2012/03/20 - 2012/03/20
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ドクターキムルさん
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百八やぐらは覚園寺(かくおんじ)裏山頂上付近に広がる鎌倉では最大のやぐら群であり、鎌倉時代から南北朝にかけて造られ、4段に築かれた百数十窟(180窟とも)もある。数が多いということで、仏教でいうところの百八の煩悩になぞらえて名が付けられた。
百八やぐらは、五輪塔や宝篋印塔、仏像が安置されているものから、梵字が刻まれたもの、五輪塔や仏像が刻まれたもの(磨崖仏)など、一般的なものから珍しい様式のものまで、あらゆる形式のやぐらがあると言われている。こうした磨崖仏などはやぐらを彫った中世からのものであろう。天園ハイキングコースにも磨崖仏が見られ、このあたりには鎌倉でも磨崖仏が見られるところだ。
この百八やぐらが、今年になって提出された世界遺産の正式な推薦書では構成資産である覚園寺寺域にあるやぐらとして追加された形となった。
しかし、百八やぐらの中にある首の取れた石仏の台座には「東京二十一日講中」の文字が刻まれているものがある。天園ハイキングコースに近い上段のやぐらで開口部の広いものは、近世から近代には21夜講などでやぐらの中には石仏(観音さま)を安置していたようだ。
このように、古くからある建造物(やぐらや古墳の石室)を時代が下がった江戸時代に転用した例は多く見かけられる。覚園寺の十三仏やぐらなどもそうした例であろう。「大事な史跡を何ともったいないことか」と思うのは現代人であり、信仰がなせる業であろうか。多くの首のもげた石仏は明治以降の建立だと分かるが、それにしても、見るにつけ首がないのが痛々しい。博徒が運が付くようにと首をもいで持ち去ったとも言われている。こうした現状では天園ハイキングコース直下に34基ある最上段のやぐら群は世界遺産云々には相応しくはないだろう。
幸いにも、西側の最上段への登り口にある3基のやぐらは開口部が小さく、比較的狭いやぐらであるために再利用はされなかったようだ。天園ハイキングコース直下に34基ある最上段のやぐら群の殆んどが再利用され、側壁などの破壊もなされたようだ。しかし、この3基には、左から、殆んど埋没しかかっているが中に2基の五輪塔が刻まれている小さなやぐらと、奥壁に梵字が刻まれた五輪塔が2基、左右の側面にそれぞれ梵字が刻まれた五輪塔が3基づつあり、計8基の五輪塔が掘られ、四角い大きな埋葬穴が残る造りの丁寧なやぐらと、両側面と奥面に11基の五輪塔が並べられ、下にも数基の五輪塔が残っており、やぐらとしての遺構を留めていよう。
(表紙写真は百八やぐら最上段への登り口にあるやぐら)
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天園ハイキングコース直下に見える百八やぐらの最上段のやぐら群。
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天園ハイキングコースから百八やぐらの最上段のやぐら群に下りてみる。
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天園ハイキングコース直下の崖。
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天園ハイキングコース直下の崖にあるやぐら群。この埋没してしまっているやぐらを1番目のやぐらとして、番号を数えることとする。
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右端から2番目のやぐら。
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右端から3番目のやぐら。
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五輪塔が安置されている。五輪塔の後ろには四角い横穴がある。
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右端から4番目のやぐら。首がもがれた3体の石仏が並ぶ。
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五輪塔。
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奥面中央上部にある四角い横穴。
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右端から5番目のやぐら。首がもがれた2体の石仏が並ぶ。台座には「東京 長命講 世話人}と彫られており、近代に安置されたものだ。
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右端から6番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並び、右側の台座には「鈴木丑五郎」と彫られている。
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右端から7番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並び、左側の台座には「東京‥」と彫られた奉納者名も見える。
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右端から8番目のやぐらの前には左右に五輪塔が立つ。
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右端から8番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並び、2つの台座にはた奉納者名や寺名も見える。
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右端から9番目のやぐら。
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右端から10番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並ぶ。
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右端から11番目のやぐら。ここにも中央に首がもがれた1体の石仏と左角に五輪塔が安置されている。
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右端から12番目のやぐら。ここにも中央に首がもがれた1体の石仏と右は倒れた石仏か?台座には「四十七番」、「釈‥」、「東京‥」などが読める。
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右端から13番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並ぶ。
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首がもがれた2体の石仏。左側の台座には「四十六番」、「東京飯田町‥」、「橋本鶴 金伊代 金 花 金政江」の奉納者名が読める。
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側壁に穴が空いている。
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やぐらの中からは倒木が見える。
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右端から14番目のやぐら。ここにも首がもがれた1体の石仏が安置されている。辛うじて石仏の後ろの奥壁だけが残っている。
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右端から15番目のやぐら。
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右端から16番目のやぐら。ここにも首がもがれた1体の石仏が安置されている。
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右端から17番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並んでいるようだ。
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右端から16番目のやぐらと17番目のやぐらの側壁に絡む根。
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右端から18番目のやぐら。
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右端から19番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並ぶ。
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右端から20番目のやぐら。
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右端から21番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並ぶ。左の1体は折れてしまっている。
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右端から22番目のやぐらから24番目のやぐらは側壁が破壊されて1室のやぐらのようになっている。
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右端から22番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並ぶ。
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右端から23番目のやぐら。ここにも首がもがれた3体の石仏が並ぶ。
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右端から24番目のやぐら。
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右端から25番目のやぐら。ここにも首がもがれた1体の石仏が安置されている。
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左側。
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右側。
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右端から26番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並ぶ。
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右端から26番目のやぐらと27番目のたぐらの側壁。もう柱といった状態だ。
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右端から27番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並ぶ。
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右端から28番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並ぶ。
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右端から29番目のやぐら。ここにも首がもがれた1体の石仏が安置されている。両側面ともに無くなっている。
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右端から30番目のやぐら。ここにも首がもがれた1体の石仏と左手前に五輪塔が安置されている。
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右端から31番目のやぐら。左奥と左手前に五輪塔が並ぶ。
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右端から32番目のやぐら。ここにも中央に首がもがれた1体の石仏が安置され、「第九二番」の木札が立つ。奥壁には2基の五輪塔が彫られ、その両側に細長い横穴が並ぶ。
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右端から32番目のやぐら。
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左側の五輪塔。
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右側の五輪塔。
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右端から33番目のやぐら。ここにも首がもがれた2体の石仏が並ぶ。
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右端から34番目のやぐら。ここにも首がもがれた1体の石仏が安置されている。
ここまでが最上段のやぐら群だ。覚園寺手前からのハイキングコースと天園ハイキングコースが交差する地点も近い場所だ。 -
最上段のやぐら群への登り口にある3基のやぐら。
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左側のやぐら。殆んど埋もれている状態だ。
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中には2基の五輪塔が彫られている。五輪塔には梵字が彫られている。
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中央のやぐら。
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中には奥壁と左右の側壁に五輪塔が彫られている。
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奥壁と左右の側壁の五輪塔。
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奥壁の2基の五輪塔。梵字が彫られている。
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奥壁の2基の五輪塔。梵字が彫られている。
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左側壁の3基の五輪塔。梵字が彫られているようだ。
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右側壁の3基の五輪塔。梵字が浮き出ている。
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やぐら中央に大きな埋葬穴。
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左側のやぐら。
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やぐらの中の奥壁と両側壁に11基の五輪塔と他に数基の五輪塔が並ぶ。
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奥壁と両側壁に並ぶ11基の五輪塔と他に数基の五輪塔。
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奥壁と両側壁に並ぶ11基の五輪塔と他に数基の五輪塔。
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