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 死んだ妻を慰めたいと思って回った四国霊場ですが、帰宅後、寝ても覚めても頭を離れないのは、それが本当に供養になったのだろうかという疑念でした。<br /> 64歳で死んだ妻が、自分はもう十二分に人生を楽しんだから思い残すことはないしこの世に未練もない、などと思っている筈はない。 なによりたった一人でいる世界が寂しくないわけはない。<br /> そう思うと、なんとかして妻を励ましたいという思いは募るばかりで、気休めとは思いながらも、とにかく恐山に行ってみようという、我ながら幼稚な衝動にかられてしまった次第です。

宇曾利山、訛って訛って 恐山 《 青森県・恐山 》

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2017/10/08 - 2017/10/14

4位(同エリア721件中)

19

63

ねんきん老人

ねんきん老人さん

 死んだ妻を慰めたいと思って回った四国霊場ですが、帰宅後、寝ても覚めても頭を離れないのは、それが本当に供養になったのだろうかという疑念でした。
 64歳で死んだ妻が、自分はもう十二分に人生を楽しんだから思い残すことはないしこの世に未練もない、などと思っている筈はない。 なによりたった一人でいる世界が寂しくないわけはない。
 そう思うと、なんとかして妻を励ましたいという思いは募るばかりで、気休めとは思いながらも、とにかく恐山に行ってみようという、我ながら幼稚な衝動にかられてしまった次第です。

旅行の満足度
5.0
観光
4.5
同行者
一人旅
交通手段
自家用車
旅行の手配内容
個別手配

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  • 【 霧の八戸道 】<br /><br /> 1日目は東北道をただ北上し、八戸道の折爪SAで車中泊しました。<br /> 自宅から684km。 妻の癌が見つかるひと月前の旅行で走った道ですから、走っていても休んでいてもそのときのことばかりが思い出されるドライブでした。<br /> 2日目、八戸道は濃霧。対面交通の狭い道で霧の中から突然現れる対向車にはヒヤヒヤしました。

    【 霧の八戸道 】

     1日目は東北道をただ北上し、八戸道の折爪SAで車中泊しました。
     自宅から684km。 妻の癌が見つかるひと月前の旅行で走った道ですから、走っていても休んでいてもそのときのことばかりが思い出されるドライブでした。
     2日目、八戸道は濃霧。対面交通の狭い道で霧の中から突然現れる対向車にはヒヤヒヤしました。

  • 【 ナニコレ珍百景 】<br /><br /> 下田百石ICで一般道へ出ると、そこは青森県上北郡おいらせ町。<br /> このおいらせ町には珍百景が多く、その一つがこれ、自由の女神像です。<br /> なんだってまた自由の女神なんかがあるの? と思ったら、おいらせ町とニューヨークの緯度が同じだから・・・なんですって。<br /> な~に、それ?<br /> だったらマドリードも同じじゃないかな? おいらせ町の緯度は初めて知りましたが、昔ニューヨークとマドリードが同緯度だって習ったような気がするんですが(うろ覚えですので、間違ったらごめんなさい)。<br /> ドン・キホーテとサンチョ・パンサの像は建てないんですかねえ?<br /><br /> 

    【 ナニコレ珍百景 】

     下田百石ICで一般道へ出ると、そこは青森県上北郡おいらせ町。
     このおいらせ町には珍百景が多く、その一つがこれ、自由の女神像です。
     なんだってまた自由の女神なんかがあるの? と思ったら、おいらせ町とニューヨークの緯度が同じだから・・・なんですって。
     な~に、それ?
     だったらマドリードも同じじゃないかな? おいらせ町の緯度は初めて知りましたが、昔ニューヨークとマドリードが同緯度だって習ったような気がするんですが(うろ覚えですので、間違ったらごめんなさい)。
     ドン・キホーテとサンチョ・パンサの像は建てないんですかねえ?

     

  • 【 ナニコレ珍百景 】<br /><br /> 下北半島東岸に沿って国道338号線を北上していると、左側に奇怪なものが。<br /> ナニナニ!? と思ったものの、路肩に車を停めるスペースがなく、かなり走ってからUターンしました。<br /> 見上げるようなガンダムの像です。 セメント製かと思いましたが、あとで聞いたところによると、発泡スチロール、鉄骨、木材、車の廃材など手当り次第に利用して作ったもののようです。<br /> 作ったのは同じ敷地にある床屋さんのご主人で、近所の子供たちを楽しませるためにプラモデルを参考にして作ったのだそうです。<br /> いやはや、すごい人がいるものですね。

    【 ナニコレ珍百景 】

     下北半島東岸に沿って国道338号線を北上していると、左側に奇怪なものが。
     ナニナニ!? と思ったものの、路肩に車を停めるスペースがなく、かなり走ってからUターンしました。
     見上げるようなガンダムの像です。 セメント製かと思いましたが、あとで聞いたところによると、発泡スチロール、鉄骨、木材、車の廃材など手当り次第に利用して作ったもののようです。
     作ったのは同じ敷地にある床屋さんのご主人で、近所の子供たちを楽しませるためにプラモデルを参考にして作ったのだそうです。
     いやはや、すごい人がいるものですね。

  • 【 ミス・ビードル号記念公園 】<br /><br /> さらに北上して淋代海岸に出ると、ミス・ビードル号記念公園があります。<br />    昭和6年にアメリカ人飛行士2名が史上初の太平洋無着陸横断飛行を為すべく離陸したのがここ淋代海岸で、そのときの機体ミス・ビードル号のレプリカが置かれています。

    【 ミス・ビードル号記念公園 】

     さらに北上して淋代海岸に出ると、ミス・ビードル号記念公園があります。
     昭和6年にアメリカ人飛行士2名が史上初の太平洋無着陸横断飛行を為すべく離陸したのがここ淋代海岸で、そのときの機体ミス・ビードル号のレプリカが置かれています。

  • 【 無着陸横断飛行成功! 】<br /><br /> ミス・ビードル号は燃料タンクを増設した分、機体を軽くする必要があり、離陸後主脚を切り落としての飛行となったそうです。<br /> それでも約41時間後にアメリカ西海岸に到達し、主脚がないため胴体着陸をするという無茶ぶりでしたが、ともあれ人類初の偉業は達成されました。<br /> 出発にあたって一人の日本人女性が紅玉りんごを差出し、後日そのお礼にと送られたアメリカのリンゴの穂木5本が増え、デリシャスの名で広まったそうです。<br /> 私たちが子供のころはリンゴといえばデリシャスだと思っていましたが、それにこんな歴史があったとは!

    【 無着陸横断飛行成功! 】

     ミス・ビードル号は燃料タンクを増設した分、機体を軽くする必要があり、離陸後主脚を切り落としての飛行となったそうです。
     それでも約41時間後にアメリカ西海岸に到達し、主脚がないため胴体着陸をするという無茶ぶりでしたが、ともあれ人類初の偉業は達成されました。
     出発にあたって一人の日本人女性が紅玉りんごを差出し、後日そのお礼にと送られたアメリカのリンゴの穂木5本が増え、デリシャスの名で広まったそうです。
     私たちが子供のころはリンゴといえばデリシャスだと思っていましたが、それにこんな歴史があったとは!

  • 【 小川原湖畔 】<br /><br /> 西に向きを変え、小川原湖に寄ってみました。<br /> 学生時代に旅の途中で泳いだ湖ですが、記憶にあった景色とはまったく違い、湖畔にはこんなこけしが。<br /><br /> 「昔、奈良の都に橘中納言道忠という貴族がいて、賊に重臣を殺されたことで世をはかなみ、家族を置いて放浪の旅に出た。 残された妻が傷心のあまり病気になり、娘二人が父を探しに旅に出る。 艱難辛苦の末この辺りまで来たものの、疲労のあまり眠ってしまった姉は父の呼ぶ声に引かれて沼に飛び込んでしまった。<br /> 途中から姉と分かれて父を探していた妹は、小川原湖のほとりまで来て精魂尽き果て、湖に身を投じようとしたが大蛇に襲われるなどして果たせず、そこに住み着いて湖の主になった」<br /><br /> ということのようです。 このこけしはその二人の姿なのだとか。

    【 小川原湖畔 】

     西に向きを変え、小川原湖に寄ってみました。
     学生時代に旅の途中で泳いだ湖ですが、記憶にあった景色とはまったく違い、湖畔にはこんなこけしが。

     「昔、奈良の都に橘中納言道忠という貴族がいて、賊に重臣を殺されたことで世をはかなみ、家族を置いて放浪の旅に出た。 残された妻が傷心のあまり病気になり、娘二人が父を探しに旅に出る。 艱難辛苦の末この辺りまで来たものの、疲労のあまり眠ってしまった姉は父の呼ぶ声に引かれて沼に飛び込んでしまった。
     途中から姉と分かれて父を探していた妹は、小川原湖のほとりまで来て精魂尽き果て、湖に身を投じようとしたが大蛇に襲われるなどして果たせず、そこに住み着いて湖の主になった」

     ということのようです。 このこけしはその二人の姿なのだとか。

  • 【 姉妹の像 】<br /><br /> 湖を回り込むように走ると、そこにもこんな像がありました。<br /> 左が姉(玉代姫)、右が妹(勝世姫)です。<br /> それにしても道忠という男は、いくら世をはかなんだとはいえ、勝手に旅に出てしまい、妻子の人生を台無しにしてしまったのですから、男の風上にも置けない無責任なヤツだと思います。<br /> 

    【 姉妹の像 】

     湖を回り込むように走ると、そこにもこんな像がありました。
     左が姉(玉代姫)、右が妹(勝世姫)です。
     それにしても道忠という男は、いくら世をはかなんだとはいえ、勝手に旅に出てしまい、妻子の人生を台無しにしてしまったのですから、男の風上にも置けない無責任なヤツだと思います。
     

  • 【 三途川橋 】<br /><br /> 小川原湖をあとにして今度は下北半島の西側を陸奥湾に沿って北上すると恐山に着きます。<br /> 入り口に写真の橋が架かっていますが、車はこの橋に並行している車道を走っているので、うっかりすると通り過ぎてしまいます。<br /> 橋のたもとに車を停めて、橋を渡ろうとしたところ、老朽化のため渡橋禁止の札が。<br /> 三途の川といえば彼岸への第一関門でしょうに、渡れないというのはなんともシラケる話です。 修理にさほどのお金がかかるとも思えませんが。

    【 三途川橋 】

     小川原湖をあとにして今度は下北半島の西側を陸奥湾に沿って北上すると恐山に着きます。
     入り口に写真の橋が架かっていますが、車はこの橋に並行している車道を走っているので、うっかりすると通り過ぎてしまいます。
     橋のたもとに車を停めて、橋を渡ろうとしたところ、老朽化のため渡橋禁止の札が。
     三途の川といえば彼岸への第一関門でしょうに、渡れないというのはなんともシラケる話です。 修理にさほどのお金がかかるとも思えませんが。

  • 【 三途の川 】<br /><br /> 下を流れるのは三途の川ということになっていますが、地図上の名前は「正津川」という、なんとも散文的なものです。<br /> 青味を帯びた透明な水で、辺りに漂う硫黄臭と併せて、いよいよ霊場に入るという緊張感をもたせてくれます。

