二条・烏丸・河原町旅行記(ブログ) 一覧に戻る
2023年7月24日(月)朝に観覧した祇園祭後祭山鉾巡行に参加した11基に付いて記しているが、9時50分頃、やって来たのは後祭のちょうど真ん中に当たる北観音山。山の舞台には南観音山と同じ楊柳観音像と、善財童子像でなく韋駄天像を祀っている。<br /><br />創建は南北朝時代の1353年と記録が残っており、応仁の乱の時代から隣町の南観音山と1年交代で山を出していたと云われる。元々は屋根のない舁山であったが、町内に三井家や現松坂屋の伊藤家などが所在していたことから、屋根を取り付け、徐々に懸装品を増やすなどして、江戸末期の1833年に飾屋根を持つ曳山となった。<br /><br />山鉾町は新町通の六角通から蛸薬師通の間の六角町で、蛸薬師通の南の南観音山とセットで、京都の上ル下ルに由来する上り観音山とも呼ばれる。六角町は室町通と共に平安時代末期から新たに勃興してきた帯状の商業地域で、町としての成立は応仁の乱以後さほど遅くない西暦1500年前後であると考えられている。<br /><br />くじ取らずの山で、1872年(明治4年)からは後祭の先頭を務めていた。2012年に幕末以前の巡行順に戻されたため、橋弁慶山に続く25番目(後祭では2番目)の登場となったが、2023年からは隔年交代で南観音山と後祭の2番目と6番目を進むことになった。<br /><br />山鉾は高さ約17m・長さ約6.36m・幅約3.95mで、山鉾装飾のみの重さが6.95トン、巡行時には人や懸想品含み9.27トンになる。最小回転半径は約6.1m。祇園囃子を奏でる囃子方が乗り、観音懺法にちなんで柳の枝を山の右後ろに差し出して垂らしている。<br /><br />鳴滝から2本届けられて、南観音山とくじ引きで選んだ真松の左三の枝には2014年に新調されたカラフルな尾長鳥を付けている。江戸時代の絵図では鳩が描かれており、2013年までは木彫の鳩が用いられていたが、古文書などから南観音山と入れ替わっていることが分かり、2014年から北が尾長鳥、南が鳩に戻された。<br /><br />御神体の楊柳観音座像は鎌倉時代に日光から伝わったもので、1788年の天明の大火で顔を除いて焼失したが、仏師法橋定春の手によって補修された。<br /><br />破風下の木彫雲鶴は江戸末期の1833年の片岡友輔の作。天水引は唐草文様のものと雲龍文様のものが隔年で飾られる。今年は雲龍文様だった。下水引は2015年に新調された関帝祭の図と伝える人物風景で、中島来章の下絵。<br /><br />二番、三番水引は共に山鹿清華作の手織錦であったが、2006年に「赤地牡丹唐草文様綴織」の二番水引と「金地紅白牡丹文様唐織」の三番水引の江戸時代の姿を復元新調した。<br /><br />胴掛類は17~18世紀の花文インド絨毯を用いていたが、近年、前懸と後懸は19世紀のペルシャ絨毯、胴懸東面はトルキスタン絨毯と、西面はインド絨毯「斜め格子草花文様」の復元品に変えている。<br /><br />見送りは鳳凰宝散額唐子嬉遊図の綴錦で17世紀中国明末から清初頭のもので、チベット寺院で保管されていたとされる。四隅の房掛金具は祇園守。欄縁の唐獅子牡丹等錺金具の精巧さが、この山の華麗さを際立たせている。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.10082669585136308&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br />続いて舁山の黒主山。謡曲・志賀に歌われている平安時代の歌人で、六歌仙の一人である大伴黒主が桜の花を仰ぎ眺めている姿を現している。室町通の三条と六角の間の烏帽子屋町に置かれている。黒主山の始まりは明確ではないが、室町時代の1500年には存在していたことが確認されている。<br /><br />御神体の人形は江戸中期の寛政元年(1789年)5月、辻又七郎狛元澄作の銘を持つ。人形着用の古衣裳には、1675年在銘の紺地菊唐草文様小袖及び1711年在銘の萌葱絽地牡丹文様色入金襴大口袴があり、江戸時代初期在銘の貴重なもの。山に飾る桜の造花は粽と同様に戸口に挿すと悪事が入って来ないと云われる。<br /><br />水引は雲龍文様の繻珍、前懸は萬暦帝即位の折の御服と伝えられる古錦を復元した五爪龍文様錦、胴懸は草花胡蝶文様の綴錦。見送は平成16年(2004)に牡丹鳳凰文様が復元新調されている。<br /><br />水引は雲龍文様の繻珍、前懸は萬暦帝御服(1989年復元新調)、胴懸は草花胡蝶文様の綴錦(1983年復元新調)、見送は牡丹双鳳凰文様綴錦(2004年復元新調)と宝散し額紅地唐子嬉遊図(2007年復元新調)の2枚が隔年交替で用いられる。今年は後者だった。後懸の飛龍文様綿入刺繍も2002年に新調されたが、これは見えなかった。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.10082682261801707&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br />続いても舁山の役行者山。修験道の開祖であり、役行者・小角が一言主神を使って葛城と大峰の間に石橋を架けたという故事に由来している。役行者は庶民の中に入って医療などに努めた僧で、古くから民衆に人気があった。後祭が復活した2014年の巡行から巡行列に山伏が随行するようになっている。<br /><br />この山は室町時代中期の応仁の乱(1467年~77年)より前の山鉾と地名を記した「祗園社記」に記されている「ゑんの行者山(姉小路室町と三条間)」のことで、応仁の乱前に既に創建されていたとされる。室町通、黒主山を置く烏帽子屋町の北の三条と姉小路の間の役行者町に置かれている。<br /><br />御神体として役行者と一言主神と葛城神の三体を安置する。正面の洞に役行者が帽子・掛絡・経巻・錫杖を持って座し、向かって右手の葛城神は女体で手に台つきの輪宝を持ち、左手の一言主神は鬼形で赤熊をかぶり手に斧を持っている。<br /><br />水引は綴錦の名手と謳われた西山勘七の唐子遊図。前懸は1997年に復元新調された牡丹胡蝶図と雲龍文様との3枚継ぎで、胴懸は雲龍波濤文様の綴錦。欄縁は黒漆塗に高浮彫雲龍と輪宝文様の鍍金金具で、浅葱色と朱色の飾り房30本は2009年に復元新調された。<br /><br />見送は2種ある。中国明朝の官工場で織られたものを1982年に復元新調した金地唐美人図綴錦と、袋中上人請来と伝わる朝鮮の龍文軍旗を2枚合わせ赤地古金襴(安楽庵裂)で縁どった龍図絽刺。1年交替で使用されているが、今年は金地唐美人図綴錦だった。また、山担ぎ手の法被は、2001年に復元新調されている。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.10082691185134148&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><br />あと3基あるが、続く

