2017/10/08 - 2017/10/14
1位(同エリア275件中)
ねんきん老人さん
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絵に描かれた地獄には、身の毛もよだつおどろおどろしいものが多いのですが、観光地などで地獄と名付けられた場所は総じて風光明媚で、こんな地獄なら行ってもいいかなと思ってしまいます。
恐山の静謐な「地獄」で一夜を過ごしての帰り道、恐山と並んで日本三大地獄に数えられているという秋田県の川原毛地獄に行ってみました。
これまで行ったことのない所ですし、写真で見る限り「美しい地獄」だと思ったからです。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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【 実った稲穂とナナカマド 】
10月11日、国道341号線を走っているとナナカマドの並木がありました。
車を降りて歩いてみます。 重そうに実った赤い実の向こうには、これまた重そうに実った稲穂が続いています。
私の住む千葉県ではもう2か月も前に稲刈りが終わっていますから、ちょっとした驚きでした。
でも考えてみれば、昔は千葉県でも稲刈りは秋の風物詩でした。
どんどん早稲が植えられるようになり、千葉県では「収穫の秋」という言葉がなくなってしまったのですね。 -
【 天然の美 】
さらに南下すると国道431号線はさながら天然の色彩回廊のようになります。
妻が生きているうちにこの美しい景色を見せてやれなかった自分を責めながら、何度も車を停めて妻の写真を景色に向けました。
そんなことをしたって妻に見えるわけはないと思いながらも、自分だけこの景色を楽しむ気にはなれず、いってみれば自分をごまかすだけのジェスチャーなのですが。 -
【 田沢湖 】
田沢湖に出ました。深さ日本一と学校で習った湖です。
昔々、院内地区に、それはそれは美しい辰子という娘がいた。辰子は自分の若さと美しさを永久に維持したいと考え、観音様に百昼夜の願掛けをした。満願の夜、北に湧く泉の水を飲めば願いが叶うとのお告げがあり、辰子は探し当てた泉の水を飲み続けた。気がつくと辰子は龍になっており、田沢湖の主となって湖底に沈んでいった。
という、なんとも間抜けな伝説が残っています。
若くて美しいというのは確かに女性の魅力の大きな要素であり、私も同窓会などで昔のクラスメイトに会ってがっかりした経験があります。でも、5分10分と話しているうちに、昔にはなかった美しさが見えてきて、人はいくつになっても美しさと無縁ではないのだなと感じ入ったものです。
辰子はこれから得られる筈の美しさを逃したということですね。馬鹿ですねえ。
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【 辰子像 】
田沢湖といえばこの像ですね。
私は昔、田沢湖に来たことがあるのですが、この像には覚えがありません。 てっきり見落としたのだと思っていましたが、今回、これが建てられたのが私の行った数年後だったのだと知りました。
初めて目にする有名な像。 感想は、「ふ~ん」というだけです。
個人的な好みの問題ですが、私はキンキンキラキラした金色塗装というのが好きではないのです。 -
【 角館駐車場 】
田沢湖から国道105号線を南下すると角館に着きます。 学生時代、ヒッチハイクで来て、バス停で野宿した所。 懐かしい思いもあって、寄ってみました。
桜並木駐車場という所に車を停めると、発券係りのおばさんが武家屋敷通りへの行き方を教えてくれました。
「おんだんほどうに出てくだんせえ」と言われたと思います。 訊き返したら「おんだんほどう、おんだんほどう」と言いましたので、確かだと思います。
東北の言葉って、いいですね。
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【 樺細工伝承館 】
まず入ったのは樺細工伝承館です。
山桜の樹皮をなめして木工品の表面に張り付ける実演をしていました。 桜なのにどうして樺細工というのか質問したところ、昔は山桜のことを「かには」と言っており、それが「かんば」→「かば」と訛ったのだという話でした。
ここで用途不明の筒状の器を買いました。 仏壇の線香立てとして使っています。 -
【 人力車 】
武家屋敷通りを人力車が行き交います。
粋ですねえ。 いや、乗っている人じゃありませんよ。 曳いてる人です。 -
【 ダリア 】
角館小学校跡という石碑に惹かれて入り込んでみると、ダリアの畑がありました。 -
【 茅葺屋根 】
萱葺の屋根は小人町通りに面した松本家です。松本家というのは学者の家系で、郷校弘道書院教授の須藤半五郎の出た家だそうです。
といっても、弘道書院も須藤半五郎も知らない私にはピンときません。
ただ、真田広之さん主演の「たそがれ清兵衛」がこの家で撮影されたと聞き、にわかにミーハー気分になりました。
真田広之さんというのは、どうしてあんなにカッコイイんですかねえ?