    【 三途の川 】

     下を流れるのは三途の川ということになっていますが、地図上の名前は「正津川」という、なんとも散文的なものです。
     青味を帯びた透明な水で、辺りに漂う硫黄臭と併せて、いよいよ霊場に入るという緊張感をもたせてくれます。

  • 【 奪衣婆と懸衣翁 】<br /><br /> 橋のたもとにはこんな像も。<br /> 死んだ人が三途の川を渡るには6文の渡し賃を払わなければなりませんが、それがない人は奪衣婆に身ぐるみ剥がれてしまうのだそうですね。<br /> 奪衣婆はその衣服を懸衣翁に渡し、懸衣翁はそれを衣領樹に懸け、枝のたわみ具合で死後の処遇を決めるのだとか。<br /> 学生時代、貧者に対するその情け容赦ないやり方に憤慨した私は、死んだ野武士が奪衣婆の着物を剥ぎ取って裸の鬼婆を三途の川に投げ入れるという戯曲を書いたのですが、誰にも相手にされず、結局舞台上演は成りませんでした。

    【 奪衣婆と懸衣翁 】

     橋のたもとにはこんな像も。
     死んだ人が三途の川を渡るには6文の渡し賃を払わなければなりませんが、それがない人は奪衣婆に身ぐるみ剥がれてしまうのだそうですね。
     奪衣婆はその衣服を懸衣翁に渡し、懸衣翁はそれを衣領樹に懸け、枝のたわみ具合で死後の処遇を決めるのだとか。
     学生時代、貧者に対するその情け容赦ないやり方に憤慨した私は、死んだ野武士が奪衣婆の着物を剥ぎ取って裸の鬼婆を三途の川に投げ入れるという戯曲を書いたのですが、誰にも相手にされず、結局舞台上演は成りませんでした。

  • 【 総門 】<br /><br /> 三途川橋から500mほど進むと、広い駐車場があり、恐山菩提寺の総門があります。<br /> 日本三大霊場とかいいますが、ここはまだ観光寺の雰囲気で、門から中に入るには500円の入山券を買わなければなりません。<br /> 私は今晩このお寺に泊まることになっており、宿泊料12000円を払うわけですから、500円は必要ないと思っていたのですが、問答無用で取られました。

    【 総門 】

     三途川橋から500mほど進むと、広い駐車場があり、恐山菩提寺の総門があります。
     日本三大霊場とかいいますが、ここはまだ観光寺の雰囲気で、門から中に入るには500円の入山券を買わなければなりません。
     私は今晩このお寺に泊まることになっており、宿泊料12000円を払うわけですから、500円は必要ないと思っていたのですが、問答無用で取られました。

  • 【 イタコの口寄せ 】<br /><br /> 総門を入ると舗装していない広い空間があり、そこにブルーシートで囲った小屋(?)が2つ。<br /> 覗いてみると奥にイタコがいて、なにやら呪文のような唸り声をあげ、向かい合った客が頭を下げています。<br /> 狭い小屋の中には屋台のラーメン屋みたいな長椅子があり、そこに順番まちの客が窮屈そうに坐っています。<br /> イタコは死者の霊を呼び寄せ、死者の言葉を客に伝えるということで、出てきた人にどんな言葉が伝えられたかを聞いてみると、<br /> 「よく来てくれたねえ、嬉しいよ」<br /> 「元気そうで安心したよ」<br /> 「家族仲良く暮らせよ」<br />というようなことだそうです。<br /><br /> それなら、私でもイタコになれそうですね。

    【 イタコの口寄せ 】

     総門を入ると舗装していない広い空間があり、そこにブルーシートで囲った小屋(?)が2つ。
     覗いてみると奥にイタコがいて、なにやら呪文のような唸り声をあげ、向かい合った客が頭を下げています。
     狭い小屋の中には屋台のラーメン屋みたいな長椅子があり、そこに順番まちの客が窮屈そうに坐っています。
     イタコは死者の霊を呼び寄せ、死者の言葉を客に伝えるということで、出てきた人にどんな言葉が伝えられたかを聞いてみると、
     「よく来てくれたねえ、嬉しいよ」
     「元気そうで安心したよ」
     「家族仲良く暮らせよ」
    というようなことだそうです。

     それなら、私でもイタコになれそうですね。

  • 【 山門 】<br /><br /> 総門からまっすぐに進むと、山門があります。<br /> 恐山というおどろおどろしい名前からは悪霊でも巣食っていそうな不気味なイメージを抱いてしまいますが、どうしてどうして、明るいきれいなお寺です。<br /> いったいどういうわけで恐山などという名前がついたのかと思いますが、聞いてみると拍子抜けがしてしまいます。<br /> お寺のある一帯は「宇曾利山(うそりやま)」といい、それが長い間に「うそりざん」となり、その後さらに「おそれざん」と訛ってしまったというのです。<br /> だから「恐れ」とは関係なく、いわくありげなイタコも曹洞宗であるこのお寺とは何の関係もないのだそうです。<br /> <br /> 因みにイタコは常日頃からここにいる訳ではなく、人出の行事があるときに八戸や青森などからやってくるのだとか。 なんだか花火大会に駆け付ける焼きそば屋さんみたいですね。<br /> 

    【 山門 】

     総門からまっすぐに進むと、山門があります。
     恐山というおどろおどろしい名前からは悪霊でも巣食っていそうな不気味なイメージを抱いてしまいますが、どうしてどうして、明るいきれいなお寺です。
     いったいどういうわけで恐山などという名前がついたのかと思いますが、聞いてみると拍子抜けがしてしまいます。
     お寺のある一帯は「宇曾利山(うそりやま)」といい、それが長い間に「うそりざん」となり、その後さらに「おそれざん」と訛ってしまったというのです。
     だから「恐れ」とは関係なく、いわくありげなイタコも曹洞宗であるこのお寺とは何の関係もないのだそうです。
     
     因みにイタコは常日頃からここにいる訳ではなく、人出の行事があるときに八戸や青森などからやってくるのだとか。 なんだか花火大会に駆け付ける焼きそば屋さんみたいですね。
     

  • 【 山門前のお地蔵様 】<br /><br /> 二層の山門は瓦葺、入母屋造りの堂々たるもので、その左手前にごつごつした石を積んだ塚があり、お地蔵様が建っています。<br /> 着物や布がかけてあるのは地元の人の思いでしょうか。

    【 山門前のお地蔵様 】

     二層の山門は瓦葺、入母屋造りの堂々たるもので、その左手前にごつごつした石を積んだ塚があり、お地蔵様が建っています。
     着物や布がかけてあるのは地元の人の思いでしょうか。

  • 【 亡くなったお子さんへ 】<br /><br /> ごつごつした石の上に、丸くて平らな石がいくつも置かれています。<br /> それぞれに戒名が書かれていますが、「〇〇童子」というものが多いところをみると、亡くなったお子さんの冥福を祈ってのことでしょう。 サインペンのようなもので不揃いに書かれているのが親御さんの心情をいっそうリアルに表しているようで、こちらも胸が詰まります。

    【 亡くなったお子さんへ 】

     ごつごつした石の上に、丸くて平らな石がいくつも置かれています。
     それぞれに戒名が書かれていますが、「〇〇童子」というものが多いところをみると、亡くなったお子さんの冥福を祈ってのことでしょう。 サインペンのようなもので不揃いに書かれているのが親御さんの心情をいっそうリアルに表しているようで、こちらも胸が詰まります。

  • 【 地蔵殿 】<br /><br /> さて山門をくぐると正面に地蔵殿が見えてきます。<br /> この恐山菩提寺の本尊は地蔵菩薩ですから、点在する堂宇の中でも中心となるものでしょう。<br /> 

    【 地蔵殿 】

     さて山門をくぐると正面に地蔵殿が見えてきます。
     この恐山菩提寺の本尊は地蔵菩薩ですから、点在する堂宇の中でも中心となるものでしょう。
     

  • 【 奥之院への坂 】<br /><br /> その地蔵殿の裏に奥之院に続く細い坂道があります。(写真右)<br /> 登ってみましょう。<br /> 

    【 奥之院への坂 】

     その地蔵殿の裏に奥之院に続く細い坂道があります。(写真右)
     登ってみましょう。
     

  • 【 奥之院・不動明王 】<br /><br /> 歩きにくい道ではありますが、さほど苦労せずに奥之院に着きます。<br /> 露座の不動明王がおわしますが、奥之院という思い込みからするとやや拍子抜けする質素なものです。<br /> そばに立つ小鳥の巣箱みたいなものは賽銭箱ですが、お不動様の前に小銭がそこそこ置いてあるところを見ると、皆さん箱には入れないようです。

    【 奥之院・不動明王 】

     歩きにくい道ではありますが、さほど苦労せずに奥之院に着きます。
     露座の不動明王がおわしますが、奥之院という思い込みからするとやや拍子抜けする質素なものです。
     そばに立つ小鳥の巣箱みたいなものは賽銭箱ですが、お不動様の前に小銭がそこそこ置いてあるところを見ると、皆さん箱には入れないようです。

  • 【 恐山菩提寺境内 】<br /><br /> 奥之院から戻る途中、改めて境内を見渡してみます。<br /> このあとは、写真に写っていない右側の荒れ地に向かいます。

    【 恐山菩提寺境内 】

     奥之院から戻る途中、改めて境内を見渡してみます。
     このあとは、写真に写っていない右側の荒れ地に向かいます。

  • 【 地獄と呼ばれる荒れ地 】<br /><br /> この辺り一帯は地獄と呼ばれています。<br /> しかし、死者が苦しみもがく地獄の雰囲気はまったくありません。 私にはむしろ、喧騒や虚飾と無縁の聖なる場所のように思えます。

    【 地獄と呼ばれる荒れ地 】

     この辺り一帯は地獄と呼ばれています。
     しかし、死者が苦しみもがく地獄の雰囲気はまったくありません。 私にはむしろ、喧騒や虚飾と無縁の聖なる場所のように思えます。

  • 【 かすかな蒸気と硫黄臭 】<br /><br /> 所々、写真には写らないくらいのかすかな蒸気が出ており、そこだけ岩が硫黄で黄色くなっています。<br /> あちこちの温泉場にある○○地獄というような所ではたいてい硫黄の匂いがしますが、どうして硫黄と地獄を結びつけるのでしょうか?<br /> 日常生活で嗅ぐことのない匂いだからでしょうか?

    【 かすかな蒸気と硫黄臭 】

     所々、写真には写らないくらいのかすかな蒸気が出ており、そこだけ岩が硫黄で黄色くなっています。
     あちこちの温泉場にある○○地獄というような所ではたいてい硫黄の匂いがしますが、どうして硫黄と地獄を結びつけるのでしょうか?
     日常生活で嗅ぐことのない匂いだからでしょうか?

