2026/05/12 - 2026/05/28
2位(同エリア3件中)
クリスさん
2026年のスペイン旅行はバレンシア往復で、アラゴン、カステリア・ラマンチャ、カステリア・イ・レオンのセゴビア県、エストレマドーラ、アンダルシア、ムルシア州の3000km近くを車で巡る周遊旅行となりました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通手段
- レンタカー
- 航空会社
- JAL
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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5月14日、アルバラシンを早朝に出発しました。滞在したのが食事サービスのない素泊まりホテルだったため、朝食も兼ねて80km北方の街・カラモチャ(Calamocha)へと車を走らせたのです。
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ここカラモチャは、ハモン・セラーノで初めてD.O.P.(原産地呼称制度)に認定された最高級白豚生ハム「ハモン・デ・テルエル」の、まさに本場といえる代表的な生産地です。
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最初に入ったこの店「Casa Domingo- Jamón de Calamocha」といいます。Googleでは一押しの店だったので、ボカディーヨ(Bocadillo)作れますか? と聞いたところ隣のホテルに行って。と言われてしまいました。ところがホテルのバーは混雑していて、とても注文が出来るような状態にありませんでした。
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仕方がないので、道路を隔てた斜向かいにある「Aragonia - Jamón de Calamocha」というお店に入りました。最初「パン屋の配達がまだだから15分から30分待って」と言われたのですが、話をしているまさにその最中、車が停まる音がしてパン屋さんが入ってきました。
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焼き立てのパンに最高級のハモン・デ・テルエル、そしてオリーブオイルをかけただけのシンプルなボカディーヨが不味いはずがありません。この旅行中の最高の朝食となりました。
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朝食の後、やって来たのはサンタ・マリア・デ・ウェルタ(Santa María de Huerta)行政区はカスティーリャ・イ・レオン州ソリア県に属する街です。スペイン国立統計局の2025年調べで239人とあります。2000年代初頭には400人以上の人口がありましたが、スペインの地方部に共通する傾向として緩やかな過疎化が進んでいます。
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この街を象徴するのが、街の名前の由来でもあるサンタ・マリア・デ・ウェルタ修道院(Monasterio de Santa María de Huerta)です。12世紀に国王アルフォンソ7世の誘致によって礎が築かれたシトー会の修道院で、国の重要文化財に指定されています。街を入ってすぐの所にある駐車場から修道院の門が見えます。
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修道院のポータルとバラ窓。12世紀末から13世紀にかけて建てられた修道院は、質実剛健なシトー会らしいロマネスク様式から初期ゴシックへの過渡期の美しさが見られます。
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初期ゴシックの特徴のある扉口。教会への入口になっています。
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回廊の光景。回廊への入口近くでチケットを購入して中に入ります。一人3ユーロ、シニア割はありませんでした。
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回廊の北側通路に面した食堂は、明るい光が差し込む美しい空間で、いかにもシトー派らしいゴシック様式の傑作です。
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左側に設けられた説教壇へと続く階段。
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階段には、傾斜ヴォールトによる美しい装飾が施されています。
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改宗者たちの間(Sala de los conversos)と呼ばれるもうひとつの食堂。
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ここは修道院でも最も古い部分でロマネスク様式が保たれています。
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シトー派らしい簡素なつくりの柱頭です。
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次にやって来たのはシグエンサ(Sigüenza)。カスティーリャ=ラ・マンチャ州グアダラハラ県の人口5,000人弱の都市です。
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シグエンサはサンタ・マリア・デ・ウェルタからは60km約50分程でします。12時過ぎにこの日の宿泊となるパラドール・シグエンサ(Parador de Sigüenza)の到着となるなりました。これはアーリーチェックインとなります。当初問い合わせした際には14時からとの返答だったのですが、実際の到着時には何も言われませんでした。
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パラドールは、12世紀のこれまであったイスラムの城塞の跡地に建設されたシグエンサ城(Castillo de Sigüenza)を改装したものです。
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パラドールの中庭。きれいに整備された庭を囲み左側が宿泊棟になっています。
