春日若宮おん祭りと東大寺・ならまちマイナー街歩き(一日目)~保延2年(1136年)、関白藤原忠通によって始められ、以降途切れることなく続くおん祭り。地の底から湧き上がるようなうめき声は、まさに身も毛もよだつ神への畏怖。深夜の暗闇の中で執り行われる遷幸の儀はこの世のものとは思えません~
2017/12/16 - 2017/12/16
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たびたびさん
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奈良と祭りってあんまりイメージがなかったのですが、春日若宮おん祭。初めて拝見しましたが、奈良の古い歴史を強く感じさせる素晴らしい祭りでした。
一般的な見どころは昼間のお渡り。時代行列のような華やかな行列は馬に乗った古武士や大名行列のやっこさんの演技も楽しいです。ただ、圧巻は深夜に行われる遷幸の儀(せんこうのぎ)。深夜の真っ暗な闇の中、若宮から御旅所まで神様が下りてくるのですが、雅楽の音が聞こえ始めて松明の灯りが近づいたと思ったら、それに続いて、オーオーともヨーヨーとも聞こえる地鳴りのようなうめき声とともにご神体を担いだ大勢の人たちがやってきて、一気に御旅所の中になだれ込む。この間、光の出るデジタル機器を含め照明器具の使用や写真・動画の撮影は一切禁止。すさまじいおごそかさと神秘的な空気。夢かうつつか。これからしばらくは思い出して、たっぷり余韻に浸れそうな神事でした。
一方で、日中はおん祭りと関係なく、時間に余裕がある中ののんびり観光。久々の大仏殿のほか、この日は良弁の亡くなった12月16日に当たっていたこともあって、開山堂と俊乗堂、それに法華堂の執金剛神像の特別公開も拝見することができました。
奈良はやっぱりいい。天皇の威光が輝いて官の力が国家を支えていた時代。京都とは違うずっしり重い歴史の厚みをまた感じれたように思います。
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奈良の玄関、近鉄奈良駅に到着。おん祭りは、深夜なので、今日は久しぶりにゆっくりと奈良市内の観光ができます。東大寺なんかもしばらく行っていなかったし、この機会に大仏さんにもお会いしましょうか。ということで、ぶらぶら歩きの開始です。
さくら通り商店街は、近鉄奈良駅からならまちに向かう商店街。東向商店街の南側に並行した通りです。観光客は、東向商店街からもちいど商店街を抜けて行くことが一般的なのですが、ならまちへはさくら通りの方が近道だし、こっちはこっちでパン屋さんやスイーツの店があったりして楽しめる。たまには、こちらもお勧めなんですよね。 -
そういうことで、まず訪ねたのはシャトードール。
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名物は、たぶん、大仏あんパンでしょう。お店のひと曰く、普通の餡パンの四倍餡子が入っています。見事にこんがり焼きあがったパンの中には、確かにぎっしりの餡子。強烈な甘さも特徴ですが、それがけっしてくどくない。パン屋さんの餡子でも、これなら一流。精進を積み重ねた餡子だと思います。
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続いてのフロレスタ 奈良本店は、小西桜通りから脇位置に入ったところ。
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まだ開店前の時間だったのですが、もう焼き上がってますということで基本のプレーンドーナツをいただきました。チェーン店で実はメジャーなドーナツ屋さん。脂分がしっとり小麦の香りを包んで、とっても優しい味わい。誰にでも受け入れられる。これぞドーナツという食べやすい仕上がりです。
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そして、そのはす向かいのココマールは、小さなスコーンの専門店です。あまり目立たない店構えですが、
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店内に入ると陳列されたスコーンの美うっとり。ここを訪れた人なら誰しも目を奪われるに違いありません。
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イチオシ
スコーンの入った大皿も色とりどりの包装も、よくここまでのプロデュースができたものです。
一方で、プレーンのスコーンをいただきましたが、ほくほくした感じがおいしいです。 -
奈良町に入って、これはからくりおもちゃ館。
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旧松矢家住宅という町家を活用した無料の施設です。
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座敷に上がると伝統的な子供のおもちゃがあれこれ。
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係の人に尋ねると特に奈良に因むということでもないようですが、それでも一つ一つその遊び方を教えてくれると、ほのぼのとした思いになる。
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町家に相応しい展示のように思いました。
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そして、ちょっと楽しみにしていたのがこちらの佐久良。
ならまちのなかにある吉野葛の専門店です。 -
入口が葛製品の販売所でその奥が甘味処となっています。
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いただいたのは、葛もち。
注文するとお茶と干菓子。これって、赤膚焼ですね。 -
赤膚焼は、小堀遠州が好んだという遠州七窯の一つ。いったん廃れますが、たぶん、明治になってから復活しています。以前、いくつか窯元を回ったことがありますが、懐かしいですね。少し厚手でこの漫画チックな絵柄も奈良っぽくて、これが赤膚焼の特徴です。この皿も使い込まれて、いい感じになってますよ。
