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藤沢にある永勝寺にやってきました。<br />永勝寺って、知名度が高い寺ではありませんが、日本の民族史あるいは暗部を知る際、知っておくべき、訪れるべき寺だと思います。<br /><br />鬼平犯科帳では鬼平(2代目長谷川平蔵)が暴行されてた娼婦(夜鷹)に優しく接した際、「あたしみたいなものに・・・」って恐縮するのに対し、「男は昔、世話になっているんだから(意訳)」と応じるシーンがあります。<br />このやり取りが自分の心に刺さったのは、こういう風に考える男って少ないよね、という思いがベースにあります。<br />娼婦は汚いもの、底辺の仕事、として蔑み、差別するのがあ世の多数派でしょう。<br />とはいえ、喜んで身を売る女性など、ごく少数です。<br />大半の女性は自分の意志と関わりなく、生きるためにやむを得ず、体を売ることになっているのです。<br />そんな境遇の女性を人間扱いしない男、人間というのは実に多い。<br />妓楼の娼婦が死ぬと寺に投げ込まれ(捨てられ)、弔ってすらもらえない、というのは日本の民族史の間違いない暗部でしょう(日本に限らず、世界中どこでも娼婦に対する扱いは同じようなものですが)<br /><br />そんな中、娼婦を人間扱いした人も存在することを示す痕跡も日本には残っています。<br />ここ永勝寺にも、そんな人間が存在した、との印が残る寺です。<br /><br />永勝寺の山門をくぐると、すぐ左脇に墓石がコの字型に配置されたエリアがあります。<br />入口正面には大きな墓石。<br />その周辺を小さな墓石が囲みます。<br />墓石は柔らかな石で刻まれたようで、長い年月の風雪で表面はすっかりすり減り、割れてしまった墓石も存在します。<br />案内板がなければ、この墓石が何か、気づくものはいないでしょう。<br /><br />この小さな墓石群は「飯盛女」の墓です。<br />飯盛女とは「給仕」との建前で旅籠に人身売買で売り飛ばされた「娼婦」のことです。<br />旅人は旅籠で飯盛女を買うことも旅の楽しみとしており、飯盛女のいる旅籠や宿場は大変に繁盛しました。<br />とはいえ、一つの旅籠に許可された飯盛女は二人まで。<br />宿の宿泊客に比べてあまりにも少ない。<br />田舎から売られてきた頑強な体の農家の娘であっても、数年で消耗し、命を落としたと言います。<br />現代のブラック企業も真っ青の、かなり過酷な環境で働かされていた、ということがうかがわれます。<br /><br />そんなブラックな環境で娼婦を働かせていた旅籠の主人。<br />忘八(仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つの徳目をすべて忘れた人)でなければやっていけなかったのかもしれません。<br />多くの旅籠の主人が忘八であった中、娼婦を奴隷として使いつぶすのではなく、境遇に同情する人も存在しました<br /><br /><br /><br /><br /><br />

人間の良心とは何か?~鬼畜と人間を分けるモノ・永勝寺~飯盛女の墓

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2025/04/23 - 2025/04/23

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旅行記グループ 観光スポット(関東甲信越)

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スネフェル

スネフェルさん

藤沢にある永勝寺にやってきました。
永勝寺って、知名度が高い寺ではありませんが、日本の民族史あるいは暗部を知る際、知っておくべき、訪れるべき寺だと思います。

鬼平犯科帳では鬼平(2代目長谷川平蔵)が暴行されてた娼婦(夜鷹)に優しく接した際、「あたしみたいなものに・・・」って恐縮するのに対し、「男は昔、世話になっているんだから(意訳)」と応じるシーンがあります。
このやり取りが自分の心に刺さったのは、こういう風に考える男って少ないよね、という思いがベースにあります。
娼婦は汚いもの、底辺の仕事、として蔑み、差別するのがあ世の多数派でしょう。
とはいえ、喜んで身を売る女性など、ごく少数です。
大半の女性は自分の意志と関わりなく、生きるためにやむを得ず、体を売ることになっているのです。
そんな境遇の女性を人間扱いしない男、人間というのは実に多い。
妓楼の娼婦が死ぬと寺に投げ込まれ(捨てられ)、弔ってすらもらえない、というのは日本の民族史の間違いない暗部でしょう(日本に限らず、世界中どこでも娼婦に対する扱いは同じようなものですが)

