2014/08/08 - 2014/08/08
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たびたびさん
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正直言えば、今さら尾道かなあという思いもなかったわけではないのですが、国宝の浄土寺も行ったことがないのではそうとも言えない。そういう意味では寺巡りもきちんとはしていなかったし、一度はちゃんとしないといけないでしょう。
映画のロケ地としても有名ですが、イマイチその実感もなかったしとか思いつつ、訪ねることにしてみました。
結局、灯台下暗し。尾道、やっぱりいいじゃないですか。城下町だったわけでもなく、倉敷のように天領で集散物が集まったわけでもない。瀬戸内海にの港だったとしても、それは数ある湊のうちの一つ。それなのに、この町は多くの文人墨客を引きつける魅力をもち続けている。考えてみれば、不思議なことなんですが、今回の旅ではその理由がはっきりわかったような気がしました。古い寺が細い坂道と迷路のような路地でつながって、家々の隙間からは瀬戸内海が見える。同じ坂と良港の街、長崎や呉に似ているといえば、似ているんですが、街の大きさもこっちの方が小さいので、ギュッと詰まった感がある。どこに行くにも、全部、奥まったところがないわけではないが、それなりに気楽に行ける範囲に収まっているというのは、むしろ、宮島の感覚に似ているかもしれません。
では、どれくらいこの感覚が伝わるのか分かりませんが、珠玉の街をご紹介したいと思います。
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尾道駅に到着して、北口を出て、散策開始。こちら方面は、観光客はあまり来ないエリアかもしれません。
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ふと目についた肉の中村屋。街歩きの初めは、ここで、コロッケをいただきましょう。
ジャガイモがホクホクなんですけど、少し私には塩味が気になるかなあ。リピーターに支えられたお店だと思いますが、尾道の人の好みがこうなんでしょうか。ちょっと気になります。 -
そして、まずは尾道ガウディハウスへ。北口から歩いてすぐなのですが、看板も何もないのでなかなか探しにくい。近所の人に聞いて、やっと分かりました。
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ただ、拝観は不定休というか、休みが多くていつも閉まっているらしく、怒って帰る観光客もいるようです。教えてくれたその人も「宣伝するなら、ちゃんと対応しないとダメだ」と憤っていました。
それでもさらに話を聞くと、建物は狭い場所に建っているのですが、地下室があったり、カーブに沿った建て方が大工さんの凄い技術を窺わせるものだということでした。大正末期から昭和初期にかけて建てられたもののようです。 -
吉源酒造場は、さらに済法寺に向かう途中。この道は細くてもかつての西国街道なんですが、その通り沿いに、趣のある蔵を備えた店舗がありました。
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酒蔵見学でもさせてもらえるかと思ってのぞいてみると、「ここでは醸造はしておらず、瓶詰めだけをしているのでお見せしても仕方ないでしょう」との答え。もともとは因島の酒蔵だそうですが、この店舗自体は貴重なものになっていると思います。
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さて、これが済法寺。北口からは10分くらい歩いたでしょうか。遠くはありませんが、それでも尾道の寺巡りでここまで来る人はあまりいないでしょう。寺巡りエリアとしては、ここが一番西の端になります。
寺は、曹洞宗。武術の他、俳句や書画にも秀でていた「拳骨和尚」という名物和尚がいた寺だということ。境内の案内板に詳しく説明されていました。また、裏山から窪地になったような境内の雰囲気も印象的でした。 -
ここから、いったん海の方に出てみます。Onomichi U2は、尾道駅の西側。ここも観光スポットの集まるエリアからすると反対側でしょう。
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で、ここは、かつての倉庫を利用した施設。自転車の販売店やレストラン。瀬戸内のお祭りを紹介するコーナーなどがありました。
内部は、倉庫だった頃のがらんとした空間の雰囲気がそのままで、これがかえって見応えがあって面白い。それなりに楽しめる施設となっていますね。 -
尾道海峡沿いに尾道駅まで戻ります。海岸から向かいを眺めていると、目の前を頻繁に船が行き交います。
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潮がけっこうきついので、潮に逆らって進む船はなかなか前に進みません。そんな様子をじっとみているだけでも面白い。瀬戸内海ならではの光景です。
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コロッケだけではさみしいので、やってきたのは、おやつとやまねこ。尾道駅から商店街に向かう途中にある小さなスイーツのお店です。
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イチオシ
プリンの方も気になりましたが、いただいたのは、ショーケースで目立っていた全粒粉のスコーン。噛みしめると、小麦粉のうまみが沁みてくるような味わいでした。元気が出たところで、これからいよいよ本格的な街歩きです。
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ここが、通常だと寺巡りの出発点です。この細い路地を入って行くんですが、思えば久しぶりですね。
