2012年イタリア・スイス旅行記　第14回　ヴェネツィアからアドリア海沿いを南下

2012/04/28 - 2012/05/09

2012年の4月28日から5月9日までイタリアに行ってきました。
イタリアにはインテル・ミラノで活躍する長友や、元西武ライオンズのＧ．Ｇ．佐藤がいます。
もちろん観光も欠かせません。ヴェネツィア、ローマ、フィレンツェ、ミラノ。どれも世界的に有名な観光地です。
そして往復の飛行機はスイスのチューリッヒ発着。チューリッヒからミラノまでの鉄道路線は絶景路線として知られ、特に２，０００メートルの山岳地帯を走るベルニナ線はその車窓の美しさから世界遺産に指定されています。
観光、サッカー観戦、野球観戦。今回はかなり密度の濃い旅行となりました。

今回もブログ『マリンブルーの風』に掲載した旅行記を若干省略の上再編集して掲載しています。
写真も大きなものを使用しておりますので、ブログ版の旅行記もぜひご覧ください。

『マリンブルーの風』
http://blog.livedoor.jp/buschiba/

2012年イタリア・スイス旅行記目次
http://blog.livedoor.jp/buschiba/archives/52287736.html

■　日程

2012年4月28日〜2012年5月9日

4/28　成田空港→スイス・チューリッヒ
4/29　チューリッヒ→ミラノ→ヴェネツィア　ヴェネツィア観光
4/30　ヴェネツィア観光
5/1　ヴェネツィア→ペスカーラ→ローマ　ローマ観光
5/2　ローマ観光
5/3　ローマ観光　ローマ→フィレンツェ　フィレンツェ観光
5/4　フィレンツェ観光　オペラ鑑賞
5/5　フィレンツェ観光　フィレンツェ→ボローニャ→ミラノ　
5/6　ミラノ観光　ミラノダービー観戦
5/7　ミラノ→ティラーノ→ベルニナ線・アルブラ線→チューリッヒ
5/8　チューリッヒ→成田
5/9　成田空港着



イタリア・スイス旅行記の第14回です。
4日目はローマに向け移動します。
まずは特急列車に乗ってアドリア海沿いを南下し、ペスカーラという街に向かいました。

エリア ボローニャ(イタリア)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 鉄道
• 旅行の手配内容: 個別手配

■　4日目　2012年5月1日　火曜日

朝6時前に起床。イタリア旅行も4日目になりました。
今日はヴェネツィアからローマまで1日がかりの鉄道旅行です。
ヴェネツィアからボローニャに向かい、アドリア海沿いを南下してペスカーラとう海辺のリゾート地へ。
ペスカーラからは山越えのローカル路線に乗ってローマを目指します。この路線は景色がいいことで知られており、とても楽しみです。
今日は火曜日ですがメーデーです。イタリアではメーデーは祝日となっており、お店や観光施設の多くが休みとなります。観光に支障が出ますから、移動日としてはちょうどいいです。

朝6:15。昨日ホテルのフロントの係員に言われた通りレストランに行くと、もう朝食が出来上がっており、従業員が一人朝食を食べていました。朝早すぎるせいか、私の他に宿泊客はいません。
昨日と同じビュッフェ形式の朝食を食べているうちに、ホテルの従業員が何人か出勤してきました。

パンとハム主体の美味しい朝食を食べ終えて、朝6:50にチェックアウトしました。
クレジットカードで宿代を払うと、
「市税6ユーロは現金でないと受け付けられないので、現金でお願いします」
と言われました。
お財布から10ユーロ札を取り出して支払うと、おつりが4ユーロ帰ってきました。
わざわざ朝食を早めてもらったので、おつりをチップとして渡そうとしたら断られてしまいました。
「チップはいりませんよ。そんなことより、またヴェネツィアに来てくださるとうれしいです」
なんと粋な計らいでしょう。「Hotel Antiche Figure」は素晴らしいホテルです。感激しました。
私は何度も礼を言ってホテルを後にし、階段状の橋を渡ってサンタルチア駅に向かいました。