そんな中、娼婦を人間扱いした人も存在することを示す痕跡も日本には残っています。
ここ永勝寺にも、そんな人間が存在した、との印が残る寺です。

永勝寺の山門をくぐると、すぐ左脇に墓石がコの字型に配置されたエリアがあります。
入口正面には大きな墓石。
その周辺を小さな墓石が囲みます。
墓石は柔らかな石で刻まれたようで、長い年月の風雪で表面はすっかりすり減り、割れてしまった墓石も存在します。
案内板がなければ、この墓石が何か、気づくものはいないでしょう。

この小さな墓石群は「飯盛女」の墓です。
飯盛女とは「給仕」との建前で旅籠に人身売買で売り飛ばされた「娼婦」のことです。
旅人は旅籠で飯盛女を買うことも旅の楽しみとしており、飯盛女のいる旅籠や宿場は大変に繁盛しました。
とはいえ、一つの旅籠に許可された飯盛女は二人まで。
宿の宿泊客に比べてあまりにも少ない。
田舎から売られてきた頑強な体の農家の娘であっても、数年で消耗し、命を落としたと言います。
現代のブラック企業も真っ青の、かなり過酷な環境で働かされていた、ということがうかがわれます。

そんなブラックな環境で娼婦を働かせていた旅籠の主人。
忘八(仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つの徳目をすべて忘れた人)でなければやっていけなかったのかもしれません。
多くの旅籠の主人が忘八であった中、娼婦を奴隷として使いつぶすのではなく、境遇に同情する人も存在しました





  • 旅の起点・藤沢駅。<br />北口より出ます。

    旅の起点・藤沢駅。
    北口より出ます。

  • 北口の案内地図。<br />目的地の永勝寺の位置を確認

    北口の案内地図。
    目的地の永勝寺の位置を確認

  • 地図的には、この細い道を抜ける模様

    地図的には、この細い道を抜ける模様

  • 歩行者オンリーの通路ですね、ここは

    歩行者オンリーの通路ですね、ここは

  • 開けたところに出ました。<br />斜めの道を進みます

    開けたところに出ました。
    斜めの道を進みます

  • 藤沢市のマンホール

    藤沢市のマンホール

  • 別のマンホール。<br />これは藤野の花?

    別のマンホール。
    これは藤野の花?

  • なんとなく、東京の市部のような風景。<br />神奈川であっても南関東西部は似たような街並みになるんですね

    なんとなく、東京の市部のような風景。
    神奈川であっても南関東西部は似たような街並みになるんですね

  • と、思っていたらビルの1Fに銭湯を発見!<br />うーん、下町っぽくてよいですね!

    と、思っていたらビルの1Fに銭湯を発見!
    うーん、下町っぽくてよいですね!

  • 街角で見かけたベスパ。<br />さすがは藤沢といったところ。<br />おしゃれ!

    街角で見かけたベスパ。
    さすがは藤沢といったところ。
    おしゃれ!