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すぐにある二階井戸は、尾道ならではの井戸。
尾道は平野部が少なく、家は山の斜面に密集して建てられます。一方で、埋立地では井戸を掘っても塩分を含んでいるので、水道が敷かれるまでは水に苦労しました。そこで少しでも作業が楽になるよう、二階井戸は、1階からでも2階からでも水が汲める仕掛けとしたものです。 -
続いては持光寺。ちょっと異様なのは山門です。37枚の花崗岩で出来た唐風の山門で、別名は延命門。開運長寿を念じながらくぐるのだそうです。
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ほか、国宝の絹本著色普賢延命像があるのですが、拝観はできないと思います。
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ここからは、寺が隣り合わせのように連なります。この光明寺は、平安時代初期に円仁によって創建された天台宗の寺。
村上水軍の信仰を集めた寺で、水軍が武士を捨て回漕問屋へと生業を変えた後も檀家として寺を支えたのだそうです。 -
境内を少し下がったところに「蟠龍の松」があって、ひとつの見所なんですが、近所の人がおっしゃるには「かつての大きさからすると半分以下になってしまった」ということでした。
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こちらは海福寺。
ここには、「三つ首様」と呼ばれる珍しい墓があります。これは、三人の盗賊の墓。最後は処刑されたのですが、この寺の住職の夢枕に現れ、「3人の首を埋葬供養したら首より上の病を癒すであろう」と告げます。住職は3人の首を本堂横に埋葬し、供養をしたのだそうです。本堂の横に、祠のような建物がひっそりとあるので、すぐに分かります。 -
この宝土寺は、尾道の寺の中では、小さな規模。
裏庭には、開山上人融海の墓と伝わる古い五輪塔もあるようですが、 -
ちょっと変わっているのは、お寺の窯「無尽窯」。
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勝手に上がって、応接間のようなスペースに飾られた焼き物を拝見しました。作品は、住職が作った尾道焼の仏像です。まあ、素人の域は出ていないと思いますけど、それは関係ないことでしょう。
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宝土寺の境内続きにある小さな神社は、吉備津彦神社です。地元では「一宮(いっきゅう)さん」と呼ばれているそうです。
知られているのは、11月3日に行われる「ベッチャー祭」。ベタ・ソバ・ショウキの三つの鬼の面を付けた氏子が子供たちを追いまわすお祭りです。 -
ここから、坂道はさらに続きます。しかし、寺巡りの標識はきちんと設置されているので、大丈夫。迷うことはありません。
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続いてやってきたのは、おのみち文学の館。「文学記念室」、「中村憲吉旧居」、「志賀直哉旧居」とその周辺の「尾道市文学公園」の4つの施設の総称です。私も結局はそうしたのですが、それぞれの施設は離れていて、全部回る余裕がなければ、中村憲吉関係の資料は「文学記念室」にあるので、「文学記念室」と「志賀直哉旧居」を見ればそれでいいと思います。
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で、これが志賀直哉旧居。
志賀直哉は、大正元年、小説家になりたいという直哉に反対する父との不和から、 -
家を飛び出して尾道にやって来ます。
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ただ、志賀直哉はいわゆるボンボン。尾道ではそれなりに遊んでいたということですが、眺めのいい部屋を探してここが気に入ったんだそうです。
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確かに、今でも尾道海峡を見下ろす絶好の眺め。
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目も確かなんでしょうが、反面、気に入った場所を徹底的に探すといった、妥協をしない姿勢の一端があって、この道具なんかを見ていると、遊びももしかしたら徹底していたかもしれません。
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さらに、坂道は続きます。とっても雰囲気が良くて、この景色もポスターに採用された景色のようです。
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反面、観光客にはいいんですが、ここで暮らすお年寄りにはきついかも。実際に暮らしている人の思いは違うかもしれません。
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こんどは文学記念室。尾道ゆかりの作家ゆかりの品を展示する施設です。
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イチオシ
林芙美子や中村憲吉らのように、尾道の魅力にひかれてやって来た作家の一方で、尾道出身の作家も何人か。
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ちなみに、この建物は、因島にあった日立造船の役員の個人宅だったもの。