ここサンタルチア駅からメストレ駅までは普通列車で10分。まだ切符を買っていません。
事前にネットで調べたところ、どうも近距離の普通列車の切符は窓口や券売機ではなく、駅の売店で買うようです。

切符はイタリア語でヴィレッティと言います。英語が通じるかどうか怪しいので、売店のおじさんに向かって「メストレ！ヴィレッティ！ペルファボーレ！」と言ったら買えました。
ペルファボーレは英語のプリーズに相当し、非常によく使う単語です。

これがその切符です。片道1ユーロでした。

7:04発の列車を探して乗り込みます。特急ではなく、普通の列車です。

車内はガラガラでした。

定刻7:04に発車。サンタルチアからメストレまでは複々線区間になっており、向こう側から同時発車した普通列車が近づいてきました。

本土に向かう橋を渡ります。ヴェネツィアとはこれでお別れです。

10分ほどでメストレ駅に到着しました。ヴェネツィアの玄関口の駅としては大きくなく、なにやら煤けた雰囲気の駅です。

ここからボローニャまでは特急列車のＥＳスター9407列車のローマ・テルミニ行きに乗ります。
そのまま乗っていればローマですが、遠回りするためにあえて途中で降ります。
この駅にはエスカレーターがほとんどないのですが、幸い7:43発の特急列車は同じホームに入ってきました。
1等車に乗り込むとガラガラです。私の向かいに日本人の新婚旅行だというカップルが座りましたが、2人とも荷物を置いてどこかに行ってしまいました。
外国の場合、荷物から離れることは「盗んでください」と言っているようなものです。
私が日本人とわかったからでしょうが、それでも不用心です。
そして戻ってくるなり「車掌に聞いたら空いている席ならどこに座ってもいいそうです」と言って、別の席に移っていきました。
まあ空いているわけですから、固まって座ることはありませんね。

これが特急列車の切符です。変更不可の格安チケットを買ったので1等車で29ユーロ。3割程度安くなっています。ボローニャ到着は8:55を予定しています。

7:40、1分遅れで発車しました。車内はガラガラです。
1等車はウェルカムドリンクとお菓子のサービスがあります。やたら濃いオレンジジュースでした。

列車は田園地帯を疾走します。カーブが多く、そのたびに車体がひどく傾きます。
この傾きは振り子車両ですね。ちょっと気分が悪くなります。

1等車は４０％程度の乗車率になりました。ガラガラです。
車内で携帯電話で通話する人が多いようです。電話を切るときに「チャーオチャオチャオチャオ」と言ってフェードアウトするように切るのは流行なのでしょうか。すごく気になります。

定刻の8:54にボローニャ駅に到着しました。ここで乗り換えです。

数日後にG.G.佐藤がプレーするフォルティチュード・ボローニャ1953の試合を観る予定です。
野球場へはここボローニャ駅からバスに乗って30分かかります。
幸い次に乗る列車は9:42発。あと50分ありますから、この時間を使ってバス停の場所などを確認しておきました。

ボローニャ駅の構内です。東西に長い駅舎で、意外と複雑です。
駅前広場では中国人から中国語で話しかけられましたが、日本語で「俺中国人じゃないんで」と言ってそのまま通り過ぎました。

ここはイタロの待合室です。イタロとは4月末に運行を開始した新しい特急列車で、イタリア国鉄の線路を借りて走る新興の鉄道会社が運行しています。聞くところによると列車自体が大変カッコいいだけでなく、サービスもすばらしいのだとか。ならば乗るしかありませんね。
実は数日後ボローニャでの野球観戦後、ちょうどいい時間にミラノに向かうイタロがあります。ホームページで切符が帰るので、日本で1等車と夕食の予約をしてきました。楽しみです。
ただし、すでに国鉄のミラノ行特急の切符を買ってしまっているので、そちらはキャンセルしなければなりません。

売店で時刻表を買いました。やはり鉄道の旅には時刻表が欠かせません。
時刻表はイタリア語でオラリオ。「オラリオ　ペルファボーレ」と言ったら電話帳のように厚い時刻表が出てきました。5ユーロで、イタリア国鉄の全列車が載っている優れものです。

