2016/11/25 - 2016/11/25
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naoさん
明治維新後の京都の産業振興を支えた琵琶湖疏水のほど近くにある南禅寺は、紅葉の美しさで知られる禅寺で、シーズンともなると多くの参拝客が訪れます。
臨済宗南禅寺派の大本山で、正式名称を「瑞龍山 太平興国南禅禅寺」という南禅寺の歴史は、文永元年(1264年)に造営された亀山天皇の離宮を、正応4年(1291年)に大明国師を開山として禅寺に改めたのが始まりと言われています。
南朝方の弘和3年、北朝方の永徳3年(1383年)に、室町幕府の足利義満によって京都と鎌倉の五山十刹が定められたときには、『五山の上』として、日本の禅寺の中で最も格式の高い寺と位置付けられました。
創建当初の伽藍は、明徳4年(1393年)の大火、文安4年(1447年)の失火、応仁元年(1467年)から約10年間続いた応仁の乱等により焼失してしまいましたが、現在残っている伽藍のほとんどは、桃山時代に再建されたものです。
そんな日本古来の木造建築が並ぶ格式高い寺院伽藍とともに、広く知られているのがドラマのロケ地としておなじみの南禅寺水路閣で、古代ローマの水道橋を彷彿とさせる重厚なレンガ造りのアーチ橋が木立に見え隠れする姿は、一見、ミスマッチと思わせますが、境内のしっとりとした景観に溶け込み、何とも味わい深い情緒を漂わせています。
明治維新による東京遷都で衰退するばかりの京都の産業振興策の一つとして、水資源の確保と物資運搬を目的に、琵琶湖の湖水を京都市内に引く琵琶湖疏水が計画されます。
明治18年(1885年)に着工した琵琶湖疏水は、取水口のある滋賀県大津市から南禅寺の南側を通って京都市東山区蹴上に至る第1疏水と、蹴上で分岐した後、京の夏の風物詩として知られる大文字(如意岳)の山麓沿いに、南禅寺~哲学の道~銀閣寺を経て、高野、下鴨、堀川へと流れる疏水分線が、明治23年(1890年)に完成します。
南禅寺水路閣はその疏水分線にある全長93メートル余りの水路橋で、建設から125年以上過ぎた今でも水路にはさらさらと水が流れ、沿線各地への水の供給という役割を立派に果たしています。
交通渋滞が想定されるこの日は京阪電車に揺られて京都へ。
三条駅で下車して、ゆっくりと三条通りを歩いて南禅寺を訪れました。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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こちらは明治22年(1889年)に完成した関西電力蹴上発電所です。
琵琶湖疏水の計画に合わせて建設されたこの水力発電所は、日本初の事業用発電所として明治24年(1891年)に送電を開始しました。 -
こちらは蹴上インクラインです。
全長582mある蹴上インクラインは、琵琶湖疏水を船で運行するべく設けられた世界最長の傾斜鉄道で、蹴上と鴨川間にある約36mの高低差を解消するため、傾斜地にレールを敷き、船を台車に載せて運ぶ線路が敷設されました。 -
明治24年(1891年)以降、これまで落差の激しかった京都~大津間の水運ルートの改善に一役買ったインクラインでしたが、鉄道など陸上交通機関の発達による水運の減少が影響して、昭和23年(1948年)に廃止されました。
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とはいえ、蹴上インクラインの果たしてきた歴史的価値は大きく、昭和48年(1973年)に撤去されたレールが、産業遺産として保存するべく復元されています。
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さて、南禅寺の参道にやって来ました。
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見えているのは中門で・・・
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大型の観光バスが門をくぐって出入しています。
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中門をくぐった左手の先に三門があります。
三門は禅宗七堂伽藍(山門、仏殿、法堂、僧堂、庫裏、東司、浴室)の中の一つで、山門とも書き表される寺院を代表する正門のことです。 -
禅寺独特の圧倒的な量感と列柱群が力強さを示す南禅寺の三門は、別名を「天下竜門」と呼ばれ、日本三大門の一つに数えられています。
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創建当時の三門は文安4年(1447年)の大火で焼失してしまい、現在の三門は、大坂夏の陣で戦った武将藤堂高虎が、家来の菩提を弔うために寛永5年(1628年)に再建されたものです。
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南禅寺の三門と言えば、天下の大泥棒、石川五右衛門を題材にした歌舞伎、『楼門五三桐』の「南禅寺山門の場」が有名で・・・
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石川五右衛門が三門の屋上で煙管を吹かしながら、『絶景かな、絶景かな。 春の宵は値千両とは、小せえ、小せえ。 この五右衛門の目からは、値万両、万々両・・・』の名科白を廻して、夕暮れ時の満開の桜を悠然と眺めている場面が知られています。
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三門が紡ぐこの光景は・・・
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一幅の絵といった趣きで・・・
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紅葉の素晴らしさを見る人の心に訴えかけます。
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では、三門をくぐって境内へ足を踏み入れます。
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正面に見えるのは法堂です。
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紅葉と三門。
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上空を覆い隠さんばかりのモミジの大木。
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石川五右衛門ではありませんが、南禅寺の三門は下から見ても『絶景かな、絶景かな~!』。
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今年のモミジは色づきが良いと前評判が高かったですが、評判どうりの美しい紅葉を見せています。
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境内を抜けて水路閣へやって来ました。
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日本古来の木造建築が並ぶ伽藍とともに、広く知られているのがドラマのロケ地としておなじみの水路閣です。
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古代ローマの水道橋を彷彿とさせる重厚なレンガ造りのアーチ橋は、一見、南禅寺にはミスマッチと思わせますが・・・
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境内のしっとりとした景観に溶け込み、味わい深い情緒を漂わせています。
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必ずと言っていいほど、ドラマのシーンに使われるアングルです。
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建設から125年以上過ぎた今でも・・・
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全長93メートル余りある水路にはさらさらと水が流れ、水の供給という役割を立派に果たしています。
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こちらは水路閣の奥にある駒ヶ瀧最勝院です。
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駒ヶ瀧最勝院は南禅寺の塔頭寺院の一つで、最勝院高徳庵とも呼ばれています。
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真っ赤に熟した南天の実。
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駒ヶ瀧最勝院のお庭は、塔頭寺院の小さなものですが、借景も手伝っていろんな紅葉が楽しめます。
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では、ここで引き返します。
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駒ヶ瀧最勝院の門前を流れる琵琶湖疏水の分線。
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その分線に架けられた水路閣には・・・
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重厚なレンガ造りのアーチが連なります。
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レンガ造りのアーチをくぐると、小学生の一団が列を作っています。
課外授業で紅葉を見に来ているんでしょうか・・・。 -
では、境内へ戻ります。
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法堂まで戻って来ました。
法式行事や公式法要が行われる法堂は、南禅寺の中心となる建物です。 -
現在の法堂は明治42年(1909年)に再建されたものだそうです。
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1本のモミジが、鮮やかな紅と黄に染め分けています。
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ヤブコウジの赤い実とモミジの落ち葉。
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参拝の方々は、身と心を清めて仏様と向き合います。
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「身と心を清めて」と言っておきながら、いきなり煩悩の世界への扉を開きます。
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敷きもみじならぬ、敷きいちょうが広がっています。
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三門を、アングルを変えて・・・。
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グラデーションを奏でるモミジ。
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南禅寺はここまでで、次は哲学の道へ・・・。
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