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イチオシ
さて、葛もちが出てきました。
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本葛粉を使っていますという葛もちはぷんぷるん。
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わらびもちのように黒蜜と黄な粉を掛けて。濃厚とまではいきませんが、それでもこの味わいは確かなもの。純粋な葛のおいしさが伝わってきます。
関東でくずもちというと小麦を使ったなんちゃって葛餅のこと。しかし、関東の人が本物の葛を食べだしたら、葛は枯渇してしまうでしょう。危ない、危ない。これは関西だけでそっとしておいてもらいたいと思います。 -
奈良町にぎわいの家は、これも町家を活用したならまちの風情を楽しむ無料の施設。
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長屋のような入口を入るといったん路地庭があって、
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そこから改めて母屋の方に入る。
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土間がそのまままっすぐ奥に続いていて、右手の上り口から座敷に上がります。吹き抜けの天井とか空間を自在に構成しているのは京都とはまた違った印象。意外に楽しめる本格町家だと思います。
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そして、すぐご近所の奈良町物語館では、書画作家、安川真慈の作品の展示企画をやっていました。
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猫や七福神のようなほっこりする楽しい絵画は色紙だけじゃなくて、染物なんかにもなっていて、これは楽しい。
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施設の中はならまちの町家そのものですが、そこに大いなる潤いを与えている。
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伝統と個性ある芸術のコラボがとても気持ちよい企画だったと思います。
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と、ならまちの一角で見かけた赤膚焼のお店。寧屋工房です。
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さきほども触れましたが、赤膚焼は奈良の伝統的な焼き物なんですが、いったん途絶えている。そう言う意味では新しい歴史を作っている最中とも言えるかもしれません。
なので、私としては、これが赤膚焼と認知された象徴的なものがほしいという感じなんですね。敢えて言えば、唐津焼の鉄絵を考えれば少し素朴な奈良絵でしょうね。そう言う話をしたかったのですが、絵を描く下地は化粧土ではなくて、白い釉薬だとかご主人は技術的なことに走ってしまってちょっとかみ合わない。
後で調べると灯りのデザインでけっこう成功を収めている作家さんのようですね。独創性を求める作家さんなら仕方ありませんが、地域としては赤膚焼の認知度をいかにあげるのか。これもいろいろ考えてもらいたいなと思います。 -
法徳寺は、ならまちの一角にある小さなお寺です。この辺りの寺はほとんどが元々は南都七大寺の一つ、曾我氏の元興寺にゆかりがある寺なのですが、その後は曲折があって、ここも17世紀に融通念仏宗で再興されたということ。木造阿弥陀如来立像が奈良市指定文化財です。
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これは拝観はできないのですが、本堂横の毘沙門堂の建物は雰囲気がありまして、これが見どころかなと思います。
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金躰寺は、浄土宗の寺。ここも元興寺につながっていた寺なので、元々は法相宗。元興寺の道昭法師が開基となっています。
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1637年に建てられたという本堂は穏やかな佇まい。本堂前の松も適度に緑を添えています。
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そして、こちらの興善寺も浄土宗。門前に説明板があって、法然の書状3通を伝えていて、これが貴重な史料なのだそうです。
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山門から本堂までは墓地や板碑がぎっしり。地位のある人もいたんだと思いますが、もう誰が誰だか分からなくなっているんでしょう。ちょっと世の無常を感じます。
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ならまち振興館は、衣替えをして「鹿の舟」という施設になっています。
大正時代の建物を活用した奈良町南観光案内所「繭」では、月ヶ瀬の織子をテーマにした蔵のギャラリー。朝飯も食べられる食堂の「竈」、喫茶室の「囀」といった構成。敷地もしっかりあるし、なかなか充実しています。 -
「繭」では、特産品のお茶とか
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絹製品の販売。
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奥の蔵の方では、
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絹織物に関係する道具類なども展示するギャラリーになっていました。
