2012/06/13 - 2012/06/14
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鯨の味噌汁さん
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さて。
カッバドキアを物見遊山し、空路イスタンブールに戻ってきた鯨である。
このあと3日は、イスタンブール周辺を見て歩こう、という算段だ。
ホテルは旧市街の真ん中、ブルーモスクのまん前に、前夜ネットで確保した。交通至便、というヤツである。
☆ふたつ、朝食付きで1万円。
われわれにしてみれば、チョットだけ頑張ったほうだ。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 船 徒歩
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-
が、案内された部屋は1階の北向きであった。
窓はちっこいのがふたつ、上のほうについているだけ。
なおかつその窓は、坂道に面しているらしく、道行くヒトの足が目撃された。
ほぼ半地下室である。
われわれはクツを眺めに、イスタンブールに来たのではない。
すぐさまフロントにトツゲキし、交渉する。
「ブルーモスクが見える部屋は空いてるか」
「満室である」
「もし空いたら、移りたい」
すると、フロントのオヤジはワシをじろりと見て、
「ベリー・エクスペンシィブ」
などといいつつ、背中の料金表を指さす。
スペシャルルーム=180ユーロ、とある。
ぎょぎょぎょぎょ〜、と目玉が飛び出す。
こぼたれた目玉を拾って、部屋に帰る。
うんうん。よく考えたら、この部屋も悪くない。
もしかしたら、お姉さんのスカートの中とか、見えるかもしれんし。 -
気を取り直し、なにはともあれ、トプカプ宮殿に行かねばならぬ。
朝いちばんでたどり着き、入場料ふたりで50TL(高!)、日本語オーディオガイドを2人で1台借りる。(ケチ) -
で、ワシは左耳、配偶者は右耳にイヤホンをつけ、そろりそろりと歩く。
彼我の距離は50センチ厳守。それ以上でも以下でもいけない。
歩幅が狂うと、どちらかのイヤホンが外れる仕組みになっている。 -
ビンボー旅行まるわかりだが、なにごとも節約である。
二人羽織でもやってる気分だ。
ウッカリすると、おトイレなんぞについていきそうだ。 -
宝物殿では、大阪のおばちゃんたちが、われわれの後ろを通り過ぎる。
「69カラットのダイヤ」というお宝の前で、
「どれ見てもいっしょやわ〜」
「せやせや〜」
「貰えるんなら考えるけんど〜」
「せやせや〜」
「次、いきまひょか〜」
「せやせや〜」
なんていいながら、疾風のごとく駆け抜けていく。
すばらしいぞ大阪おばちゃん。
無敵だ大阪おばちゃん。 -
有料エリアを出て、北に向かってとろとろ歩いていると、何やら陰気な建物の前で、アメリカ人の団体さんが説明を受けていた。
通りすがり聞いていると、
「ブラザーズ…キルド…」
なんて単語が拾えた。
ワシと配偶者は思わず顔を見合わせる。
おそらくは。
オスマントルコで悪名高い「兄弟殺しの法」のことだろう。
この国では、皇位が継承されるとき。
新王のおさない兄弟たちは、全員が絹の紐で、きゅ〜と、絞め殺されたのである。
この建物は、どうやらその王子たちを幽閉した場所らしい。
宝物に囲まれ、美女に囲まれ。
でも、弟たちを皆殺しにしなくては王様になれないとは。
ううむ。
差し引きしたら、なんだかソンな人生だ。 -
クソ暑い日差しの中、グランバザール、水道橋と見物して、だらだらと坂道を下る。
通りにかかるビッグ・フラッグは、この町を本拠地とするサッカークラブ・ガラタサライの旗だ。
なんとなく「でかいおぱんつ洗濯中」にも見えるが、そんなこと口が裂けてもゆってはいけない。 -
雑踏を抜けると、金門湾の水上バス乗り場に出た。
地元の方々が、のんびりと船着き場で水上バスを待っている。
地図で確かめると、どうやらアジアサイドに行く便らしい。
「テレビでやってた。通勤客が使うって」
とゆうわけで、さっそく乗ってみる。一人2TL。
安上がりなボスポラス海峡クルーズだ。 -
しかし、動き出すと、船は金門湾の奥へ奥へと走り出す。
「これって逆方向ではないか」
ワシはあわてるが、
「そうねぇ」
彼女のほうは存外ノンビリしている。
「終点で引き返せばいいでしょ」
それもそううか。
とゆうわけで、ふたりでチャイなどをすすりながら、地元の方々の間に座ってのんびりと景色を眺める。 -
金門湾がだんだんと狭くなっていく。両岸の家並みが、郊外のつくりに変わっていく。
20分ばかり走り、、湾の一番奥にたどり着き、終点。
反対側の終点がウスキュダル(アジアサイド)であることを確認し、再乗船。
釣竿がいっぱい出ているガラタ橋の下を抜け、ボスポラス海峡を渡り、こんどこそ、ウスキュダルが終点だった。 -
午後7時、日没にはまだ時間がある。
ヨーロッパ側から乗り込んでいた通勤客や、買い物帰りの女性、家族連れがいっせいに下船した。
アジアからヨーロッパに通勤・通学かぁ。なんだかすごいな。
人の流れに合わせて、われわれも町の中へ入っていく。
江利チエミが昭和30年ごろに歌った「ウスクダラ」は、この町のことだ。
「ウスクダラはるばる訪ねてみたら、世にも不思議な町だった」
なんて歌詞なのだが、歩いてみると坂道が続く、ごく普通の住宅地だった。
古い木造のアパートがある。その横の通りには、小さな市が立っている。 -
ようやく高みにたどりつき、ボスポラス海峡を望むと、ヨーロッパサイドに、にょきにょきと建つ高層マンションが見えた。
なるほどなぁ、と思う。
トルコは今、空前の建築ブームらしい。
なにしろ、オリンピックの最終候補都市なのである。トーキョーのライバルなのである。 -
静かな住宅地であるウスキュダルでも、裏山のあちこちにクレーンが散見された。
森を崩し、マンションをぶっ立てているらしい。
なんだか、日本のバブル期を思い出す。
あのころ、日本中で、信じられない値段のマンションが、どんどん売れた。
地価が高騰し、ただのネギ畑が、ものすごい値段になって、それでも売れた。
今思えば、その価格は、全部インチキだった。
だとしたらトルコも、2020年のイスタンブールオリンピックのころに、バブルが崩壊するのだろうか。
「ガラタ塔が、高層マンションに埋もれちゃうのかな」
それはちょっとイヤだなぁ、と、タメ息をつくふたりであった。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- willyさん 2021/03/10 11:22:16
- willy
- いろいろな意味で感慨深く再読させていただきました。
2020年オリンピックがこんなことになるとは誰が想像したでしょう・・。
世界が落ち着いたらとりあえずやっぱりブルサに行こうと思います。
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2021/03/10 17:19:01
- もう8年前ですもんね
- あのころ、トルコは元気でしたよね。リラも50円くらい、でもって日本からの観光客がぎょーさん来ておられました。
そのあと2回訪ねて、その度にギョッとするくらいトルコリラが安くなってて…最近なんかは13円とかゆうてますもんね。まこと、短い間に世界は変わりますよね。行けるうちに行きたいところは行っとかないと。
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