2024/03/22 - 2024/03/22
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mistralさん
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サン・サヴァン修道院でのんびりと天井画を味わった後、
ショーヴィニーへとカーナビを設定した。
ショーヴィニーまでは路線バスが運行しているようだったが、サン・サヴァンまでとなるとこの時期はレンタカー以外、選択肢は無さそうだった。
なのでサン・サヴァンまでやって来ての帰り道に、立ち寄ったのは当然のことだった。
サンピエール教会の柱頭彫刻は有名すぎて既視感いっぱい、初対面の感激が薄らいでしまったのは、ちょっぴり残念なことだった。
(表紙写真は内陣の柱頭彫刻、人間を貪り食うドラゴン)
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
この旅行記は3月22日、レンタカーで
サン・サヴァン修道院まで行き、その後
丁度ポワティエからサンサヴァンまでの中間地点にある
ショーヴィニーに立ち寄ったものです。
冒頭に3泊したホテルの様子を載せます。
ホテルはRue Sadi Carnot の賑やかな通りに接しているが
(写真では突き当りのゲートのような所を通り抜けると
通りに出る)敷地内部はとても静かだった。 -
レセプションのある棟。
滞在したお部屋のある棟は写真では手前にある。 -
朝食はレセプションのある棟で
いただいた。
中庭に面していて気持ち良い時間が過ごせる。 -
-
-
ショーヴィニーに向かっている。
サン・サヴァンに向かった道とは
途中から多少の方向が変わっていったようだ。 -
相変わらずの長閑な道。
夫も望んでいた、まさにフランスの田舎道。 -
ショーヴィニー旧市街に入ったようだ。
一旦車を停めて、少し前から見えていた何かの
遺構へ向かって歩いてみた。 -
後で調べてみてわかったことだが
嘗てのポワティエ司教の城館跡だったようだ。
近くまで行ってみたが、巨大な廃墟となっていた。
サン・ピエール教会へはまだまだ距離がありそうだったので
一旦車に戻り、目的地を再設定。 -
小高い丘に登ってきた。
空地に車をとめ、サン・ピエール教会方向へ
歩きだしたところ。 -
日差しも強い昼下がり
人っこ一人歩いていない。 -
矢印の示す方向に歩いている。
ショーヴィニーのサン・ピエール教会の起源については
はっきりとわかっていないようだ。
1025年の文書では教会堂の存在が確認されている。
12世紀前半には、今日のようなロマネスク・スタイルで
建て替えられているようだ。
宗教戦争時の1569年には大きなダメージを受けた。
19世紀半ばより、建築家レオン・トマ・ジュプレによって
大規模な修復工事がなされた。 -
サン・ピエール教会後陣
狭い路地を歩いてきて、教会の後陣まで
たどりついた。
教会の全体像を撮れる場所がなかなか見つからなかった
ので、部分部分の写真となってしまった。 -
教会の南壁沿いに
正面ファサードに向かっている。 -
教会の横手の道を通り抜け
たどりついた -
西ファサード
教会は高台に築かれているため
後ろ下方には長閑な田園風景が広がっていた。
ファサード前はさほど広くないため
多分これ以上は後ろに下がれなかったようだ。 -
入口ドアの周囲にある柱頭彫刻と
上部にも施されている植物模様や幾何学模様。
右手の彫刻は綺麗なので、もしかしたら改修後のもの? -
反対側の彫刻はかなり風化がすすんでいるようだ。
-
内部にはいり内陣方向を見ている。
見学者が数人おられた。
想像どおりに明るい内部空間。
ラテン十字プラン、長さは45メートルあるそうだ。
3身廊、トランセプト、内陣は放射状祭室が3つある
周歩廊で構成される。 -
内陣方向
内部はこれまでも多くの写真でみてきたとおり
綺麗に彩色されている。
これは1856年の修復工事の折に彩色されたものだそう。
当時の状態にある程度忠実に、再現されたもののようだ。 -
入口方向
側廊の天井は身廊よりは低く造られている。 -
内陣をとりかこむ柱頭の彫刻を次に載せます。
2つは聖人伝、その他の柱頭には動物、モンスター、悪魔
が彫られている。
左:スフィンクス
