氷峠鉄道文化むらのトロッコ列車はここが終点。トロッコ列車を利用すればアクセスも容易でしょう。 -
ここからは、後半戦。
ここからめがね橋までには五つのトンネルを抜けて行きます。 -
イチオシ
碓氷第一トンネル。しっかりした石造りです。
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碓氷第二トンネル。
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中はこんな感じ。ルートのちょっとした変化になっていて、また歩く意欲が湧いてきます。
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と、これは碓氷湖ですか。
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ダム湖だと思いますが、左手下の方にこれが見えてくると、その潤いのある景色にちょっと癒される思い。木々の緑の先に見える湖面の美しさは格別です。
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碓氷第三トンネル。
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碓氷第四トンネル。
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碓氷第五トンネル。
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これが最後のトンネルのはずですが。。
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出口が見えてきましたけど、めがね橋はどこじゃいな?
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あれれ、出口を出たこの道がすでにめがね橋でした。脇から恐る恐る下を眺めます。上からの眺めだとこれが限界ですね。
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では、いったんこれを渡りまして、
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渡ったところから降りて行って、橋を見上げるビューポイントへ。
なるほどー、やっぱり迫力ありますね。 -
イチオシ
しかし、全体が写真に納まらないので、もう少し移動しますよ~
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4連アーチ橋なんですが、一枚で撮るとこれで限界。
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正面からも撮ってみますが、実物の迫力がどこまで伝わっているかはちょっと心配。
ただ、橋げたの力強いフォルムに対してのアーチの美しさが今でも色あせていないことは分かっていただけると思います。 -
めがね橋からの帰りはこのままバス道路を行くことにします。
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ただ、やっぱり車が危ないので、途中でアプトの道の方に戻ります。
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来る時に気になっていた力餅。ここには寄ってみましょうか。
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力餅は、玉屋ドライブイン。朝8時からやっています。
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力餅というのはあんころ餅で、そっちが名物のようでしたが、
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イチオシ
せっかくなのでここでしか食べられない「からみ餅」の方をいただきました。これは大根おろしをかけたお餅。手でちぎった程よい大きさのお餅がのっていましたが、正直、量はちょっと少ないかなあ。しかし、これでまた歩く元気が出るというものです。
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イチオシ
横川の市街まで帰って来まして。
これは、碓氷関所跡。市街の端っこの少し高いところに高麗門が建っていました。 -
跡としてはこの門だけですが、中山道にあって、「入鉄砲と出女」を厳しく監視していた関所。東海道の箱根関所や中山道の福島関所と並んで最も重要な関所とされていたようです。
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少し離れた場所ですが、観光案内所と兼ねた資料館があって、
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そうした歴史をちょこっと説明しています。
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そして、横川駅の周辺で一番の観光施設はここ。碓氷峠鉄道文化むらです。
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冒頭、説明した通り、中山道に鉄道を通す際、
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最難関だった碓氷峠の鉄道建設の歴史をあれこれと伝える資料館に、
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蒸気機関車や客車など多くの野外展示も充実しています。
まずは、資料館。 -
資料館には、例によってジオラマ展示。
鉄道関係の博物館だとこれがないとやっぱり格好がつきませんよね。 -
碓氷峠があまりにも険しかったので、採用されたアプト式。線路の真ん中に歯車が付いていて、滑って進まないのを防ぎます。ただ、これでスピードや輸送量に限界が現れたのも事実。
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電化等による技術の改善が進みます。
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屋外展示は、
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電化された電車。車体丸ごとがモーターの塊りみたいな感じでした。
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少し離れた
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広場には、
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イチオシ
蒸気機関車に
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ラッセル車ですね。