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林芙美子が阿佐ヶ谷に建てた家もこれとよく似ているそうで、
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尾道に住んでいる間にこの家を見てあこがれていたのではないかというような話もありました。
この話を係りの人が一生懸命話してくれたんですが、ちょっと、話としては飛んでいるような。じっくり聞かないと内容が理解できません。 -
昇福亭は、商店街の方にもあるんですが、千光寺道店の方が主力です。古寺めぐりでちょうど一休みしたくなる場所ですよね。以前にも気が付いてはいたのですが、実はさっきから雨脚が強まっていまして。あまりの雨だったので寄ってみることにした次第です。
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そしたら、ここって、こんな素敵なお店だったんですね。古民家を利用したのでしょう。座敷の大きく開いた窓はお店へのアクセス道に向いてはいるんですが、その先の詫びた露地庭園を景色にしていて、なんともいい風情。
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玄関を入って、奥へ。
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しきりに感心していると、頼んだわらび餅が出てきました。
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イチオシ
ほー。透き通ったわらび餅が黄な粉を映して、美しいですねえ。餡子がスプーンに盛ってあって。こんなのが付いているのもにくいですねえ。
京都で言ったら、高台寺 洛匠級でしょう。尾道に来たら、わざわざでも来るべきお店だと思います。 -
さて、ゆっくりしたところで、先を急がなければ。予定していたコースはまだまだ残っていますよ。天寧寺の塔の脇を抜けて、
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どんどん進みます。
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天寧寺の境内へ入ります。この寺は、室町幕府2代将軍、足利義詮が創建した寺。開山は普明国師です。
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見どころは、少し離れた場所にあるさっきの三重塔と境内、羅漢堂に安置された五百羅漢像なんです。
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羅漢堂は開放されていて、自由に見学することができます。暗いお堂に何段にも並んでいて、これはいい。極彩色の像は見事です。
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いったん坂を下がって、艮神社へ。これは、「うしとらじんじゃ」と読むのですが、普通、これは読めません。
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大同元年(806年)の創建という古い神社で、天照大神、須佐之男命以下を祀ります。
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ロープーウェイ駅からすぐ。坂の町尾道にしては境内はそれなりに広くて、樹齢900年と言われるクスの巨木も立っています。脇から猫の細道に抜けれます。
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ここらで、ちょっと焦ってきました。スピードアップしたいと思います。
妙宣寺は、1354年に創建された日蓮宗のお寺。長く続く、参道の塀に白い五本の線が入って、これは格式の高さを物語っています。 -
本堂裏手に清正堂があって、熊本の本妙寺と同作の加藤清正公等身大の木像が安置されているそうです。
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ほか、幕末には、芸州藩がこの寺を本陣にして老中も出す親幕府の福山藩に備えた構えを取ったとのこと。あまり知られていませんが、芸州藩は早くから長州藩に同調する動きを見せた藩であり、維新の功績は軽くないはずなのですが、そのような評価にはなっていません。単なる日和見との評価に過ぎないのでしょうか。ちょっと、残念なところではあります。
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隣りの慈観寺は、境内に案内板。この寺は貞治4年(1365年)慈観上人が開いたということ。
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尾道でも天保の飢饉では、困窮の避難民が多く出たのですが、当時の町年寄橋本竹下が救済事業として本堂の再建を行い、尾道では1人の餓死者も出さなかったのだとか。現在の本堂がそれ。ちょっと中国風の威容が感じられます。ほか、牡丹の寺としても知られます。
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ちょっと、戻ってこちらが尾道・猫の細道。ロープーウェイ駅から少し上ったところです。入口に招き猫美術館というのがありましたが、雨が降っているし、細い路地だし、ここが猫の細道なんだなと確認しただけで早々に引き揚げてしまいました。後で調べると、「福石猫」というのがあったようです。残念ながら、見逃してしまいました。
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福善寺は、天正元年(1573年)の創建された浄土真宗の寺。中世の山城「丹花城」跡に建っています。
