2012/12/19 - 2012/12/31
8842位(同エリア16423件中)
とっしぃさん
フランス。首都パリは、確かに芸術の都です。ルーブル、オルセー、オランジェリー。いずれも一日ではとても堪能できません。それゆえか、市心を離れた比較的小規模のミュゼや個人美術館は後回しになるようです。
Baccaratは世界的に知られたガラス工芸のブランド。その名はナンシー東南部に位置する街の名前です。発祥の地にちなんだ社名。日本でも知名度は抜群だし、東京に馴染みのある方なら恵比寿GPでクリスマスシーズンに毎年展示されるあの巨大なシャンデリアをご覧になった方も多いはず。にもかかわらず、本場パリのバカラ本店に併設されたギャラリーとミュージアムは意外に訪れる方が少ないようです。
パリ16区は、昔からセレブの住まうエリア。合衆国広場に面したバカラ・ギャラリーミュージアムも、元はベル・エポック期のパリ社交界で「女王」と謳われた画家であり詩人でもあったマリー=ロール・ド・ノアイユ子爵夫妻の邸宅でした。夜毎繰り広げられたパーティーは、パリがもっとも煌めいていた20世紀初頭の文化芸術を代表するような人々の社交の場でもあったと言います。外交官や貴族のほか、コクトー、ダリ、マン・レイ、マレ・ステヴァン…。華麗なるバカラのクリスタル・コレクションを収めるにふさわしい館でした。1816年には最初のクリスタル窯が作られ、その後国王ルイ18世のグラスセットの注文を受けたことをきっかけに名声を得たバカラ。石造りの立派な建物ですが、実際に中に入ってみると外からは窺い知れない絢爛豪華な内装と展示内容に圧倒されます。
ガラスは人間が作った人工物(自然界には存在しない、と言う意味で)の中でもっとも魅力的なものです。石英から、よくぞここまで!と、先人の知恵とひらめきに驚くばかり。チェコのボヘミアングラス、オーストリアのロブマイヤーと並び世界の三大クリスタルガラスと目されています。まぁ、あくまでも個人的な好みですが、世界最高峰はチェコのmoser(モーゼル)で、今は無きアメリカのSteuben(スチューベン)が続き、次がロブマイヤーです。ガラス工芸の美的基準はあくまでもそのはかなさが知れる繊細さにあると思うので、鉛含有量が多く、問答無用の重量級豪華絢爛というのはちょっと。。。
バカラの館は、しかし訪ねるに十分な個性的空間です。ちょっと、他にたとえられるところを知りません。クリスタルガラスの美術館は沢山あります。が、凝った照明、往事の華麗さが伺える壁や天井の細工、望めばその場で買うことのできる豪華なギャラリー、極上(らしい)併設のレストラン。カネが無くても僅かな入場料であたかもセレブになれたように錯覚する魔法の館でした。数時間もあれば、じっくり見学できます。雨の日のパリは、こんなところが穴場かも。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 交通
- 2.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- レンタカー
- 航空会社
- JAL
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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本店、ブティック(商品販売)、ミュージアム、そしてレストラン(クリスタル・ルーム)の表示。とても静かな広場の一角です。
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重量800kgというシャンデリアが吊られた階段頭上。1855年に作られた当時は、157本のロウソクが灯されていましたが、今日では一般的な電球が使われています。
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ブティックでの最安値とも言える商品・・(笑)
二桁のものも、ありますよ。 -
展示室ではなく、何気なく廊下に置かれた「宇宙」がテーマの作品。私的に、一番のお気に入り。繊細なるガラス工芸と宇宙という広大深遠なテーマは、何故か大好きな「万華鏡」に通じる世界があります。光学レンズ=クリスタルのイメージかも。
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いかにも重そう、作るの大変そう。
そして、もちろん高そう! -
「透明の向こうに」と題された部屋では、テーマごとに異なる4つのガラスの展示棚があり、多彩な作品を創造してきたバカラの卓越した技術を斬新な視点から紹介しています。
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展示室はテーマごとに大きく3つに別れます。
フランス人画家ジェラール・ガルーストが装飾を手がけたこの部屋は、クリスタルの製造に欠かせない水、砂、空気、火の寓意画が描かれた天蓋で覆われています。幻想的にして、日本ではできそうもない空間に仕上がっていました。 -
「大きさに魅せられて」と名づけられた展示部屋。これは60本ものロウソクを灯す高さ3mの「皇帝ニコライ2世の大燭台」(1896)です。
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優美な階段を上った2Fにあるロココ調の壁が美しい舞踏会の間「マリー=ロール・ド・ノアイユ」。17世紀ナポリの雰囲気を今に伝える華やかな空間。天井画は、ヴェネツィア派の画家ティエポロ(1696-1770)の弟子フランチェスコ・ソリメーナが1732年に描いたもの。
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TDLの確か'Haunted Mansion'にあるような3D投影された作品。こういう演出、あまり良いとは思えません。
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階段手すりを飾るクリスタル・グローブ。
LEDって、こういう高級クリスタルには似合わないと思うのですが…やはり色温度の低い昔ながらの電球の方が。
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この旅行記へのコメント (1)
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- rinnmamaさん 2013/05/19 21:23:06
- ロココ調
- とっしぃ様、こんばんは。
パリ16区に、この様な場所があるんですね。
バカラ・ギャラリー・ミュージアム。
本当に、豪華絢爛ですね。パリの社交場だったんですか?
此の場所が残されて、公開されていられるのも素敵ですね。
1,2年前にデパートでバカラ展があり、製作過程の再現・たくさんの
オールド・バカラが展示されて素晴らしかったです。
展覧会といっても、興味のある方・お得意様の展覧会ですので
落ち着いてみれました。
大阪・東京にバカラのレストランかな?あるんですね。
招待券頂いたのですが、いけませんでした。
でも、雰囲気の良いお店のようでした。
素敵な場所を紹介頂き、有難うございました。rinnmama
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