  • 【 冥界の使者? 】<br /><br /> カラスは墓地に沢山いたりして、なんとなく死と関係があるようなイメージをもたれていますが、実際は頭の良い、人懐っこい鳥だそうですね。<br /> 収集場に出した生ごみを散乱させたりお墓の供物をさらったりするのも、人間の行動パターンをよく覚えるからで、別に悪気があるわけではないと思うのですが。<br /> まあ、全身真っ黒というのが不運といえば不運で、色とりどりの鳥の世界では一番貧乏くじを引いているのではないでしょうか。

    【 冥界の使者? 】

     カラスは墓地に沢山いたりして、なんとなく死と関係があるようなイメージをもたれていますが、実際は頭の良い、人懐っこい鳥だそうですね。
     収集場に出した生ごみを散乱させたりお墓の供物をさらったりするのも、人間の行動パターンをよく覚えるからで、別に悪気があるわけではないと思うのですが。
     まあ、全身真っ黒というのが不運といえば不運で、色とりどりの鳥の世界では一番貧乏くじを引いているのではないでしょうか。

  • 【 石に込められた思い 】<br /><br /> 岩の上に、こぶし大の石が沢山置かれています。 小さなお地蔵様も。<br /> 実は私も前回来たときに、死んだ肉親を思って同じように石を置きました。 これは母親の分、これは兄の分、これは妹の分・・・と。 あとで父親の分を置かなかったことに気づき、慌てましたが。<br /> まあ、父親なんてそんなものでしょうか。 今回は謝りながら2個置きました。あんまり意味はありませんが。

    【 石に込められた思い 】

     岩の上に、こぶし大の石が沢山置かれています。 小さなお地蔵様も。
     実は私も前回来たときに、死んだ肉親を思って同じように石を置きました。 これは母親の分、これは兄の分、これは妹の分・・・と。 あとで父親の分を置かなかったことに気づき、慌てましたが。
     まあ、父親なんてそんなものでしょうか。 今回は謝りながら2個置きました。あんまり意味はありませんが。

  • 【 慈覚大師堂 】<br /><br /> 恐山菩提寺は慈覚大師円仁によって開かれたのだそうで、その円仁を祀ったお堂があります。<br /> 延暦寺の座主まで務めた高僧を祀るにしては小さく質素なお堂ですが、荒涼とした辺りの景色とあいまって、却って円仁の高潔さを思わせる佇まいです。<br /><br /> 「お母さん、中尊寺を開いたのが円仁だったよねえ。 ここも円仁が開いたんだってよ」

    【 慈覚大師堂 】

     恐山菩提寺は慈覚大師円仁によって開かれたのだそうで、その円仁を祀ったお堂があります。
     延暦寺の座主まで務めた高僧を祀るにしては小さく質素なお堂ですが、荒涼とした辺りの景色とあいまって、却って円仁の高潔さを思わせる佇まいです。

     「お母さん、中尊寺を開いたのが円仁だったよねえ。 ここも円仁が開いたんだってよ」

  • 【 永代無縁碑 】<br /><br /> 死後は縁者と同じ墓で眠りたいというのは、多くの人が願うことだと思います。<br /> さいわい私は妻と同じ墓が確保できて、私はもちろんのこと、待っている妻も安心だろうと思っています。<br /> しかし世の中には誰にも知られず死に、連絡先も分からず遺骨の引き取り手もいないという人が大勢います。 <br /> そういう人たちを一緒に埋葬する無縁墓というのは、見ず知らずの生者の善意が結集されたもので、願わくば被葬者同士が新たな縁者として永久に仲良く過ごす場になってほしいものです。<br /> ここは墓ではなく碑のみですが、願いは同じで、私も心を込めてお参りしました。<br /> でも、「永代無縁碑」って、日本語としてちょっとおかしくないでしょうか?

    【 永代無縁碑 】

     死後は縁者と同じ墓で眠りたいというのは、多くの人が願うことだと思います。
     さいわい私は妻と同じ墓が確保できて、私はもちろんのこと、待っている妻も安心だろうと思っています。
     しかし世の中には誰にも知られず死に、連絡先も分からず遺骨の引き取り手もいないという人が大勢います。 
     そういう人たちを一緒に埋葬する無縁墓というのは、見ず知らずの生者の善意が結集されたもので、願わくば被葬者同士が新たな縁者として永久に仲良く過ごす場になってほしいものです。
     ここは墓ではなく碑のみですが、願いは同じで、私も心を込めてお参りしました。
     でも、「永代無縁碑」って、日本語としてちょっとおかしくないでしょうか?

  • 【 八葉塔 】<br /><br /> 納骨施設です。<br /> 下から2段目が八角形になっていて、上面に蓮の花びらが8枚かたどられています。<br /> 花びらなのに「八葉」というのはおかしいと思いますが、いちいちイチャモンをつけるのは私の悪い癖なので、それでいいことにしましょう。

    【 八葉塔 】

     納骨施設です。
     下から2段目が八角形になっていて、上面に蓮の花びらが8枚かたどられています。
     花びらなのに「八葉」というのはおかしいと思いますが、いちいちイチャモンをつけるのは私の悪い癖なので、それでいいことにしましょう。

  • 【 風車(かざぐるま) 】<br /><br /> あちこちで風車が回っています。<br /> 生まれる前に亡くなってしまったお子さん、あるいは折角生まれたのに幼くして亡くなったお子さんを慰めるために親御さんが立てていきます。<br /> 恐山に限らず、どこのお寺でも水子地蔵の周りに風車があるのを見かけますが、ここでは静まり返った荒地にカラカラとかすかな音を立てて回るカラフルな風車という独特のシチュエーションが、訪れる人の心に沁みる風景を作り出しているのだと思います。<br /><br /> 「お母さん、まさか風車の弥七は来てないよねえ?」

    【 風車(かざぐるま) 】

     あちこちで風車が回っています。
     生まれる前に亡くなってしまったお子さん、あるいは折角生まれたのに幼くして亡くなったお子さんを慰めるために親御さんが立てていきます。
     恐山に限らず、どこのお寺でも水子地蔵の周りに風車があるのを見かけますが、ここでは静まり返った荒地にカラカラとかすかな音を立てて回るカラフルな風車という独特のシチュエーションが、訪れる人の心に沁みる風景を作り出しているのだと思います。

     「お母さん、まさか風車の弥七は来てないよねえ?」

  •  【 積み石とお地蔵様 】<br /><br /> 所々、石が積んであり、小さなお地蔵様があったりします。<br /> 石は誰が何のために積むのか、いろいろ言われていますが得心のいくものはありません。 ここでは場所柄、賽の河原の石積みを真似ているのかも知れません。<br /> 私も前回親兄妹の分として石を積んだと書きましたが、そのときは漠然と墓標のような感じをもっていました。<br /> 今回、妻の分を積みましたが、これは墓標ではなく、「妻と一緒に来た記念」の意味でした。 妻がここにいるとも思わないし、妻をここに置いて帰るつもりもないからです。

     【 積み石とお地蔵様 】

     所々、石が積んであり、小さなお地蔵様があったりします。
     石は誰が何のために積むのか、いろいろ言われていますが得心のいくものはありません。 ここでは場所柄、賽の河原の石積みを真似ているのかも知れません。
     私も前回親兄妹の分として石を積んだと書きましたが、そのときは漠然と墓標のような感じをもっていました。
     今回、妻の分を積みましたが、これは墓標ではなく、「妻と一緒に来た記念」の意味でした。 妻がここにいるとも思わないし、妻をここに置いて帰るつもりもないからです。

  • 【 延命地蔵尊 】<br /><br /> 小高い丘の上に立つ延命地蔵尊。<br /> 私は妻より10年も長く生きているので、いまさら延命など願う気持ちはさらになく、ただ景色を見るためだけで丘に登ってみました。<br /> 宇曾利山湖は剣岳の噴火でできたカルデラ湖だそうで、延命地蔵尊の位置からはその全貌が見渡せます。菩提寺境内から奥之院、地獄と呼ばれる荒れ地はすべて外輪山に囲まれた盆地にあり、なるほど信仰の生まれる土地だと納得できます。

    【 延命地蔵尊 】

     小高い丘の上に立つ延命地蔵尊。
     私は妻より10年も長く生きているので、いまさら延命など願う気持ちはさらになく、ただ景色を見るためだけで丘に登ってみました。
     宇曾利山湖は剣岳の噴火でできたカルデラ湖だそうで、延命地蔵尊の位置からはその全貌が見渡せます。菩提寺境内から奥之院、地獄と呼ばれる荒れ地はすべて外輪山に囲まれた盆地にあり、なるほど信仰の生まれる土地だと納得できます。

  • 【 震災慰霊塔 】<br /><br /> 前回来たときには見かけなかったお地蔵様が宇曾利山湖を背にして坐っておられました。<br /> 東日本大震災の犠牲者を供養するために建てられたものだそうです。<br /> それなら私もせめてお賽銭ぐらいと思ったのですが、折悪しくあの国の団体がいて、ギャースカギャースカ騒ぎながら入れ替わり立ち代り写真を撮っていて、なかなか近づけません。なんでお地蔵様の前でポーズを取るのでしょう?<br /> この写真は、ファインダーに人が入り込まない瞬間を粘り強く待ち続けて、やっと撮った1枚です。<br /> 

    【 震災慰霊塔 】

     前回来たときには見かけなかったお地蔵様が宇曾利山湖を背にして坐っておられました。
     東日本大震災の犠牲者を供養するために建てられたものだそうです。
     それなら私もせめてお賽銭ぐらいと思ったのですが、折悪しくあの国の団体がいて、ギャースカギャースカ騒ぎながら入れ替わり立ち代り写真を撮っていて、なかなか近づけません。なんでお地蔵様の前でポーズを取るのでしょう?
     この写真は、ファインダーに人が入り込まない瞬間を粘り強く待ち続けて、やっと撮った1枚です。
     

  • ( 極楽浜 )<br /><br /> 宇曾利山湖のほとりは静かで美しく、極楽浜と呼ばれています。<br /> 亡くなった人がここにいると思ってのことでしょう、誰かが砂浜に花を立ててありました。<br /><br /> 「お母さん、極楽はこういう所かも知れないねえ。 でも、ここに居ちゃあダメだよ。俺と一緒に帰るんだよ」

    ( 極楽浜 )

     宇曾利山湖のほとりは静かで美しく、極楽浜と呼ばれています。
     亡くなった人がここにいると思ってのことでしょう、誰かが砂浜に花を立ててありました。

     「お母さん、極楽はこういう所かも知れないねえ。 でも、ここに居ちゃあダメだよ。俺と一緒に帰るんだよ」

  • 【 宿坊 】<br /><br /> この日は恐山菩提寺の宿坊に泊まります。<br /> 広くてきれいで、私には勿体ないくらいの宿です。玄関の下駄箱はチラッと見た感じで400人分ぐらいあったと思いますが、この日の宿泊客は私を含めて5人。一人12000円で5人・・・経営は成り立つのでしょうか?<br /> 大浴場も露天風呂もありますが、部屋にテレビはありません。携帯電話も通じません。部屋に風呂がないくらいはどうということもありませんが、トイレがウォッシュレットでないのはちょっと残念です。<br /> <br /> 

