2012/06/12 - 2012/06/12
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鯨の味噌汁さん
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ブルサの2日目。
この日はやはり、前出・鹿野健太郎さんのブログを読み、ブルサ郊外の村・ジュマルクズクをバスで訪ねることにする。
まねっこマネマネなのである。
ジュマルクズク、というのは、伝統的な家並が保存されていることで、近年世界遺産の暫定リストに登録されたそうな。
ホテルを出て、てこてこ歩き、「地球の歩き方」が指定するバス停で待つ。
と、目の前のベンチに座った、そのベンチがはみ出すくらいに太ったおばさんが、トルコ語で話しかけてくる。
「オトガルに行くなら、この乗場じゃないよ」
どうやら、そんなことをしゃべっているらしい。
「ジュマルクズク」
とゆうと、このおばさん、大袈裟に驚き、
「おやまー、そりゃ〜アタシの村だよ!」
それからまわりでバスを待ってた他のおばさんたちに、
「どーだい、アタシの村には観光客ってのが来るのよ〜」
と鼻高々に自慢するのであった。
で、バスがやってくると、乗れ乗れ、とワシらを急き立てるのであった。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
村は、ブルサの街から10キロ、坂道を登ったどん詰まりにあった。
多分、戸数100。世界遺産に暫定登録されてから、観光客が押し寄せているらしい。
が、この日は平日で、トルコ国内からのお客さんは少ないらしく、観光客はぱらぱら、といったところであった。
農家の前では、おばさんたちが手作りのジャムやらハチミツやらを売っている。
それがいかにも「まだこういうのに慣れてません」といった風情で、恥じらいがあってヨイ。 -
家のつくりは木造と土壁の組み合わせで、これはエチゴの農家、というより日本の稲作農家の定番だ。
土壁に藁を練り込んで、粘りを出しているところまで一緒。
なるほどなるほど。
どうやら、土からイノチを貰う農業という文明は、アジアの両はじで同じような家を作り出したらしい。
文明の一滴が水面に落ち、そこから小さなさざ波が拡がり同心円を描き、同じような外見の家を日本とトルコの地で作ったのかな。 -
…などとカンドーしつつ、農家の庭先の鄙びたカフェに入り、二人でチャイなんぞすすっていると。
隣でチャイをすすっていたおじいちゃんが話しかけてきた。
推定年齢83歳。
よく聞くと、英語だ。英語をしゃべってる。
「ワシ、若いころオーストラリアで働いてたんよ」(⇒タンキュー、なんて感じでこんなふうに聞える)
なるほど。青雲の志を燃やして、海外雄飛したのネ。
「シドニーにいた。年取ったんで、ふるさとに帰ってきたんよ」
うんうん。
「あんたは日本人だな」
さいでござんす。
「奥さんはシンガポール人だな」
ちちちちち違いますがな。日本人ですがな。
「ここは年寄りだけなんよ。みんな街に行っちまったんよ」
うんうん。でも世界遺産に登録されたら、ここに若者たちがもどってくるかもしれないね。
オーストラリア帰りのおじいちゃんを、カタコトの英語で慰める鯨であった。 -
1時間ばかりで、ムラを一回りし、帰りの路線バスをぼんやりと待っていると。
ちっこくて元気のいいバスが、ブイブイとエンジンをふかせて坂道を登ってきた。
うむうむ。いわゆるひとつの「ドルムシュ」というヤツだな。こんな山奥までやってくるのか。
閑話休題。トルコのバスには3種類あり。
1.都市間を結ぶ長距離バス。
2.町と郊外を結ぶ路線パス。
3.「ドルムシュ」と呼ばれるミニバス。
このうち「ドルムシュ」は、路線パスが通わないような細かい路地まで入り込み、お客さんを拾っていく、バスとタクシーの中間みたいなヤツだ。 -
ドライバーに「ブルサ?」と聞くと、「乗れ乗れ」という仕草。
入口に料金が明示してある。1.00TLから1.75TLまでの4種類。
距離別の料金体系らしい。
市営バスは2TLだから、若干、オトクなのね。
とゆうわけで、ケチケチ旅行のわれわれは、すかさず乗ってみる。 -
ドルムシュは、坂道を降りつつも、あちこちの通りから通りへ、細かく走る。
ジグザグにブルサに近づいていく感じだ。
市バスと違い、幹線道路をまっすぐ走るわけではないらしい。
町に差し掛かるたびに、小さな通りまで入っていき、お客さんを拾う。
つまりは、市バスより時間はかかるが、
・マメに止まる
・価格が安い
で、市バスとのすみわけを実現しているらしい。
ブルサが近づくと、車内が込んできた。
といっても、定員は15人くらいだ。立ってる人を入れても20人ほど。
お年寄りや女性が乗ってくると、若者は席を譲る。
何もいわずにスッと立つ。お、いい感じではないか。
ワシらは始発からの客であるが、お子さん連れが乗ってきたので、席を譲った。
で、ワシはドライバーの後ろに立った。
すると、後から乗ってきた人が、ワシに
「×××」
といいながら、オカネを差し出すのであった。
なんだなんだ。
ワシにオカネをめぐんでくれるのか、とも思ったが。
どうやら、ドライバーの後ろに立った乗客は、そのオカネを中継する義務があるらしい。
えーと、ワシ旅行者なんですけど。日本人なんですけど。
…などとは思うものの、ここは義務を果たさねばならぬ。
前を向き、グイグイハンドルをブン回しているドライバー氏ヘ、
「ハイッッッ」
と声をかけて、オカネを渡すと。
ちゃんとバックミラーでチェックしているらしく、右手で受け取り。瞬時に収納し。
手元のムートンのバラバラ撒いてある小銭をすばやく取り上げ、お釣りとして、ワシに渡す。
この間3秒。職人技、というべきであろう。
ワシは、それを後ろの客にまた渡すのであった。
なんだかジモピーになった気分で、ちょっぴりうれしい鯨の味噌汁であった。
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