鎌倉安養院の北条政子像－2014夏

2014/08/18 - 2014/08/18

　鎌倉市大町3にある安養院は浄土宗の寺院で祇園山安養院長楽寺という。北条政子が頼朝の菩提を弔うため嘉禄元年(1225年)、笹目に建立した長楽寺が前身とされるが、元弘3年（1333年）に兵火により焼失、この地に移って寺名も政子の法名から安養院とした。延宝8年(1680年)に寺は再び全焼し、源頼朝に仕えた田代信綱が建立した比企ヶ谷にあった田代寺の観音堂を移して再建された。別名田代寺といわれる所以である。元々、この地には善導寺という寺があったが鎌倉幕府滅亡とともに焼け落ちた。善導寺、長楽寺、田代寺の3寺が合併した寺であると住職は言っている。開山は願行で、開基は北条政子である。本尊は阿弥陀如来であるが、千手観音は田代寺にあったもので、田代観音とも称されている。
　北条政子像を見てみたいと寄ってみた。だが、参拝者のマナーが悪く、10数年前から立入禁止として伽藍には入れてはいないのだという。北条政子像も参拝させてはもらえなかった。
　安養院には明治か大正に作られた北条政子像があり、それは古い北条政子像から作ったものだという。なるほど、Webに掲載されている写真にはこの古い像もある。しかし、古い像の面影はなく、新しい北条政子像は横浜・乗蓮寺の北条政子像を若い頃のお顔に創作したものであろうか。安養院の新しい北条政子像を取り挙げる必要などないように思われる。
（表紙写真は安養院本堂）

エリア 鎌倉(神奈川)

安養院山門。

安養院日限地蔵。

槇の大木の前には「たき火 喫煙 禁止」の看板。本堂内にも「禁煙」の看板がある。

安養院本堂。

安養院の北条政子坐像。
明治から大正にかけて製作されたという。この像に政子の顔情報は何もないであろう。下の古い坐像をもとにこの像が製作されたなどというはずはない。
横浜・乗蓮寺の北条政子像を若い頃のお顔に創作したものであろう。

安養院の古い北条政子坐像。
この像を新しくしても上の北条政子坐像にはならないだろう。

横浜・乗蓮寺の北条政子坐像。
同じく政子が開基でも、寂年（1225年）に創建された安養院の前身の寺から伝わった像よりも死の3年前（1222年）に創建された寺に残された像の方が生前の姿を忠実に伝えている。