    【 宿坊 】

     この日は恐山菩提寺の宿坊に泊まります。
     広くてきれいで、私には勿体ないくらいの宿です。玄関の下駄箱はチラッと見た感じで400人分ぐらいあったと思いますが、この日の宿泊客は私を含めて5人。一人12000円で5人・・・経営は成り立つのでしょうか?
     大浴場も露天風呂もありますが、部屋にテレビはありません。携帯電話も通じません。部屋に風呂がないくらいはどうということもありませんが、トイレがウォッシュレットでないのはちょっと残念です。
     
     

  • 【 宿泊の心得 】<br /><br /> 座卓の上に置かれた注意書きです。<br /> いきなり「当山宿坊はサービス業ではありません」と書いてあり、食事時間や服装のきまりを「厳守」するようにと続きます。<br /> 食事の前には「五観の偈」というのを唱えなければなりません。<br /> 五観の偈とは<br />   一には功の多少を計り、彼の来所を量る。<br />   二には己が徳行の、全缺を忖って供に応ず。<br />   三には心を防ぎ過を離るることは、貪等を宗とす。<br />   四には正に良薬を事とするは、形枯を療ぜんがためなり。<br />   五には成道のための故に、いま此の食を受く。<br />というもので、お坊さんについて大きな声で唱えます。<br /> 意味は・・・まったく分かりません。<br /> 茶碗・汁椀はもちろん、皿も手に持って食べなければなりません。お新香などはつい、テーブルに置かれた皿に箸を伸ばしてしまいますが、その都度注意されます。<br /> 食事中のお喋りは厳禁です。<br /> 少々窮屈ではありますが、それもまた得難い体験ですし、ご飯もおかずもたっぷり出ますので、文句はありません。<br /> ただ・・・ただ・・・ビールがあれば・・・<br />

    【 宿泊の心得 】

     座卓の上に置かれた注意書きです。
     いきなり「当山宿坊はサービス業ではありません」と書いてあり、食事時間や服装のきまりを「厳守」するようにと続きます。
     食事の前には「五観の偈」というのを唱えなければなりません。
     五観の偈とは
       一には功の多少を計り、彼の来所を量る。
       二には己が徳行の、全缺を忖って供に応ず。
       三には心を防ぎ過を離るることは、貪等を宗とす。
       四には正に良薬を事とするは、形枯を療ぜんがためなり。
       五には成道のための故に、いま此の食を受く。
    というもので、お坊さんについて大きな声で唱えます。
     意味は・・・まったく分かりません。
     茶碗・汁椀はもちろん、皿も手に持って食べなければなりません。お新香などはつい、テーブルに置かれた皿に箸を伸ばしてしまいますが、その都度注意されます。
     食事中のお喋りは厳禁です。
     少々窮屈ではありますが、それもまた得難い体験ですし、ご飯もおかずもたっぷり出ますので、文句はありません。
     ただ・・・ただ・・・ビールがあれば・・・

  • 【 湯小屋 】<br /><br /> 食事のあとで境内にある湯小屋に行きました。<br /> 懐中電灯を貸してくれますので、その灯りを頼りに、昼間見当をつけておいた方角に行ったのですが、なかなか見つからず、ようやくたどり着いたのがここです。<br /> 「男湯」と書かれています。 もちろん「女湯」と「混浴」もあるのですが、身の安全を考えて、近づかないことにします。

    【 湯小屋 】

     食事のあとで境内にある湯小屋に行きました。
     懐中電灯を貸してくれますので、その灯りを頼りに、昼間見当をつけておいた方角に行ったのですが、なかなか見つからず、ようやくたどり着いたのがここです。
     「男湯」と書かれています。 もちろん「女湯」と「混浴」もあるのですが、身の安全を考えて、近づかないことにします。

  • 【 温泉 】<br /><br /> 明治時代からこの辺りには硫黄鉱山があり、その掘削作業で温泉が出たのがこの恐山温泉なのだそうです。<br /> 硫黄分が強いので、石鹸やシャンプーが使えないのはもちろん、湯をかぶったり顔につけたりしないようにと注意書きがあります。<br /> 私はそれを読んでから入ったのですが、ちょうど良い湯加減に、ついいつもの癖で「極楽、極楽」とばかりに顔を洗ってしまいました。 それを洗い落とそうにも真水がありません。 <br /> まあ、かぶれたところでどうということもない顔ですが。

    【 温泉 】

     明治時代からこの辺りには硫黄鉱山があり、その掘削作業で温泉が出たのがこの恐山温泉なのだそうです。
     硫黄分が強いので、石鹸やシャンプーが使えないのはもちろん、湯をかぶったり顔につけたりしないようにと注意書きがあります。
     私はそれを読んでから入ったのですが、ちょうど良い湯加減に、ついいつもの癖で「極楽、極楽」とばかりに顔を洗ってしまいました。 それを洗い落とそうにも真水がありません。 
     まあ、かぶれたところでどうということもない顔ですが。

  • 【 地蔵殿への渡り廊下 】<br /><br /> 翌朝、祈祷のため地蔵殿へ向かいます。<br /> 長い渡り廊下を歩いているうちに気持ちが引き締まってきます。<br /> 

    【 地蔵殿への渡り廊下 】

     翌朝、祈祷のため地蔵殿へ向かいます。
     長い渡り廊下を歩いているうちに気持ちが引き締まってきます。
     

  • 【 地蔵殿 】<br /><br /> お坊さんによる読経と法話があります。<br /> 5人のお坊さんの声が見事に溶け合って、重厚な太鼓とのコラボレーションが荘厳な空間を作り出します。<br /> お経の意味は分からないのですが、宿泊者の安全や健康を祈願するという内容が含まれていたようで、5人の住所氏名が読まれました。

    【 地蔵殿 】

     お坊さんによる読経と法話があります。
     5人のお坊さんの声が見事に溶け合って、重厚な太鼓とのコラボレーションが荘厳な空間を作り出します。
     お経の意味は分からないのですが、宿泊者の安全や健康を祈願するという内容が含まれていたようで、5人の住所氏名が読まれました。

  • 【 本堂でのお勤め 】<br /><br /> そのあと、本堂に場所を変えてのお勤めがあります。<br /> ここでは先祖や新たに亡くなった人を供養するための読経が行われます。 地蔵殿でのお勤めのときに膝の前に妻の小さな写真を置いていたのですが、それをお坊さんが見ていたようで、さっきの写真を貸してくださいと言われました。<br /> お坊さんはそれを祭壇の真ん中に立ててくれ、その心遣いに感激していると、お経の中に妻の名が出てきて、不覚にも涙が溢れてしまいました。

    【 本堂でのお勤め 】

     そのあと、本堂に場所を変えてのお勤めがあります。
     ここでは先祖や新たに亡くなった人を供養するための読経が行われます。 地蔵殿でのお勤めのときに膝の前に妻の小さな写真を置いていたのですが、それをお坊さんが見ていたようで、さっきの写真を貸してくださいと言われました。
     お坊さんはそれを祭壇の真ん中に立ててくれ、その心遣いに感激していると、お経の中に妻の名が出てきて、不覚にも涙が溢れてしまいました。

  • 【 塔婆堂 】<br /><br /> 妻の写真と並んで本堂の祭壇にあげてもらった塔婆を納めるため、塔婆堂に向かいます。

    【 塔婆堂 】

     妻の写真と並んで本堂の祭壇にあげてもらった塔婆を納めるため、塔婆堂に向かいます。

  • 【 塔婆堂内部 】<br /><br /> 塔婆堂の中にはお地蔵様がおわします。<br /> その前に妻の塔婆を立て、改めて妻への慈悲慈愛をお願いしました。<br /> 周りに人がいないと、つい妻に話しかけてしまいます。<br /><br /> 「お母さん、塔婆はここでお地蔵様に守ってもらおうね。 でもお母さんは俺と一緒に木更津に帰るんだよ」

    【 塔婆堂内部 】

     塔婆堂の中にはお地蔵様がおわします。
     その前に妻の塔婆を立て、改めて妻への慈悲慈愛をお願いしました。
     周りに人がいないと、つい妻に話しかけてしまいます。

     「お母さん、塔婆はここでお地蔵様に守ってもらおうね。 でもお母さんは俺と一緒に木更津に帰るんだよ」

  • 【 恐山をあとに 】<br /><br /> かくして恐山参拝は終わりました。<br /> 前回、よもや妻の供養でまた来るなどということは思いもよりませんでしたが、神仏のなせるわざには抗うすべもありません。<br /> 今、妻の霊が恐山にいるとはまったく思いませんが、妻の足跡くらいは残せたかなと自分に言い聞かせながら山を下ります。

    【 恐山をあとに 】

     かくして恐山参拝は終わりました。
     前回、よもや妻の供養でまた来るなどということは思いもよりませんでしたが、神仏のなせるわざには抗うすべもありません。
     今、妻の霊が恐山にいるとはまったく思いませんが、妻の足跡くらいは残せたかなと自分に言い聞かせながら山を下ります。

  • 【 脇野沢港 】<br /><br /> 下北半島南岸を陸奥湾に沿って西へ向かい、脇野沢港に着きました。<br /> 波をイメージしたものでしょうか? でも波って、こうやって向き合っては立ちませんから、違うものかも知れません。 マグロの目玉? いや、それも違いますね。 便器の中の渦? いやいや、やめておきましょう。<br /> 

    【 脇野沢港 】

     下北半島南岸を陸奥湾に沿って西へ向かい、脇野沢港に着きました。
     波をイメージしたものでしょうか? でも波って、こうやって向き合っては立ちませんから、違うものかも知れません。 マグロの目玉? いや、それも違いますね。 便器の中の渦? いやいや、やめておきましょう。
     

  • 【 むつ湾フェリー・かもしか 】<br /><br /> 下北半島と津軽半島を結ぶ「むつ湾フェリー」が着岸しました。 船名は「かもしか」です。<br /> 海を渡る船の名が「かもしか」というのはピンときませんが、かといって「マナティ」や「ジュゴン」では速そうなイメージではありませんし、まして「くらげ」や「ダボハゼ」というのもどうかと思いますので、いいことにしましょう。<br /> 津軽半島の蟹田港までは9810円、ちょうど1時間の船旅です。

    【 むつ湾フェリー・かもしか 】

     下北半島と津軽半島を結ぶ「むつ湾フェリー」が着岸しました。 船名は「かもしか」です。
     海を渡る船の名が「かもしか」というのはピンときませんが、かといって「マナティ」や「ジュゴン」では速そうなイメージではありませんし、まして「くらげ」や「ダボハゼ」というのもどうかと思いますので、いいことにしましょう。
     津軽半島の蟹田港までは9810円、ちょうど1時間の船旅です。

  • 【 斜陽館 】<br /><br /> 今回の旅は恐山が目的でしたが、せっかくですから帰りに恐山と並んで語られることの多い秋田の川原毛地獄に行ってみようと思い東北地方の中央部を南へ下ります。<br /> 五所川原市の「斜陽館」へ。 太宰治の父親が建てた豪邸で、太宰自身は「無駄に大きい家」と言っていたようですが、そうは言っても太宰の生活の場でもあった所ですから、見ておく価値はあるでしょう。<br /> <br /> 