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イチオシ
見どころは、「ええもんは福善寺」と童謡にも歌われたという山門。
ぎょろっと睨む龍の彫刻が山門の正面に陣取っていて、目立ちます。 -
また、境内に入ってすぐ右手には、尾道の三名松の一つ「鷲の松」もあります。
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ここから、そのまま墓地を抜けて次に向かいます。
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この大山寺は、「タイサンジ」と読みます。境内の日限地蔵は、受験生にも人気のよう。隣のこれも人気の御袖天満宮とは境内がそのままつながっているので、長い階段を上り下りする必要はありません。
ほか、朝ドラ「てっぱん」ではロケ地となって、梵鐘はあかりが突いたものだということです。 -
で、隣りの御袖天満宮は、菅原道真を祀る神社。
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菅原道真は大宰府へ流される途中、尾道に立ち寄ったのですが、親切にしてもらったお礼に着ている服の袖を渡したことがされたが名前の由来です。
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ただ、最近有名になったのは、大林映画「転校生」のロケ地として。
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二人が一緒に階段を落ちて、人格が入れ替わるという内容ですが、こんなところから落ちたら、どっちにしても大けがものですよね。
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簡単な地図があって、これからのコースを確認します。まだけっこうありますねえ。これは焦っても仕方ないかも。なりゆきに任せるしかないような気になってきました。
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続いての西國寺は、天平年間(729〜749年)に、行基が創建と伝えられる寺。仁王門には2mを超える巨大な草履が架かってまず目を引きますが、
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イチオシ
室町末期の2体の仁王像はとても厳しい表情。ハッとするような迫力です。
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境内は奥が深くて、尾道とは思えないほど雄大な規模。歩いていくほどに、奥また奥があるような感じです。
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そして、この持善院は、 西國寺の塔頭の一つ。山門を入って奥に入って行くと左手。西國寺を再興した慶鑁(けいばん)が開基とされ、石段の奥には、こじんまりした境内ですが、きちんと整備された寺が建っていました。長寿の神、多賀大皇神が祀られているそうです。
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イチオシ
金剛院も西國寺の塔頭で、持善院の向かい。境内裏に、重軽さんという面白いものがあります。石で作られた三体の天狗の顔で、これを願いをかけながら持ち上げて、軽く持ち上がると願いがかなうという言い伝えがあるのだそうです。
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さて、これが本堂です。三重塔はさらに奥なのですが、これで引き返すことにしました。
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寺巡りを続けましょう。
浄泉寺は、天文12年(1543年)の創建。本堂は大きな建物で、縁側が広いので、昔は昼寝寺とも呼ばれたとのこと。大屋根の上には畳16枚の大きさの鬼瓦も乗って壮観。境内はそれなりの広さはあるのですが、建物が大きいので少し窮屈さを感じるくらいです。
ほか、本堂前の水盤も。銘文は頼山陽の筆で、盤を支える天邪鬼の石像が見事です。 -
常称寺は、延慶2年(1309年)の創建。時宗第2世の他阿真教が尾道で布教していた折、榧(かや)の大木をもって一堂を建立したのが始まり。
境内からはすぐに鉄道と国道。それを越えた先に山門が残っているのだそうです。 -
尊光寺は、尾道駅前を東に向かった国道沿い。尾道は山すそを中心にお寺だらけだし、そのうえ、鎌倉時代や室町時代の創建はざら。改めて考えてみれば、他の地方ならびっくりするほど古い寺ばかりです。
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その中にあって、ここは、鉄筋コンクリートのモダンな建物。鐘楼門形式の山門のデザインが目を引きます。
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正念寺は、時宗のお寺で、天正2年(1574年)の創建。
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山門が妙にスリムでひょろっとした感じが面白いです。
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境内に、尾道随一の名水が湧く「延命井」があって、これを汲みに来る人が多いのだとか。
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水に苦労してきた尾道ではありがたい井戸だったものと思われます。