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展示品は少ないですが、品を感じる展示です。
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再び、散策を開始。
山門の前に高林寺と高坊旧跡という駒札が立っていて、ここは安土・桃山時代、高坊一族という奈良の茶人が居を構えていたのだとか。つまりは、奈良まちの数寄者の一大群落、一大サロンだった場所。
寺の方は元興寺の一院。本堂には中将姫の木像もあるようですが、山門の中には入れそうにない。駒札を眺めて、おしまいです。 -
そして、意外だったのは誕生寺。こちらは、中将姫の生誕地。
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中将姫といえば当麻寺ですが、ならまちのこんなところに生誕地があったとは。静かなお寺であまり知られていないかも。
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本堂の裏に回ると小さな庭があって、そこには中将姫の産湯の井戸とか、
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中将姫の石像、二十五菩薩の石像がひっそりとありました。
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奈良市音声館は、ならまちの文化交流の場所といった感じ。
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入口を入ると小さなホールがあって、随時、無料のコンサートが行われているようです。この日も午後のコンサートに向けて、舞台が準備されていて、本当にお手軽な雰囲気。地元の人にも支えられた施設です。
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ここで、また少しスイーツです。
こたろうは、ならまちのたい焼き屋さん。元は東京の人のようですが、奈良で頑張ってますというご主人。東京の三大たい焼きに飽き足らない人に食べてもらいたいというすごい口上でしたが、タイプ的に私の好みではないような。私の理解だと奈良は餡子の甘さがどちらかというとヘビーできつい土地柄。その土地柄にももう少し目を向ける方がいいかもしれません。これは軽い甘さなので、私からすると奈良っぽくないんですよね。これはあくまで旅人の視点ではありますが。。。 -
おくたは、一子相伝のみたらしだんご。
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甘い方と辛い方の二種類があります。
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甘い方のが私のお気に入り。小さめの団子にたっぷりたれを掛けてくれるのですが、そこから滴る分まで紙で受け止めて渡してくれます。店内で、久しぶりの味を楽しみました。
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もちいど商店街の方に戻って。
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南都銀行 本店は、東向商店街からもちいど商店街に向かう三条通り沿い。大きな石造りの建物ですが、観光客でごった返す場所なので、この建物に目を向ける人はほとんどいないかもしれません。大正15年に建てられたイオニア式。国の登録有形文化財にもなっています。
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今度は東向北商店街の方に移動します。この商店街は、大通りを挟んで、東向商店街の向かい側。多くの観光客でごった返す東向商店街と違って、静かな商店街です。ここを抜けると奈良女子大学とか、県庁の裏通りに抜けます。
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で、昼飯はこの吉川亭。ビルの奥が入口の目立たない店構えですが、怖い店主がいることで知る人ぞ知るの名物洋食店なんですね。
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ハンバーグ定食1000円をいただきましたが、ご主人はさすが腕のいい料理人なんでしょう。デミグラスソースとか手早くさっと作りましたけど、ちゃんとうまいでしょと言う感じでしょうか。
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店内には、おしゃべりな女性とか子供はお断りとしてきたお店の歴史が面白く書かれていて、なんか笑うしかない。お店にもご主人にも歴史ありです。
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奈良県立美術館は常設展はないそうですが、それでもと思ったら、無料スペースに奈良の古墳を紹介する企画展示があって、ボランティアガイドさんとかがちょこっと説明をしてくれました。
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日本書紀や古事記を前にして、「出雲とか宮崎とかは神話があるんですが、奈良には神話がないんですか」といじわる質問をしたら、「出雲風土記や宮崎風土記も、あれは事実を基にしたものですよ」と切り返されてしまいました。
しかし、これは私的にはとってもいい答え。思わずにっこりしてしまいました。神話と歴史はそんなに区別できるものではない。それを区別するのは西洋的な考え方に過ぎません。 -
そこから、だんだん東大寺のエリアに向かって移動します。
入江泰吉旧居は、もう東大寺に近い静かな一角。 -
ところで、入江泰吉は、奈良の仏像を始め大和路の美しい風景を撮り続けた写真家ですが、以前、写真記念館の方を拝見した時の印象では、とにかく写真一本で、あんまり多芸な人ではなかったような感じでした。
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しかし、私生活では奥さんと一緒に書をたしなんだり、