    【 斜陽館 】

     今回の旅は恐山が目的でしたが、せっかくですから帰りに恐山と並んで語られることの多い秋田の川原毛地獄に行ってみようと思い東北地方の中央部を南へ下ります。
     五所川原市の「斜陽館」へ。 太宰治の父親が建てた豪邸で、太宰自身は「無駄に大きい家」と言っていたようですが、そうは言っても太宰の生活の場でもあった所ですから、見ておく価値はあるでしょう。
     
     

  • 【 二階 】<br /><br /> 一階に11室、二階に8室あるという豪邸は後年人手に渡り、旅館として使われたそうですが、なるほど昔の旅館はこういう間取りでした。

    【 二階 】

     一階に11室、二階に8室あるという豪邸は後年人手に渡り、旅館として使われたそうですが、なるほど昔の旅館はこういう間取りでした。

  • 【 二階洋間 】<br /><br /> 成金趣味・・・と言ってはなんですが。

    【 二階洋間 】

     成金趣味・・・と言ってはなんですが。

  • 【 うーん 】<br /><br /> 太宰の父親は大地主だったそうですが、それにしても贅を極めた作りですね。<br /><br /> 「お母さん、『高原へいらっしゃい』のホテルを思い出すねえ」

    【 うーん 】

     太宰の父親は大地主だったそうですが、それにしても贅を極めた作りですね。

     「お母さん、『高原へいらっしゃい』のホテルを思い出すねえ」

  • 【 ラーメンのどんぶり 】<br /><br /> 斜陽館前の「はな」という店で昼食にします。<br /> 近くの十三湖で採れたしじみを使っているという「しじみラーメン」で、あっさりしたとても美味しいものでした。<br /> スープが減るにつれてどんぶりに書かれた文字が現れてきます。<br /> <br /> 「さらば旅人よ、命あらばまた他日、元気でいこう、絶望するな、では、失敬」<br /><br /> 太宰治の言葉だろうなと思って写真に撮り、車に戻ってパソコンを開いてみました。 なんと、太宰治の有名な「津軽」の最後に出てくる言葉でした。(「津軽」では「さらば読者よ」となっています)<br /> 「津軽」なら私も読んでいます。それなのに、この言葉、おそらくは作者の思いの凝縮された一文なのでしょうが、私はまったく覚えていませんでした。 いまさらながら、自分の読書の浅さを思い知らされた次第です。

    【 ラーメンのどんぶり 】

     斜陽館前の「はな」という店で昼食にします。
     近くの十三湖で採れたしじみを使っているという「しじみラーメン」で、あっさりしたとても美味しいものでした。
     スープが減るにつれてどんぶりに書かれた文字が現れてきます。
     
     「さらば旅人よ、命あらばまた他日、元気でいこう、絶望するな、では、失敬」

     太宰治の言葉だろうなと思って写真に撮り、車に戻ってパソコンを開いてみました。 なんと、太宰治の有名な「津軽」の最後に出てくる言葉でした。(「津軽」では「さらば読者よ」となっています)
     「津軽」なら私も読んでいます。それなのに、この言葉、おそらくは作者の思いの凝縮された一文なのでしょうが、私はまったく覚えていませんでした。 いまさらながら、自分の読書の浅さを思い知らされた次第です。

  • 【 立佞武多の館 】<br /><br /> 同じ五所川原市にある「立佞武多の館」。 私はまだ行ったことがないので、寄ってみることにしました。<br /> 駐車場は、帰りに入館券を見せれば無料になるとのこと。 <br /> 私はかねがね、多くの寺社や遊園地などが駐車料金と入場料を別々に取るということに腹が立っていました。 その施設を利用するために駐車しているのに、施設利用料のほかに駐車料金を取るというのは二重取りだと思うからです。<br /> 立佞武多の館のやり方が当たり前だと思いますが、わざわざ無料になると念を押してくれた親切に、「青森はいい所だ」と、見当違いの感激をしてしまいました。<br /> そして入館券(600円)を買おうとすると、これまた親切にもJAFカードをお持ちですかと訊いてくれ、540円になりました。<br /> 青森はいい所だなあ。

    【 立佞武多の館 】

     同じ五所川原市にある「立佞武多の館」。 私はまだ行ったことがないので、寄ってみることにしました。
     駐車場は、帰りに入館券を見せれば無料になるとのこと。 
     私はかねがね、多くの寺社や遊園地などが駐車料金と入場料を別々に取るということに腹が立っていました。 その施設を利用するために駐車しているのに、施設利用料のほかに駐車料金を取るというのは二重取りだと思うからです。
     立佞武多の館のやり方が当たり前だと思いますが、わざわざ無料になると念を押してくれた親切に、「青森はいい所だ」と、見当違いの感激をしてしまいました。
     そして入館券(600円)を買おうとすると、これまた親切にもJAFカードをお持ちですかと訊いてくれ、540円になりました。
     青森はいい所だなあ。

  • 【 白髭水と夫婦梵鐘 】<br /><br /> 立佞武多は毎年1体ずつ作られるそうで、これは平成27年の作品です。<br /> 「津軽十三浦伝説 白髭水と夫婦梵鐘」と名付けられており、次の伝説を形にしたものです。<br /><br /> 今から250年ほど前、人々は毎年起こる十三浦(とさうら。今の十三湖)の洪水や津波を、白い波に乗ってやってくる老人のイメージから白髭水と呼んで恐れていた。<br /> ある年、この地方の2つのお寺に納める雌雄の鐘が京都から海路津軽まで送られてきたが、船が十三浦に入ったときにまた津波があり、鐘は湖底に沈んでしまった。<br /> 雄鐘は見つかったものの、雌鐘はとうとう見つからなかった。 その後長円寺に納められた雄鐘をつくと、その音は「十三恋しやゴーン」と響き、湖底からそれに応えるように「長円寺恋しやゴーン」という音が聞こえるようになったという。<br /><br /> 私はこの話を知りませんでしたので、像を見ても何が何だか分かりませんでしたが、説明を聞いて造作の一つひとつに意味があることが分かりました。

    【 白髭水と夫婦梵鐘 】

     立佞武多は毎年1体ずつ作られるそうで、これは平成27年の作品です。
     「津軽十三浦伝説 白髭水と夫婦梵鐘」と名付けられており、次の伝説を形にしたものです。

     今から250年ほど前、人々は毎年起こる十三浦(とさうら。今の十三湖)の洪水や津波を、白い波に乗ってやってくる老人のイメージから白髭水と呼んで恐れていた。
     ある年、この地方の2つのお寺に納める雌雄の鐘が京都から海路津軽まで送られてきたが、船が十三浦に入ったときにまた津波があり、鐘は湖底に沈んでしまった。
     雄鐘は見つかったものの、雌鐘はとうとう見つからなかった。 その後長円寺に納められた雄鐘をつくと、その音は「十三恋しやゴーン」と響き、湖底からそれに応えるように「長円寺恋しやゴーン」という音が聞こえるようになったという。

     私はこの話を知りませんでしたので、像を見ても何が何だか分かりませんでしたが、説明を聞いて造作の一つひとつに意味があることが分かりました。

  • 【 長山洋子さん? 】<br /><br /> これは、「恋の津軽十三湖」という歌を歌った長山洋子さんだそうです。<br /> 私はその歌を知りませんでしたので、YouTubeで聴いてみました。 伝説を知らなければ、聴いても何のことだか分かりませんね。 いや、知っていても分かりません。 想像力の不足でしょうか?

    【 長山洋子さん? 】

     これは、「恋の津軽十三湖」という歌を歌った長山洋子さんだそうです。
     私はその歌を知りませんでしたので、YouTubeで聴いてみました。 伝説を知らなければ、聴いても何のことだか分かりませんね。 いや、知っていても分かりません。 想像力の不足でしょうか?

  • 【 纏 】<br /><br /> 館内には直近3年分の立佞武多が展示してあり、これは最新作(今年・平成29年)の「纏」です。<br /> 火事場の屋根の上で纏を振る火消しの姿が力強く表現されています。<br /> 右にエレベーターが見えますでしょうか? 館内は吹き抜けになっており、観客はまずエレベーターで4階に上り、そこから螺旋状になったスロープを下りてくるわけですが、それによって巨大な山車をいろいろな高さと角度から見ることができます。

    【 纏 】

     館内には直近3年分の立佞武多が展示してあり、これは最新作(今年・平成29年)の「纏」です。
     火事場の屋根の上で纏を振る火消しの姿が力強く表現されています。
     右にエレベーターが見えますでしょうか? 館内は吹き抜けになっており、観客はまずエレベーターで4階に上り、そこから螺旋状になったスロープを下りてくるわけですが、それによって巨大な山車をいろいろな高さと角度から見ることができます。

  • 【 上から 】<br /><br /> その4階から火消しの顔を見おろします。<br /> 江戸時代の火消しはカッコイイですね。 昔、東千代之介扮する町火消しが・・・いやいや、年がバレるからやめておきましょう。<br /> といっても、この旅行記を丁寧に読んでくださっている方にはもうバレていることで、「64歳で死んだ妻」「妻より10年も長く生きているので」などと書いてしまったのは、なんとも迂闊なことでした。

    【 上から 】

     その4階から火消しの顔を見おろします。
     江戸時代の火消しはカッコイイですね。 昔、東千代之介扮する町火消しが・・・いやいや、年がバレるからやめておきましょう。
     といっても、この旅行記を丁寧に読んでくださっている方にはもうバレていることで、「64歳で死んだ妻」「妻より10年も長く生きているので」などと書いてしまったのは、なんとも迂闊なことでした。

  • 【 炎 】<br /><br /> 火消しの背中で燃え盛る炎に近づいてみます。<br /> 大胆な筆使いと鮮やかな色に圧倒されます。

    【 炎 】

     火消しの背中で燃え盛る炎に近づいてみます。
     大胆な筆使いと鮮やかな色に圧倒されます。

  • 【 後ろから 】<br /><br /> 後ろに回ってみると、炎の中に不動明王が。<br /> そしてその下には、梯子につかまる若い女性が描かれています。 「纏」という題材で火事場の梯子を登る若い女といえば、八百屋お七しか思い浮かびません。 説明がないので断言はできませんが、たぶんそうでしょう。

    【 後ろから 】

     後ろに回ってみると、炎の中に不動明王が。
     そしてその下には、梯子につかまる若い女性が描かれています。 「纏」という題材で火事場の梯子を登る若い女といえば、八百屋お七しか思い浮かびません。 説明がないので断言はできませんが、たぶんそうでしょう。

  • 【 出雲阿国 】<br /><br /> その「纏」の後ろにもう1基。 去年の作品で「歌舞伎創生出雲阿国」と書かれています。<br /> 出雲阿国といえば戦国時代の末か江戸時代の初めに評判をとった踊り子。あるときは巫女、あるときは遊女と謎の多い女性で、京都の四条大橋のたもとにある像が有名ですね。<br /> 私はその像の気品さえ漂う踊り姿が脳裏に焼き付いているのですが、ここの阿国は韋駄天走りのおてんば娘のようで、ちょっとイメージが違います。<br /> むろん私が阿国のすべてを知っているわけではありませんので、こういう一面もあったのだろうと思います。