なお、ここからとうげの湯までのトロッコ列車もありまして。とうげの湯からめがね橋まで歩くということをするとかなり便利かなと思います。 -
碓氷峠鉄道文化むらを終えて、ここらで昼食。
越後屋は、横川駅周辺の市街から少し離れた国道沿い。広い駐車場の奥に看板が錆びかけたオンボロ建物が建っていました。 -
一方で、中は広々。浅い掘りごたつ式のテーブルが並ぶ小上りはいい感じのレトロ感が漂います。
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いただいたのは肉豆腐定食。始め見た時は油揚げかとおもったんですが、それは出汁が染みた豆腐。
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苦労の末に日本で初めて作った駅弁。その夫婦の物語は映画にもなったんですね。
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イチオシ
口に入れると醤油の味はほとんどなくて、豆腐そのものの香り高い味わいが秀逸。上品な仕上がりの逸品でした。この店、なかなか侮れません。
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そして、最後はおぎのや資料館。おぎのや本店の向かい側の小さな施設です。
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これまでの釜めしの美しい包装紙の展示もなかなか面白い。
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こんなところにも、販売のセンスが光っているように思います。
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横川駅から安中駅に移動して、安中市街へ。意外に距離があるし、道が分かりにくくて、戸惑いました。
さて、安中宿は中山道の宿場町。市街にはいくつかの見どころがあって、この旧碓氷郡役所もその一つ。 -
ちなみに、碓氷郡役所が開かれたのは、明治11年。近隣の70ヶ町村を統括していた役所です。現在の建物は明治44年の再建。それでもこれだけ古い役所の建物が残っているのは群馬県内でも珍しいことだそう。門から中の敷地もそれなりの広さがあるし、どうかすると小学校の校舎のような建物ですが、今は中山道や安中宿の資料等を展示しています。
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その並びに建つ日本キリスト教団安中教会。この通りは、旧中山道に並行して、一段高い場所を走る通りです。
敷地の奥に大谷石でしょうか。石造りの堅牢そうな礼拝堂が建っていて、雰囲気があるのですが、内部の拝観は三週間前に申し込みをする必要があるのだとか。また、敷地内に入れるのは日曜の午後1~5時。その他は、門のところから眺めるしかありません。 -
ちなみに、この教会は父母の住む安中に戻った3週間の滞在中、新島襄が伝道を行い、30名が洗礼を受けたことが始まり。群馬県の最初の伝道の拠点となったという歴史を持つ教会です。
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通りをさらに進みます。
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これは旧安中藩武家長屋と郡奉公役宅の郡奉公役宅の方。
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ここで受付をして、
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少し離れた長屋も見るというシステム。
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中に入って、展示品はわずか。展示品はちょろっとした感じですが、
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建物の質実な雰囲気をこそ楽しむべきところかなと思います。
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これが長屋。こちらの建物もかやぶき屋根が美しくて、かなりちゃんと手入れされているような感じです。
ただ、先を急がなければ。。時間が気になります。 -
そして、宿場町なら、やっぱりスイーツチェックも必要ですよね。
扇堂は、安中市街なんですが微妙に中心部から外れているので、観光客には気が付きにくいかも。カボチャプリンとか洋菓子のお店なんですが、パンなんかも扱っています。 -
いただいたのは、シューラスク。シュークリームの皮に黒砂糖をまぶしたラスク。かりんとうのような味わいなんですが、もう少しあっさり感があって、面白く仕上がっています。いろんな工夫をするお店のような気がします。
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こちらは、冨士屋さん。店構えも大きいし、この辺りではちょっとした名物店という位置づけでしょう。
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事前の情報でも気になっていた「遠足ポテト」をいただきました。黄色いパッケージが鮮やかですよね。
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包みを開くと紙のカップで焼いたスイートポテト。ほろほろ崩れるので、ちょっと食べにくいかな。それとサツマイモの味を活かしてあまり味付けされていないので、地味な味わいに思えるかもしれません。
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そして、安中の一番のお目当ては、こちらの新島襄旧宅。もう、安中市街の端っこです。
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ただ、ここは正確に言うと新島襄の両親が住んでいた家で、アメリカから帰った新島襄がここに里帰りしたというもの。ですから、新島はこの家で暮らしたことはなかったことになります。
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家は大きさはさほどでもありませんが、
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中級武士の武家屋敷としてはそれなりなんでしょう。
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質素な暮らしぶりが偲ばれます。
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奥の一室に新島襄関係の資料の展示があり、
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生涯の功績を説明しています。