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もう少し自由に暮らしていたような様子。
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豪邸ではありませんが、
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住みやすそうなお宅かなとも思います。
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戒壇堂はちらりと見て、先に進みます。
ここは四天王立像がいらっしゃるお堂。東大寺のスーパースターです。
東大寺は大仏を見ておしまいという人も多いと思いますが、それではイマイチ天平の美の凄さは感じられない。東大寺ではここの四天王立像に、法華堂の不空羂索観音と日光・月光菩薩。これを見ないと話にはなりません。 -
東大寺 指図堂は、戒壇堂の隣り。何でもないようなお堂なのですが、
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イチオシ
上がってみると、釈迦如来三尊像とか雲中観音像とか。係の人によると快慶作ではないかということでしたが、自由に拝観できる。撮影も自由に出来て、なんか不思議な感じ。
快慶なんて鎌倉時代だし、東大寺にとっては半分民間の亜流仏師。奈良的な視点では重要ではないのかもしれません。
東大寺ではあまり注目されていない建物だと思いますが、意外に面白い建物です。 -
東大寺の境内の境目ははっきりしないのですが、大仏池もたぶん境内にあたるのでしょう。大仏殿の裏手奥の方にあるちょっとした池。見方によっては荒地のような感じなのですが、この池越しにみる大仏殿が見どころとなっています。ただ、大仏殿の方から眺めるとどうということはない池です。
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大仏殿から二月堂に続く石段。
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その手前にあるのが、東大寺 相輪です。これは、東大寺にかつてあったとされる高さ100mの東西七重塔の威容を偲ぶもの。金色に輝く構造物で、これだけでもけっこう大きい。これを乗せた全体がどれほど大きかったのかを想像するとこの意味が分かると思います。
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東大寺の鏡池は、南大門から大仏殿に向かう参道の右手に広がる池。この池に映る大仏殿が見どころとなっています。ただ、天気が悪い日はどうにもならないかな。
ただ、東大寺の境内は広いので、こうした水の潤いはやっぱりありがたい。これがなければ、東大寺はただの丘陵部に建つお寺というしかなくなります。 -
東大寺の南大門から大仏殿に向かって歩くと突き当りに建つのが、この中門。巨大な仁王門でもある南大門があまりにも有名なので、中門の方は注目度が下がってしまいますが、そうはいっても、この中門もやっぱりかなりのスケール。再建されたのは江戸の中期。1716年(享保元年)頃。内部に入って、中門から眺める大仏殿もそれが正面に当たるので、大きな見どころです。
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そして、東大寺ミュージアムは、南大門を入ってすぐの左手。鉄筋コンクリートの近代的な建物です。
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東大寺は、大仏を別とすると興福寺に比べて寺宝が少ないようなイメージがありますが、この博物館の展示を見るとそんなことはない。そして、寺が大きいだけに仏像の一つ一つが一回りも二回りも大きいです。
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さほど有名ではないと思いますが、この日、メインで展示されていた奈良時代作の千手観音立像とかも圧巻でした。東大寺に行ったらここも必見の施設だと思います。
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さて、ずいぶん久しぶりになりますが、ここから大仏殿です。
大仏殿というのは東大寺の本堂。巨大な建物の中にこれも巨大な大仏様が鎮座しているので大仏殿です。 -
大仏殿の正面にある金銅八角燈籠も国宝です
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高さ462.1cmとこれも東大寺に恥ずかしくない堂々たるスケール。大仏開眼と同じ年である752年の天平勝宝4年に造られた文様は、4面に雲の中を駆ける獅子、その間の4面には笛や笙などの楽器を奏でる天人。あくまで優雅でひたすら仏に帰依しようとする聖武天皇の熱い思いが伝わってきます。
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イチオシ
大仏殿は、近づくほどにまたその大きさが実感される。
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入口を入って、
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正面に大仏様。あれ、こんなに大きかったかなあ。改めて、そのスケールに圧倒されますね。
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順路は時計回りになります。
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イチオシ
まずはこの大仏様がなんですが、
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今回は、左右の両脇侍、木造如意輪観音と空蔵菩薩坐像も改めて確認してみましょう。大仏様と比べるので小さく見えるのですが、やっぱりこれらも7m以上あって、巨大なスケールです。
これは、右脇侍の虚空蔵菩薩。享保年間に造られたようですが、大仏とのバランスも違和感なし。よくできています。 -