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広い室内。
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筒形ドームの天井が城館であることを思わせる廊下。
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このホテルに宿泊したのは、このチャペルを見るためです。2階の32号室。南の一角にある小さなドアを開けると13世紀の城内にあったロマネスク様式のチャペルを上から見ることが出来ます。
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外の廊下から見るとチャペルの位置はほぼ南棟に接続しています。聞かないと教えていただけませんので、興味のある方はレセプションで問い合わせしてください。
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写真はサンタ・マリア・デ・シグエンサ大聖堂(Catedral de Santa María de Sigüenza)の南側翼廊部分となります。シグエンサ大聖堂の創建は、12世紀前半(1124年頃)にさかのぼります。
キリスト教勢力による国土回復運動(レコンキスタ)のさなか、1124年1月22日に初代シグエンサ司教となったベルナルド・デ・アゲン(Bernardo de Agén)が、ムスリムからこの地を奪還した直後に聖堂の建設を命じたのが始まりです。 -
大聖堂の正面は修復工事の最中でした。西正面あたる3ある主扉口は北側の福音書側の扉口だけが開いています。
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足場がすぐ傍まで来ていますが辛うじて扉口を見ることが出来ます。3つの中では最もロマネスクらしさの残る扉口になります。
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これから午後半日、そして明日の午前中については、シグエンサの教区博物館の館長をしているミゲル=アンヘル=オルテガ氏に教区にあるロマネスクの教会を案内していただく事になっています。その手始めがこの大聖堂になります。
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主祭壇は17世紀のバロック様式の作品です。カバーの内側にはロマネスクのの内壁が残されており彫刻などは教区博物館に移設されているとの事でした。
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大聖堂の受胎告知礼拝堂(Capilla de la Concepción)にある受胎告知の絵。有名なエル・グレコの受胎告知で制作年は1603年~1607年頃(あるいは晩年の1610年頃)とされています。
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大聖堂で最も有名なのはこのドンセル礼拝堂(Capilla del Doncel)、正式名称は「聖フアン・デ・ディオス礼拝堂(Capilla de San Juan de Dios)です。1486年にグラナダ戦争の戦いベガ・デ・グラナダの戦いでわずか25歳前後の若さで戦死したエル・ドンセルこと、マルティン・バスケス・デ・アルセ(Martín Vázquez de Arce)が、この大聖堂の身を捧げた「騎士」その人です。これまでの常識であった横臥像でなく読書を楽しむ生前のスタイルの新しい石棺が評判となりました。
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後陣と身廊の交差部の高い位置にあるロマネスク様式のトランパ。この大聖堂にある特徴的な装飾彫刻です。
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オルテガ氏の案内で、普段は入れない大聖堂の北側に残るロマネスクの建物に連れていってもらえました。
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北側に残る扉口。半円のロマネスクが残されています。このエリア中世期には荘園として使われていたようです。
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後の建物との結合部に残されたわずかな空間ですがここはオリジナルですよ。と言われました。
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大聖堂の見学の後に隣接する教区博物館、正式名称は教区古代美術博物館(Museo Diocesano de Arte Antiguo)といいます。
もう午前中の開館時間は過ぎていましたが、閉館中の中に入り案内させていただきました。最初の部屋。中央に見えるアーチには市内にある古い住宅から移築されたムデハル様式の美しい装飾が施されています。 -
フランシスコ・デ・スルバランによる17世紀の油彩画「無原罪の御宿り」で、聖母マリアが空の雲の上に立ち、月を足元に従えている姿を描いています。
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先ほどの写真、シグエンサ大聖堂で見たロマネスク様式の彫刻作品のレプリカです。シグエンサのラッパ(Trompa de la Catedral de Sigüenza)として知られ、アクロバットをする人物や音楽家、神話的な生き物が描かれています。近くで見ると造形が深くとても素晴らしい作品です。
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大聖堂の成り立ちのわかる展示模型。
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15世紀後半から16世紀初頭にかけて制作されました。題材はキリストの埋葬を描いており半月形)の形で仕上げられています。
元々はポザンコスの教区教会にあるドン・マルティン・フェルナンデスの葬儀礼拝堂のために作られました。匿名の作者ですがカスティーリャで活躍したポザンコスの巨匠に帰属する作品とされています。 -
ゴシック様式のキリスト磔刑像。中央の巨大なキリスト像に加え、聖母マリアと聖ヨハネの像が非常に表情豊かに表現されています。彩色された木彫りの像であり、衣服のひだなどに高度な自然主義が認められます。