    【 出雲阿国 】

     その「纏」の後ろにもう1基。 去年の作品で「歌舞伎創生出雲阿国」と書かれています。
     出雲阿国といえば戦国時代の末か江戸時代の初めに評判をとった踊り子。あるときは巫女、あるときは遊女と謎の多い女性で、京都の四条大橋のたもとにある像が有名ですね。
     私はその像の気品さえ漂う踊り姿が脳裏に焼き付いているのですが、ここの阿国は韋駄天走りのおてんば娘のようで、ちょっとイメージが違います。
     むろん私が阿国のすべてを知っているわけではありませんので、こういう一面もあったのだろうと思います。

  • 【 この高さ 】<br /><br /> 螺旋状のスロープを下り、人物像の台座の高さまできました。<br /> そこから見下ろすと下に人間が小さく見えます。 立佞武多そのものは高さが20mを超えるそうで、中は鉄筋、総重量は19tにもなるとのことです。<br /> 五所川原市では、立佞武多が巡行する道路の電線を地下に埋設しているということですが、熱の入れ方が一通りではないのですね。

    【 この高さ 】

     螺旋状のスロープを下り、人物像の台座の高さまできました。
     そこから見下ろすと下に人間が小さく見えます。 立佞武多そのものは高さが20mを超えるそうで、中は鉄筋、総重量は19tにもなるとのことです。
     五所川原市では、立佞武多が巡行する道路の電線を地下に埋設しているということですが、熱の入れ方が一通りではないのですね。

  • 【 鶴の舞橋 】<br /><br /> 私はかねてから青森県の鶴田町にあるという「鶴の舞橋」に行ってみたいと思っていました。<br /> 供養の旅と言いながら妻をダシに使うようで気はひけますが、自分の年齢を考えると、この先また青森に来られるという保証はないので、寄り道をすることにしました。<br /> 津軽富士見湖と呼ばれる大きな溜池に架かる三連太鼓橋で、岩木山を望む景勝地にあり、鶴が羽根を広げて舞っている姿をイメージしているそうです。<br /> <br /> 

    【 鶴の舞橋 】

     私はかねてから青森県の鶴田町にあるという「鶴の舞橋」に行ってみたいと思っていました。
     供養の旅と言いながら妻をダシに使うようで気はひけますが、自分の年齢を考えると、この先また青森に来られるという保証はないので、寄り道をすることにしました。
     津軽富士見湖と呼ばれる大きな溜池に架かる三連太鼓橋で、岩木山を望む景勝地にあり、鶴が羽根を広げて舞っている姿をイメージしているそうです。
     
     

  • 【 鶴の舞橋 】<br /><br /> 太鼓橋とはいっても、その傾斜は歩いていても疲れない角度になっているそうで、なるほど上に立ってみても気になるほどのものではありません。<br /> そして・・・、何を隠そう、私はこの橋を知ったそのときから、いつか行って、裸足で渡ってみたいと思っていたのです。<br /> ジャジャーン! 渡りました。裸足で。 雨の中、傘をさしての往復でしたが、足裏にぴたっと貼りつくような木の感触はえもいわれぬ心地よいものでした。<br /><br /> 「お母さん、ごめんね。 俺だけこんないい思いをしちゃって」

    【 鶴の舞橋 】

     太鼓橋とはいっても、その傾斜は歩いていても疲れない角度になっているそうで、なるほど上に立ってみても気になるほどのものではありません。
     そして・・・、何を隠そう、私はこの橋を知ったそのときから、いつか行って、裸足で渡ってみたいと思っていたのです。
     ジャジャーン! 渡りました。裸足で。 雨の中、傘をさしての往復でしたが、足裏にぴたっと貼りつくような木の感触はえもいわれぬ心地よいものでした。

     「お母さん、ごめんね。 俺だけこんないい思いをしちゃって」

  • 【 鶴の舞橋 】<br /><br /> 途中には休憩所のような空間も設けられていて、この橋が実用本位でないことが分かります。<br /> ここでしばらく過ごしました。 <br /> カモ、オオバン、カイツブリ、ダイサギ、アオサギ、カワウ、セキレイ、そのほか名前の分からない鳥が数種類見られました。

    【 鶴の舞橋 】

     途中には休憩所のような空間も設けられていて、この橋が実用本位でないことが分かります。
     ここでしばらく過ごしました。 
     カモ、オオバン、カイツブリ、ダイサギ、アオサギ、カワウ、セキレイ、そのほか名前の分からない鳥が数種類見られました。

  • 【 鶴の舞橋 】<br /><br /> この橋はすべて青森県産のヒバを使って作られているそうで、長さは300m、幅は3mです。<br /> 要した木材は丸太が3000本、板が3000枚だとか。 人口13000人の小さな町がよくぞこんなに立派なものを作ったものだと敬服します。

    【 鶴の舞橋 】

     この橋はすべて青森県産のヒバを使って作られているそうで、長さは300m、幅は3mです。
     要した木材は丸太が3000本、板が3000枚だとか。 人口13000人の小さな町がよくぞこんなに立派なものを作ったものだと敬服します。

  • 【 鶴の舞橋 】<br /><br /> ところでここ津軽富士見湖には悲しい伝説があります。<br /><br /> 今から600年ほど前のこと。清水城の城主忠勝は狩りの途中、草深い里で美しい白上姫と出遭い一目で恋をし、それからは一人で狩りに出ては白上姫との逢瀬を楽しんでいた。その一方で忠勝には琴姫という武家の娘との婚約が進んでおり、忠勝はいつしか白上姫を忘れていった。<br /> そうとも知らぬ白上姫は約束した忠勝の正月用の晴れ着を縫い上げ、城に向かった。城に近づくと大変な人通り。通りかかった人に聞くと、その日は忠勝の婚礼の日であった。<br /> 茫然自失した白上姫は津軽富士見湖に身を投げる。そのことを伝え聞いた忠勝ではあったが、琴姫との新婚生活を享受するあまり一笑に付してしまう。<br /> だがしばらくすると精神に異常をきたすようになり、家臣を呼び寄せては切り捨てるという奇行の果て、妻の琴姫をも切り殺すと、城を抜け出して津軽富士見湖に身を投じてしまった。<br /> 人々は堂宇を建て、年ごとに二人の供養を続けたということである。<br /><br /> なんという話でしょうか。 白上姫の供養は分かりますが、忠勝の供養まで続けるとは。<br /> 小川原湖の話といい、青森の人たちは身勝手な男にいささか寛大すぎるのではないかと思います。

    【 鶴の舞橋 】

     ところでここ津軽富士見湖には悲しい伝説があります。

     今から600年ほど前のこと。清水城の城主忠勝は狩りの途中、草深い里で美しい白上姫と出遭い一目で恋をし、それからは一人で狩りに出ては白上姫との逢瀬を楽しんでいた。その一方で忠勝には琴姫という武家の娘との婚約が進んでおり、忠勝はいつしか白上姫を忘れていった。
     そうとも知らぬ白上姫は約束した忠勝の正月用の晴れ着を縫い上げ、城に向かった。城に近づくと大変な人通り。通りかかった人に聞くと、その日は忠勝の婚礼の日であった。
     茫然自失した白上姫は津軽富士見湖に身を投げる。そのことを伝え聞いた忠勝ではあったが、琴姫との新婚生活を享受するあまり一笑に付してしまう。
     だがしばらくすると精神に異常をきたすようになり、家臣を呼び寄せては切り捨てるという奇行の果て、妻の琴姫をも切り殺すと、城を抜け出して津軽富士見湖に身を投じてしまった。
     人々は堂宇を建て、年ごとに二人の供養を続けたということである。

     なんという話でしょうか。 白上姫の供養は分かりますが、忠勝の供養まで続けるとは。
     小川原湖の話といい、青森の人たちは身勝手な男にいささか寛大すぎるのではないかと思います。

  • 【 りんご 】<br /><br /> 鶴の舞橋を堪能したあと、走り出すと左右にリンゴ畑が続いていました。<br /> いうまでもなく青森はリンゴの名産地で、「わたしはまっかなりんごです お国は寒い北の国」と歌われているのは多分、青森県だと、私は勝手に思っています。 ここ鶴田町の学校給食にはほぼ毎日地元産のリンゴが出るという話を聞いたこともありますから、まさにリンゴの本場にいるんだという昂揚感に浸ることができました。<br /> 明日は秋田に向かいますが、その前に今夜寝る所を探さなければなりません。<br /> 気づけば辺りはもう、落日の残照も消え、雨もまた強さを増していました。

    【 りんご 】

     鶴の舞橋を堪能したあと、走り出すと左右にリンゴ畑が続いていました。
     いうまでもなく青森はリンゴの名産地で、「わたしはまっかなりんごです お国は寒い北の国」と歌われているのは多分、青森県だと、私は勝手に思っています。 ここ鶴田町の学校給食にはほぼ毎日地元産のリンゴが出るという話を聞いたこともありますから、まさにリンゴの本場にいるんだという昂揚感に浸ることができました。
     明日は秋田に向かいますが、その前に今夜寝る所を探さなければなりません。
     気づけば辺りはもう、落日の残照も消え、雨もまた強さを増していました。

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この旅行記へのコメント (19)

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  • わきさん 2019/01/06 13:31:05
    深き見どころ多い旅行記を拝見しました
    ねんきん老人様

    大変に見どころの多い旅行記、
    そして思わず書き込まないではいられませんでしたので、
    初めて記載させて頂きます。

    恐山
    はるか昔に読んだ、寺山の田園に死すの歌集
    「恐山和讃」 が当方に甦りました。

    これはこの世のことならず、
    死出の山路のすそ野なる、
    さいの河原の物語、
    十にも足らぬ幼な児が、
    さいの河原に集まりて、
    峰の嵐の音すれば、
    父かと思ひよぢのぼり、
    谷の流れをきくときは、
    母かと思ひはせ下り、
    手足は血潮に染みながら、
    河原の石をとり集め、
    これにて回向の塔をつむ、

    一つつんでは父のため、
    二つつんでは母のため、
    兄弟わが身と回向して、
    昼はひとりで遊べども、
    日も入りあひのその頃に、
    地獄の鬼があらはれて、
    つみたる塔をおしくづす

