2015/01/19 - 2015/03/17
29990位(同エリア79653件中)
ポジーさん
私が旅行する目的の一つは古建築巡り。自分が生まれるはるか前から時代を生き抜いた古い建築物を見ると、それだけで恐れ多い気持ちになり、この素敵な遺産をこれからも後世に伝えねば、って気持ちになります。
今回はそんな建築物にスポットを当てた街歩き。
ただ当てもなくうろうろしても無駄足になりかねないので、国の重要文化財に指定されている建築物を中心に歩こうと思いました。東京都内には77件の重文建築があります(うち2件は国宝)。これらを時間をかけて巡ってみようと思います。
とはいうものの、本シリーズの前回版は昨年の4月。ほぼ1年ぶりの第5弾ということになりました。今回は東京の副都心、新宿区にある重文建築巡りです。新宿区には全部で4件の指定建築物があるのですが、今回は国登録有形文化財に指定される建築物もいくつか眺めながら行こうかなと思いました。しかし重要文化財ならともかく、国登録有形文化財レベルですと地図にも載っていないようなマイナーなものなので探すのに一苦労。さらにせっかくたどり着いたのに・・・、と散々な感じではありました。
時間の都合上、2日に分けて新宿区を散策した旅行記となります。建築物巡りがメインのつもりが一番心に残ったのは新宿御苑の風景ということはここだけの話ということで・・・。
◆今回の重文建築
学習院旧正門(明治期から残る鮮やかな鉄門)
早稲田大学大隈記念講堂(早稲田の象徴的な建物)
旧馬場家牛込邸(昨年に新規指定された和風建築)
新宿御苑旧洋館御休所(新宿御苑開園当初から残る面影)
聖徳記念絵画館(神宮外苑の重厚な建築物)
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
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それではさっそくスタート。ということで高田馬場駅からまずは学習院旧正門にやってきました。創建年代は明治10年、この時期の鉄の鋳造技術を知るうえで貴重な門とのことです。
学習院旧正門 名所・史跡
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近代化を推し進めつつ、唐草紋などは和テイストも残しつつ、といった和洋折衷の日本らしい意匠ですね。
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さて、この近くには学生寮として登録有形文化財指定された宏明館という建物があるらしいのだが、どこにもない・・。
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うろうろ住宅街を不審者のように歩き回った結果、わかりました。一昨年にはすでに取り壊されており、今はこぎれいなマンションに変わっていました。文化庁のデータベースにはまだ残っているのにメンテしてくださいよ・・・。
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気を取り直して散策再開。高田馬場付近を進みます。茶屋町通りという小路に入りました。江戸時代、馬術練習場に向かう見物客向けに茶屋を開いたことが謂れ。
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このあたりはその茶屋の名残なのかな?
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西早稲田界隈を歩いていると神社を発見。水稲荷神社です。
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神社の境内には猫がちらほらいました。
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そんなに睨むなよ・・・、何もしないから。
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水稲荷神社の隣には庭園が併設されています。甘泉園公園です。
もともと徳川御三卿の一つ、清水家の下屋敷にあった庭園だそうです。雪吊も見えますね。 -
この日はとても寒く、池の水面も薄い氷が張っていました。
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都内に残るオアシスですな。
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早稲田大学に近づいてきました。通りの名前からもわかりますね。
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本日2個目の重文建築、早稲田大学大隈記念講堂です。早稲田大学を創立した大隈重信を記念して建てられた早稲田のシンボル。そびえたつ時計塔、アーチ型の玄関など、とても威厳を感じさせる建築物ですね。
早稲田大学大隈記念講堂 名所・史跡
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時計塔に青空が映えます。
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正面玄関は三連アーチに大隈家の家紋があしらわれた鉄門。さすがに中には入りませんでしたが、立派な建物が見られて大満足です。
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早稲田大学キャンパスを抜けてしばらく歩くと人目を引くエキセントリックなデザインの建物に出会いました。日本のガウディと称される梵寿綱という建築家がデザインしたドラード早稲田。こんな奇抜な建物ですが、賃貸マンションなんですよ。
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早稲田から神楽坂まで移動してきました。この界隈にはいくつかの国登録有形文化財があるのです。
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地下鉄東西線の神楽坂駅からほど近くにあるこの瀟洒な建物は、高橋建築事務所社屋。戦後間もなくに建てられたモダンな洋風住宅ですね。
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その後、神楽坂界隈を建築物を求めさまよっていましたが、地図もなくなかなか見つからずスマホの電池も切れてしまったのでいったん仕切り直しです。
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そして再びの神楽坂。前回は氷も張るような極寒の1月でしたが今回は春めく天気の3月中旬です。今回は神楽坂付近のMAPも手にし、準備万端でしたが・・。
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どういうわけかお目当ての旧常盤家本館(石合家住宅主屋)が見つかりません。この辺りのはずなのですが、また取り壊されてしまったのかなぁ・・。
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ここは諦めて先に進みましょう。神楽坂らしい小路にいろいろなお店がひしめき合っています。
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そんな神楽坂の中心部分にあるお寺が善國寺。
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神楽坂の毘沙門さまとして江戸時代より庶民に親しまれていた由緒あるお寺です。山の手七福神の一つでもあります。
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ここで珍しいのは本堂前にあるこの石像。善國寺の石虎と呼ばれる虎の像です。一般的には狛犬などですが、虎というのは珍しいですね。都内にもここにしかないそうです。
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台座にも虎の浮彫が施されています。
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神楽坂の住宅街に入ると平屋の住宅を見つけました。国登録有形文化財に指定される鈴木家住宅主屋です。ただ現役の住宅なのであまりうろうろすると不審がられますよね・・。
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さらに住宅街を進むとゴルフ練習場の看板が。こんなところで打ちっぱなし??