あの容姿を真田さんに授けた神と、私にこの容姿しかくれなかった神は同じ神でしょうか? だとしたら、えこひいきも過ぎると思うのですが。 -
【 武家屋敷の黒板塀 】
これこれ! 角館といえばこの景観ですね。
ということは、どのパンフレットにもこういう写真が載っているわけですから、なにも自分で撮らなくたっていいし、プロのきれいな写真がいくらでも見られるわけです。
それなのに、やっぱり撮ってしまうというのは、有名な場所に自分が来ているという昂揚感からでしょうか?
ところで、写真というのは必ずしも真実を伝えるものではなく、この写真は自分でも後ろめたいくらいインチキなものです。
通りに人がいないように見えますが、実際は中〇人が我が物顔で騒ぎ回っていて、写真の左右には肩がぶつかるくらいサングラスの団体が歩いています。写真に人の声が写らないというのもありがたいことです。 -
【 祭りの山車 】
角館には国の重要無形民俗文化財に指定されている「角館祭りのやま行事」というのがあるそうで、山車同士のぶつかり合いに人気があるのだとか。
その山車が展示されていました。 -
【 源義家 】
山車の人物は源義家でした。
義家って、、、あの八幡太郎義家ですよねえ。 後三年の役なんて教科書の中でしか縁のない戦いですが、その中心人物たる義家といえば飛んでいる雁の列が乱れたことで敵の伏兵を察知したとか、敗走する敵の武将に短歌の下の句を届けたとか、シロウト受けするエピソードが沢山ある人でしたね。
その義家が目の前に立っているのですから、叶うものならサインでももらいたい気分です。
そういえば義家は出羽守だったよなあ、などと暗記の域を出ない薄っぺらな勉強を思い出しました。 -
【 山車の車輪 】
ぶつかり合いが呼び物というだけあって、台座部分と車輪は頑丈な上にも頑丈に作られています。
これだけ見ていても1時間や2時間は飽きないのではないでしょうか。
ですが私は、学生時代に野宿したバス停を探すのに忙しく、ここにゆっくりはいられませんでした。
結局見つけられませんでしたが、それはそうですよねえ。もう50年以上前ですから。 -
【 ドンパン節の郷 】
角館を出て国道105号線沿いの道の駅「なかせん」に寄りました。
ドンパン節の里と書いてあり、やぐらの上になにやら人形が据えてあります。
どういうことかと思って説明板を読んでみると、
大仙市豊川に円満造さんという大工の名人がいた。彫刻師としても一流で、「東北の左甚五郎」と呼ばれた。奇人といってよい風体で人々に愛されていた一方で三味線や歌が上手で秋田甚句の合いの手を独立させて「円満造甚句」を作り、これがドンパン節となった。
ということだそうです。
やぐらの上の人形はその円満造さんで、なるほど大工さんらしく差し金を持っています。
ドンパン節はよく知っていますが、それがこうして作られたということはまったく知りませんでしたから、なんだか得をしたような気分になりました。 -
【 旅籠屋秋田六郷店 】
この日は私の定宿といってもいい「旅籠屋」に泊まります。
北海道から鹿児島まで65店舗あり、清潔、格安、幹線道路沿いですから、私のように車で移動して、夜は風呂に入って寝るだけという旅行者にはうってつけです。 またどこも同じ作り、同じサービスですから、初めて入る店舗でも勝手知ったる我が家のようで安心です。 従業員にお世辞を言われたりということもなく、そもそもフロント以外で人に会うことはまずありませんから、気楽といえばこれほど気楽な宿もありません。
ただ、老舗旅館や豪華ホテルを楽しむタイプの方には向いていません。
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【 六郷湧水群わくわく広場 】
旅籠屋のある場所は秋田県仙北郡美郷町六郷ですが、そこに六郷湧水群というのがあるというので行ってみました。
降ったり止んだりという天気が3日続いており、歩き出すと雨、車に戻ると止むという繰り返しでした。 晴れ女を自認していた妻と一緒のときには経験しなかった災難です。
まず車をわくわく広場という所に停めて、歩き出しました。 -
【 秋田諏訪宮 】