人間の顔、ライオンの身体、鳥の翼をもつ長い首の
スフィンクスが2頭づつ向かい合っている。
スフィンクスは神秘性の象徴だそう。
右:下半身が鳥の人魚
ギリシャ神話では、人魚は上半身が女性で下半身は
鳥のキメラだが、ここでは顎鬚と口ひげのある男性
の顔をしている。 -
スフィンクス
-
スフィンクス
左側に見えるのは サタンと魔物たち -
人間を貪り食うドラゴン
蛇の尾を持ち、翼があり、人間の顔をしたドラゴン。
罪人の魂を象徴する裸の人間を貪っている。
地獄を象徴しているそうで、ドラゴンは地獄におちた
人々を苦しめる悪魔を表している。 -
人間を貪り食うドラゴン
右手の人間は、まさに頭からかじられている。 -
左:人間を貪り食うドラゴン
右:マギの礼拝
左より大天使ガブリエルが羊飼いに救世主の誕生を告げている。
両側に2頭の羊を連れた羊飼いがお告げを聞いている。
大淫婦バビロン(忌まわしい杯と欲望を高めるための秘薬
が入った容器を掲げている)みだらな様子で描かれている。
頭にはヴェールを被らず、髪は乱れ、衣服の下の両足は
開かれている。
-
左:有翼獅子
右:マギの礼拝 -
有翼獅子
翼があり、顎鬚のある男性の顔をしたライオン
が描かれている。
ライオンの尾は人間の手になっている。 -
マギの礼拝
正面を向いたマリア、膝の上の幼子イエスは
膝の上で祝福のポーズをとっている。
神の手がマリアとイエスを指し示している。
両側にはマギらが跪き、贈り物を差し出している。
マリアの右には、マギ達を導いた星が描かれている。 -
神殿奉献
マリアが剃髪したシメオンに、十字のマークがある
ニンブスをいただいた幼子イエスを差し出している。
シメオンはイエスの方に腕をのばしている場面。 -
左:大天使ミカエルによる魂の計量。天秤をひっくり
返そうとして皿にしがみつく悪魔がいる。
その右:バビロン転落の一場面(ヨハネの黙示録より)
バビロンの廃墟の前で、思いに浸っている預言者。
粗末な服を気て、ぼさぼさ頭で髭の伸ばした男の様子。
上方では炎に包まれた城壁が描かれている。 -
裸の人間を貪り喰う黙示録の鷲
ヨハネの黙示録に登場する鳥が、裸の人間の上に
舞い降り、肉を貪り食っている。堕ちたバビロンは
猛禽の巣窟となった。 -
内陣の隅にあった横たわった人物像
(棺だったのか?) -
-
再びまだまだ陽光の眩しい
外へと出て来ました。 -
後陣へと戻るとそこには
モディヨン! -
こちらにもモディヨン!!
-
さまざまなモディヨンがずらりと並んでいる。
人間の頭、ライオン、狼、鷲、熊、キツネ、犬などなど
が勢ぞろい。 -
全身で支えている人間、キツネは
けなげな感じ。 -
こんな愛嬌のあるモディヨンたちに
癒されて。 -
後陣、写真中央の左後方には階段が見える細い小塔がある。
小塔の頂にあるのはポワティエでも見かけた鱗状の
モチーフで覆われたドーム。
中央奥の鐘楼は13世紀に完成したものだそう。 -
何かが見えると思って
-
ズームしてみると
レリーフが埋め込まれている。
全部で3つあったようだが、古い教会堂で使われていたもの
と考えられるレリーフのようだ。
両側には鳥がとまっている。
鍵を持っているようなのでペテロ? -
こじんまりとしているが
良い教会堂だった。 -
再び車を停めた広場へと戻る。
-
道沿いに連なる民家が
味わい深い。 -
短い距離のドライブだったが
フランスの田舎道をのんびりと走り
人気のない教会堂でロマネスクの美を堪能できた
1日となった。
旅行記ではずいぶんポワティエで長居をしましたが
翌日はトゥールに向かいます。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- マリアンヌさん 2024/05/28 16:24:50
- 後陣のモディヨンlove
- mistralさん
日々よく遊んでいて、まとめてコメントしてスミマセン。
じっくりと立て続けに拝見しているとショーヴィニーの柱頭彫刻も感動が薄くなってしまいますね。ちょっと修復できれいになりすぎてる感がありますよね。
とはいえ、独特な怪物が跋扈していて面白いです。
こちらもとてもよく解説いただき、訪問時必携です☆
めくるめくロマネスクの世界を見せていただき、ありがとうございます。
あぁフランスも行かなくては!