北西隅に建つ広目天立像。
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大仏の背後に回って、
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光背を裏から見たところ。
結局、何を見てもその巨大さを確認するというだけですね。 -
イチオシ
北東隅に建つ多聞天立像。
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イチオシ
最後は左脇侍の木造如意輪観音です。
いずれも江戸時代に造られたものですが、この頃だと、鎌倉期以降勃興した大衆仏教が主流となっていて、奈良仏教はもう民衆を魅了する力は衰えていたはず。それでもこれだけのものが造られたということはどういうことなのか。感慨深いものがあるように思います。 -
今度は東大寺の守護神、手向山八幡へ。大仏殿から二月堂の方に上って行くところに参道入り口があります。ところで、この参道。二月堂にまっすぐ向かう道より、むしろ立派だし、二月堂に行くのもこの参道から行く方が確かな気がします。
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神社は、東大寺を建立するにあたり、宇佐八幡宮より勧請されたもの。正面の楼門は八幡造りなんでしょうが、そりが優しくて、少し穏やかな印象です。
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拝殿から、この奥が本殿です。
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手向山八幡宮から三月堂の方に向かうと、法華堂経庫です。校倉造りの黒ずんだ建物で地味なので、あまり目に止める人はいないかもしれません。三月堂は法華堂ですから、これとセットの建物のような気もしましたが、説明板によれば中世以降は米蔵として利用されていたとのこと。少しがっかりではあります。
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法華堂はスルーするつもりだったんですが、今日は、執金剛神像が特別公開されているとあっては見ないわけにはいきませんね。
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執金剛神像は、法華堂本尊不空羂索観音立像の背後の厨子内に北面して祀られている像で、高さは173cm。
後の金剛力士像の原典というもののようですが、確かに、そこまで激しい憤怒の形相はまだしていない。厳しいお顔で仏を守護するという使命に徹しているというだけでしょう。写真だともっと相手を威嚇するような雰囲気も感じましたが、実物からはそこまでの感じは受けませんでした。 -
続いての三昧堂は、法華堂の向かいに建つ少し小さめのお堂。ここは、靴を脱いで自由に上がれます。奥の方には千手観音菩薩立像が安置されていて、皆さん座ってゆっくり眺めていらっしゃいます。座って仏様を見れる場所は東大寺では少ないので、ゆっくりするのも兼ねてここに寄ってみるのもいいのかなと思います。
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知りませんでしたが、今日はあれこれ特別公開の日なんですね。
開山堂は、秘仏とされる「良弁僧正像」を祀るための御堂。 -
良弁の亡くなった日である12月16日に特別開帳されるとあって、長い行列が出来ていました。
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靴を脱いで小さめのお堂に入ると正面すぐにその像が現れます。強い意志の力をみなぎらせるような面持ちだし、目がなぜか青く見えるようなのはちょっと神秘的。もう少しじっくり確認したかったのですが、場所が狭くて混み合った中での拝観なので、まあ、そこは仕方なかったかなという感じです。
ところで、東大寺は聖武天皇の勅願寺ですが、それを実現したのは並みの努力ではない。今でもこうして良弁が厚く遇されていることで、逆に、その苦労の偉大さが想像できるようにも思います。 -
閼伽井屋は、東大寺二月堂の下の方に建つ小さな建物。毎年、二月堂で行われるお水取りですが、その水はこの建物の中で汲まれます。真っ暗な中で手探りのように汲まれるので神秘に包まれていると説明がありました。ただ、建物自体は13世紀初頭に再建されたもの。よく見るとけっこうボロボロです。
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で、ついでに二月堂の方にも寄ってみましょう。
石段を上がって、 -
上がったところ。
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そこから二月堂のぐるりを回ります。
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清水寺ほどではないですが、
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こちらも舞台になっていて、
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大仏殿とかも優雅に見渡せます。
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東大寺の境内町は、二月堂の方から東大寺の裏手に降りていく坂道というか緩い石段のエリア。両側には古い土塀が続いていて、奈良らしい古都、古寺の雰囲気が楽しめます。写真撮影のポイントにもなっていて、それなりに知られた場所。二月堂に行ったら、帰りはこちらのルートをお勧めします。
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俊乗堂は、平重衡によって焼かれた大仏殿などを再建する大勧進職を勤めた重源の遺徳を讃えて建立されたお堂。
こちらも12月16日は年二回の開帳日にあたっていて、堂内の厨子に安置された重源上人坐像を拝見しました。数珠をまさぐるような姿勢が意志の強さを表しているよう。