広場の近くに秋田諏訪宮という神社があります。 菅江真澄という人に関係があるらしく、その人の「六郷は養栄丸に百清水、多い寺々絶えぬ金持ち」という歌が碑になっていましたが、どんな人なのか知らないので興味も湧きません。
あとで調べたら、江戸中期の紀行家、民俗学者で、ひとかどの人物だということでした。 旅に出るたびに自分の無知を思い知らされ、愕然とします。 -
【 諏訪清水 】
神社の境内に湧水の一つ「諏訪清水」というのがあるということなので行ってみました。
静岡県にある柿田川湧水群のように透明な水がこんこんと湧き出ているものだと思っていたのですが、ただの水溜りで、とくにきれいな水でもなく、がっかりでした。 -
【 キャペコ清水 】
神社を出て歩いていると「キャペコ清水」という水溜りがありました。
キャペコ? 説明板を読んでみます。 -
【 キャペコとは 】
う~ん? そうは見えないけどなあ・・・。 -
【 御台所清水 】
秋田藩主佐竹義隆が炊事やお茶の水に使った清水だそうです。 藩主も炊事をしたんでしょうか!?
私はいまだに炊事ができず、「サトウのごはん」とカップラーメンに頼る毎日ですが、こんな私をあとに残して、妻はさぞかし心残りだろうと思います。 帰ったら「男の料理教室」にでも通いましょうかねえ。(まだ実現していません)
ここの水はまあまあきれいで。水底の砂利がよく見えます。
車を降りたときは降っていなかったので、ついつい傘を持たずに歩き始めたのですが、この清水のそばで激しい雨になり、民家の軒下で体を壁に貼りつけて雨宿りをしました。
「雨宿り」などということをしたのは、いったいいつ以来のことでしょうか?
腰から下は斜めに降る雨をよけきれずびしょ濡れになりましたが、なんだか昔を思い出して、ちょっとばかり楽しいような気分になりました。 -
【 大工・馬洗い清水 】
農耕馬を洗った清水だそうです。 なるほど広くて、馬を洗うには都合が良かったと思います。
透明で、水草が良く見えます。 縦に2本見えるのは、地上の木が水面に映っているものです。 -
【 道の駅せんなん 】
同じ美郷町に道の駅「雁の里せんなん」というのがあります。
入り口に立つ騎馬武者は源義家ですが、愛称は「雁太郎」だそうです。
義家が八幡太郎と呼ばれていたこと、雁の列が乱れたことで敵の伏兵を見破ったことから「雁」と「太郎」を合せたようですが、かなり無理がありますね。 -
【 秋田犬の鼻くそ 】
売店に「秋田犬の鼻くそ」という菓子がありました。
買いませんでしたが、ピーナッツをココアで包んだものだそうです。ユーモラスなネーミングで記憶に残りますが、口に入れるときにはちょっとためらうんじゃないですかね。 -
【 俵最中・笹もち 】
鼻くその代わりに俵最中と笹もちを買いました。
どちらもあんこたっぷりで、いささか持て余しましたが、なかなか美味しいものでした。 -
【 川原毛地獄へ 】
さて、いよいよ川原毛地獄を目指します。
県道51号線を走っていると右前方に蒸気のようなものが見えてきました。
あれが川原毛地獄でしょうか? -
【 川原毛地獄入口から 】
川原毛地獄に着きました。
ここからも先ほどの蒸気が見えます。 ということは、あれは川原毛地獄の蒸気ではなく、方角からして、あとで寄る泥湯温泉のようです。 -
【 川原毛地獄 】
そしてこれが川原毛地獄です。
一木一草とてない灰白色の大地が広がり、遠目にも何か所かで蒸気が上がっているのが分かります。 -
【 入り口近くの案内板 】
入り口といっても料金所のようなものがあるわけではなく、案内板と注意書きがあるだけです。
注意書きはあちこちにあり、有毒ガスが発生するので遊歩道以外には絶対に立ち入らないで下さい、というように書いてあります。
「この場所は高濃度の有毒ガスが発生しています。大変危険です」という表示もありました。
じゃあどうしたらいいのか? 「立ち止まらないでください」と書いてあるので、足早に通り抜けます。 -
【 川原毛地獄 】
この場所は古くから霊山として信仰され、あの慈覚大師円仁も訪れているそうです。
独特の景観が地獄に喩えられたようですが、その先には温泉があり、極楽に喩えられています。
その極楽を目指して、地獄を通り抜けることにします。
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【 噴出する蒸気 】