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西郷寺は、鎌倉時代末期、遊行六代一鎮によって開かれたという時宗の寺。遊行六代一鎮の像があり、県の重要文化財。
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一方で、時宗最古式の本堂も貴重。堂内に「泣き龍天井」があって、手を打つと反射して響くのだそうです。 ただ、拝観はできるような感じではありませんでした。
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海徳寺は、尾道の古寺巡りとしては東端の一番高い場所。ここから浄土寺に下りれば、古寺巡りは終点といったことになります。いよいよ終盤になってきました。
この寺は、時宗の寺で、弘安10年(1287年)、一遍上人が諸国遊行の途中、草庵を結んだのが始まりです。境内に一遍上人の像が建ち、それだけで時宗の雰囲気がいっぱい。山門からは尾道の市街を眼下に見下ろして、ロケーションも悪くありません。 -
ところで、尾道は尾道海峡に面した坂の町。市内の坂の上からは、どこからでも目の前の尾道海峡が見下ろせます。そして、その尾道海峡の東側に見えるのが新尾道大橋。これがセットになって尾道の見慣れた景色となっています。
付け加えると、新尾道大橋は、本州四国連絡橋、尾道・今治ルートの本州側起点にある橋なのですが、その東側にもう一本尾道大橋が並行して架かっていて、二重橋のようになっています。しかし、両方とも斜張橋なので、もしかしたら、二本が並行して架かっていることに気が付いていない人も多いかもしれませんね。。 -
さて、今日のハイライト浄土寺に到着です。こちらは、聖徳太子が開いたともされる古刹。
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鎌倉時代に焼失後、再建されて現在に残るのがこの本堂と
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多宝塔。いずれも、国宝となっています。
足利尊氏が一度は敗れて西国に下り、また都に攻めのぼる際にこの寺にも戦勝祈願で寄っているのですが、まだ真新しい本堂・多宝塔を見ていたということでした。 -
拝観をお願いすると一人なのに、係の人がちゃんと付き添って寺宝を一つ一つ説明してくれました。とても丁寧な対応です。
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イチオシ
本堂の内部は撮影禁止だったのですが、この新館は撮影可。皇室の来館もあったようで、上座がしつらえてあります。
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豪華な襖絵も
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歴史ある寺の威厳を保ったものでしょう。
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方丈や阿弥陀堂と並んで、もう一つの見どころは日本庭園。
白砂敷の平庭で、池と背景に築山を置く築山泉水庭園です。築山には露滴庵という茶室があって、これがアクセント。 -
目隠しに大木があったようですが、枯れてしまって伐採。後ろの大きな建物が目に入ってしまうことになっているのが、ちょっと残念です。
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なお、宝物館があって、これは別料金です。展示品はすくなめですが、保存状態は良好。体を休める意味もあって、ちょっとゆっくりさせてもらいました。小さな仁王像がちょっと目を引きました。
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海龍寺は、浄土寺の奥。鎌倉時代には浄土寺の曼荼羅堂だったと言います。
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尾道の古寺めぐりだと一番端になるお寺です。
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本堂の脇に、江戸時代の人形浄瑠璃家「文楽」「竹本弥太夫」の墓があって、これが見どころとなっています。
さて、これで古寺巡りは終了。中心部に戻って、今度は映画関係の施設と例によって、スイーツ巡りもしてみます。 -
途中。御菓子司 菊寿堂は、尾道の海岸通りにある和菓子屋さん。中に入ると工芸菓子が飾られていて、これは本格的な和菓子屋さんのようですね。
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いただいたのは、水まんじゅう。お店の片隅で、お茶までサービスしてもらって、しばし休憩です。なるほど、やっぱりこの餡子がいいですね。つるんとした水まんじゅうに滑らかな餡子の甘さが沁みてくる。実力の片りんを感じるようなひと品でした。
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爽籟軒庭園は、江戸時代の豪商、橋本家の別荘だったところ。庭園にある茶室は、京都山崎にある国宝「妙喜庵待庵」を模したものとされます。
周囲には塀が巡って、予想以上に大きな規模でした。 -
ただ、公開は土日のみ。今日は休日で塀の間から覗いただけです。残念。
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尾道は映画やドラマの舞台となった街。尾道出身の大林宣彦の尾道三部作、「転校生」、「時をかける少女」、「さびしんぼう」に、新三部作の「ふたり」「あした」「あの、夏の日」はファンタジーの世界なのに、説得力がある主題で、強烈な印象を残しました。