  • 新道路の碑。<br />整備されたのは比較的新しいんですね、この道。<br />どうりでやけにまっすぐだと思いました。<br />

    新道路の碑。
    整備されたのは比較的新しいんですね、この道。
    どうりでやけにまっすぐだと思いました。

  • 社宮司神社の杜が見えてきました・<br />目的地は近い

    社宮司神社の杜が見えてきました・
    目的地は近い

  • 本町4丁目の交差点を右に曲がります。

    本町4丁目の交差点を右に曲がります。

  • ほどなく、門が見えてきます。

    ほどなく、門が見えてきます。

  • 永勝寺の銘碑

    永勝寺の銘碑

  • 永勝寺の説明文。<br />真っ先に出てくるのが飯盛女の墓の説明文とは、知る人ぞ知る、といったところでしょうか

    永勝寺の説明文。
    真っ先に出てくるのが飯盛女の墓の説明文とは、知る人ぞ知る、といったところでしょうか

  • 飯盛女の墓は山門を入ってすぐ、左手です

    飯盛女の墓は山門を入ってすぐ、左手です

  • 飯盛女の墓域前の説明文

    飯盛女の墓域前の説明文

  • 飯盛女の墓域。<br />奥の立派な墓石ではなく、手前にある小さな墓石群が飯盛女の墓になります

    飯盛女の墓域。
    奥の立派な墓石ではなく、手前にある小さな墓石群が飯盛女の墓になります

  • 飯盛女墓域遠景

    飯盛女墓域遠景

  • 墓石の一つ。<br />法名が与えられています。<br />「信女」とはいえ、きちんと供養されたことが分かります。

    墓石の一つ。
    法名が与えられています。
    「信女」とはいえ、きちんと供養されたことが分かります。

  • 割れてしまった墓石。<br />砂岩のようですので、あまり高い墓石ではなかったようです。<br />とはいえ、合葬ではなく、戒名=生きた軌跡が刻まれた墓石です。<br />遊女を打ち捨てる非道な楼主も多い中、死んでしまい、儲けを生み出さない遊女のため、費用の掛かる墓石を用意するなど、なかなか普通の人にはできることではありません。

    割れてしまった墓石。
    砂岩のようですので、あまり高い墓石ではなかったようです。
    とはいえ、合葬ではなく、戒名=生きた軌跡が刻まれた墓石です。
    遊女を打ち捨てる非道な楼主も多い中、死んでしまい、儲けを生み出さない遊女のため、費用の掛かる墓石を用意するなど、なかなか普通の人にはできることではありません。

  • 明和二年なので1765年の墓石です

    明和二年なので1765年の墓石です

  • こちらは明和8年。<br />明和年間最後の1771年の墓石。

    こちらは明和8年。
    明和年間最後の1771年の墓石。

  • こちらは風月にさらされてぼ名が全く分からなくなっています。

    こちらは風月にさらされてぼ名が全く分からなくなっています。

  • 施主の名前が確認できる墓石。<br />藤沢宿の松屋さんが施主でした。<br />ちなみに、この墓域は松屋さんの一族が眠る墓域です。<br />その一角に従業員を合葬した形です。<br />従業員=家族。<br />口で言うのは簡単ですが、実行できる人は多くありません。<br />商売のために飯盛女を雇った松屋さんですが、忘八(=人間としての徳を忘れた人)ではなかったのでしょう。

    施主の名前が確認できる墓石。
    藤沢宿の松屋さんが施主でした。
    ちなみに、この墓域は松屋さんの一族が眠る墓域です。
    その一角に従業員を合葬した形です。
    従業員=家族。
    口で言うのは簡単ですが、実行できる人は多くありません。
    商売のために飯盛女を雇った松屋さんですが、忘八(=人間としての徳を忘れた人)ではなかったのでしょう。

  • 永勝寺の本堂

    永勝寺の本堂

  • 太子堂がありました。<br />浄土真宗の寺なのに、聖徳太子を祀る太子堂・・・<br />なぜ?

    太子堂がありました。
    浄土真宗の寺なのに、聖徳太子を祀る太子堂・・・
    なぜ?

  • 本堂近景

    本堂近景

  • 近くにバス停がありました!<br />歩くのではなく、バスに乗ればよかった、と後悔・・・

    近くにバス停がありました!
    歩くのではなく、バスに乗ればよかった、と後悔・・・

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