あちこちで蒸気が吹き出し、硫黄の匂いが鼻をつきます。
血の池とか針の山とか、炎熱地獄、叫喚地獄など、地獄に落ちた者がどんな苦しみを味わうのか、子供の頃いやと言うほど聞かされました。それぞれの地獄で苦しみ続ける時間は何百兆年、何千兆年という長さだそうで、絶対に行きたくありません。
それなのに私はアリの行列にヤカンの湯をかけて遊んだり、トンボの尻尾をちぎって飛ばしたり。神社の賽銭を盗んだり、女の子のスカートをめくったり。
子供の悪行にも時効というものはあるのでしょうか? -
【 錦繍の山並みと不毛の地獄 】
地獄と呼ばれている大地は不毛を極めていますが、くっきりとした境界を描いてその先は今が盛りと色づいた木々が重なっています。
地獄と極楽は隣り合っているという話を聞いたことがありますが、ここはまさにそうです。
お坊さんの話を聞いても、地獄に行くか極楽に行くかは、ほんのちょっとの差で決まるのだということでした。
地獄に行く人と極楽に行く人は全然違った生き方をしているのだと思っていた私には、ちょっと意外でした。 -
【 極楽の入口? 】
ともあれ極楽に行ってみようと、不毛な荒れ地をとぼとぼと20分ほど歩いて行くと、草木の生えた所に出ました。
前方に小屋のようなものが見え、ちょっとした広場になっています。 -
【 川原毛地蔵菩薩 】
その広場に川原毛地蔵菩薩が立っています。 硫黄鉱山で亡くなった人々を供養するために建てられたものだとか。
どうやらこの先を行くと極楽(温泉)に出るようです。
行ってみましょう。 -
【 川原毛地獄周辺案内図 】
ここ(B地点)までは駐車場(A地点)から下りで15分と書いてありますが、私の足が遅いのか、20分くらいかかりました。
ここから極楽に喩えられる大湯滝(C地点)までは下りで10分と書いてありますが、どうでしょうか? -
【 客数調査のカウンター 】
大湯滝に行く人の数を調べているようです。
私は妻と二人連れのつもりなので2回押したいところですが、ぐっと我慢して1回だけ押しました。
今どきの若いヤツがふざけてガチャガチャと押したりしないでしょうか? -
【 藻?の生えた川底 】
まず小さな橋を渡ります。
写真奥が上流、つまり地獄の方角です。
川の水は透明なのですが、川底には緑青色をした藻のようなものが映えています。 自然の色とは思えないので、水に含まれる何かの成分が吸収されているのかもしれません。 -
【 水面に立つ湯気 】
下流側を見ます。
下に降りたわけではないので確認はしていませんが、流れているのはお湯らしく、湯気が立っています。 -
【 滝への道 】
川筋を離れてこのような道を下ってゆきます。 急な坂もあり、帰りが思いやられます。 -
【 川原毛大湯滝 】
木々の間から滝が見えてきました。
初めて来る場所ですが、旅行雑誌などでよく見るので滝の形は分かっています。あれが川原毛大湯滝に違いありません。 -
【 正面から見る川原毛大湯滝 】
滝の正面に出ました。
私の腕が悪くて写真では大きさが伝えられませんが、落差は20mだそうです。
流れ落ちているのはお湯で、これこそ正真正銘の露天風呂です。
管理人がいるわけではありませんが、入浴適期は7月上旬から9月中旬だそうで、私は仕方なく一番下の広い所に足だけ浸けてみました。
10月中旬の冷気に冷やされてか、ややぬるめで、全身浴はやめた方がよさそうでした。 -
【 天然の湯船 】
滝の中段と下段に、あつらえたような滝壺があり、それがそのまま湯船になっています。
最近は「温泉ガール」とか「温泉女子」とかいう人種がいるらしく、その代表的なナントカさんがこの中段の滝壺に入っている写真を雑誌で見たことがあります。
美人としても知られた人で、その入浴シーンがレポートの売りになっているようですが、なんと水着を着て入っていました。 もってのほかです! -
【 コケ? 】
滝の右横はしぶきだけがかかる崖で、毒々しい緑色のコケが生えています。
コケといえば、最近は「コケガール」というのもいるんだそうですね。 まったく酔狂も極まれりという感じですが、これだけいろんな「ガール」がいるということは、「ナメクジガール」とか「ボウフラガール」なんてのもいるのでしょうか?