マリアンヌ
- mistralさん からの返信 2024/05/29 23:02:38
- RE: 後陣のモディヨンlove
- マリアンヌさん
私も頑張ってご返信を。
> 日々よく遊んでいて、まとめてコメントしてスミマセン。
このところバラの開花に合わせてマリアンヌさんの旅行記のアップが続きましたから
お出かけでお忙しくされていること、想像できます。
なのに、ありがとうございます。
> じっくりと立て続けに拝見しているとショーヴィニーの柱頭彫刻も感動が薄くなってしまいますね。ちょっと修復できれいになりすぎてる感がありますよね。
全くの同感でした。
くっきり綺麗すぎて、ちょっと、、、
> とはいえ、独特な怪物が跋扈していて面白いです。
多分いきなり対面していたら跋扈具合に感動したのかもしれません。
そこに至るまでに、様々なロマネスクを見てきたせいで、せっかくの跋扈具合の印象が
薄らいでしまいました。
そこにいくと後陣のモディヨンたちは愛嬌があって素朴で、ずらりと並んでいる様子が
可愛らしかったです。
mistral
-
- frau.himmelさん 2024/05/19 22:36:29
- フランスの田舎道
- mistralさん、こちらでもこんばんは。
フランスの田舎道をレンタカーの旅、素敵ですね~。そして行きつく先がさほど大きくないロマネスクのサンピエール教会。
やはり列車だけの旅ではそんな旅情は味わえません。
レンタカーは無理でも、次回は路線バスでのんびりとヨーロッパの田舎道を走るのもいいなと思ったことでした。
そしてサンピエール教会の柱頭の彫刻の詳しいご説明、大変興味深く拝見しました。
あそこまで詳しくお調べになるのは大変だったでしょう?(なんか前にも同じことを言ったような・・・)。
教会の絵や彫刻、ステンドグラスなどを観て、あれが何を表しているか、何の場面かとわかった時って嬉しいですね。今回のmistralさんのご説明、なるほどなるほどと頷きながら、拝見させていただきました。
こんなご時世ですから、まだ何も計画はありませんが、早く旅行に行きたくなりました。
次も楽しみにしています。
himmel
- mistralさん からの返信 2024/05/20 21:14:34
- RE: フランスの田舎道
- himmelさん
こちらからも、こんばんは。
コメントをお寄せいただき、有難うございます。
>
> フランスの田舎道をレンタカーの旅、素敵ですね?。そして行きつく先がさほど大きくないロマネスクのサンピエール教会。
これまでもレンタカーで田舎道を走ってきましたが、そろそろ運転返上せねば、と思いつつ、辺鄙な地にある教会堂の誘惑には勝てませんでした。
ただ、町から抜け出すまでは油断できません。町をぬけて長閑な田園風景に変わると初めてホッとします。
おっしゃる通り、街にあるのは大きな教会堂ですね。こじんまりした教会堂は村の人々が守っていることが多いですね。
> やはり列車だけの旅ではそんな旅情は味わえません。
> レンタカーは無理でも、次回は路線バスでのんびりとヨーロッパの田舎道を走るのもいいなと思ったことでした。
今回はできるだけ路線バスで行ってみようと思っていました。
ただ残念なことに、サン・サヴァン修道院まではバスが(この時期だからか?)ないようでした。
バスに田舎道を揺られていくのもなかなか楽しそうですよね。
>
> そしてサンピエール教会の柱頭の彫刻の詳しいご説明、大変興味深く拝見しました。
> あそこまで詳しくお調べになるのは大変だったでしょう?(なんか前にも同じことを言ったような・・・)。
> 教会の絵や彫刻、ステンドグラスなどを観て、あれが何を表しているか、何の場面かとわかった時って嬉しいですね。今回のmistralさんのご説明、なるほどなるほどと頷きながら、拝見させていただきました。
himmelさんも旅先で見かけた銅像や、美術館の絵画など、本当にお詳しく調べられて、旅行記に載せておられますね。
私はちょっと調べてわからないものは、すぐ諦めてしまいます(笑)
それでも、意味することがわかると、ただただ画像としての認識よりはずっと近づけた感じがしますね。
>
> こんなご時世ですから、まだ何も計画はありませんが、早く旅行に行きたくなりました。
予定していた旅が終わると、次はどこに?とついつい考えてしまいますね。
旅の間にしていた苦労はすっかり忘れ去ってしまいますね。
mistral
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