2018/04/08 - 2018/04/08
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ドクターキムルさん
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明月谷から天園ハイキングコースに入る。日曜日の午前中だというのに、ハイカーはまばらだ。それでもトレイルランニングのランナーには出会う。もっとも、すれ違うだけではなく、追い越されることもしばしばあったのでハイカーよりは出会う回数や人数が多いのかも知れない。
勝上山から下って行くと「建長寺道」がある道標の前に母親と小さな息子が座り込んでいるではないか。「何をしているのですか?」と声を掛けると、「子供がこれを見付けて持って帰るというので掘っているのです。」見ると直径10cm、長さ15cmくらいの茶色の広口ビンが半分だけ顔を出している。母親は「子供ってこんなものまで見付けるんですよ。」という。しかし、割り箸の先で掘ってもここ数週間の乾燥で土はかちかちに固まっているようで、少しも掘れてはいない。傍らには火が付けられた蚊取り線香までも置いてある。「時間は掛かりそうなので。」確かに、この調子で掘っていたら半日掛かっても掘り起こせないだろう。私のリュックの中に移植ゴテを入れて持って来ていたのでそれを出して割り箸の先で掘っている母親に渡した。移植ゴテは鉄板を曲げたどこにでも売っているものではなく、鉄の鋳物で、ホームセンターで買ったものだ。しかし、その後も移植ゴテで掘ってはいるのだが、一向に掘れてはいない。私が代わることにした。なるほど土が固まっており、非常に固い。それでもビンから10cm近く離して回りから掘るとものの2、3分で掘り起こすことができ、ビンを取り出して上げた。母親が小さなコンビニ袋を取り出し、そのビンを入れて坊やに渡した。子供は戦利品を得たかのようだ。
私が協力したのは、もしせっかく見付けた半分見える程度に埋まったビンを掘り出せなかったならば、この子のトラウマになったら可哀そうだと思ったからだ。しかし、自然の環境条件の中ではそれなりの道具がないと簡単には事を成し遂げることもできないことも学んだことと思う。
「建長寺道」道標はかつては倒れていたのだが、近年になって立てられた。しかし、母親が掘っている間に良く見ると「半増坊奥之院」と彫られており、この道標は半増坊が勧請された明治23年(1890年)以降のものだ。また、「右 建長寺」、「左 覚園寺道」と彫られており、向きがおかしい。180度向きを違えている。それならば、朱垂木やぐらから上ってくる山道が尾根道と交わるその前に立っていたのだろう。建長寺道とはここから勝上山まで、覚園寺道はここから百八やぐら手前から右折して別の尾根道を進んで平子やぐらから下りる尾根道となる。
驚くべきことにこの道標がある下り口にビンやアルミ缶を埋めていたことだ。おそらくは倒れていた道標を立て直す際にはこの場所を掘ったはずだ。一体誰がこれを行ったのか?疑問だらけだ。
なお、リュックに入れて担いで来た咲いている鎌倉タンポポと横浜タンポポ、緋紅タンポポを母親に見せ、タンポポは3色であることを教えた。驚いていたが、論より証拠。しかし、息子はビンに興味があってもタンポポには興味を示さなかった。小学校に上がれば、黄花のタンポポの他に、白花のタンポポがあることを再確認することであろう。しかし、赤花があることは一生忘れたままかも知れない。
この後、東電変電所へ下りる場所(Webの地図には「天園ハイキングコース・獅子舞谷口」とある)まで行かないハイキングコースの山側の草叢には関東タンポポが群生し、花が咲いていた。
(表紙写真はハイキングコース脇の関東たんポポ)
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この旅行記へのコメント (3)
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- senseさん 2018/04/16 10:21:01
- はじめまして、senseと申します
- ドクターキムルさん!関東タンポポという表題に惹かれお邪魔しました、珍しいなあーと、、今は、西洋タンポポだらけですもの、いつも道端に咲くタンポポを見つけると、日本タンポポを確認しますが、なかなか見つからず、、しかも残念ながら私も学がないし、、知り合いは更に何も知らなくて、、これからドクターキムルさんのブログ拝見し、勉強させていただきちいと、フォローさせていただきました、よろしくお願いします!
それにしても横浜タンポポが咲いているのですか?どこで、違いを見分けるのでしょう?
- ドクターキムルさん からの返信 2018/04/16 17:37:17
- RE: はじめまして、senseと申します
- senseさん
これまでは、黄花のタンポポは花をめくって総苞片がくっついているか、開いているかで判定すれば良かったのですが、現在では白花タンポポが進化して秋・冬・春に開花する鎌倉タンポポが見出され、その突然変異種の黄花である横浜タンポポが出現したために、従来の見分け方は効力を失いました。
では西洋タンポポと横浜タンポポの簡単な見分け方はと言えば、それは黄花の色の違いです。西洋タンポポの黄花は黄色の原色かそれに近い色が普通です。今年はと随分と花の色を確かめていますが、原色の黄色よりは多少薄い感じがします。むしろ関東タンポポの黄花の方が黄色の色が濃いとさえ思えるほどです。特に、交配する関東タンポポでは黄花の色合いにも個体差が大きいようで、現実には関東タンポポには白っぽい色から赤味がかった色(赤花関東タンポポ。「桃日輪」、「紅花タンポポ」、「桃花タンポポ」は同一株から栄養繁殖したものか?)まであります。
横浜タンポポの黄花の色は私も還暦になるまでは見たことがない色合いで、上品な硫黄色は日本のわびさびに合う色だと思います。横浜タンポポの花を見た人は「不思議な色」とか「神秘的な色」とか評しております。ですから、横浜タンポポの黄花は関東タンポポの黄花や西洋タンポポの黄花とは一目瞭然で、黄色が薄く、一度横浜タンポポの黄花を見たことがあれば誰にでも判別できると思います。
総苞片の開き方も、西洋タンポポはほぼ直角に(真横に)開いているのに対し、横浜タンポポではそこまでは開かずに途中まで開いているという感じでしょうか。
それにしても、日本の夏は余りにも酷暑で、日本タンポポが生育するのは無理な環境のようです。そのために、気温が30℃近い日々が続くと葉を落とし夏眠して根だけで夏をやり過ごします。涼しくなるとまた芽を出し、葉を伸ばし、花を付けます。そのために、鎌倉タンポポと横浜タンポポの開花時期は秋から春となり、真夏には開花しません。ただ、この冬のように厳寒であっても花は咲き続けましたので、寒さには強いのだと感じました。
このように、「生物が進化」することで従来の判別手法が無効になることは良くあることでしょう。それにしても、鎌倉タンポポは白花タンポポに分類されるでしょうが、横浜タンポポはどのように分類されるのかが楽しみなところです。現在のタンポポを専門とする博士たちにそうした分類学の力量があるのかが試されているのでしょう。
ドクターキムル
- senseさん からの返信 2018/04/16 21:33:18
- Re: はじめまして、senseと申します
- タンポポの見分け方の詳しい解説をいただきありがとうございました、今日も、庭のタンポポの見つめて、考えこんでいたところでした、日本古来のタンポポを大切に守りたいと思いますが、おっしゃる通り今の環境では、なかなか厳しいと実感したところです、
ホントにありがとうございます!
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