グアダラハラ県にあるビジャカディマ(Villacadima)の聖ペドロ使徒教会(Iglesia de San Pedro Apóstol)から回収されました。14世紀後半~15世紀(ゴシック期)に制作されたといわれています。 -
カナーレス・デル・ドゥカード(Canales del Ducado)の聖母被昇天教会(Iglesia de la Asunción)に置かれていたロマネスク様式の洗礼盤です。円筒形の石造りの鉢には、柱で支えられたアーチの中に人物、植物、動物が彫り込まれ、鉢の上部には波打つ植物の茎の装飾が施されています。
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教区博物館の見学を終えた後にオルテガ氏の車に乗せてもらいシグエンサ近郊のロマネスク教会を巡ります。最初に訪問したのはサウカ(Saúca)にある、聖母被昇天教会(Iglesia de Nuestra Señora de la Asunción)です。
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12世紀に建てられたロマネスク様式の傑作として知られています。特に、南側と西側に設けられた柱廊玄関(ガレリア・ポルティカーダ)が特徴的です。この建物は、国の文化財である重要文化財に指定されています。
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受胎告知の柱頭彫刻です。
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この教会にはロマネスク様式の非常に貴重な洗礼盤が遺されています。一つの大きな岩のブロックを丸ごと削り出して作られた物で。直径が約 118 センチメートル もあり、中世の田舎の教会としてはかなり堂々としたものです。
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教会内部は、仕切りのない単廊式で構成されています。天井は石造りの円天井ではなく、木製の梁を組み合わせたトラス構造で覆われています。現在の木造天井は近年の修復時に架け替えられたものですが、中世当時の農村教会の構造を忠実に再現しており、温かみのある印象を与えています。
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教会の最奥にあたる主祭壇は、四角形の方形内陣をしています。これは16世紀に後造されたもので、この祭壇部分の天井だけは木造ではなく、漆喰で仕上げられた石造りの半円筒ヴォールトが架けられています。
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次の教会はクビジャス・デル・ピナル(Cubillas del Pinar)のサン・フアン・バウティスタ教会(Iglesia de San Juan Bautista)です。12世紀後半に建てられたロマネスク様式の教会です。
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建物の西端の上部には、平らな壁に穴を開けて鐘を吊るすスタイルの壁構造の鐘楼が立っています。鐘を保護するために、後から付け足された小さな木造の屋根が上部を覆っています。
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建物の南側前面には、この地方の教会の特徴でもある小さな屋根付きの玄関回廊が設けられています。後陣側の回廊については後年の改装で作り変えられ教室として利用されていました。
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小さなロマネスクの扉口は、極めて簡素な構造で派手な装飾は見当たりません。
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教会の内部は、12世紀のロマネスク様式の土台を残しつつも、16世紀に行われた大規模な改修によってムデハル様式やルネサンス・バロックの要素が融合した空間となっています。
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バロック様式の主祭壇画は小さいながらも華やかな装飾が特徴の力作です。
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上部を覆う天井は、八角形の構造をしており、見事な星型や幾何学模様の木彫り装飾というムデハル様式の装飾が施されています。
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内側から見た玄関回廊。2連の半円アーチ窓は、この地方に特有の簡素化・図案化された植物の葉が彫刻されています。
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移動途中にシグエンサ城が見えてきました。
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次の教会はポサンコス(Pozancos)の聖母降誕教会(Iglesia de Nuestra Señora de la Natividad)。12世紀末~13世紀初頭の素朴なロマネスク様式の教会ですが、後世の改築が加わっていますので独特の佇まいをしています。写真の壁が新しいですね。
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この教会は2023年に長雨の影響による雨漏が影響し倒壊事故を起こしています。幸い昨年の2025年に修復工事が終了し前の姿に戻されました。
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この扉口はこの教会のロマネスクを最も残す部分ですが、昨年までは幕に覆われたままでした。装飾彫刻のない4重の半円アーチで構成されています。
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単身廊の後陣は、美しい半円形の姿を今に留めています。この地方の特徴である温かみのある赤砂岩が用いられており、計算された色彩のコントラストが非常に美しい表情を見せてくれます。
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南側には後年増築された方形の聖具室が付けられています。
陣の湾曲する屋根のすぐ下には、等間隔に配置されたカネシージョが軒を支えており、幾何学的なリズムを生み出しています。 -
陽が傾く中、農村ロマネスクならではの素朴な外観は、やや遠目から眺めるととても美しいものです。