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ただ、おのみち映画資料館でクローズアップしているのは、小津安二郎。
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代表作「東京物語」は、尾道ゆかりの作品ということで、別格の扱いです。
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それにしても、映画は、古くても色あせない魅力を持っています。
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この絵の感じも映画っぽいと思うんですが、いかがでしょう。
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続いてのおのみち歴史博物館の建物は、大正12年に建設された「尾道銀行本店」。その後、銀行の合併で広島銀行に引き継がれました。
内部は、それなりの展示品はあるのですが、コンセプトがはっきりしないかも。瀬戸内の美しい風景を撮ったパネル展示がありましたが、それが印象に残ったくらいでした。建物の雰囲気を味わうのが主目的の施設かも知れません。 -
尾道本通り商店街に戻ってきました。まだまだ活気のある商店街で、途中にちょっと切れ目がありますが、かなりの長さの商店街です。
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尾道の街歩きは、千光寺など、山側の古寺めぐりの道が観光ルートの中心になりますが、この商店街にも林芙美子記念館や商工会議所記念館などの観光スポットもあるので、重要なエリア。両方をバランスよく組み合わせて街歩きをするのが尾道観光のこつでしょう。
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尾道商業会議所記念館です。商人と職人の街、尾道の歴史を要領よく説明しています。戦国時代には特に有力な武将は出なかったのですが、毛利氏や秀吉に協力したり、巧みに戦乱を生き抜いていった尾道の有力者たちの知恵を感じました。
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二階に、商工会議所の議場が残っていて、これも見所。住友銀行は尾道が発祥という説明がありましたが、市議会議場よりも立派な施設だったかも。商人の街であった尾道のかつての栄華を雄弁に語っています。
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おのみち芙美子記念館は、商店街の一番尾道駅に近い方。
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林芙美子は、尾道ではあちこち転居していたようですが、はっきりとここに住んでいたと特定できるのはここだけなんだそうです。入口を入って、建物を過ぎた中庭のその先に、林芙美子が住んでいた建物が残されていました。
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二階に階段を上がった一室。ちょっと見てはいけないものを見てしまったような粗末な一室。林芙美子を偲ぶにはリアリティがあり過ぎる場所かもしれません。
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ここからはスイーツ巡り。
浜だんなって変わった名前ですけど、立派な構えの和菓子屋さん。 -
お店イチオシのレモン風味のかりんとうまんじゅうをいただきました。かりんとうまんじゅうは、表面がカリッとしているのが一つの特徴なんだと思うんですが、こちらはしっとり。
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少し意表を突かれましたが、それ以上にレモンの風味というか、味わいがしっかりあって、ちょっと豊かな気分になりました。いいお菓子です。
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桂馬蒲鉾商店という名物の蒲鉾屋さんです。瀬戸内海に面しているので、魚が豊富なことはあるのでしょうが、創業100年。瀬戸内の底引き漁で獲れる生魚にこだわった蒲鉾は、やっぱり一味違います。
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ただそれだけではなく、尾道の美的センスによって、見栄えよく加工もしている。食べてもよし。眺めてもよしの蒲鉾屋さんです。
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金萬堂本舗は、レモンケーキのお店です。
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イチオシ
冷蔵のショーケースにたくさん置いてあって、緑地に黄色の包装がキラキラとても鮮やかですね。
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さて、ケーキの方はコーティングしてある白いクリームはとても薄味。カステラ生地も派手な包装に対して、甘さは抑えめ。予想に反して、カステラの質の高さを味わう本格的なお菓子だと思います。
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尾道造酢も、尾道の商店街の中。「そのまんま酢の物」というのが一番人気だそうで、それをいただきました。