私のような年寄りを追いかける「ジジイガール」がいれば歓迎するのですが。
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【 霧に覆われる地獄 】
極楽で天然の足湯を楽しんだあと、さっきの広場に戻ります。 下った道を登るのですから「行きは良い良い、帰りは・・・」の歌のとおりで、あごから滴り落ちるほどの汗をかきました。
これからまた地獄地帯を抜けて車まで戻るのですが、行く手はかなり濃い霧に包まれています。 -
【 霧が晴れると 】
地獄地帯もずっと上り坂ですが、傾斜が緩やかなので汗ばむこともなく、逆に強い風で体が冷えてきました。
その強い風が霧を流し、黄色く染まった木々を惜しみなく見せてくれました。
足元には草一本も生えていないのに、ほんの数十m先からは深い森になるのですから、やっぱり極楽と地獄は近いのかも知れません。 -
【 泥湯温泉露天風呂 】
車に戻り、1kmほど走ると泥湯温泉に出ます。
汗を流したいし、冷えた体を温めたいとも思って露天風呂に入ることにしました。
内部は撮影禁止と書いてありましたが、それはそうでしょう。
周りは道路工事でもしているのか土が掘り返され、重機が動き回っていて落ち着きません。
歩くと足の裏に角ばった砂利が突き刺さる感じで、その痛さは尋常ではありません。仕方なく泳いで端まで行きました。
白髪ジジイがフルチンで泳いでいるのですから、もしほかに人がいたらなんと思ったことでしょう。
端の方は底に泥が溜まっており、その泥を体に塗って入っている写真が貼ってありました。 えっ? 撮影禁止じゃないの?
それでなくても茶褐色の湯ですし、身体中に泥が付いているのですから、なんだか乾季の水溜りでごろごろしている野生動物のようです。
因みに茶褐色と書きましたが、ネットで見ると白濁湯ということで、写真を見ても白く写っています。クチコミを見ると、本当は透明だという人もいます。台風のあとなどには山の土が流れ込んで茶褐色になるということです。
私の行ったのは台風のあとではありませんから、重機で掘り返した土が流れ込んでいたのかもしれません。 あ~あ! -
【 奥山旅館 】
やはり泥水に浸かったような気分でさっぱりしないので、向かい側の奥山旅館の内湯に入り直します。
書き忘れましたが、さっきの露天風呂も奥山旅館のもので、500円の入湯券で両方に入れます。 (どちらにも券を確認する人はいませんが、そんなことをここに書くのは良くないので、読まなかったことにしてください) -
【 三途川橋 】
泥湯温泉を出て県道51号線を10km弱戻ると、三途川橋に出ます。
すぐそばに駐車場があるので歩いてみます。
まず橋の手前(川原毛方面)に延命地蔵と合掌地蔵が鎮座しています。 -
【 三途川渓谷 】
橋の中ほどに、下を見るためのせり出したテラスがあり、覗いてみるとこんな感じです。
橋から40m下を流れるのは三途川。V字になった断崖を含めて三途川渓谷と呼ばれています。
実はこの川はこの辺りの地名がついた高松川という味気ない名前なのですが、橋から眺める景観が恐怖心を与えるので、もっぱら三途川と呼ばれているのだそうです。
この渓谷についてあれこれ調べてみても、歩く案内はまったく出ていません。橋から眺めることだけです。もちろん私も下りることはできませんでした。 -
【 泰山大王と閻魔大王 】
橋の反対側には泰山大王と閻魔大王の像があります。(写真左の閻魔大王像は、橋の右側にあります)
優しいお地蔵様のおわす側と、怖~い地獄の王が睨みをきかせている側と・・・、やっぱりこの川は三途の川でしょうか。 -
【 閻魔大王と観音様 ? 】
さて、これは何でしょう?