京都 祇園祭 北観音山&黒主山&役行者山(Decorated Floats of Gion Festival,Kyoto,Japan)

1いいね!

2023/07/24 - 2023/07/24

4089位(同エリア4366件中)

旅行記グループ 祇園祭

0

0

ちふゆ

ちふゆさん

2023年7月24日(月)朝に観覧した祇園祭後祭山鉾巡行に参加した11基に付いて記しているが、9時50分頃、やって来たのは後祭のちょうど真ん中に当たる北観音山。山の舞台には南観音山と同じ楊柳観音像と、善財童子像でなく韋駄天像を祀っている。

創建は南北朝時代の1353年と記録が残っており、応仁の乱の時代から隣町の南観音山と1年交代で山を出していたと云われる。元々は屋根のない舁山であったが、町内に三井家や現松坂屋の伊藤家などが所在していたことから、屋根を取り付け、徐々に懸装品を増やすなどして、江戸末期の1833年に飾屋根を持つ曳山となった。

山鉾町は新町通の六角通から蛸薬師通の間の六角町で、蛸薬師通の南の南観音山とセットで、京都の上ル下ルに由来する上り観音山とも呼ばれる。六角町は室町通と共に平安時代末期から新たに勃興してきた帯状の商業地域で、町としての成立は応仁の乱以後さほど遅くない西暦1500年前後であると考えられている。

くじ取らずの山で、1872年(明治4年)からは後祭の先頭を務めていた。2012年に幕末以前の巡行順に戻されたため、橋弁慶山に続く25番目(後祭では2番目)の登場となったが、2023年からは隔年交代で南観音山と後祭の2番目と6番目を進むことになった。

山鉾は高さ約17m・長さ約6.36m・幅約3.95mで、山鉾装飾のみの重さが6.95トン、巡行時には人や懸想品含み9.27トンになる。最小回転半径は約6.1m。祇園囃子を奏でる囃子方が乗り、観音懺法にちなんで柳の枝を山の右後ろに差し出して垂らしている。

鳴滝から2本届けられて、南観音山とくじ引きで選んだ真松の左三の枝には2014年に新調されたカラフルな尾長鳥を付けている。江戸時代の絵図では鳩が描かれており、2013年までは木彫の鳩が用いられていたが、古文書などから南観音山と入れ替わっていることが分かり、2014年から北が尾長鳥、南が鳩に戻された。