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京都の邸宅も当然拝見したことはありますが、ここで見ると新島襄のまっすぐで誠実な人柄がより実感できるような。
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内容的には知っていることがほとんどなのに、新たな感動が湧いてきて、自分でもちょっとびっくりしました。安中と新島襄。意外にいい組み合わせです。
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ここまで来たなら、もう少し頑張って。
これは原市杉並木。ここまで来るとさすがに遠いですが、しかし、馬の背のような地形に延びる旧街道沿いにまばらにそびえる杉並木は確かに雰囲気がありますね。杉並木云々ではなくて、周囲がそれなりに見晴らせるというのもいいのかもしれません。 -
市街中心部には旧中山道で帰ってきました。
丸田屋 総本店です。こちらでは、かりんとう饅頭の黒餡の方を。 -
カリッとした歯ごたえにきめの細かい甘い餡子の組み合わせ。手堅い味わいに仕上がってます。店舗は新しい感じですが、品数もいろいろあって、やっぱり老舗の匂いがする店だと思います。
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龍昌寺は、安中市街の中心部。有田屋からすぐの旧中山道から少し脇に入ったところ。
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山門から本堂に向けた参道の両側に屋根付の塀があると思ったら、そこには108の小さな梵鐘がぶら下がっていて、それが見どころ。
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信心深い人が納めた梵鐘なのでしょうが、今では寺の宝となっています。
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イチオシ
その有田屋ですが、ここは安中で代々醤油屋を営む老舗。
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傍らに小さな展示室があって、
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入ると
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有田屋の主人は代々知識人。新島襄との親交があったり、私的な図書館を建てたりと、地元では名士のようですね。辺りは醤油のいい匂いが充満していて、それもけっこう印象に残りました。
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これはおみやげにしたサブレです。
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そして、向かいに建つのは、便覧舎址。といっても、土蔵のような建物でこれを見るだけでは心には響かない。
有田屋の主人が作った日本最初の私設図書館なんですね。一度、火災にあってしまい、蔵書は焼けてしまったのですが、建物だけが残っているということです。 -
安中の最後はお菓子の家 あん。高い方の通りです。
高原を思わせる木製の店舗は悠々とした内部。 -
スノーアイスというのがあってそれをいただきました。
ラクトアイスがパウダースノーのように重なって、それにフルーツピューレを掛けたもの。ただ、アイスクリームの基本的なおいしさがイマイチ感じられないかな。ちょっと改善の必要ありという感じです。 -
安中宿から、やっぱり板鼻宿も見てみたくなって、一気に歩いて訪ねることに。うーん。結局、ハードな街歩きが続きます。
板鼻本陣跡は、板鼻の公民館の前にそれを示す杭が建っていて、それだけかなと思ったら、 -
奥の方に皇女和宮の御宿泊所というのがありました。
しかし、外観は小さな建物。豪華な建物でもないような。中は資料館になっているようですが、なんと土日は閉館。観光客のことを全く考えていないのは残念です。 -
板鼻で、もうひとつ気になっていたのがこちらの板鼻館。タルタルソースのカツ丼が名物なんです。
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注文するとあっという間に出てきて、これはびっくり。
さて。。カツ丼にタルタルソースって、まあ、普通かな。期待したほどではないような。 -
イチオシ
ただ、それよりも、カツが固いしあんまりおいしくない。早く出てきましたが、結局予め揚げたカツなので冷えて固くなっているんですね。基本的なところでどうかなという感じ。私は、あんまり評価できないと思いました。
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板鼻の板鼻館のはす向かい。昔ながらの小さな和菓子屋さんは、杉本屋。
酒饅頭の看板が気になったんですが、 -
見ると「究極の煎餅」というのがあって、
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ねぎみその方をいただきました。だるまさんのデザインの包装を開けて、パリッと食べる。ねぎみそのいい香りがすごいですね。究極というところまでは行かないと思いますが、なかなかいい味出してます。
さて、板鼻もこれで終了。高崎駅に帰ります。 -
高崎駅では、最後にもう一つ。
時々、高崎駅ビルイーサイトで出店している角田製菓。定番の酒饅頭をいただきました。少し大きめのサイズはこし餡の滑らかな甘さがまずいいでしょう。ふかふかの皮の酒饅頭らしい糀の香りもほのかに残って、丁寧な仕上がりが感じられる酒饅頭です。
さて、今回は以上でおしまい。お疲れ様でした。
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この旅行記へのコメント (3)
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- はたぼーさん 2019/03/03 21:02:02
- めがね橋
- こんばんは
めがね橋、自殺の名所らしいですね。
先日も、芸能の方飛びましたね。
写真を見ますと、誰かがいるような感じですね。
無事にお戻りになられてよかったです。
- たびたびさん からの返信 2019/03/04 22:56:18
- RE: めがね橋
- そのニュースは私も見ました。そういうところだとは知りませんでしたね。
京都だと水路閣は、殺人の名所。レンガ造りの橋って、どうしてこういう方向になるのか。不思議なことです。
たびたび
- はたぼーさん からの返信 2019/03/04 23:13:23
- 映画
- たびたび 様
めがね橋は、映画「天国はまだ遠く」で、自殺の名所として設定されています。
加藤ローサ、徳井義実主演で、ヒットした映画だったので、思い詰めた時に、ふっと出てきたのかもしれません。
橋の上に黒い影が見えたと思ってコメントしたのですが、今、もう一度見てみると、消えていました。不思議ですね。
不吉なこと書いてすみませんでした。
はたぼー
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