左は多分閻魔大王で、右は観音様だと思いますが、実はあるマークの代わりに掲げられている絵です。
もうお分りですね。 -
【 駐車場のトイレ 】
はい、そうです。 橋のたもとに駐車場があり、そのトイレの男性用・女性用を示す表示です。
心憎い演出ですね。 でも74年間も嘘とハッタリで生きてきた私ですから閻魔様は舌を抜こうと手ぐすね引いているでしょうし、のんびりオシッコなどしていたらちょん切られてしまうかもしれませんから、そそくさと用を足して車に戻りました。 -
【 鹿島様 】
稲田のそばに鹿島様が立っていました。
博物館で展示用に作られた実物大のものは見たことがありますが、実際に地域の伝統文化として作られたものを見るのはこれが初めてです。
村の境界に立てられ、疫病などが村に入ってこないように威嚇しているのだそうですが、そういう純朴な習わしが今も続いているということに感激ひとしおでした。 -
【 実るほど 】
その足元にはたわわに実った稲が。 実るほど頭を垂れる稲穂かな、、、まさにそのとおりです。
私は老人会に入っていますが、その飲み会は大言壮語と自慢話のオンパレードで、よくもまあ自分だけが偉大だと思い込めるものだと感心します。
「そのくらい誰だってやってますよ」
「そんなもの、誰だって持ってますよ」
「そんな所、誰だって行ってますよ」
そう言ってやりたいのをぐっと我慢して「ほーっ! すごいですねえ」「それはそれは! たいしたもんですねえ」などと調子を合わせていますが、そういう人たちには一度この写真を見せてやりましょうかねえ。 -
【 小町の郷公園 】
湯沢市小野の国道沿いに小町の郷公園というのがあります。
あの平安の歌人・小野小町はここの出身だそうで、秋田美人そのもの。 「小町」は美人の代名詞になっていますね。
でも、美人というのは常に自分の容色の衰えにおびえているものらしく、百人一首に載っている小町の「花の色はうつりにけりないたずらに・・」という歌はその不安を正直に表しています。
私も中学時代、クラスのマドンナに「おめえもいい気んなってっと、すぐガンモドキみてえな顔んなっちゃうど」などと言っていじめたものでした。 -
【 道の駅おがち・小町の郷 】
その公園の隣にある道の駅です。
建物が平安時代の女性がかぶった市女笠の形をしているのは小町を意識したものでしょう。
福島県の小野町に行ったとき、いたる所に小野小町生誕の地と書いてありましたので、私はほーっ、そうかと思っていましたが、ここも生誕の地だったとは・・・。 まあ、ご当地争いは世の常ですから、いいことにしましょう。
このあとは、山形県、福島県を通り抜けて、栃木県で少し観光をしようかと思います。
いえいえ、極楽を目指して地獄を通り抜けるわけではありませんよ。 山形・福島の皆さん、お気を悪くなさらないでください。
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この旅行記へのコメント (7)
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- 旅姿さん 2023/09/04 10:24:33
- 思いい出しました ドンパン節--!