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神楽坂にある登録有形文化財の一つ、矢来能楽堂です。
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ただし肝心の能楽堂は奥の建物の中、これ以上の進入はできません。
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しょうがないので表にある説明版の写真で諦める。都内で2番目に古い能楽堂だそうです。
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能楽堂の近くでは大規模なマンション建設が進んでいました。こうやってだんだんと街の風景が変わっていくんだろうなぁ。
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続いての文化財として「宮城道雄記念館検校の間」を見学しようと思ったら、今度は記念館自体が休館。こんなのばっかり・・・。
宮城道雄記念館 美術館・博物館
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仕方がないのでまた説明版の写真でお茶を濁す。ちなみに宮城道雄とは春の海などで知られる作曲家。
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すごくオシャレなマンション。この辺りは都内屈指の高級住宅街でもあり、大邸宅もちらほら見えます。
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そんな場所に昨年新たに重要文化財指定された建物がこちら。本日3つ目の重文建築である旧馬場家牛込邸です。海運業を営んでいた馬場家によって建てられ、戦後は最高裁判所長官の公邸として利用されていました。東京に残る貴重な大規模和風住宅として重文指定されましたが、一般の公開はされていませんので塀越しに望むしかありません。
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旧馬場家牛込邸付近は高級住宅街という言葉がぴったりな雰囲気です。
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高台にある住宅地から一気に坂を下ります。
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逢坂という斜度のきつい坂でした。それにしても坂沿いにある家もすごそうだな・・。
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坂を下りきると中央総武線沿いに広がる江戸城の外堀跡にぶつかります。ここから市ヶ谷方面に歩きましょう。
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市ヶ谷の高台に建つ一瀬家住宅主屋。登録有形文化財に指定されています。特徴的な板張りの住宅で設計者のこだわりを感じますね。
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市ヶ谷といえば駅そばの釣り堀。この日は天気も良く暖かかったので釣り人もたくさん。ここから中央総武線に乗って千駄ヶ谷まで移動です。
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千駄ヶ谷駅を降りて数分、新宿御苑にやってきました。苑内にある旧洋館御休所が目的地ですが、せっかくなので苑内の散策も楽しもうっと。
新宿御苑 公園・植物園
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御苑の中は相変わらず広々。まさに都会のオアシスです。
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池のほうまで歩くと綺麗な桜が見えました。
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ソメイヨシノよりも早咲きのシュゼンジカンザクラという種類の桜が満開でした。一足早い春の訪れにたくさんの方が足を止めて見学していましたよ。
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近くに行って見ましょう。
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桜を見て春を感じると日本人だなぁ、って実感します。
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ソメイヨシノよりも若干ピンクが強いですね。
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可憐な花々に心が癒されます。
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池に反射する光に照らされる桜のパッチワークのようにいい感じで写真が撮れました。
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青空と桜、絶妙な組み合わせです。
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新宿御苑は外国人観光客にも人気のスポット。ここだけ切り出すと海外の公園みたいな雰囲気?
新宿御苑 公園・植物園
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陽気がいいのでピクニックをしている人がたくさん。
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新宿御苑に来た最大の目的、旧洋館御休所に着きました。本日4つ目の重要文化財です。
新宿御苑 公園・植物園
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新宿御苑が一般開放されていなかった時代、訪れた皇室の方々が休憩するために建てられた明治期の洋風木造建築です。装飾豊かな切妻屋根、張り出した軒などに特徴が見られる貴重な洋風建築として重要文化財に指定されました。
新宿御苑 公園・植物園
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確かに切妻の部分は面白い装飾ですね。
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玄関先。
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古き良きアメリカを感じさせる建物。
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新宿御苑の大温室。入ろうと思ったらタッチの差で閉まってしまいました。
新宿御苑 公園・植物園
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こちらは明治時代、皇室を迎えていた時代に建てられた温室の遺構。日本でも初に近い温室だったそうですよ。
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玉藻池にやってきました。御苑はもともと高遠藩内藤家下屋敷の庭園をベースに作られたそうですが、そのルーツともいえる池なんです。
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こちらはまだ咲き初めの桜。タカトオコヒガンと呼ばれる種類で、玉藻池畔に植えられています。
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森が深く都内とは思えない風景ですねぇ。
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フランス式整形庭園に整然と並ぶプラタナス並木。葉が無いとさびしいですね。
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まだ水仙の花が残っていました。周りの色の影響で薄い緑色にも見えてとても綺麗。
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始めに見たシュゼンジカンザクラを反対の角度から。
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桜園地にあるオオカンザクラ。これが散るころには周りのソメイヨシノが満開に咲き乱れているんだろうなぁ。
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天空の城ラピュタに出てくるロボットのような木。
たっぷり新宿御苑散歩を楽しめました。新宿御苑 公園・植物園
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御苑を出て再び千駄ヶ谷へ。駅前にある東京体育館。
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明治神宮外苑方面に歩いていると国立競技場の解体風景を見ることができました。私も何回か行ったことがありますが、こうやって解体されていく姿を見ると少しさみしいですね。
国立競技場 名所・史跡
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数々の名勝負を生んだ国立競技場を照らし続けたライトもほどなく取り壊されるでしょう。新しい競技場ができるのは楽しみですけどね。
国立競技場 名所・史跡
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そして5つ目の重要文化財、聖徳記念絵画館に着きました。国会議事堂を思わせる左右対称の重厚な造りが特徴的な明治神宮外苑のランドマークです。
聖徳記念絵画館 美術館・博物館
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中央のドーム、三連アーチの玄関、一面を花崗岩で張り巡らせた外壁など重厚感たっぷりです。
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そしてそのまま信濃町方面へ。全部で5つの重文建築を見学しながらの新宿区散歩でした。ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
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