獅子舞谷手前の切通（鎌倉市二階堂新立）

2023/12/20 - 2023/12/20

　鎌倉市二階堂新立にある獅子舞谷手前の切通はいかにも切通然としていて誰もが切通であることに気が付く。
　しかし、この切通とここから下がった東電変電所奥の切通にはやぐらが伴わない。
　それはやぐらの墓制が鎌倉で行われる以前、源頼朝の生前に掘削された切通だからである。また、六国峠以北の栄区のいたち川に至る街道も馬で通れるように尾根道にある山の頂きは掘削して切通になっているが、これも頼朝生前に整備されて掘削された切通であるからやぐらを伴わない。
　あるいは、大船高校前に残っている高野の切通は江戸時代になってから掘削された近世の切通なのでやぐらは伴わない。
　源頼朝以前というのは、奥州平泉に遠征・凱旋する前のことである。軍事道路として鎌倉から北に向かう街道を馬で通れるように整備した。それがしっかりと残っているのが、大手中路と呼ばれたこの谷道であり、2つの切通を通し、尾根道を北のいたち川流域へと馬で通れる街道に整備したのだ。
　この切通の下から見て右手には比較的なだらかな山林があり、獅子舞谷の獅子岩手前から右折してこの山林を迂回して尾根道に上っていた。今でも杉林の中には旧街道の跡が残っている。
　すなわち、鎌倉市内で国指定史跡になるべきなのは永福寺前の経塚山からこの2つの切通を含む大手中路跡であろう。
（表紙写真は獅子舞谷手前の切通）

エリア 鎌倉(神奈川)

獅子舞谷手前の切通が現れる。

獅子舞谷手前の切通。

獅子舞谷手前の切通。

獅子舞谷手前の切通。

獅子舞谷手前の切通。

獅子舞谷手前の切通。

二階堂川の源流部。橋は架かってはいない。
ここから上はぬかるんでいる。

獅子舞谷へは片側だけの崖が続く。

獅子舞谷入口。