- ねんきん老人さん
投票ありがとうございました。
秋田県角館周辺の写真拝見し、武家屋敷、辰子姫を思い出しました。
行った時期は忘れましたが 団体旅行でした。 辰子姫があんなにきれいになっていたとは---。 秋田は民謡の宝庫といわれていますが、「ドンパン節」そうでしたか。
会社の宴会のとき(カラオケの無い時代)に秋田県出身の先輩が、ドンパン節を胡坐をかいて自分で手拍子を打って歌っているのを思い出しましたね。
旅姿
- ねんきん老人さん からの返信 2023/09/04 13:00:16
- 替え歌合戦
- 旅姿さん、古い旅行記をご覧くださり、さらに書き込みまで、ありがとうございました。
そうでした、そうでした! すっかり忘れていましたが、昔はドンパン節が宴会の定番でした。 それも本物ではなくて替え歌の方が盛んで、中には少々品のないものもありましたが、あの節回しは皆で歌うには適していたとみえ、膝を叩いたり茶碗を叩いたりして大声で歌ったものです。
近頃は誰もがカラオケのモニターを見ながらマイクで歌っていて、大勢で一緒に歌うということがなくなり、盛り上がりに欠けるようになったと感じています。
旅姿さんも角館や田沢湖に行かれたそうで、共通体験ができて嬉しい限りです。 これからも色々な旅を思い出す旅行記を投稿してくださるよう、楽しみにしております。
ねんきん老人
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- sanaboさん 2021/04/30 00:26:18
- 川原毛地獄
- ねんきん老人さん、こんばんは
日本三大地獄なるものがあることを初めて知りました。ですので、川原毛地獄の名も初めて聞きました。「美しい地獄」とはどのような場所なのか興味を引かれ、旅行記を拝読させていただきました。
途中、実り豊かな稲穂とナナカマドの並木道を走られ、その美しい光景を奥様にも見せてさしあげたいとお写真を向けられるねんきん老人さんのお姿が目に浮かび、胸が熱くなる思いがいたしました。客数調査のカウンターを奥様の分と2回押したいと仰るねんきん老人さんの心の中にはいつも奥様がいらっしゃり、そのようなご様子を奥様は天国から微笑ましくご覧になっていらっしゃるのでしょうね。
不毛の大地が広がる川原毛地獄は硫黄の匂いが立ち込め、高濃度の有毒ガスが発生しているとは恐ろしや~~! その地獄の先に極楽と喩えられる温泉があるのですね。木立ちの中の小道を進んでいくと現れる川原毛大湯滝は落差20メートルもあるお湯の滝なのですね~。その滝壺が天然の湯舟とはなんとも風流ですが、10月中旬で全身浴できなくて残念! そのあと入られた泥湯温泉露天風呂が白濁湯のはずが茶褐色で、野生動物のご気分を味わわれたとか?!(笑) 天然温泉は女性はなかなか体験する機会がありませんので、ねんきん老人さんのユーモア溢れるレポートを大いに楽しませていただきました♪
こうしてねんきん老人さんがお元気に心の中の奥様とご一緒にご旅行されるお姿を拝見することができ、とても嬉しく思っております。
第4波の拡大が気がかりですが、引き続き十分にお気をつけてお過ごし下さいますように。
sanabo
- ねんきん老人さん からの返信 2021/04/30 13:09:51
- 極楽・・・、あればいいですねぇ。
- sanabo さん、いつも丁寧な書き込みをありがとうございます。 時間を拝見したら、深夜の作業だったのですね。 恐縮のいたりです。
死後の世界があるのかどうか、ましてや極楽というものがあるのかどうか、私には分かりません。 たぶんないだろうと思っているのですが、それも確かではありません。
私がいつも妻の写真を持ち歩いているのは、妻を一緒に連れ出しているつもりなのですが、そんなことをしても妻には何も分からないのだろうというのが正直な気持ちです。
ですから、旅先できれいな景色を見ながら妻に話しかけているのは、我ながらバカなことで、自己満足以外の何物でもないとも思います。
それでも、sanabo さんのように、妻が天国から見ているだろうと仰ってくださると、ひょっとしたらそうかも知れないと思い、これからも続けていこうという気になります。
もちろん、近くに人がいるときは声には出しませんし、日ごろ接している人たちには妻のことは完全に忘れたようなフリをしていますが、心の中では、俺は今もお前と一緒にいるからなと言い続け、妻に寂しい思いをさせないようにと思っています。
秋田で体験した地獄と極楽。 いつか妻に再会したとき、私の想像がどのくらい正しかったか分かるでしょうから、妻に大笑いされるかもしれません。
それはまたそれで、楽しみでもあります。