堂内は広いのでゆったり。こちらは時間をかけて眺めることが可能です。 -
以上、特別公開をなんとかすべてみることが出来てほっとしたところで、念仏堂にも寄ってみます。
靴を脱いで上がると、正面には巨大なお地蔵様。あれーー。期待していなかったのに、またビックリ。聖林寺の子安延命地蔵菩薩像くらいすごいですよ~
それでも東大寺にあっては、普通のことのように扱われているような。これだけインパクトのある地蔵様は、もっと知られていいように思います。 -
辛国神社は、東大寺の鐘楼から少し下ったところ。小さな見過ごしてしまいそうな神社です。大仏殿建立の際、天狗の障碍を受けたので、この地に祀ったともあるようですが、はっきりはしません。ただ、大きなものだらけの東大寺にあって、こんなに小さくてもちゃんとあるというのはそれなりに意味がある神社なのだと思います。
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今夜の遷幸の儀は、午前0時から。その前には行きたいと思いますが、いずれにしても、少しホテルで休んでから向かいたい。ということで、そろそろ区切りを入れたいと思います。
南大門で、 -
イチオシ
仁王像を確認して、
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奈良博物館へ。
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事前学習のつもりでおん祭りの企画展をチェックします。
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再び、博物館の裏手に回って、御旅所から
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遷幸の儀のコースを確認しつつ、
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一之鳥居まで戻ってきました。
ちなみに、この鳥居は、気比神宮と厳島神社の大鳥居に並ぶ「日本三大鳥居」の一つ。見た目は、何かずんぐりした印象ですが、これが春日鳥居の形式。柱が太くて、そりが少ないのです。高さは、6.75m、柱間5.2m。836年の造営で、国の重要文化財です。 -
一之鳥居の向かいに建つ大きな建物は菊水楼。
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老舗高級料亭のはずなんですが、実はとってもリーズナブルなんです。
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イチオシ
とはいえ、初めてなので緊張しつつ。。
一番奥のこんなおしゃれな大広間に案内されて、 -
夕飯に海老フライのセットをいただきました。
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こんなに悠々と優雅に食事して2000円ちょっと。
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それも窓の外には荒池とその向こうには奈良ホテルを望むという素晴らしい眺め。
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奈良にはこんな隠れスポットがあったんですね。
なお、菊水は楠木正成の菊水。玄関の意匠に菊水のマークが入っていたりして、これもどこかに許可をもらっているということでした。価値ありの紋章です。 -
今日の宿はHOTEL PAGODA。春日神社の参道には便利な場所なんです。5~6人のドミトリーの部屋でしたが、二段ベッドはカプセルホテルみたいな感じ。その部屋にトイレとシャワーが付いています。スペースもあるし、清潔感もあると思いました。同部屋の人次第というところもありますが、どうということはありません。
さて、ここで少し休憩をとって、出かけます。 -
御旅所の前。11時には着いていたと思いますが、もう人がたくさん集まっていて、ちょっと油断したみたいです。
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時間が近づくと、灯りが消され、辺りは真っ暗闇の世界。
と、遠くに雅楽の音が聞こえ始めて松明の灯りが近づいたと思ったら、それに続いて。。
オーオーともヨーヨーとも聞こえる地鳴りのようなうめき声とともにご神体を担いだ大勢の人たちの一団がやってきて、一気に御旅所の中になだれ込む。
これは厳かとか神秘的とかという言葉で形容するのではちょっと足りない。地の底から湧き上がるようなうめき声は、まさに身も毛もよだつ神への畏怖。この世のものとは思えない。見てはいけない恐ろしいものを見てしまったみたいな気持ちといった方が伝わるかもしれません。
予想とあまりにも違っていて、正直茫然としてしまったたびたびです。 -
イチオシ
遷幸の儀のあと、午前1時頃からお旅所で行われるのが暁祭(あかつきさい)。
御旅所の外で見ていた観光客も御旅所内に入れてもらって、仮殿の前で奉納される舞を見ることができます。
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二人の巫女さんが仮殿の前に進み出て、
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ゆっくりした動きですが、舞を奉納。
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無事に暁祭も執り行われました。
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この太鼓は、蹈太鼓(だだいこ)。
雅楽の雰囲気を盛りあげる大道具といった仕掛け。これもさすが奈良といった趣です。 -
そして、最後は皆さん、仮殿の方に挨拶をして、無事終了。
若宮おん祭りって、すごい祭りですねえ。これならわざわざ来た甲斐があったというものです。明日の昼の部の行列も楽しみになってきましたね。
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