そろそろ時間なので、ホームに上がり、次に乗る9:42発のフレッチャビアンカ9803列車の入線を待ちます。ホームの表示には5分遅れと出ていました。

別のホームには先ほど見たイタロのミラノ行列車が発車していきました。フェラーリがデザインに関わっているだけあって非常に格好いい列車です。実は数日後あのイタロにも乗る予定です。

9:49、特急列車は7分遅れで入線してきました。先ほど乗った列車よりも古く、最高時速も若干遅いです。
乗車率は５０％程度。私が指定された席に向かうとおじさんがもう座っていました。
その席は窓からの景色が見にくい席だったので、これ幸いと別の空いている席に移動しました。
周りを見ると警官が2人乗っています。何かあったのでしょうか。

列車は春のうららかな景色の中南下しています。列車の遅れは10分ほど。中規模の駅を通過するたびに減速するのでなかなか遅れを取り戻せません。
ボローニャからペスカーラへは約3時間かかります。料金は1等車の早期購入割引で39ユーロです。

10:47、リミニ駅に到着しました。15分ほど遅れています。

列車はのどかな田園地帯を走ります。困ったことに窓が曇ってきました。
この車両は窓の下に冷房の吹き出し口があり、窓をキンキンに冷やしてしまうのです。そのため外気との温度差で窓がどんどん曇っていきます。私は吹き出し口を腕やガイドブックでふさぎ、窓に風が当たらないようにしました。結構疲れる体制ですが、おかげで曇りが晴れて、景色が見えるようになりました。

冷房の風と悪戦苦闘しているうちに海辺に出ました。アドリア海の、綺麗な海辺です。
浜辺ではビーチバレーをやっています。サッカーばかりじゃないんですね。

まだ5月ですが、水着で泳いでいる人たちがいます。今日は25度以上ありますので、泳ぐには問題ありません。

アンコナの街が見えてきました。沿線を代表する大きな街です。

11:39アンコナ着。10分以上遅れています。駅から分岐する車庫には普通列車が停車していました。

アンコナ出発後は長いトンネルに入り、その後海辺の住宅地を走ります。

また海水浴場が見えてきました。列車がしばらく海沿いを走ります。いい景色です。

12:48、10分遅れでペスカーラ中央駅(Pescara)に到着しました。アドリア海に面したリゾート地です。

ペスカーラ駅は真新しい高架駅で、リゾート情緒もへったくれもありません。
私は駅の窓口で、5月5日のボローニャからミラノまでのイタリア国鉄特急の切符を払い戻そうとしましたが、「窓口ではできない。指定された番号に電話してくれ」と言われたのであきらめました。

次のローマ行のローカル列車は14:24発。あと1時間半近くあります。ある程度の遅れを見越して余裕があるスケジュールにしましたが、ほぼ時間通りなので時間調整が必要になりました。
ちょっと暑いですがペスカーラの街を歩いてみましょう。

ペスカーラの駅前ではバザーが行われていました。
古本から雑貨、洋服、食べ物、さらには掃除機の新製品の体験コーナーまであります。

これは何でしょう。映画館の映写機のようですが。

これは民芸品でしょうか。首飾りなどが売られています。

駅前通りを渡ります。

駅からまっすぐ伸びる道を歩きます。石畳の道で、車はほとんど通りません。
道の両側にはお店や飲食店、ホテルが並びます。

この街には日本人どころか東洋人がほとんどいません。

結婚式でしょうか。めでたいことです。

交差点から。お洒落な通りです。

駅から15分ほど歩くと海に突き当たりました。

広い砂浜が広がっています。しばらく海を眺めて、元来た道を引き返しました。

真新しく、ゴミも落ちていないきれいな道です。

途中の売店では日本の漫画がたくさん売られていました。ドラゴンボールなどの有名どころはもちろん、週刊少年ジャンプ連載の「トリコ」や「ＮＡＲＵＴＯ」や「
SKET DANCE」、週刊少年サンデー連載の「神のみぞ知るセカイ」の単行本もあります。
こんな日本人が訪れないような田舎町の小さな売店なのに・・・。イタリアで日本の漫画が大人気というのは本当のようです。

次回はイタリア半島を横断するローカル列車に乗ってローマを目指します。