旅というのは、地獄極楽までも疑似体験させてくれるすばらしいものだと思いますので、このコロナ騒ぎが一日も早く収束して、sanabo さん始め4トラの皆さんが心ゆくまで楽しめる日がくるよう、願わずにはいられません。
本当にありがとうございました。
ねんきん老人
-
- エンドレスジャーニーさん 2018/03/30 13:58:26
- 東北はいいですよね
- 旅行記楽しませていただきました。
じっくり内省するなら東北地方はよいですよね。
田沢湖は深くてきれいな水のイメージがありましたが、
残念ながらこれは昔の話ということを、自ら旅して知りました。
玉川温泉の強酸性水(玉川毒水)が田沢湖へ誘導される工事のせいで、
湖水は強酸性となり生物の棲めない死の湖になったと。
現在は薬剤による中和処理がなされていますが、相変わらず強酸性
なのでそれに強いウグイしか棲めないのだと。
(かってはクニマスがいたのに・・)
ところで栗駒山のあたりまで行かれたのですね。 ここには私の大好きな
須川温泉があります。 秋田・岩手の県境、栗駒山の中腹に2軒の宿が
あります。 人気がありすぎて予約のとりにくいのが秋田側の栗駒山荘:
http://www.kurikomasanso.com/
岩手側には須川高原温泉: http://www.sukawaonsen.jp/
このあたりからは秀峰鳥海山の姿が実に美しいです。
機会がありましたらお試しを。
-
- ねんきん老人さん 2018/03/24 11:21:04
- あやあ~! オメエも秋田さ行っっだが~?
- olive kenji さん、ユーモアを散りばめた書き込み、ありがとうございました。
なんと貴兄も秋田にいらっしゃったとか。
私も秋田弁を聞くことはほとんどなく、「せめて嘘でもいいから、観光施設の切符売りの方でも方言で話してくれれば・・・」という文に「んだ、んだ!」と思いながら笑ってしまいました。
「秋田美人ってどこにいますか」と聞かれたら・・・、そりゃあ、その女性は起こりますよね。んだ、んだ。
辰子像。万人が「いいね!」を押しているのかと思っていましたが、貴兄が神秘性芸術性を感じないと聞いて、おーっ!と思いました。んだ、んだ。
キャペの聖水は思考力低下や不安感を低減する効果があるのですか!? そうと知っていれば2リットルのペットボトルを持って行くのでした。なにしろ私は自分でも絶望するくらい思考力も記憶力も衰えていますので。
同じ場所に行かれた方の感想をお聞きするのはいいものですね。同志に会えた気分です。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
ねんきん老人
-
- olive kenjiさん 2018/03/23 06:06:19
- オラも秋田へ行ってたんだべ
- 待ってました先輩の最新旅行記。今回もユーモア満載で楽しませて頂きました。
いい時季にいい所へ行ってましたね。実は私も先月秋田へ旅行していたのですよ。
優しそうな人達と民話の世界みたいでいっぺんに秋田が大好きになりました。
ただ期待してた秋田弁をあまり聞くことなく、ほとんど標準語でした。
せめて嘘でもいいから、観光施設の切符売りの方でも方言で話してくれればと思いました。でも会話が進まなくて、行列になってしまうか。
小野小町が秋田湯沢生まれとは知りませんでした。
ただ秋田美人らしき人を見たこともなく、うちの近所の姉ちゃんおばちゃんと変わらなかったです。それに秋田美人ってどこにいますかと女性に聞くのは失礼だし。
守護神 鹿島様はいいですね。本当の土着文化を感じます。見てみたいです。
それに比べ、田沢湖の辰子像は全く神秘性芸術性を感じないです。先輩と同意見です。
あんな像は、素人が作ったのか公園に放置されっぱなしのがありますけど。
角館では知っていれば、たそがれ清兵衛のロケ地松本家にも行ってみたかったです。
でも大雪だったので近くへ行っても大雪につぶされた廃家とかしか見えず、見逃したかと思います。
あそこをキャペというのですね。どこがキャペに似ているのでしょうかね。
でもキャペちゃんの聖水を浴びたくなりました。だって効能に思考力低下や不安感を低減できると書いてましたね。今の私にぴったりです。
まだ南下しているご旅行記が続くのでしょう。楽しみにしています。
どんも どんも olive kenji
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湯沢(秋田)(秋田) の旅行記
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