御神体の楊柳観音座像は鎌倉時代に日光から伝わったもので、1788年の天明の大火で顔を除いて焼失したが、仏師法橋定春の手によって補修された。

破風下の木彫雲鶴は江戸末期の1833年の片岡友輔の作。天水引は唐草文様のものと雲龍文様のものが隔年で飾られる。今年は雲龍文様だった。下水引は2015年に新調された関帝祭の図と伝える人物風景で、中島来章の下絵。

二番、三番水引は共に山鹿清華作の手織錦であったが、2006年に「赤地牡丹唐草文様綴織」の二番水引と「金地紅白牡丹文様唐織」の三番水引の江戸時代の姿を復元新調した。

胴掛類は17~18世紀の花文インド絨毯を用いていたが、近年、前懸と後懸は19世紀のペルシャ絨毯、胴懸東面はトルキスタン絨毯と、西面はインド絨毯「斜め格子草花文様」の復元品に変えている。

見送りは鳳凰宝散額唐子嬉遊図の綴錦で17世紀中国明末から清初頭のもので、チベット寺院で保管されていたとされる。四隅の房掛金具は祇園守。欄縁の唐獅子牡丹等錺金具の精巧さが、この山の華麗さを際立たせている。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.10082669585136308&type=1&l=223fe1adec

続いて舁山の黒主山。謡曲・志賀に歌われている平安時代の歌人で、六歌仙の一人である大伴黒主が桜の花を仰ぎ眺めている姿を現している。室町通の三条と六角の間の烏帽子屋町に置かれている。黒主山の始まりは明確ではないが、室町時代の1500年には存在していたことが確認されている。

御神体の人形は江戸中期の寛政元年(1789年)5月、辻又七郎狛元澄作の銘を持つ。人形着用の古衣裳には、1675年在銘の紺地菊唐草文様小袖及び1711年在銘の萌葱絽地牡丹文様色入金襴大口袴があり、江戸時代初期在銘の貴重なもの。山に飾る桜の造花は粽と同様に戸口に挿すと悪事が入って来ないと云われる。

水引は雲龍文様の繻珍、前懸は萬暦帝即位の折の御服と伝えられる古錦を復元した五爪龍文様錦、胴懸は草花胡蝶文様の綴錦。見送は平成16年(2004)に牡丹鳳凰文様が復元新調されている。

水引は雲龍文様の繻珍、前懸は萬暦帝御服(1989年復元新調)、胴懸は草花胡蝶文様の綴錦(1983年復元新調)、見送は牡丹双鳳凰文様綴錦(2004年復元新調)と宝散し額紅地唐子嬉遊図(2007年復元新調)の2枚が隔年交替で用いられる。今年は後者だった。後懸の飛龍文様綿入刺繍も2002年に新調されたが、これは見えなかった。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.10082682261801707&type=1&l=223fe1adec

続いても舁山の役行者山。修験道の開祖であり、役行者・小角が一言主神を使って葛城と大峰の間に石橋を架けたという故事に由来している。役行者は庶民の中に入って医療などに努めた僧で、古くから民衆に人気があった。後祭が復活した2014年の巡行から巡行列に山伏が随行するようになっている。

この山は室町時代中期の応仁の乱(1467年~77年)より前の山鉾と地名を記した「祗園社記」に記されている「ゑんの行者山(姉小路室町と三条間)」のことで、応仁の乱前に既に創建されていたとされる。室町通、黒主山を置く烏帽子屋町の北の三条と姉小路の間の役行者町に置かれている。

御神体として役行者と一言主神と葛城神の三体を安置する。正面の洞に役行者が帽子・掛絡・経巻・錫杖を持って座し、向かって右手の葛城神は女体で手に台つきの輪宝を持ち、左手の一言主神は鬼形で赤熊をかぶり手に斧を持っている。

水引は綴錦の名手と謳われた西山勘七の唐子遊図。前懸は1997年に復元新調された牡丹胡蝶図と雲龍文様との3枚継ぎで、胴懸は雲龍波濤文様の綴錦。欄縁は黒漆塗に高浮彫雲龍と輪宝文様の鍍金金具で、浅葱色と朱色の飾り房30本は2009年に復元新調された。

見送は2種ある。中国明朝の官工場で織られたものを1982年に復元新調した金地唐美人図綴錦と、袋中上人請来と伝わる朝鮮の龍文軍旗を2枚合わせ赤地古金襴(安楽庵裂)で縁どった龍図絽刺。1年交替で使用されているが、今年は金地唐美人図綴錦だった。また、山担ぎ手の法被は、2001年に復元新調されている。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.10082691185134148&type=1&l=223fe1adec


あと3基あるが、続く

1いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

価格.com旅行・トラベルホテル・旅館を比較

PAGE TOP