銀婚記念中欧周遊5:美術史美術館でブリューゲルルーム独占

2025/07/15 - 2025/07/17

結婚２５年を記念して中欧のワルシャワ・プラハ・ウィーンを11日間で周遊。特に記憶に残った場所を抜粋して記事にしたもの。完全版は以下のブログに記載。
https://aamns2021.livedoor.blog/archives/cat_434505.html


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今日のメインは美術史美術館。その前に映画ビフォアサンライズで印象的なシーンが撮られた近くのカフェシュペールに寄ってメランジェを楽しもうと出かける。昨日の帰りにトラムD系統でリング方面から帰ってきたので、今朝もこれで中心部へ出る。しかしリングへ出たところで歩くようにとのグーグルマップの指示が。D系統はリングに出た後は西に回り込んで市役所方面に行くはずでは・・・と思ったら、その区間は工事運休となっていた。

エリア ウィーン(オーストリア)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.5
• ホテル: 4.0
• グルメ: 3.5
• ショッピング: 3.5
• 交通: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス 徒歩
• 航空会社: LOTポーランド航空 オーストリア航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

それで10分ちょっと歩いてようやくカフェシュペールに到着。

ここはビフォアサンライズの聖地として観光客が多く詰めかけるようだが（除く日本人）、まだ朝の9時過ぎだったので空いていて、のんびりと地元の人が新聞をめくったり、談話したりして過ごしていた。うまい具合に映画で彼らの座っていたボックス席が空いていたので、家人とあのポーズをしてお互いに写真に収め、ウィーンで主流だと聞いているメランジェを注文。

日本のブレンドに泡立てたミルクが載っているのを想像したが、ここのものはエスプレッソにミルクというスタイルのようで、カップの大きさに比して液体の量が少なく物足りない感じ。これを2杯で10ユーロ（約1700円）というのは物価の高さを感じた。そこから歩いて5分ほど、いよいよ美術史美術館へ。

チケットは購入しており、開館直後の10時過ぎに入館。まずは皆エントランスに目を奪われて写真を撮ろうと滞留するので、それを尻目にお目当てのブリューゲルルームへ急ぐ。

一番の目玉だから幸いにして順路の最後にあたる部屋となっていて、途中をすっ飛ばして10時10分頃に着いた時には人影は無く完全に独占状態。あまりの贅沢な空間に打ち震える。

一番のお目当てはバベルの塔。細部まで飽くことなくじっくりと鑑賞することが出来て感無量。建物の諸相に様々な人間模様が描かれていて、ああそうか、自分が山口晃を好きなのはこのバベルの塔が好きだからなのかと今更ながら気づかされた。

家人とどの現場に配属されたら嫌かを話し合う。私は塔の右上のこの辺り。「多分これ無理だろう・・・」と判りながらひたすら作業というのはやり切れないだろうと想像する。

農家の婚礼も独り占めで鑑賞。参列者のいきいきした表情が浮き立つ場の雰囲気を伝える。一番右の黒い服の男は作者自画像との話もあるそうで、茶目っ気のある人柄が偲ばれる。

美術の教科書に載っていた記憶がある雪中の狩人は、画面左下から仰ぎ見るようにしてみると、猟に向かうと思われる右上の山々が遥か遠くに見え、その道中の厳しさが伝わってきた。空を飛ぶ鳥は不吉を予兆させるものだという。

子供の遊戯は若冲の百犬図に通ずるものも感じられ、子供たちの歓声が聞こえるかのよう。

農民と鳥の巣取りは「なっ？」とこちらに問いかけてくる農民の表情がユーモラス。画が訴えている趣旨は判然としていないそうだが、欲をかいて卵にまで手を出してしまう人間の浅ましさを皮肉っているように思われた。

ブリューゲルルームを30分弱独占した後、団体客が現れたので他の部屋を周ることにする。フェルメールは光の魔術師と言われるだけあって、カーテンやタペストリー、画家の服の襞などにその精妙な表現が見られてはっとさせられる。しかも部屋に貼られているタペストリーは地図になっていて、そこも細密に描かれていたのには舌を巻く。

カラヴァッジョはキリストが茨の冠を無理やりかぶらされる場面を描いていたが、

そのキリストの絶望の表情と言ったら、見ていて心が苦しくなった。

この他マリアテレジアの肖像や

今のインスタグラマーに通ずる画など、圧倒的な量のヨーロッパ最高峰の美を堪能。またハプスブルグ家愛用の品の展示なども、目もくらむような煌めきがあって、銘品疲れするほど。最後にもう一度ブリューゲルルームをぐるり一周して1時間半ほどで鑑賞終了。

世界一美しいカフェは観客でがやがやしていたので写真だけ取ってパス。

目当てのブリューゲルを独占して鑑賞する至福の時が持てたし、その他のマスターピースもソファに座ったりしてゆったりじっくり見られたし、期待以上の経験が出来て大満足の訪問だった。