    他に、天台宗座主円仁のことなど
    記憶の底から甦りました。

    最後に、遅まきながら
    亡き配偶者様の ご冥福をお祈り致します。

    わき

    ねんきん老人

    ねんきん老人さん からの返信 2019/01/07 08:48:19
    不覚ながら、涙を禁じ得ませんでした。
    わき様、 ご丁寧な書き込みをありがとうございました。
    寺山修二さんの和讃は浅学にして知りませんでしたが、その文言はいくつかの御詠歌の中に出てきますので、そうとは知らずに私も仏壇の妻に語り聞かせておりました。
    今回、わき様の書き込んでくださったものを繰り返し拝読し、その一行一行、一言一言に胸がつまり、不覚にも涙を禁じ得ませんでした。
    妻が死んで1年8か月が経ちますが、悲しみはいささかも減ずることがありません。
    周囲は「早く忘れて自分の人生を楽しめ」の大合唱ですが、私は「忘れてなるものか!」と心中で抵抗しています。私から見れば若すぎる歳で人生の楽しみをすべて奪われた妻を忘れて自分が楽しむなどということは考えられません。
    もし、妻が今の私を見ることができたら、きっと「私のことはいいから自分のことを考えてくださいよ」と言うでしょう。その妻にもし聞こえるなら、私は「冗談じゃない、お前のことを考えている間だけが俺の救いなんだ」と言うでしょう。
    妻はきっと見ることも聞くこともできない所にいるのだと思いますが、そうは思いながらも、近くに人がいなければ、私はいつも妻に語りかけています。 もし人に見られたり聞かれたりしたら、きっと気の触れたジジイが独り言を言っていると思われることでしょう。
    そんな状態ですから、わき様が書いてくださった寺山修二さんの和讃は心に沁みます。これからも繰り返し読ませていただきます。
    ありがとうございました。

    ねんきん老人

    わき

    わきさん からの返信 2019/01/07 10:38:00
    Re: 配偶者様とねんきん老人様のために
    再度次の2つの歌をたむけさせて頂きます。

    悼歌

    その遇いのやさしさを耐えよ
    いくつの夢をかぞえて
    ぼろぼろと鳴り
    くずおれる掌であったか
    瞳に寒く声は瓦り
    蒼くうきたつ涸れたながれが
    佇むせまい地をながれていった
    不安な夢に肖る自らを
    みつめる眼にいっさいの風景は消え
    遠く弔旗が風を巻いて炎えている
    あざやかに醒めるこころを象り
    凍てた石塊に朱くにじんでゆくいのちのいろ
    もしもいちまつの問いがあるなら
    刻のきわみに昏れてあらしめよ
    それを語ってはならぬ
         (阿久根靖夫)

    喝采

    未来に関する
    希望に関する
    残酷な哲学の中で
    あなたは眠ることさえできるのだ
    けだものの目蓋を透かして
    私が所有する
    あなた
    その肺房
    その涙
    空の思想
    はりつめているだけの痛み
    むしろ私はしんみりと眠ってみたい
    あなたの髪につつまれて
    暗闇の片隅に
    皿のように光る鏡をおいて

    そんなことができるもんか
    あなたは
    コオヒイの湯気のむこうがわにいて
    胸の形を整え
    少し血のにじんだ頬を
    朝の光にたたかせて
    ああ
    じっと喝采に聞き入っている
      (清水哲男)




    最後に、配偶者様のために心より
       
        合掌



    失礼致しました。
    わき



  • しにあの旅人さん 2018/09/01 19:12:59
    はじめまして
    奥様のご冥福をお祈りします。
    奥様への供養になるかと想い、ブログを読ましていただきます。

    私の薩摩大隅宮参りに初めてのいいねをいただきました。ありがとうございます。
    引用の典拠ばかりの退屈なブログで、読んでくれる人がいるかと思っておりました。
    励みになります。

    ねんきん老人

    ねんきん老人さん からの返信 2018/09/02 09:44:13
    世界が広がる思いです。
    シニアの旅人さん、お早うございます。
     狭い世界に引きこもったような旅行記をお読みくださり、その上書き込みまでしていただき、恐縮しながらも嬉しい気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
     愚妻の冥福をお祈りいただいたことは、早速仏前に報告いたしました。重ねてありがとうございます。

     シニアの旅人さんのブログは、タイトルからご夫婦旅と推察し、羨ましさを感じながら開かせていただきました。
     まず、神社というものに対する感覚に深い共感を覚えました。私も神社を訪ねるときに神が何もおっしゃらないことに却って敬神の念を深めています。
     そして、これは私のつまらぬ主張ですが、神社仏閣で何か願い事をするということはしません。神仏は敬するものであって「ねだり事」をする相手ではないと思っているからです。

     旅行記のサイトは数々あり、投稿記事は星の数ほどもありますが、その多くが「行った、食べた」の羅列です。中には説明もなく、料理を一品ごとに写した写真を延々と載せているブログもあります。
     正直な感想を申し上げるならば、「だから何?」と言いたい気分です。
     そういう中で、シニアの旅人さんのブログは神社を訪ねる意図がはっきりしており、神社ごとの由緒や見どころなどが懇切に解説されたいて、惹き込まれます。私も自分のパソコンで旅行記を拝読しながら、隣の机のパソコン(机もパソコンも妻のもので、生前のままに置いてあります)で、旅行記に出てくる神社を検索しながら併読いたしました。
     4トラ会員には、内容の濃い旅行記を掲載されている方も多く、いつも感動しながら読んでいるのですが、今回また私の知らないことが分かりやすく解説されている旅行記に出会い、興味津々でした。自分の世界がまた一つ開けた感じで、良い時間を過ごすことができました。
     お礼を申し上げるとともに、今後のご指導をよろしくお願いいたします。
     
     最後に、言わずもがなのことではありますが、奥様を大切になさってください。思いもよらず妻を失った者からの、切なるお願いです。

    ねんきん老人

    しにあの旅人

    しにあの旅人さん からの返信 2018/09/02 17:09:57
    ご返事いただき有り難うございます。
    妻もねんきん老人さんのブログを読んでおりました。いたく感激しておりました。ブログの内容はもちろん、奥様を思う気持ちに心を打たれたのでしょう。

    私のブログは妻との共作です。原稿を起こし、妻に見てもらい、推敲を重ねます。イギリス紀行のハワース、ウインダミアでは、一部妻に文章を完全にかませました。文章をめぐって、夫婦げんかにもなりました。
    お言葉通り、妻を大事にいたします。

    ブログを拝読して、青森にも行ってみたくなりました。岩木山神社があります。車の運転が安全にできるうちに行っておく必要がありますね。
    夫婦とも72です。75までは大丈夫だと思いますが、80は無理でしょうね。

    ねんきん老人

    ねんきん老人さん からの返信 2018/09/02 19:21:18
    75歳までは保証します。
    シニアの旅人さん、ご丁寧にまたお返事をいただき恐縮の限りです。

     まったく恥ずかしい話ですが、私は生前も今も、妻を余人に代えがたい妻だと思っています。 むろん、才色ともに月並み以下であり、他人様から見れば何がいいのかと言われる妻ですが、何と言っても私のような者を夫として支え続けてくれたのは他の人にはできないことで、それだけで私はこの妻の為なら何でもしようと思い続けていました。

     シニアの旅人さんは、ご夫婦でブログの文章を推敲されていらっしゃるとのこと、なんと素敵なことでしょう。 私は妻を「ひたすら保護すべき存在」と考えており、対等に意見を交わすというような相手だとは思っていませんでした。
     今にして思えば、妻は私のことを、「自分を可愛がるだけで対等には扱ってくれない夫」と思っていたかも知れません。
     どうか奥様との素敵なやりとりをずっと続けてください。

     75歳まで車の運転は大丈夫だろうとのことですが、それは保証します。
     私が今75歳、運転には何の不自由も感じません。
     この土曜日から車で出かけます。妻と約束していた広島の厳島神社、山口の錦帯橋に行き、ついでに私だけの希望で関門海峡の海底トンネルまで行くつもりです。
     運転に不安はありませんが、自分では気づいていない運転能力の衰えも考え、意識的に休憩をとりながらゆっくり行ってきます。千葉県の自宅からで往復10日ほどを考えています。
     ねんきん生活ですから、宿代を浮かすために専ら車中泊ですが、妻を亡くしてからというもの、ホテルやレストランはちっとも楽しくないので、一人で車内でカンビールとコンビニ弁当の食事をするのは至福の限りです。
     この調子なら、80歳になっても車で旅行できるのではないかと思っています。シニアの旅人さんも、75歳というラインを引かず、いつまでも行動的なご夫婦であり続けられますよう、お祈りと応援を申し上げます。

    ねんきん老人
  • kiyoさん 2018/04/02 12:13:43
    白黒写真がまたなんともいえず
    ねんきん老人さん、こんにちは。

    奥様の供養になったのだろうかという疑念。
    そのお気持ち、お察しします。
    私も、母が急死して8年経ちますが、
    旅行に行くたびに、
    「お母さん、ごめんね。私だけ楽しんで。
     お母さんも一緒に連れてきてあげたかったな」と考えます。

    でも、寝ても覚めても頭から離れない。
    そうしたお気持ちのねんきん老人さんを、
    きっと奥様は空の上からすごく心配されているのではないでしょうか。

    私が奥様の立場だったら、
    ねんきん老人さんが、いつも楽しく、自分の分まで毎日を楽しんでいる、
    そんな姿にほっとして、自分も幸せな気分になれるような気がします。

    まあ、勝手な私の想像ですが(^^;

    ところで、恐山。
    白黒写真で見ると、
    カラスも永代無縁碑も、
    いかにもといった雰囲気が感じられ、
    ちょっと怖い感じですね。

    それにしても、お食事。
    お皿を持って食べないと、注意されてしまうんですか。
    厳しいのですね。
    kiyo

    ねんきん老人

    ねんきん老人さん からの返信 2018/04/02 16:04:26
    私だけが楽しむことへの罪悪感を克服しなければいけませんね。
    kiyo さん、書き込みありがとうございました。

     母上を亡くされたのですか。 急死とありますから、心の準備もなく、さぞ辛かったことと拝察いたします。
     旅行に行くたびに自分だけが楽しい思いをすることを母上に謝る気持ちだったとのこと、よく分かります。
     私も元気いっぱいだった妻が軽い気持ちで病院に行って、その場で癌を告げられ、余命1年を宣告され、その11か月後に旅立つという状況でしたから、「そんな馬鹿な!」という気持ちに捉われたまま介護生活を送りました。
     妻が死んでそろそろ1年が経ちますが、いまだに何をする気にもなれません。
    桜が咲いても、妻が見ることができないのに自分だけ見に行くのは気が咎めて行けません。炊事ができないので専ら外食に頼っていますが、メニューで美味しそうなものを見ても、妻が食べられないのに自分だけ食べるのは妻が可哀想に思えて、いつも同じものばかり食べています。
     テレビも、妻が見られないのに自分だけ見る気にはなれず、スイッチを入れることさえしません。

     でも、kiyo さんの仰るように、私がそんな生活をしていることを妻は喜ばないかも知れませんね。
     妻を安心させるためにも、私自身が以前の私のように行動的にならないといけないのかも知れません。
     母上を急に亡くされたkiyo さんの、実感としてのアドバイスですから、私も少し努力してみようかと思います。
     いつか妻に追いついたときに、妻に叱られないように、努力して、妻の生前の私の姿をそのまま見せてやらなければとも思います。
     妻の立場に立ってのアドバイスをいただき、本当にありがとうございました。
     これからもどうぞよろしくお願いいたします。

    ねんきん老人
  • エンドレスジャーニーさん 2018/02/24 12:28:02
    しみじみと味わいのある旅行記ですね
    ねんきんさん(失礼)の旅行記にはいつも感情移入させられる
    のですが、今回は特によかったです!