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教会内部の後陣には、17世紀から18世紀にかけて制作された豪奢なバロック様式の主祭壇画が据えられています。身廊を覆う木造平天井は、ムデハル様式の流れを汲むものです。
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ポサンコスの巨匠によるキリストの埋葬。本物は先ほど教区博物館で拝見してきました。複製ではありますが、絵が教会に戻ることにより、この壮大な慰霊碑にも再び灯がともされたような気がします。
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身廊西端の、ちょうど合唱席の下にあたる薄暗い空間には、創建当時の巨大な洗礼盤が残されています。その姿はサウカの洗礼盤と驚くほどよく似ており、同一工房の作ではないかと思わせるほどです。
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柱頭には細い柱に沿って繊細なアカンサスの葉が彫り込まれており、その精巧な仕上がりからは、シグエンサ大聖堂の建設に携わった職人集団との関わりがうかがえます。
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最後に訪れたのは、カラビアス(Carabias)の救世主教会(Iglesia de El Salvador)です。カスティーリャ・ラ・マンチャ地方の農村ロマネスクを代表する傑作として知られています。12世紀末から13世紀初頭にかけて、シグエンサ大聖堂の建設に携わった職人集団によって創建されたとされ、その高い歴史的・芸術的価値から、1965年にはスペインの重要文化財(BIC: Bien de Interés Cultural)に指定されています。この教会の外観を唯一無二にしているのが、建物の南側から西側にかけてL字型にぐるりと取り囲む壮麗な回廊です。
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後陣のすぐ南側には、四角柱の無骨で力強い鐘楼がそびえ立っています。鐘楼の最下部はアーチ状に開口しており、通路として利用できる構造になっています。その姿は、かつてこの場所が集落の門として防衛機能を担っていたことを今に伝えています。
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教会内部でひときわ目を引くのがロマネスク時代の洗礼盤です。巨大な赤砂岩を一体で削り出したもので、その均整の取れた円形は、中世の石工たちの確かな技術を今に伝えています。
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仕切りのない単廊式の堂内は、簡潔で開放的な空間を形成しています。最も特徴的なのは、祭壇(プレスビテリオ)に向かって壁面が直線的に区切られた平らな後陣(Testero plano)です。一般的なロマネスク教会に見られる半円形後陣とは異なる構成で、この教会の個性を際立たせています。直線的な後陣には17世紀のバロック様式の主祭壇画が据えられています。
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この教会の最後の写真は、回廊の南側から撮影したものです。長い見学コースとなりましたが、シグエンサ教区を代表するロマネスク教会の数々を巡ることができました。日没の遅いスペインとはいえ、時刻はすでに21時近く。最後はオルテガ氏に車でパラドールまで送っていただきました。
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この日の最後は、見学を終えてパラドールに戻った後に出かけたサン・ビセンテ・マルティール教会(Iglesia de San Vicente Mártir)です。教会は12世紀のロマネスク様式建築で、町の守護聖人である聖ビセンテに捧げられています。
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もう21時を過ぎていますので中は閉まっていますが、ロマネスクの見どころはこの扉口です。この扉口には、ロマネスク建築において非常に珍しい「ズレ」の構造があります。よく見ると石造りのアーチの頂点と、実際に開閉する木製の扉の中心線が垂直に揃っていません。これは中世の街路(階段状の坂道)の傾斜やルートに対して、扉が美しく正面を向くようにあえて非対称に調整されたためだと言われています。
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ようやく夕食です。パラドールのレストランを利用しました。
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カスティーリャ・ラ・マンチャ地方に来ているので、この地方の郷土料理として有名なミガスを食べてみました。
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この旅行記へのコメント (3)
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- ミータさん 2026/06/07 21:19:38
- パラドール
- 歴史的な建物を利用したパラドールはやはり良いですね。私も今度のスペイン旅行でパラドールを予約しています。さすがにグラナダのパラドールは高いので断念しました(4万円程度なら考えたのですが)。アンダルシアだと残るは彼処か此処か、または其処ですね。
- ミータさん からの返信 2026/06/07 21:31:01
- Re: パラドール
- ちなみにロンダではないです。
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- マリアンヌさん 2026/06/07 14:48:30
- シグエンサ
- クリスさん こんにちは。
いつもInstagramを楽しませていただいています。
スペインに行かれているのだなと思っていましたが、こうして解説いただくと嬉しいです。
解説付きでシグエンサ近郊のロマネスク教会を巡りなんて素晴らしいですね。
大きなロマネスクな洗礼盤が独特ですね。
現在フランス旅行中です。電車とバスなのでなかなかロマネスク教会には行けないのですが、終盤ひとつ頑張ってみる予定です。
続きも楽しませていただきます。
マリアンヌ
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