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野菜を食べるのに、ドレッシングで食べるのが主流になってしまって、そういえば、酢の物で食べることしばらくなかったなあと思いながら、帰って使ってみましたが、まさしく酢の物の味。しかし、逆に、酢の物以上ではない味わい。気持ちのどこかで酢の物以上のものを求めていたところもなくはないので、ちょっとそういう意味では期待は外れたかも。しかし、正真正銘の「そのまんま酢の物」。その通りです。
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長江は、尾道の商店街の端っこにある中華料理屋さん。ただ、ここの豚まんがとてもふっくら。ちょっと小さめですが、すっごくおいしいんです。
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基本は、「醤油味」と「塩味」。最近新作で「カレー味」というのもできてました。一個80円です。
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十月のさくらは、洋菓子のお店。スイーツ激戦地の尾道ではまだ新しいお店のようです。しかし、お店の前にはお菓子の写真の看板とか賑やかに飾られていてとても元気を感じます。
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イチオシ
で、いただいたのは、鮮やかな青が印象的なラムネのマカロン。クリームは、キャラメル味ですね。ラムネにキャラメル。すっごくしゃれてます。遊び心に味わいも正統派の仕上がり。応援したくなるお店です。
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彩工房は、尾道帆布を使った商品を扱うお店。女性のバッグやリュックサックからランドセルまで、どれも丈夫そうだし、美しい姿。
ちなみに、尾道帆布工業は向島にあって、昭和9年の創業。綿糸を作って布を織るという一貫生産はとても珍しいということでした。まさに珠玉の商品です。 -
めん処 みやちは、アーケード商店街の中ほど。年季の入った店構えの小さなラーメン屋さんですが、ここのラーメンは尾道ラーメンのこってりしたタイプではなくて、煮干し出汁をベースにしたあっさりタイプ。
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ストレート麺に、ローストビーフみたいに脂身の少ないチャーシューが、よけいそのあっさり感を高めています。6時の閉店間際に駆け込みましたが、鍋の火を止めたばかりだから何とかしましょうと何とかセーフ。穏やかなご主人の雰囲気も印象的でした。
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林芙美子像は。尾道駅から市街中心部に向かってすぐ。カバンと傘を置いて、しゃがんだ姿に、「海が見える 海が見えた 五年振りに見る尾道の海は懐かしい」の放浪記の鮮やかな一節。尾道高等女学校を卒業後、上京して苦労の末、華を咲かせた林芙美子と尾道の関係をこれほど的確に表現しているものはない。尾道のシンボルと言っても過言ではないでしょう。
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福福饅頭は、今川焼のお店。今川焼は、全国どこにでもあるんですが、尾道の味はどうなんでしょう。食べると、甘さがけっこうはっきりしていて、いい感じ。さりげなく皮もしっかりしていて、餡子の甘さとバランスが取れています。なかなかのレベルと見ました。さすが尾道のスイーツです。
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さくら茶屋は、その隣りの甘味処。みたらしだんごの看板があって、それをいただきました。表面がパリッとした焼きは突いたお餅じゃなくて、米粉のだんごですね。
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しかし、このたれの格調ある甘さは何でしょうか。このたれがお店の実力を雄弁に語っていると思いました。
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尾道駅に帰ってきましたが、待ち合わせの時間がまだけっこうありますね。
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ということで、こちらはおのみち海辺の美術館。尾道駅からはすぐ。海辺の堤防の側面に、尾道の四季や行事などをテーマにした陶板の絵が並んでいます。地元にゆかりの人が描いたものだと思いますが、地元の人だと尾道をこういう具合に見るんだなあとか、観光が一通り終わってから見たのですが、その目線を改めて面白く感じました。観光の参考になるかもしれません。
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最後にやってきたのは尾道駅前にある百貨店の福屋です。駅とこんなに近いのに屋根が続いていない。雨の日には傘が必要で何とかならないかなあと思います。
で、紹介したいのは地下のお土産物売り場。この近くには充実した施設がないので、ここはとても貴重。尾道ラーメンから、菓子類まで。かなり揃っていると思います。
その階にある洋菓子工房 ナチューレは、本店は、本店は東尾道にあるようですね。 -
イチオシ
いただいたのは、尾道坂のシュークリーム。表面にある白い塊は砂糖なんですが、きれいなアクセントになっています。カスタードクリームの旨さが光っていました。
寺巡りから、最後はぐじゅぐじゅになってしまいましたが、これでおしまいです。
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