    青森はぼくも大好きな地で何度も訪れています。車での移動で
    あれば、四つの海が一日の内に見れてしまう
    (太平洋・陸奥湾・津軽海峡・日本海)。

    とある夏の日、地図帳で見つけた淋代海岸という地名に惹かれ、
    旅立ちました。

    淋代海岸とは鉛色にうねる太平洋がただ茫洋と広がる地であって、
    港や漁船などもほとんど目にしない、およそ人の暮らしをあまり
    感じさせない淋しい場所でした。なんと正確な地名でしょうか。

    その日の午後に津軽側に移動しましたが、鯵ヶ沢など日本海側
    は陽光にきらめき、波もおだやか、海水浴客も見かけたのでした。
    こと夏の間は、東京地域の人間の抱く太平洋側と日本海側のイメージ
    が逆転した在り様が、新鮮に感じられたのでした。

    さて、以前ご紹介の城山三郎著作はお気に入られたようですので、
    再度ご紹介。 城山三郎 著 「どうせ、あちらへは手ぶらで行く」

    「きみ無くて 何の桜か 箱根路」
    「この夏は 写真とともに 花火見る」

    ご一読あれ。

    ねんきん老人

    ねんきん老人さん からの返信 2018/02/28 14:55:02
    太平洋側と日本海側のイメージ
     エンドレスジャーニーさん、書き込みありがとうございました。

     淋代海岸の情景は仰るとおり人の暮らしをあまり感じさせないですね。
     エンドレスジャーニーさんが海の色や波にまで目を留められた感性に脱帽です。私はそこまで気がつきませんでした。
     確かに私たちは「演歌の似合う日本海」などと言って、日本海は鉛色でうねりが強く風も吹く海というイメージを持っています。
     「ひまわりはいつも太陽に向かって咲く」という先入観同様、ステレオタイプな見方であったと恥じる次第です。

     ご教示いただいた「どうせ、あちらへは手ぶらで行く」は大きな本屋を2軒回りましたが置いてなく、取り寄せを依頼しました。
     入りましたら読ませていただきます。ありがとうございました。
     これからもよろしくお願いいたします。

    ねんきん老人


    エンドレスジャーニー

    エンドレスジャーニーさん からの返信 2018/02/28 16:41:22
    Re: しみじみと味わいのある旅行記ですね
    ネット購入(例アマゾン)に抵抗がなければPCで簡単に注文できますよ。
    ぼくは程度のよい中古をアマゾンで1円で買いました♪
  • nimameさん 2018/02/18 14:03:22
    恐山。
    ねんきん老人さん・・こんにちは・・
    四国の巡礼も終わり、如何しているかしら?と思いましたら、恐山にも行かれたんですね。
    千葉から青森って、かなりの距離走りましたね・・
    道中にはナニコレ珍百景、ほんと只見ただけではビックリしますが・・
    詳しく書かれていて、なるほど・と納得して読ませて貰いました。
    nimameも恐山は5・6年前でしょうか?
    4トラ仲間のTO今中さんと行ったのですが、手配全てお任せで宿坊にも泊まりました。
    泊まった人でなければ解らない雰囲気、朝のお参り凄く厳粛な気持ちになり・
    身内を亡くされた人の気持ち、垣間見た気が致しました。
    イタコの口寄せもしていたなんて、なかなかお目にかかれませんよね・・
    でも聞いてみると無難な言葉ですね!!
    それこそ宿坊に泊まった次の日の事思い出しました。
    nimame朝早く目が覚めて、何時も一人で散歩に出かけるのが好きで・・
    この宿坊も何時もの如く散歩に、門が空いていたので三途の川まで歩いて・
    所が帰って来たら門が閉まってるェェ(´д`)ェェ
    焦りました。
    回り見回しても人が居ない、ひたすら誰か出て来るの待って・・
    後で聞いたら、門は掃除の為開いただけで、掃除が終わると閉められた!
    今・考えたら携帯も何も持たなかったのかしら?・
    自分でも焦った記憶しか残っていません(笑)
    千葉と言えば房総半島、寒い網走に居るnimameにしたら、春一番菜の花見ながら房総半島良いな♪
    と思ってしまいます。
    今年も奥様と一緒に出掛けた旅、楽しみに待っていますね。

    nimame

    ねんきん老人

    ねんきん老人さん からの返信 2018/02/18 16:51:43
    体験の共有って、嬉しいですね。
    nimameさん、丁寧な書き込み、ありがとうございました。

     恐山総門が開くのは確か6時だったと思いますが、それより前の掃除の時間に出てしまったとは! お連れさんも心配したでしょうね。 朝の勤行に間に合って良かった、良かった!
     nimameさんが恐山に行かれたということなので、4トラの過去の旅行記を探して「北海道より東北に着きました~」という旅行記を見つけました。
     早速拝読すると、載っている写真、出てくる話にいちいち覚えがあるので、「うん、うん!」「そう、そう!」と納得しながら、自分の旅行を思い出していました。体験の共有って、嬉しいものですね。

     房総は今、花の盛りです。是非お出でになってください。
     網走に行ったのはもう20年近く前ですが、最寄貝塚近くの海岸に流氷が浮かんでいて、その青さに感動した覚えがあります。また是非行きたい所です。

     これからも妻と二人(のつもり)で旅に出たいと思っていますので、また駄文を弄すると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

    ねんきん老人

    nimame

    nimameさん からの返信 2018/02/19 14:05:26
    RE: 体験の共有って、嬉しいですね。
    > nimameさん、丁寧な書き込み、ありがとうございました。
    >
    >  恐山総門が開くのは確か6時だったと思いますが、それより前の掃除の時間に出てしまったとは! お連れさんも心配したでしょうね。 朝の勤行に間に合って良かった、良かった!
    >  nimameさんが恐山に行かれたということなので、4トラの過去の旅行記を探して「北海道より東北に着きました?」という旅行記を見つけました。
    >  早速拝読すると、載っている写真、出てくる話にいちいち覚えがあるので、「うん、うん!」「そう、そう!」と納得しながら、自分の旅行を思い出していました。体験の共有って、嬉しいものですね。
    >
    >  房総は今、花の盛りです。是非お出でになってください。
    >  網走に行ったのはもう20年近く前ですが、最寄貝塚近くの海岸に流氷が浮かんでいて、その青さに感動した覚えがあります。また是非行きたい所です。
    >
    >  これからも妻と二人(のつもり)で旅に出たいと思っていますので、また駄文を弄すると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
    >
    > ねんきん老人


    ねんきん老人さん・・恐れ入ります。
    nimameの覗いて頂けて嬉しいです♪

    房総半島は今が花盛りですか・・
    飛んで行きたい気持ちです〜

    寒い網走から、暖かい地方に凄くあこがれるのですが、旦那がとにかく冬は出ない・
    特に1月・2月、何故かと言えば、留守の間に雪で家の前が埋まる・・
    そんな理由で何処にも出かけれず、ストレス溜まります(笑)

    ねんきん老人さん網走に来た事ありましたか・・
    20年前と言えば、まだ働いていた時期でしょうかね?

    今年も無事流氷が接岸して、観光シーズン真っ只中です。
    流氷見るのに最適なのは、3月暖かくなって・まだ流氷も居座ってる。
    そんな時が最高なんですが、そんなうまい話しはありませんね!!
    暖かくなれば流氷も去っていきますしね!

    今日も別の場所で・・と思い、流氷ウオッチングに行って来ました。
    後でアップ出来ればと思っています。

    有難う御座いますm(__)m   nimame

  • ももであさん 2018/02/12 07:41:11
    イタコ
    ナニコレ珍百景の軽いジャブから始まった旅記でしたが、まるで
    太宰の作品を読んでいるかの如くぐんぐん惹き込まれました。

    1枚1枚すべての写真から魂の叫びが聞こえてくるかのよう。
    まだ見ぬ東北・恐山がこんなに深いとは。

    ねんきん老人さんの軽妙な語りで巡る大満足の旅でした。
    4tra 一読者のボクですらこうですよ。

    「お父さん、本当にありがとう。とても楽しかった。」
    「ねんきん3割増しになるよう頼んでおくね。」

    津軽の風にまぎれ、そんなささやき声が聞こえました。

    ねんきん老人

    ねんきん老人さん からの返信 2018/02/12 09:31:11
    ももであイタコさんのお言葉、心に沁みました。
     ももであさん、書き込みありがとうございました。
     過分な上にも過分なお言葉をいただき、恥じ入るばかりです。
     恐山の職業イタコの発する、誰にでも当てはまる「死者の言葉」には呆れましたが、ももであさんの書いてくださった「お父さん、本当にありがとう。とても楽しかった」「ねんきん3割増しになるよう頼んでおくね」という妻の言葉は、心に沁みました。
     職業イタコは、客が死者に会いに来たとは思うでしょうが、死者と一緒に旅行しているとは思いませんものね。
     「楽しかった」という言葉は私にとって最高のもので、また妻と一緒にどこかへ行こうという気が湧いてきました。
     ねんきん3割増しになったらホテル泊、3割減になったら車中泊。どっちにしても出かけたいと思います。
     そのときにはまた4トラに投稿しようと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

    ねんきん老人

    ももであ

    ももであさん からの返信 2018/02/12 14:35:49
    同行二人
    朝起きて、たまたま4traのタイムラインで目に付いたねんきんさんの
    ブログを拝見したら、取り憑かれたように惹き込まれて、とにかく
    書き込みしたくなる衝動に駆られました。

    どうやら、「やっぱり職業イタコじゃ、だめねぇ~」ってことで!?
    58万人の4tra会員の中から、ボクに白羽の矢が立ったようです。
    そこまでして奥様は、感謝の意を伝えたかったのですね。

    追伸
    「お父さん自身が、元気に旅を楽しんでくれることが一番嬉しい♪」

    寂しくないといえばうそになるでしょう。でも決して一人旅じゃない。
    いつだってお二人で、これからも素晴らしい旅をお続け下さい。

    ねんきん老人

    ねんきん老人さん からの返信 2018/02/13 15:46:33
    妻の言葉に乗って旅に出ます。
     イタコさん、また妻の言葉を伝えてくださって、ありがとうございます。
     妻は私の嘘を見破ったりする特殊な能力をもっていましたが、今また「本当のイタコ」を探す能力を発揮して、ももであさんに白羽の矢を立てたようです。
     「お父さん自身が、元気に旅を楽しんでくれることが一番嬉しい」というなら、私も旅に出ようと思います。
     妻を連れて行ってやれなかった所に私だけが行くのは妻に悪いという気持ちがあって、なかなか腰が上がらなかったのですが、同行二人で妻への罪滅ぼしの旅に出ようかなという気にもなってきました。
     仮面をかぶって人付き合いをしている毎日ですので、旅の空で仮面を捨てて妻と二人きりになるのは、きっと楽しいと思います。
     温かいアドバイスをありがとうございました。

    ねんきん老人

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